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2011年10月 1日 (土)

お気に入り写真集 1

 お気に入り写真集をまとめて紹介します。写真集は以前から時々買っていましたが、やはり買う数が増えたのは写真日記を書き始めてからです。

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 1冊目はそれにふさわしい写真集を選びました。風景の見方に関して目を開いてくれた写真集です。タイトルは『道のむこう』。ベルンハルト・M・シュミッドという写真家が撮った道の写真集です。この人は道ばかりを撮った写真集を何冊も出しています。もう1冊同じ出版社から出ている『道のかなた』も持っているので、そちらの写真も載せておきます。この人は橋フェチでもあるようで、下で紹介するように橋の写真集も出しています。

 彼の写真集に刺激を受けて自分でも時々道の写真を撮ってみるのですが、納得のゆく写真はまだ1枚も撮れていません。理由は簡単。日本では北海道にでも行かなければ遠くまで続く道の写真など撮れないからです。山に囲まれた信州ではまず見晴らしのいい道など望めませんし、電線や看板などが写らない道の写真を撮るなどほとんど不可能だからです。
 ■ベルンハルト・M. シュミッド『道のむこう』(ピエブックス、2002年)

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 世の中にはいろんな写真集がありますが、この写真集がとりわけユニークなのは何とすべて空撮で撮った写真だということ。この写真集を発見した時は、ガツンと殴られたような衝撃を受けました。そういう発想は全く思いつきもしなかった。

 世の写真家は戦場であれ、人跡まれな秘境であれ、まずは自分の足で踏み入れて、その場に立って写真を撮る。そうするものだと思い込んでいた。なるほど空から撮るのか。写真の重要な要素の一つはアングルだと思いますが、空から見降ろして撮れば人間の目の高さから撮るのとは全く違う映像が撮れるはずです。目からうろこの写真集です。

 表紙は有名なモン・サン=ミシェルの写真です。見慣れた景観ですが、なかなか上から見た写真にはお目にかからない。いつもと違う角度から見るといろんなことが分かります。なるほど、こんな風になっていたのかと感心することしきり。

 そのほか同じような建物が視界いっぱい立ち並ぶ都市空間や色違いの花が幾何学状に植えられたオランダの花畑など、空からでないとその全容が分からないようなものがこれでもかと載っています。

 一例として2枚目の写真をご覧ください。中国の羅平にある現実の光景です。このページを開けた時しばし目を疑いました。こんな風景が本当にあるのか?一面の菜の花畑が広がる黄色い大地のあちこちにコーンのような形の山が点在している。何とここはカルスト地形なのだそうです。そうか、それであんな形の山が、と頭では納得しても、まるでおとぎの国のような感覚は消えません。20年くらい前に、中国のある地域に初めてNHKのテレビが入って、山水画に出てくるようなあのとがった山々が映像で映し出された時には驚嘆したものです。しかしまあ中国は奥深い。まだまだアッと驚くような地域があるに違いない。この写真集を見てそう思いました。
 ■『地球一周 空の旅』(パイ インターナショナル、2011年)1900円

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 これは純粋な写真集というよりは写真と文章がコラボレーションしている本です。シェイクスピア・カントリーを紹介しているのはイギリスの有名な女性作家スーザン・ヒル。彼女の本は数冊持っていますが、今のところ読んだのはこの1冊だけです。

 この本の魅力は数々のすばらしい写真が見られるだけではなく、シェイクスピア・カントリーの近くで育ったスーザン・ヒルのその地域に対する思いが込められた文章が読める事です。大判の本で文章の量も相当ありますが、面倒なら写真を眺めるだけでも十分楽しめます。

 ストラットフォード・アポン・エイヴォン、チッピング・キャムデン、ケニルワース、ウォリックなどシェイクスピア名残の様々な地域、その地域の自然やお城やお屋敷、そして街並みなどが取り上げられています。日本でも有名になった「世界で一番美しい村」コツウォルズもシェイクスピア・カントリーの一部ですから当然言及されています。

 この地方の紀行文はたくさん出ていますが、これほど豊富な写真が付けられているものはありません。しかも大判の本ですから写真の迫力が違う。イギリスやシェイクスピアに関心のある方は、いやない方でも、ぜひご覧になってください。
 ■スーザン・ヒル著『シェイクスピア・カントリー』(南雲堂、2001年)7000円

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 『水の名前』。写真集にしては変わったタイトルですが、内容もなかなかユニークです。池、川、湖、海、田んぼ、湧水、水滴、金魚鉢など水に関わる様々な題材を取り上げている写真集です。水中写真も多用されています。

