【新作映画】公開日
2月21日
「アメリカン・スナイパー」(クリント・イーストウッド監督、アメリカ)
「君が生きた証」(ウィリアム・H・メイシー監督、アメリカ)
「女神は二度微笑む」(スジョイ・ゴーシュ監督、インド)
2月28日
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(ジョン・ファブロー監督、アメリカ)
「プリデスティネーション」(ピーター・スピエリッグ監督、オーストリア)
「パーフェクト・プラン」(ヘンリク・ルーベン・ゲンツ監督、アメリカ)
「さいはてにて やさしい香りと待ちながら」(チアン・ショウチョン監督、日本)
「幕が上がる」(本広克行監督、日本)
「君に泳げ!」(チョ・ヨンソン監督、韓国)
3月6日
「妻への家路」(チャン・イーモウ監督、中国)
3月7日
「パリよ、永遠に」(フォルカー・シュレンドルフ監督、フランス・ドイツ)
「ゴッド・ギャンブラー・レジェンド」(バリー・ウォン監督、中国・香港)
「迷宮カフェ」(帆根川廣監督、日本)
3月13日
「イミテーション・ゲーム」(モルテン・ティルドゥム監督、米・英)
「博士と彼女のセオリー」(ジェイムズ・マーシュ監督、イギリス)
「ブルックリンの恋人たち」(ケイト・バーカー・フロイランド監督、アメリカ)
3月14日
「イントゥ・ザ・ウッズ」(ロブ・マーシャル監督、アメリカ・イギリス・カナダ)
「唐山大地震」(フォン・シャオガン監督、中国)
「ストロボ・エッジ」(廣木隆一監督、日本)
「風に立つライオン」(三池崇史監督、日本)
【新作DVD・BD】レンタル開始日
2月27日
「ガンズ&ゴールド」(ジュリアス・エイバリー監督、オーストラリア)
「怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言」(トニー・ガトリフ監督、フランス)
「セデック・バレの真実」(タン・シャンジュー監督、台湾)
3月3日
「サンシャイン 歌声が響く街」(デクスター・フレッチャー監督、イギリス)
「クライマー パタゴニアの彼方へ」(トーマス・ディルンホーファー監督、オーストリア)
「プロミスト・ランド」(ガス・バン・サント監督、米)
「サボタージュ」(デビッド・エアー監督、アメリカ)
「小野寺の弟、小野寺の姉」(西田征史監督、日本)
3月4日
「シンプル・シモン」(アンドレアス・エーマン監督、スウェーデン)
「俳優は俳優だ」(シン・ヨンシク監督、韓国)
「ケープタウン」(ジェローム・サル監督、フランス)
「悪童日記」(ヤーノシュ・サース監督、ドイツ・ハンガリー)
「ミリオンダラー・アーム」(クレイグ・ギレスピー監督、アメリカ)
「イコライザー」(アントワン・フークア監督、アメリカ)
「記憶探偵と鍵のかかった少女」(ホルヘ・ドラド監督、アメリカ)
「めぐり逢わせのお弁当」(リテーシュ・バトラ監督、インド・仏・独)
「FRANK フランク」(レニー・アブラハムソン監督、英・アイルランド)
「太陽の座る場所」(矢崎仁司監督、日本)
「リュウグウノツカイ」(ウエダアツシ監督、日本)
「イン・ザ・ヒーロー」(武正晴監督、日本)
「舞子はレディ」(周防正行監督、日本)
「愛しのゴースト」(バンジョン・ピサンタナクーン監督、タイ)
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」(ジャンフランコ・ロージ監督、伊・仏)
3月6日
「オーバー・ザ・ブルースカイ」(フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン監督、ベルギー・他)
「旅人は夢を奏でる」(ミカ・カウリスマキ監督、フィンランド)
「グレート・ビューティー 追憶のローマ」(パオロ・ソレンティーノ監督、伊・仏)
「ぼくを探しに」(シルバン・ショメ監督、フランス)
3月11日
「フューリー」(デビッド・エアー監督、アメリカ)
3月13日
「ストックホルムでワルツを」(ペール・フライ監督、スウェーデン)
3月18日
「ぶどうのなみだ」(三島有紀子監督、日本)
「思い出のマーニー」(米林宏昌監督、日本)
「めぐり逢わせのお弁当」(リテーシュ・バトラ監督、インド・仏・独)
3月20日
「不機嫌なママにメルシィ!」(ギヨーム・ガリエンヌ監督、フランス・ベルギー)
「バツイチは恋のはじまり」(パスカル・ショメイユ監督、フランス)
