これから観たい&おすすめ映画・DVD(12年12月)
【新作映画】
11月23日公開
「カラスの親指」(伊藤匡史監督、日本)
「人生の特等席」(ロバート・ロレンツ監督、米)
「ロックアウト」(ジェイムズ・マザー監督、仏)
「ドリームハウス」(ジム・シェリダン監督、米)
「綱引いちゃった!」(水田伸生監督、日本)
11月24日公開
「HICK ルリ13歳の旅」(デリック・マルティーニ監督、米)
「裏切りの戦場 葬られた誓い」(マチュー・カソビッツ監督、フランス)
12月1日公開
「007 スカイフォール(サム・メンデス監督、英・米)
「恋のロンドン狂騒曲」(ウディ・アレン監督、米・スペイン)
「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」(ジェイムズ・ワトキンス監督、英・加・他)
「アナザー・ハッピーー・デイ ふぞろいな家族たち」(サム・レビンソン監督、米)
「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」(ベス・カーグマン監督、米)
12月8日公開
「砂漠でサーモン・フィッシング」(ラッセ・ハルストレム監督、英)
「秋のソナタ」(1978、イングリッド・ベルイマン監督、スウェーデン)
「サンタクロースをつかまえて」(岩淵弘樹監督、日本)
「プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星」(フョードル・ボンダルチュク監督、ロシア)
12月14日公開
「ホビット 思いがけない冒険」(ピーター・ジャクソン監督、米・ニュージーランド)
12月15日公開
「フランケンウィニー」(ティム・バートン監督、アメリカ)
「マリー・アントワネットに別れをつげて」(ブノワ・ジャコー監督、仏・スペイン)
「恋愛だけじゃダメかしら?」(カーク・ジョーンズ監督、米)
「ルビー・スパークス」(ジョナサン・デイトン&バレリー・ファリス監督、米)
「愛について、ある土曜日の面会室」(レア・フェネール監督、仏)
「グッモーエビアン!」(山本透監督、日本)
「最初の人間」(ジャンニ・アメリオ監督、仏・伊・アルジェリア)
【新作DVD・BD】
11月21日レンタル
「ガール」(深川栄洋監督、日本)
11月30日レンタル
「瞳は静かに」(ダニエル・ブスタマンテ監督、アルゼンチン)
12月4日レンタル
「ジェーン・エア」(キャリー・ジョージ・フクナガ監督、英・米)
「ブリューゲルの動く絵」(レフ・マイェフスキ監督、ポーランド・スウェーデン)
「ハングリー・ラビット」(ロジャー・ドナルドソン監督、米)
「別離」(アスガー・ファルハディ監督、イラン)
「ワンドゥギ」(イ・ハン監督、韓国)
12月5日
「ダークナイト ライジング」(クリストファー・ノーラン監督、英・米)
「ソウル・サーファー」(ショーン・マクナマラ監督、米)
「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(フィリップ・ファラルドー監督、カナダ)
「だれもがクジラを愛してる。」(ケン・クワビス監督、米)
「神弓 KAMIYUMI」(キム・ハンミン監督、韓国)
「夜のとばりの物語」(ミッシェル・オスロ監督、フランス)
「アーサー・クリスマスの大冒険」(サラ・スミス監督、英・米)
「ハーフ・デイズ」(スコット・マクギー、他監督、米)
「侵入者」(ロジャー・コーマン監督、米)
「君のいないサマーデイズ」(ギョーム・カネ監督、フランス)
「幸せへのキセキ」(キャメロン・クロウ監督、米)
「ブロンソン」((ニコラス・ウインディング・レフン監督、英)
「モンスター・イン・パリ 響け!僕らの歌声」(ビボ・バージェロン監督、仏)
12月7日
「少年は残酷な弓を射る」(リン・ラムジー監督、英・米)
「臨場 劇場版」(橋本一監督、日本)
「少年は残酷な弓を射る」(リン・ラムジー監督、英・米)
「灼熱の肌」(フィリップ・ガレル監督、仏・伊・スイス)
「ある秘密」(クロード・ミレール監督、フランス)
「白蛇伝説」(チン・シウトン監督、香港)
12月8日
「ブラック・ブレッド」(アグスティー・ビジャロンガ監督、スペイン・仏)
12月19日
「ただ君だけ」(ソン・イルゴン監督、韓国)
「バイオハザードⅤ:リトリビューション」(ポール・アンダーソン監督、米)
「デジャラス・ラン」(ダニエル・エスピノーサ監督、米・南アフリカ)
12月21日
「宇宙兄弟」(森義隆監督、日本)
「ヘルタースケルター」(蜷川美花監督、日本)
「ボブ・マーリー ルーツ・オブ・レジェンド」(ケビン・マクドナルド監督、米・英)
「世界最古の洞窟壁画3D忘れられた夢の記憶」(ヴェルナー・ヘルツォーク監督、米・仏)
12月22日
「ファウスト」(アレクサンドル・ソクーロフ監督、ロシア)
「誰も知らない基地のこと」(エンリコ・バレンティ監督、イタリア)
12月26日
「きっとここが帰る場所」(パオロ・ソレンティーノ監督、伊・仏・アイルランド)
「スリープレス・ナイト」(フレデリック・ジャルダン監督、仏・ルクセンブルク・ベルギー)
12月28日
「画皮 あやかしの恋」(ゴードン・チャン監督、シンガポール・中国・香港)
1月8日
「リンカーン弁護士」(ブラッド・ファーマン監督、米)
「プレイ 獲物」(エリック・バレット監督、フランス)
1月9日