 しかし真にユニークなのはそれぞれのページに付けられた小見出しです。「雨水」、「川遊び」、「秋の川」といった一般的なものだけではなく、「小濁り」、「花筏」、「水桜見」、「水中林」、「水影」、「水烟る」、「花の雨」、「水毬」などといった素晴らしい響きの言葉を次々に生み出す感覚がすごい。それぞれのページに付けられたエッセイのような文も良い。写真の美しさだけではなく、言葉の響きの美しさにも魅了される写真集です。
 ■内山りゅう『水の名前』(平凡社、2007年)2500円

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 一時期星野道夫の本を夢中になって読み漁った時期がありました。何冊も読んでいると、結構同じ話を何度も語り直していることに気付きますが、それでも飽きる事はありませんでした。

 それまでアラスカの紀行文というと野田知佑の『ユーコン漂流』、『ゆらゆらとユーコン』、『北極海へ』などしか読んだことはありませんでした。そういえば、野田知佑と椎名誠も一時期読みふけったものです。ただ野田知佑の場合はカヌーによる川下りの話ですので、ユーコン川やマッケンジー川の話に限られていました。また川が凍結していない時期の話に限られていたわけです。

 それに対して星野道夫はアラスカに住みつき、誰もいない原野に一人で数カ月も過ごして写真を撮るなどということもしていたわけです。彼の文章は時に詩的な響きを帯びます。感性の鋭さが彼の文章の魅力です。しかしなんといっても彼の本の魅力はその写真の素晴らしさです。およそ日本の日常生活とは程遠い世界が放つ光、その壮大さと躍動感、野生動物の素顔、等々。原野に分け入らなければ決して撮れない写真。その魅力は圧倒的でした。 時に詩的な響きを帯びる文章と圧倒的な迫力の写真、星野道夫の本の魅力はこの二つが結び付いた魅力です。

 文章に限って言えば、『長い旅の途上』が一番好きです。最初に読んだ星野道夫の本だからということもあるでしょう。彼の本の中で一番多く線を引いた本です。他の本を読んでいると繰り返しが多いので、前に読んだことがあるエピソードは当然線を引きません。『長い旅の途上』は遺稿集として編集されたもので、単行本未収録の文章を可能な限り収録したものであるから、結果的に網羅的になったのかもしれない。星野道夫という人物の関心のあり方や考え方が一番良く分かる本だと思います。そうそう、タイトルもまたいいのです。アラスカという土地とそこに住む人々と動物の生活を文章に刻み、写真に記録することをライフワークと考えていたであろう彼の本にふさわしいタイトルだと思うからです。

 ただ残念なことは、僕が持っている星野道夫の本は文庫本が多いため、どうしても写真が小さくなってしまうことです。「ブックオフ」で大量に買い込んだのがたまたま文庫本だったのです。単行本は『長い旅の途上』など2、3冊しかありません。写真集にふさわしい大型本は1冊もありませんでした。写真集『星野道夫の宇宙』(朝日新聞社)を手に入れたいのですが、アマゾンでも見つかりません。

 それが先日、文庫で持っていた『アラスカ 風のような物語』の新装版が出ていることに気付きました。さっそくアマゾンで入手しました。ぱらぱらとめくってみると、掲載されている写真が文庫版とだいぶ違うことに気付きます。一部同じ写真もありますが、ほとんどは文庫版と違う写真です。どのような事情で写真を入れ替えたのかは分かりません。単行本から文庫本になる時小さいサイズの写真を多めに入れたのを、新装版にする時に元の単行本の写真に戻したということなのか。ただ大型本になった新装版には、文庫本には収めにくいスケールの 大きい写真が増えていることは確かです。いずれにしても、星野道夫が撮った写真は膨大な数だったということはできるでしょう。これだけ入れ替えが可能なのですから。
 ■星野道夫『新装版 Alaska 風のような物語』(小学館、2010年)3200円

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 『新装版 Alaska 風のような物語』を手に入れた直後に、『アークティック・オデッセイ』も入手しました。こちらは本格的な写真集で、文章はあまり付いていません。ホッキョクグマ、カリブー、クジラ、オオカミ、オーロラや氷河など、素晴らしい写真がぎっしり詰め込まれています。一家に一冊置いておきたい大型写真集です。  ■星野道夫『アークティック・オデッセイ』(新潮社、1994年)4800円  

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