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2023年6月 4日 (日)

ノンフィクションの魅力

 フィクションとノンフィクション。もちろん圧倒的にフィクションの方が多いが、近年ドキュメンタリー映画やエッセイ・旅行記・探検記などが増えてきている。「事実は小説より奇なり」という表現はかつてよく聞いたが、最近は昔ほど使われなくなった気がする。未曽有の自然災害が頻発し、信じられないような事件や事故が毎日のように起きているからではないか。当たり前すぎて今さら言うまでもないということだ。その典型的な例は2001年9月11日に起こった同時多発テロと2011年3月11日に発生した東日本大震災の圧倒的映像だ。下手な映画など軽々と超える信じられないような映像が世界同時中継で流れたのである。


 人災と天災。しかし天災も人間が地球に勝手に手を入れてきた結果起こっている現象だともいえる。東西の冷戦が終結した後、地域紛争はむしろ激化した。地球のどこかで戦争が行われていない日が、ベルリンの壁崩壊後一体何日あっただろうか。一日もなかったと言われてももはや驚かない。科学がどれだけ発達したとしても未来の予測などできない。いや、現実こそ予測不能である。深海や宇宙がいまだ解明されていない世界などと言われるが、もっと身近なところにも未知の世界はある。人間社会の歪みとそれが作り出した人間の心の闇こそ今もっとも光を当てられるべきものではないか。僕は80年代以来「フィクションはノンフィクションを超えられるか、リアリズムとノンフィクションとはどのような関係にあるのか」という命題をずっと意識し続けてきたが、フィクションと現実の関係は今後ますます重要な、かつ抜き差しならない関係になってくるだろう。


 もちろん戦地や被災地や事件現場からのレポートばかりがノンフィクションではない。家の中で、仕事場で、旅先で、人々はふと立ち止まり思いを巡らす。身辺雑記のような、身の回りの何ということもない出来事、路地裏を歩き回ったり、おいしいものを食べ歩いたりした経験も面白い読み物になる。一方でナチスの強制収容所や満州からの引き上げ、あるいはシベリア抑留や被爆の経験など、忘れようにも忘れられない悪夢のような体験談や回顧録のような重たいものも忘れてはならない。


 今回掲載するリストはエッセイ、旅行記、探検記、自伝・伝記、ルポルタージュ、日記、回顧録、平易な研究書、論考など、読みやすくかつできるだけ新書版や文庫版で手に入るものを選んだ。もちろんかなり古いものもあるので、現在では入手困難なものも少なくないと思う。とはいえ、すべて読む必要はないわけで、興味を持ったものから読んでみてほしい。すべて自分で読んだものだが、持っていながらまだ読んでいない本も相当数ある。随時追加してゆきたい。

 

<映画人のエッセイ>
・新藤兼人
  『三文役者の死』(岩波現代文庫)
・森田郷平、他篇
  『思ひ出55話 松竹大船撮影所』(集英社新書)
・伊丹十三
  『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)
  『女たちよ』(新潮文庫)
  『再び女たちよ』(新潮文庫)
・高野悦子
  『黒龍江への旅』(岩波現代文庫)
  『私のシネマライフ』(岩波現代文庫)
・高峰秀子
  『わたしの渡世日記』(文春文庫)
  『にんげん住所録』(文春文庫)
  『にんげんのおへそ』(文春文庫)
  『おいしい人間』(文春文庫)
・土屋嘉男
  『クロサワさーん』(新潮文庫)
・沢村貞子
  『貝のうた』(河出文庫)
  『私の浅草』(新潮文庫)
・加藤大介
  『南の島に雪が降る』(知恵の森文庫)
・笠智衆
  『俳優になろうか』(朝日文庫)
・川喜多かしこ
  『映画ひとすじに』(講談社)
・是枝裕和、ケン・ローチ
  『家族と社会が壊れるとき』(NHK出版新書)

 

