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2011年4月

2011年4月27日 (水)

シネコン初体験

 この前の日曜日に待望のシネコン初体験をしてきました。4月21日にJT跡地にオープンした「アリオ」に「TOHOシネマズ上田」が併設されたのです。一時は「シネコン撤退か?」とも噂されたのですが、何とか開設されるようになったのです。そのあおりを食ってこれまであった街の映画館、「上田映劇」と「電気館」は閉鎖と決まったようです。現在「電気館」で鎌仲ひとみ監督の3部作、「ヒバクシャ~世界の終わりに~」、「六ヶ所村ラプソディー」、「ミツバチの羽音と地球の回転」を上映中ですが、シネコンには太刀打ちできないのでしょう。老兵は去るのみか、長いことお世話になってきただけに残念なことです。

 一方のシネコン。「TOHOシネマズ」は思い切って料金を1500円に下げましたが、シネマイレージに入会すると1300円になります。ここまで下がれば新作を観に行くことにさほど抵抗を感じません(もっとも街の映画館にとってこの値段は脅威です)。ところが作品のラインナップは予想通り悲しいほど貧弱です。8スクリーンあるうちの半分ほどは「名探偵コナン」や「クレヨンしんちゃん」、「きかんしゃトーマス」などのお子様向けアニメに占領され、残りも「GANTZ」、「エンジェル ウォーズ(日本語吹替え版)」、「ナルニア国物語/第3章」、「ガリバー旅行記(日本語吹替え版)」などあまり心を惹かれない作品ばかりが並ぶ。予想していたとはいえ、安かろう悪かろうではなあ。

  ただし1本だけ観に行きたいと思う映画がありました。「英国王のスピーチ」。もちろんこれを観に行ったわけです。いやあ、期待通りの傑作でしたね。名優コリン・ファースとジェフリー・ラッシュが堂々と、かつ軽妙に渡り合う。まさに英国歴史劇の味わいをたっぷり堪能できます。

 英国の王室歴史劇にはシェイクスピアの史劇はもちろん、それ以外にも数多くの傑作があります。シェイクスピア関連を除いても「ヘンリー八世の私生活」(1933)、「ベケット」(1964)、「わが命つきるとも」(1966)、「冬のライオン」(1968)、「英国万歳!」(1994)、「Queen Victoria 至上の愛」(1997)、「エリザベス」(1998)、「クィーン」(2006)などごろごろあります。最近は女王ものが多かったですが、「英国王のスピーチ」はあまり知られていないジョージ6世に焦点を当てました。大英帝国の隆盛とともに歩んだヴィクトリア女王があまりに偉大すぎ、また現エリザベス女王の治世が長いため、その間に挟まれたジョージ5世、エドワード8世やジョージ6世はほとんど忘れ去られた存在でした。しかし第2次世界大戦期の国王であったジョージ6世にはある人間的なエピソードがあった。

 まあ、この題材のユニークさがこの映画の特徴をよく表していますが、比較的直線的な展開にもかかわらず観客をひきつけてやまないのは、何といってもコリン・ファースとジェフリー・ラッシュという名優二人の演技力と存在感によるものだと言っていいでしょう。シェイクスピア劇で鍛え抜かれている英国の俳優たちはまさにこういう作品にうってつけなのです。王室ものではありませんが、「ヘンダーソン夫人の贈り物」(2005)でジュディ・デンチとボブ・ホスキンスが丁々発止とやり合う姿には、英国歴史劇の長い伝統を感じます。重厚でありながら軽妙。イギリス映画にまた傑作が加わりました。

 しかし、「英国王のスピーチ」を観た後は他に観る映画がない。「ブラック・スワン」や「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」、あるいはマット・デイモンの「アジャストメント」も来るようだが、1300円を出して観に行く気になれるかどうか。ミニ・シアター系の作品はこの先どれくらい公開されるものか。3スクリーンから8スクリーンに増えるとはいえ、その点がどうしても気になる。

これから観たい&おすすめ映画・DVD(11年5月)