3月27日
「消えた画 クメール・ルージュの真実」(リティ・バニュ監督、カンボジア・仏)
4月2日
「NOノー」(パブロ・ラライン監督(チリ・米・メキシコ)
「レッド・ファミリー」(イ・ジュヒョン監督、韓国)
「チスル」(オ・ミヨル監督、韓国)
「ランナーランナー」(ブラッド・ファーマン監督、アメリカ)
「泣く男」(イ・ジョンボム監督、韓国)
「リスボンに誘われて」(ビレ・アウグスト監督、独・スイス・ポルトガル)
「刺さった男」(アレックス・デ・ラ・イグレシア監督、スペイン・フランス)
「スガラムルディの魔女」(アレックス・デ・ラ・イグレシア監督、スペイン)
4月3日
「ゴーン・ガール」(デビッド・フィンチャー監督、アメリカ)
「誰よりも狙われた男」(アントン・コービン監督、米・英・独)
「ローマの教室で 我らの佳き日々」(ジュゼッペ・ピッチョーニ監督、イタリア)
「物語る私たち」(サラ・ポーリー監督、カナダ)
「柘榴坂の仇討」(若松節朗監督、日本)
4月8日
「ドラキュラ ZERO」(ゲイリー・ショア監督、アメリカ)
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」(ラッセ・ハルストレム監督、アメリカ)
「パラダイス:トリロジー DVD-BOX+1」(ウルリヒ・ザイドル監督、オーストリア・独・仏)
「インターステラー」(クリストファー・ノーラン監督、アメリカ・イギリス)
「ブラック・ハッカー」(ナチョ・ビガロンド監督、アメリカ・スペイン)
「ふしぎな岬の物語」(成島出監督、日本)
「蜩ノ記」(小泉堯史監督、日本)
4月15日
「まほろ駅前狂騒曲」(大森立嗣監督、日本)
4月17日
「美女と野獣」(クリストフ・ガンズ監督、フランス・ドイツ)
4月22日
「ホビット 決戦のゆくえ」(ピーター・ジャクソン監督、ニュージーランド・米)
【旧作DVD・BD】発売日
3月4日
「ワーキングガール」(88、マイク・ニコルズ監督、アメリカ)
「めぐりあう時間たち」(02、スティーブン・ダルドリー監督、米・英)
「セルピコ」(73、シドニー・ルメット監督、米・伊)
「赤い影」(73、ニコラス・ローグ監督、英・伊)
「赤い河」(48、ハワード・ホークス監督、アメリカ)
「卒業」(67、マイク・ニコルズ監督、アメリカ)
3月6日
「ノスタルジア」(83、アンドレイ・タルコフスキー監督、イタリア・ソ連)
4月3日
「ツァイ・ミンリャン初期三部作+引退作『郊遊』」(92~13、ツァイ・ミンリャン監督、台湾)
収録作品:「青春神話」「愛情萬歳」「河」「郊遊(ピクニック)」
4月8日
「パリは燃えているか」(66、ルネ・クレマン監督、フランス)
「山」(56、エドワード・ドミトリク監督、アメリカ)
「カリフォルニア・ドールズ」(81、ロバート・アルドリッチ監督、アメリカ)
「バンド・ワゴン」(53、ビンセント・ミネリ監督、アメリカ)
先月の劇場新作は充実しまくっていたが、そのあおりか今月は取り上げるに足る作品がぐっと減った。それでも注目したい作品はいくつかある。人生の晩年に至りながらも好調を維持するクリント・イーストウッド監督の新作は「アメリカン・スナイパー」。イラク戦争で160人もの敵を射殺したスナイパーを英雄でも開くまでもなく、戦争によって精神を蝕まれてゆく男として描いているようだ。「ジャーヘッド」や「父親たちの星条旗」などの延長線上にある映画としてとらえるべきだろう。今月一番の話題作。
「カンタ!ティモール」、「ソウルガールズ」、「シュガーマン 奇跡に愛された男」、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」、「25年目の弦楽四重奏」、「カルテット!人生のオペラハウス」、「光にふれる」、昨年から今年にかけて記憶に残る音楽映画に結構出会ってきた。ビリー・クラダップ主演の「君が生きた証」もかなり手ごたえのありそうな音楽映画だ。銃乱射事件で息子を失った広告宣伝マン。すっかり落ち込み仕事も辞めてボートでひっそりと暮らしていた。そんな彼が息子が遺した音楽を知り、それを歌い継ぐことでどん底の生活から這い上がって行く。ストーリーを聞いただけで大いに心を引かれるではないか。