<冒険家・探検家のエッセイ>
・星尾道夫
  『森と氷河と鯨』(世界文化社)
  『アラスカ 永遠なる生命』(小学館文庫)
  『アラスカ 風のような物語』(小学館文庫)
  『ぼくの出会ったアラスカ』(小学館文庫)
  『長い旅の途上』(文芸春秋)
  『魔法のことば』(文春文庫)
  『旅をする木』(文春文庫)
・野田知佑
  『なつかしい川、ふるさとの流れ』(新潮文庫)
  『今日も友達がやってきた』(小学館)
  『川からの眺め』(新潮文庫)
  『北極海へ』(文芸春秋)
  『ゆらゆらとユーコン』(本の雑誌社)
  『小ブネ漕ぎしこの川』(小学館)
  『ガリバーが行く』(小学館)
  『日本の川を旅する』(新潮文庫)
  『のんびり行こうぜ』(新潮文庫)
  『川を下って都会の中へ』(新潮文庫)
  『魚眼漫遊大雑記』(新潮文庫)
・角幡唯介
  『極夜行』(文春文庫)
・ジョン・クラカワー
  『エヴェレストより高い山』(朝日文庫)
  『空へ』(文芸春秋)
  『荒野へ』(集英社)
・植村直己
  『青春を山に賭けて』(文春文庫)
  『北極圏一万二千キロ』 (文春文庫)
  『北極点グリーンランド単独行』 (文春文庫)
・アーネスト・シャクルトン
  『南へ―エンデュアランス号漂流』(ソニーマガジンズ)
  (注)ただし、読み物としてはアルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』(新潮文庫)の方がはるかに面白い。
・野村哲也
  『パタゴニアを行く』(中公新書)
・イザベラ・バード
  『日本奥地紀行』(平凡社) (注)ただし完訳版をお望みなら、講談社学術文庫版か平凡社の東洋文庫版がある。

 

<ミュージシャンのエッセイ>
・なぎら健壱
  『東京の江戸を遊ぶ』(ちくま文庫)
  『ぼくらは下町探検隊』(ちくま文庫)
  『東京路地裏景色』(ちくま文庫)
  『東京酒場漂流記』(ちくま文庫)
  『下町小僧』(ちくま文庫)
  『日本フォーク私的大全』(ちくま文庫)
  『酒にまじわれば』(文春文庫)
・高田渡
  『バーボン・ストリート・ブルース』(ちくま文庫)
・早川義夫
  『ぼくは本屋のおじさん』(ちくま文庫)
・山下洋輔
  『ピアノ弾きよじれ旅』(徳間書房)
  『ピアニストを二度笑え!』(新潮文庫)
・ウディ・ガスリー
  『ギターをとって弦をはれ』(晶文社)
・D.K.ダナウェイ
  『歌わずにはいられない ピート・シーガー物語』(社会思想社)伝記

 

<写真家のエッセイ>
・高木正孝
  『パタゴニア探検記』(岩波新書)
・吉田ルイ子
  『ハーレムの熱い日々 』(講談社)
  『フォト・ジャーナリストとは?』(岩波ブックレット)
・土門拳
  『腕白小僧がいた』(小学館文庫)
・藤田洋三
  『世間遺産放浪記』(石風社)

 

<漫画家のエッセイ>
・滝田ゆう
  『下駄の向くまま』(講談社文庫)
  『僕の裏町ぶらぶら日記』(講談社)
・水木しげる
  『ねぼけ人生』(ちくま文庫)
  『妖怪天国』(ちくま文庫)
  『ほんまにオレはアホやろか』(新潮文庫)
  『不思議旅行』(中公文庫)
・ますむらひろし
  『イーハトーブ乱入記』(ちくま新書)
・つげ義春
  『つげ義春の温泉』(ちくま文庫)
  『新版 貧困旅行記』(新潮文庫)

 

<ジャーナリスト、ルポライターのルポ・エッセイ>
・本多勝一
  『戦場の村 ベトナムー戦争と民衆』(朝日新聞社)
  『アメリカ合衆国』(朝日新聞社)
  『殺される側の論理』朝日新聞社
  『殺す側の論理』(すずさわ書店)
  『貧困なる精神 悪口雑言罵詈讒謗集』A~S集(朝日新聞社)
  『北海道探検記』(集英社文庫)
  『麦とロッキード』(講談社文庫)
  『日本語の作文技術』(朝日新聞社)
  『わかりやすい文章のために』(すずさわ書店)
  『中国の旅』(朝日新聞社)
  『北爆の下』(朝日新聞社)
  『ルポルタージュの方法』(すずさわ書店)
  『虐殺と報道』(すずさわ書店)
  『事実とは何か』(未来社)
・星野博美
  『戸越銀座でつかまえて』(朝日文庫)
  『コンニャク屋漂流記』(文春文庫)
  『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)
・ブレイディみかこ
  『ザ・レフト UK左翼セレブ列伝』(アイ・ビー・エス)
  『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』(岩波文庫)
・森下典子
  『日日是好日』(新潮文庫)
・小関智弘
  『ものづくりの時代』(文春文庫)
  『春は鉄までが匂った』(ちくま文庫)
  『町工場巡礼の旅』(中公文庫)
  『町工場 世界を超える技術報告』(小学館文庫)
  『町工場 スーパーなモノづくり』(筑摩書房)
  『大森界隈職人往来』(朝日文庫)
・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
  『戦争は女の顔をしていない』(群像社)
・アンジェラ・ホールズワース
  『人形の家を出た女たち』(新宿書房)
・沢木耕太郎
  『深夜特急』(新潮文庫)
  『バーボン・ストリート』(新潮文庫)
・J.シンプソン
  『死のクレバス』(岩波現代文庫)
・チボル セケリ
  『アコンカグア山頂の嵐』 (ちくま文庫)
・内田宗治
  『外国人が見た日本』(中公新書)
・ジョン・リード
  『世界をゆるがした十日間 上・下』(岩波文庫)
・井川和久
  『このインドシナ』(連合出版)