【新作映画】
4月22日公開
 「抱きたいカンケイ」(アイバン・ライトマン監督、米)
4月23日公開
 「ブルーバレンタイン」(デレク・シアンフランス監督、米)
 「まほろ駅前多田便利軒」(大森立嗣監督、日本)
 「歓待」(深田晃司監督、日本)
 「メアリー&マックス」(アダム・エリオット監督、豪)
 「ナチス、偽りの楽園」(マルコム・クラーク監督、米)
4月29日公開
 「キッズ・オールライト」(リサ・チョロデンコ監督、米)
 「八日目の蝉」(成島出監督、日本)
 「阪急電車 片道15分の奇跡」(三宅喜重監督、日本)
 「豆富小僧」(杉井ギサブロー監督、日本)
4月30日公開
 「ミスター・ノーバディ」(ジャコ・バン・ドルマル監督、加・ベルギー・他)
 「ザ・ホークス ハワード・ヒュ-ズを売った男」(ラッセ・ハルストレム監督、米)
 「シンパシー・フォー・デリシャス」(マーク・ラファロ監督、米)
 「マーラー 君に捧げるアダージョ」(パーシー・アドロン、他監督、独・オーストリア)
 「四つのいのち」(ミケランジェロ・フランマルティーノ監督、伊・独・スイス)
5月7日公開
 「アンノウン」(ハウメ・コジェ・セラ監督、米・英・他)
 「4月の涙」(アク・ロウヒミエス監督、フィンランド・独・ギリシャ)
 「岳 ガク」(片山修監督、日本)
5月11日公開
 「ブラック・スワン」(ダーレン・アロノフスキー監督、米)
5月14日公開
 「ジュリエットからの手紙」(ゲイリー・ウイニック監督、米)
 「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」(本田隆一監督、日本)
 「無言館」(宮木辰夫監督、日本)
5月20日公開
 「パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉」(ロブ・マーシャル監督、米)

【新作DVD】

4月21日
 「桜田門外の変」(佐藤純彌監督、日本)
4月22日
 「信さん 炭坑町のセレナーデ」(平山秀幸監督、日本)
4月28日
 「シルビアのいる街で」(ホセ・ルイス・ゲリン監督、スペイン・仏)
 「パリ20区、僕たちのクラス」(ローラン・カンテ監督、フランス)
5月3日
 「人生万歳!」(ウディ・アレン監督、米・仏)
 「ジャーロ」(ダリオ・アルジェント監督、米・伊)
 「ネスト」(ルイス・ベルデホ監督、米)
5月4日
 「雷桜」((廣木隆一監督、日本)
5月6日
 「ネコを探して」(ミリアム・トロネット監督、仏)
5月13日
 「行きずりの街」(坂本順治監督、日本)
 「十三人の刺客」(三池崇史監督、日本)
5月18日
 「RED レッド」(ロベルト・シュベンケ監督、米)
5月25日
 「ソーシャル・ネットワーク」(デビッド・フィンチャー監督、米)
5月27日
 「トロッコ」(川口浩史監督、日本)
5月28日
 「ソフィアの夜明け」(カメン・カレフ監督、ブルガリア)
6月2日
 「リトル・ランボーズ」(ガース・ジェニングス監督、仏・英・独)
 「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」(サム・テイラー・ウッド監督、英・加)
6月3日
 「シチリア!シチリア!」(ジュゼッペ・トルナトーレ監督、伊・仏)
 「戦火の中へ」(イ・ジェハン監督、韓国)
 「黒く濁る村」(カン・ウソク監督、韓国)
6月8日
 「武士の家計簿」(森田芳光監督、日本)
6月10日
 「ペルシャ猫を誰も知らない」(バフマン・ゴバディ監督、イラン)
6月15日
 「ウォール・ストリート」(オリバー・ストーン監督、米)
6月17日
 「借りぐらしのアリエッティ」(米林宏昌監督、日本)

【旧作DVD】
4月22日
 「魚が出て来た日」(67、マイケル・カコヤニス監督、ギリシャ・他)
4月28日
 「キッド」(21、チャールズ・チャップリン監督、米)
 「モダン・タイムス」(36、チャールズ・チャップリン監督、米)
5月20日
 「怒りの山河」(76、ジョナサン・デミ監督、米)
5月27日
 「明日を夢見て」(95、ジュゼッペ・トルナトーレ監督、伊)
 「二つの世界の男」(53、キャロル・リード監督、英)

 今回も劇場新作に面白そうな作品がそろった。「銀河鉄道の夜」の杉井ギサブロー監督によるアニメ「豆富小僧」、「四つのいのち」、「アンノウン」、「ブラック・スワン」、「ジュリエットからの手紙」、「パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉」、ドキュメンタリー「ナチス、偽りの楽園」、 「八日目の蝉」あたりに注目している。

 新作DVDも充実している。「シルビアのいる街で」、「パリ20区、僕たちのクラス」、「パリ20区、僕たちのクラス」、「ソーシャル・ネットワーク」、ブルガリア映画「ソフィアの夜明け」、「シチリア!シチリア!」、「武士の家計簿」、バフマン・ゴバディ監督の「ペルシャ猫を誰も知らない」、「借りぐらしのアリエッティ」と期待作ぞろいだ。

 だんだん先細りになってきた旧作DVDだが、今回の朗報はジュゼッペ・トルナトーレ監督の最高傑作「明日を夢見て」の発売。「ニュー・シネマ・パラダイス」の陰に隠れてしまっているが、作品の出来はこちらの方が上だと思う。長いこと待たされたがやっと手に入る。

 

リストに挙げていないが、ブルーレイではシドニー・ポラック監督によるサスペンス映画の傑作「コンドル」とジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」BOXがおすすめ。後者はなぜかDVDでは入手困難だった。

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