「屋根裏部屋のマリアたち」(フィリップ・ル・ゲイ監督、フランス)
「遊星からの物体X ファーストコンタクト」(マティス・バン・ヘイニンゲンJr.監督、米・加)
「トータル・リコール」(レン・ワイズマン監督、米・加)
「プロメテウス」(リドリー・スコット監督、米)
「リヴィッド」(ジュリアン・モーリー監督、フランス)
1月11日
「苦役列車」(山下敦弘監督、日本)
「Virginia ヴァージニア」(フランシス・フォード・コッポラ監督、米)
「ポエトリー アグネスの詩」(イ・チャンドン監督、韓国)
1月16日
「ル・アーヴルの靴みがき」(アキ・カウリスマキ監督、フィンランド・仏・独)
1月18日
「Brave Haerts海猿」(羽住英一郎監督、日本)
【旧作DVD・BD】
11月22日発売
「死刑台のエレベーター」(1958、ルイ・マル監督、フランス)BD
11月26日発売
「悪魔が夜来る」(1942、マルセル・カルネ監督、フランス)
12月5日発売
「魔女の宅急便」(1989、宮崎駿監督、日本)BD
「アラビアのロレンス 製作50周年記念」(1962、デビッド・リーン監督、英・米)BD
12月19日
「ターミネーター」(1984、ジェイムズ・キャメロン監督、英・米)BD
12月21日
「戦争と平和」(1965~67、セルゲイ・ボンダルチュク監督、ソ連)
「スイミング・プール」(2003、フランソワ・オゾン監督、仏・英)BD
12月22日
「ヴェルナー・ヘルツォーク作品集」BD
収録作品:「フィッツカラルド」、「ノスフェラトゥ」、「ヴォイツェク」BD
「歴史は女で作られる」(1955、マックス・オフュルス監督、仏・西独)BD
1月11日
「82/1」(1963、フェデリコ・フェリーニ監督、伊・仏)BD
今月の劇場新作の充実ぶりはどうだ!年末は久々の映画館浸りか!?なんてったって話題作のビッグ3は「ホビット 思いがけない冒険」、「フランケンウィニー」、「人生の特等席」の3本。「ホビット 思いがけない冒険」は言うまでもなく「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの前章に当たる『ホビットの冒険』を映画化したもの。原作はさほど長くはないが、映画版は3部作になるという。ちなみに、原作の翻訳を買うなら岩波書店版よりも1997年に原書房から出た「完全版」と銘打った新訳がおすすめ。資料満載の豪華版で、特に各国の翻訳につけられた挿絵がふんだんに取り入れられているのがうれしい。「フランケンウィニー」はティム・バートンのファンタジー・アニメ。何と言ってもあのキャラクターの造形が素晴らしい。
そしてクリント・イーストウッド主演の「人生の特等席」。クリント・イーストウッドほど長い間第一線で活躍し続けている人物は珍しいだろう。なにしろ彼は僕が子供のころ既にテレビの「ローハイド」でスターだったのだ。そしてマカロニ・ウエスタン時代を経て、「ダーティー・ハリー」(1971年)の大ヒットでスターから大スターになる。その後やや低迷していたが 「許されざる者」(1992年)あたりから監督としての評価が上がり、2004年の「ミリオンダラー・ベイビー」以降は監督・出演作はすべて傑作と言って良い。これだけ長い間第一線で活躍して、なおかつ人生の晩年に絶頂期を迎える。こんな人は後にも先にももういないだろう。その彼が監督としてではなく俳優として出演したのが「人生の特等席」である。
他にも「リトル・ミス・サンシャイン」の監督夫婦が同作品のお兄ちゃん役ポール・ダノを主演に選んだ恋愛劇「ルビー・スパークス」、ある刑務所に面会にやってきた3人の女性を通して人生の葛藤を繊細につづる「愛について、ある土曜日の面会室」、フランスに100年以上も支配されてきた仏領ニューカレドニアの独立運動を同時期に行われていたフランス大統領選挙のかけひきと重ねて描き出してゆく社会派ドラマ「裏切りの戦場 葬られた誓い」、ラッセ・ハルストレム監督がユアン・マクレガーと組んだ「砂漠でサーモン・フィッシング」、そして晩年に充実作を連発しているもう一人の映画人ウディ・アレンの「恋のロンドン狂騒曲」など、どれも観てみたい作品ばかりだ。二人のダニエルが主演する娯楽作、ダニエル・クレイグ主演のサイコ・スリラー「ドリームハウス」とダニエル・ラドクリフ主演のホラー「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」も十分楽しめそうだ。
新作DVDも充実。「ブリューゲルの動く絵」、「別離」、「ダークナイト ライジング」、「ぼくたちのムッシュ・ラザール」、「夜のとばりの物語」、「アーサー・クリスマスの大冒険」、「幸せへのキセキ」、「ある秘密」、「ブラック・ブレッド」、「ファウスト」、「屋根裏部屋のマリアたち」、「ポエトリー アグネスの詩」、「ル・アーヴルの靴みがき」あたりに期待している。
もう2本特に紹介しておきたい。ロジャー・コーマン監督の「侵入者」は人種差別問題に切り込んだ社会派ドラマ。興行的には失敗したようだが、“B級映画の帝王”が挑んだ骨太な作品。「君のいないサマーデイズ」は劇場未公開作品ながら、フランスで大ヒットした群像劇。拾いものかもしれない。
一方、旧作ではめぼしいものがほとんどない。DVDにもBDにもなっていない作品はまだまだある。既にDVDで出ている作品をBDにすることも必要だが、過去の遺産の発掘にこそもっと力を入れてほしいものだ。