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2024年6月 9日 (日)

悠遊雨滴 その7 活気づく地上波テレビ・ドラマ

<初めに>
 これは1年以上前に書かれた原稿でエッセイのネタを探しているときにたまたま見つけたものです。なぜここまで書いたのにブログにアップしなかったのか今となっては知る由もありません。自分の関心を書きながらも当時のテレビ界の状況も書いているので、ある歴史的時点におけるテレビ文化の記録としてそれなりの意味があると思い掲載することにしました。実際、この記事を読んでみてこのころから既にハードディスクが満杯になるほど録画していたのかと自分でも驚いたものです。古い記事と言っても、どんな記事も時がたてば古くなるのですから。
 また、「悠遊雨滴」にふさわしい記事か、つまりエッセイと呼べる記事かという疑問もありましたが、退職して悠々自適の生活をしているから書けた記事なので、まあ良いだろうと判断した次第。今後も昔書いた記事を「悠遊雨滴」シリーズに載せることもあるので大目に見てください。




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 テレビがつまらないと言われて久しい。特に若者のテレビ離れは相当深刻なようだ。その分ユーチューブや各種ネット配信に流れているようだ。僕自身ほんの数年前まではテレビの地上波放送にはほとんど観るべきものはないと思っていた(衛星放送は加入していないのでそもそも観られない)。それがコロナ禍の影響からか最近はだいぶ様相が変わってきているようだ。2022年もテレビ・ドラマは優れた連続ドラマを数多く生み出した。しかし2023年に入って、放送されているドラマの数が急増している。もちろんドラマ以外にもすぐれた番組はあり、今空前の活気を呈している。録画予約している番組が多すぎて観るのが追い付かない。どんどん録画用ディスクにダビングしてハードディスクから消去してゆかないと、あっという間に膨大な数の録画番組がハードディスクにたまってしまう。参考までに、今僕が録画予約をしている番組を下に並べておこう。

 

<ドラマ>
「舞い上がれ」
「探偵ロマンス」
「大病院占拠」
「ハマる男に蹴りたい女」
「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」
「三千円の使い方」
「東京の雪男」
「HAWAII FIVE-O Season 9」
「Get Ready!」
「ブラッシュアップライフ」
「DOC あすへのカルテ」
「女神の教室」
「罠の戦争」
「星降る夜に」
「大奥 五代将軍綱吉」
「夕暮れに、手をつなぐ」
「スタンドUPスタート」
「リバーサルオーケストラ」
「警視庁アウトサイダー」
「100万回 言えばよかった」
「リエゾン こどものこころ診療所」

<ドラマ以外>
「出没!アド街ック天国」
「ブラタモリ」
「日本の話芸」
「ふるカフェ系 ハルさんの休日」
「世界遺産」
「ソーイング・ビー5」
「浦沢直樹の漫勉neo」




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 これ以外にも「ワタシってサバサバしてるから」もあるが、僕のブルーレイ・レコーダーでは同時に二つの番組までしか録画予約ができないので、録画をあきらめている(10時台は黄金タイムでドラマが集中するので、この時間の帯ドラマはどうしてもかち合う曜日が出てしまう)。ドラマ以外にも「NHKスペシャル」、「日曜美術館」、「100分de名著」、「ETV特集」、「地球ドラマチック」など、気に入った(あるいは気になる)内容の場合には録画するものがある(これもしばしばほかの番組と重なって録画を断念することがある)。ユーネクストで映画やドラマだって観なければならないので(今年は映画を400本以上観るのが目標)、録画したテレビ番組を観るのも大変だ。

 ユーネクストと契約するまではテレビ番組などはめったに観なかった。ドラマは「ER」や「ダウントン・アビー」など外国ものが中心で、それ以外は「ブラタモリ」、「大改造!!劇的ビフォーアフター」、NHKの朝ドラくらいだったか。民放の番組はくだらないものばかりで、出場者ばかりがバカ騒ぎをして楽しんでるだけだ。これでは視聴者から見放されるのも当然だ。

 テレビ・ドラマを集中的に観るようになったのはユーネクストに入ってからだ。過去の名作を次々に一気見していった。最初はイギリスやアメリカのドラマ、次に韓国ドラマにはまり、徐々に日本のドラマも一気見するようになった。日本にも結構優れたテレビ・ドラマがあったんだと驚いたものだ。衛星放送で流された番組はその存在すら知らなかった。

 韓国ドラマは一時ハマったが最近はあまり観ない。長すぎるからだ。30話、40話は当たり前。まるでNHKの大河ドラマを観ているようで、観終わるまであまりに時間がかかりすぎる。当然ポイントもかなりの数になるので、見放題になるまで待つ以外にない。それにいまだに時代物には手が出ない。現代劇、特にサスペンスものや法廷劇ばかり観ている。極端な格差社会になった韓国の現代劇はとてつもなく面白い。特に復讐劇が多く、大財閥のわがままボンボンが非道の限りを尽くし、辛酸を味わった遺族が復讐を企てる。とにかくあまりにも理不尽な行為に観ているこちらも怒りが抑えられず、最初から主人公に入れ込んでしまう。だから面白くて引き込まれるし、最後まで見届けずにはいられなくなる。今年になってやっと日本でも「罠の戦争」という韓国の復讐劇そっくりのドラマが作られるようになった。今頃になってやっとという感じはぬぐえないが、忖度と自粛が当たり前でじっと我慢を強いられる腐りきった日本社会にはあまり復讐劇は合わなかったのだろうか。しかし今の日本は韓国に負けないくらい格差社会だ。もう階級社会だという声も出てき始めているくらいだから、今後は日本でも復讐劇がもっと増える可能性はある。

 女性が生き生きと活躍するドラマが増える傾向にあり、さらに突っ込んで男の価値観を女性の視点から突き崩してゆく作品も増えてきた。同様の傾向は映画にもみられる。障碍者や性的マイノリティを主人公にしたドラマや映画はもはや珍しくはない。しかし相変わらず理想的なタイプのドラマが多い。これは現実がそうなっていないことの裏返しではあるが、もっと韓国ドラマのように社会の矛盾に呻吟する人たちの苦しみや悩み、現実の闇の深さをよりリアルに描きこむ作品も欲しい。

 

<追記>
 「ETV特賞 私の故郷~映画監督・ヤン・ヨンヒ~」(2023) は深い感銘を受ける傑作だった。ヤン・ヨンヒ監督が新作「スープとイデオロギー」の監督だということは知っていたが、この番組を観て彼女が「かぞくのくに」の監督だということを知って驚いた。「かぞくのくに」は2012年公開日本映画マイ・ベストテンの1位に選んでいる映画だ。自分の知識の浅さを恥じ入るしかないが、こういう風に思わぬところで線がつながる驚きを経験することはうれしいことでもある。

 

<追記2>
 この記事の他に「録画しておきたい地上波テレビ番組」という記事を2021年7月に書いています。関心がありましたら、こちらにも目を通してみてください。




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