連合軍のパリ進撃が始まり、ドイツ軍は敗走する。もぬけの殻となったパリのドイツ軍司令部に置かれた電話の受話器から切羽詰まったヒトラーの声が流れている。”Is Paris burning? Is Paris burning?” ルネ・クレマン監督の「パリは燃えているか」(1966、仏・米)のラストシーンだ。オールスター・キャストの大作で、やや大味だったと思うが、このラストシーンは記憶に焼き付いている。「パリよ、永遠に」は「パリは燃えているか」の再映画化というわけではないようだが、ヒトラーが命じたパリ焦土化計画をいかにして食い止めるかという同じテーマをあつかった作品。しかも監督は「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ。これは観てみたい。
「イントゥ・ザ・ウッズ」はディズニー映画だが、おとぎ話のその後を描いたという点がユニークだ。お話や映画の終わりはハッピー・エンドでも、その後も人生は続く。ディズニーよりむしろドリームワークス系が取り上げそうなテーマだが、ディズニーらしからぬテーマにあえてディズニーが挑んだ所に興味を引かれる。
「無言歌」以来しばらく優れた中国映画と出会っていないが、「唐山大地震」と「妻への家路」は期待できそうだ。「唐山大地震」は1976年に河北省唐山で起こった大地震による悲劇を描いた映画。ある一家の子供二人が瓦礫の下に取り残されていた。しかしその状況では一人しか救いだせない。どちらを救うか。まるで「ソフィーの選択」の様な苦悩を母親は迫られる。「ソフィーの選択」同様、母親は息子の方を選ぶが、何と娘の方は奇跡的にその後助かっていた。しかし彼女の心には、自分は見捨てられたという思いが。「再見 また逢う日まで」の様な大甘の泣かせる映画になりそうな題材だが、「ハッピー・フューネラル」、「わが家の犬は世界一」、「戦場のレクイエム」を作ってきたフォン・シャオガン監督なら情に流されないしっかりとした作品を作っているのではないか。
「妻への家路」はチャン・イーモウ監督とコン・リーという黄金の組み合わせ。僕の中国映画との出会いは1987年に文芸坐で観た「大閲兵」。中国映画のレベルはこんなに高いのかと驚嘆した。以来むさぼるように中国映画を観てきた。「大閲兵」の監督はチェン・カイコー、撮影監督がチャン・イーモウだった。最初に観た中国映画がこの二人の作品だったことは本当に幸いだった。チャン・イーモウ監督とコン・リーの組み合わせは「紅いコーリャン」から「上海ルージュ」まで6本観てきた。「活きる」が最高作だろう。しかしチャン・イーモウもチェン・カイコーも2005年頃から失速した。チャン・イーモウの最後の傑作は今のところ「あの子を探して」だと思う。だから「妻への家路」も過大な期待はしないが、文革時代を背景にしている点でひょっとしたらという淡い期待を持っている。
他にアメリカ映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」、「ブルックリンの恋人たち」と台湾出身の監督が撮った日本映画「さいはてにて やさしい香りと待ちながら」あたりが面白いかもしれない。
一方、新作DVD・BDはまさに花盛り。「怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言」、「セデック・バレの真実」、「クライマー パタゴニアの彼方へ」、「プロミスト・ランド」、「シンプル・シモン」、「ケープタウン」、「悪童日記」、「FRANK フランク」、「舞子はレディ」、「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」、「オーバー・ザ・ブルースカイ」、「旅人は夢を奏でる」、「グレート・ビューティー 追憶のローマ」、「ぼくを探しに」、「フューリー」、「ストックホルムでワルツを」、「思い出のマーニー」、「消えた画 クメール・ルージュの真実」、「NOノー」、「レッド・ファミリー」、「チスル」、「リスボンに誘われて」、「スガラムルディの魔女」、「ゴーン・ガール」、「誰よりも狙われた男」、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」、「インターステラー」、「蜩ノ記」、「美女と野獣」、等々。かなりの充実ぶりだ。
旧作DVD・BDは今一つだ。発掘作業も遅々として進まない。B級のプログラム・ピクチャーは結構出てくるのだが、そんなもの出す前に出すべきものが他にいくらでもあるだろう。DVD時代からずっとデジタル化を待ち望んでいる傑作はまだまだ何十本もあるというのに。