 

<エッセイストの本>
・出久根達郎
  『朝茶と一冊』(文春文庫)
  『古本夜話』(ちくま文庫)
  『風がページをめくると』(ちくま文庫)
  『本と暮らせば』(草思社文庫)
  『人さまの迷惑』(講談社文庫)
  『たとえばの楽しみ』(講談社)
  『漱石を売る』(文芸春秋)
  『古書彷徨』(中公文庫)
  『古書奇譚』(中公文庫)
・森まゆみ
  『路地の匂い 町の音』(旬報社)
  『抱きしめる東京』(講談社文庫)
  『懐かしの昭和を食べ歩く』(PHP新書)
  『寺暮らし』(集英社文庫)
  『その日暮らし』(集英社文庫)
  『とびはねて町を行く』(集英社文庫)
  『昭和快女伝』(文春文庫)
  『千駄木の漱石』(ちくま文庫)
  『女三人のシベリア鉄道』(集英社文庫)
  『谷中スケッチブック』(ちくま文庫)
  『不思議の町 根津』(ちくま文庫)
・小田実
  『何でも見てやろう』(講談社文庫)
  『基底にあるもの』(筑摩書房)
・下川裕治
  『アジア路地裏紀行』(徳間文庫)
・アーサー・ビナード
  『空からきた魚』(集英社文庫)
・ジャック・シフマン
  『黒人ばかりのアポロ劇場』(スイング・ジャーナル社)
・小板橋二郎
  『ふるさとは貧民窟なりき』(ちくま文庫)
・小松崎茂
  『昭和の東京』(ちくま文庫)
・小林一郎
  『横丁と路地を歩く』(柏書房)
・吉田篤弘
  『木挽町月光夜噺』(ちくま文庫)
・高田宏
  『信州すみずみ紀行』(中公文庫)

 

<研究者・専門家・評論家の著書>
・堤未果
  『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)
・富山和子
  『川は生きている』(青い鳥文庫)
  『日本の米』(中公新書)
  『水の旅』(文春文庫)
  『水の文化史』(文春文庫)
・室謙二
  『非アメリカを生きる』(岩波新書)
・高橋裕子
  『世紀末の赤毛連盟』(岩波書店)
・井野瀬久美恵
  『女たちの大英帝国』(講談社現代新書)
・コンラート・シュペングラー
  『5000年前の男』(文春文庫)
・高橋哲雄
  『二つの大聖堂のある町』(ちくま学芸文庫)
・加藤周一
  『羊の歌』(岩波新書)
  『続 羊の歌』(岩波新書)
  『日本文学史序説 上・下』(平凡社)
・斎藤美奈子
  『日本の同時代小説』(岩波新書)

 

<作家のエッセイ>
・スーザン・ヒル
  『シェイクスピア・カントリー』(南雲堂)
・松本清張
  『日本の黒い霧』(文春文庫)
・三谷幸喜
  『三谷幸喜のありふれた生活』(朝日新聞出版)
・井上ひさし
  『井上ひさし ベスト・エッセイ』(井上ユリ編、ちくま文庫)
・G.ガルシア・マルケス
  『戒厳令下チリ潜入記』(岩波新書)
・ジョージ・オーウェル
  『パリ・ロンドンどん底生活』(朝日新聞社)
・大江健三郎
  『ヒロシマ・ノート』(岩波新書)
・堀田善衛
  『インドで考えたこと』(岩波新書)
・レオ・ヒューバーマン
  『アメリカ人民の歴史』(岩波新書 上・下)
・水上勉
  『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫)

 

<エッセイ・ノンフィクション、その他>
・マーティン・ルーサー・キング
  『自由への大いなる歩み』(岩波新書)
・マルコムX
  『マルコムX自伝』(河出書房新社)
・アドルフ・ヒトラー
  『わが闘争 上・下』(角川文庫)
・阿波根昌鴻
  『米軍と農民――沖縄県伊江島』(岩波新書)
・日本エッセイストクラブ編『年度別ベスト・エッセイ』(文春文庫)
・『父さんの贈りもの』(レターボックス社)
 (サッチャー政権時代、歴史的大ストライキに参加していた炭鉱夫の子供たちが書いた作文を集めたもの)

 

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