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2007年9月10日 (月)

「ブロークン・フラワーズ」を観ました

Big_0046  「ブロークン・フラワーズ」を観た。突然昔付き合っていた女性から実は息子がいるという 手紙が来る(差出人は分からない)展開が「アメリカ、家族のいる風景」に似ていると聞いていた。しかし実際観てみると、誰が母親なのか探るために20年前付き合っていた5人の女性を訪ね歩くという展開は、むしろジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「舞踏会の手帖」(1937)に似ている(男女が逆ではあるが)。エピソードをつないだような展開で、結局最後まで手紙の差出人が誰か分からない。ジム・ジャームッシュらしい、とぼけていて人を食ったなかなかいい映画である。どこか情けない主人公を演じるビル・マーレイが抜群にいい。コメディ映画やこの手の“とほほ”な味わいの映画が彼には似合う。

  それは役名にも表れていて、ドン・ジョンストンと名乗るたびにドン・ジョンソンではなく’t’が入るといちいち説明するところがおかしい。ドンはまた「ドン・ファン」にもひっかけられる。同じ時期に5人の「彼女」がいたというわけだから、若いころはだいぶ派手に遊んでいたようだ。しかし20年ぶりに会ってみるとみんなすっかりおばさんになっている。最初に訪ねたローラ(シャロン・ストーン)だけがいまだに若く美人である。彼女とだけしっかりとベッドを共にしてしまうというのだから、ジャームッシュもサービス精神旺盛だ(しかも娘が露出狂ときている)。

  最後に出会う若い男も彼の息子なのかはっきりしない。そもそもあの手紙はただのいたずらだったのではないか。映画の冒頭でドンの家を出て行った恋人のシェリー(ジュリー・デルピー)のいやがらせか?そんな疑問も浮かんでくる。本当に息子がいるのか、差出人は誰なのか、最後まではっきりとは分からない。それなのに観終わった時に不思議な満足感がある。どうやらこの映画が描きたかったのは「息子」の母親探し(手紙の差出人探し)の旅ではなく、過去の自分と今の自分を見直しさらにはこれからの自分を模索する旅だったようだ。ジュリー・デルピー、ジェシカ・ラング、ジェフリー・ライトなど共演陣もなかなか多彩。パソコン関連の仕事で大儲けしたものの、いまだに結婚もせず、寒々とした寂寥感漂う家で一人寂しく人生を送っている男のとぼとぼロード・ムービー。この間観た映画の中ではこれが一番いい出来だった。これは近くレビューを書きます。

  「ヨコハマメリー」以後に観た他の映画にも短いコメントを付けておこう。「デジャヴ」は荒唐無稽な映画だった。作りがいかにもハリウッド映画。展開はまったくのご都合主義である。最近のハリウッドはよほどアイデア詰まりのようだ。設定がそもそもあり得ないのだが、そこはまあ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいな近未来SFだと考えればいいか。舞台はニューオーリンズ。最後にハリケーン「カトリーナ」で被災した人々に捧げるというような言葉が入っているので、また元のニューオーリンズに戻ろうよというメッセージが込められているのかもしれない。それを理解した上でも、映画の出来は平凡だと言わざるを得ない。

  「アンフィニッシュ・ライフ」は劇場未公開だが、「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」、「サイダーハウス・ルール」、「シッピング・ニュース」などのラッセ・ハルストレム監督作品とあっては見逃せない。彼はアメリカに渡ってからも平均して優れた作品を作り続けている。当然出来は悪くない。老人二人と子供の出会いがテーマで、「ウォルター少年と、夏の休日」とよく似た作品。老人役のロバート・レッドフォードとモーガン・フリーマンがさすがにうまい。2人の演技に関して言えば、共に最近の出演作の中では出色の出来だろう。ただストーリーが弱い。話の展開がお定まりのパターンなのだ。その点が惜しい。

  「藍色愛情」は「山の郵便配達」や「ションヤンの酒家」のフォ・ジェンチイ監督作品。当然期待して観た。結果は全くの期待はずれ。いかにも無理に作った感じのストーリーで、全くリアリティがない。まるで韓国映画を観ている感じがした。なるほどこれでは未公開なわけだ。あのフォ・ジェンチイ監督がどうしてこんな情けない映画を撮ったのか首をひねりたくなる。チェン・カイコー、チャン・イーモウ、フォ・ジェンチイと実績のある監督たちが最近は外国のまねごと映画ばかり作っている。新しい才能も生まれてきつつあるが、中国を代表する巨匠たちがこんな状態では中国映画の先行きにやや不安を覚えざるを得ない。

  「ハッピー・フィート」も期待はずれだった。映像はピクサーだが、ストーリーがいかにもお手軽ディズニー。安直でいただけない。これまでピクサー作品に外れはないと思っていたが、この映画にはがっかりだ。氷の世界南極の描写など映像面ではさすがに素晴らしいが、話はできの悪いミュージカル映画。だいたい足の短いペンギンにタップダンスを踊らせるという設定にそもそも無理がある。大人も楽しめるアニメから子供だましのアニメへ後退してしまった。

Time2_2   何か気楽に観れるものをと思って久々に「特攻大作戦」を観直した。Dデイ前にドイツ軍将校を多数殺害し、指揮系統に混乱を与えるというもくろみで大胆な潜入作戦が企てられた。ほとんど決死隊なので、集められたのは死刑囚や終身犯ばかり。これもよくあるパター だが、札付きの不良兵隊ばかりを集めて叩き上げる前半の訓練部分がよくできている。チームの指揮官役リー・マーヴィンがさすがの貫録。鬼軍曹ならぬ鬼少佐。この時代には存在感のある俳優がうようよいたものだ。今の俳優でいうとトミー・リー・ジョーンズがタイプとして近いか。チャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、テリー・サバラス、ジョン・カサベテスなど、今考えると豪華なキャストだが、リー・マーヴィンの前ではみんなただの若造にしか見えない。ベテラン勢では、無能な将校に扮して珍しくコミカルな演技を見せるロバート・ライアンと、終始リー・マーヴィンの肩を持つジョージ・ケネディがいい。クライマックスの戦闘場面もなかなかの迫力で、十分楽しめた。ロバート・オルドリッチ監督らしい重厚な作品。ただ、敵とはいえ非戦闘員の女性までも平気で殺すという描き方には疑問も残る。

「ブロークン・フラワーズ」(ジム・ジャームッシュ監督)★★★★☆
「アンフィニッシュ・ライフ」(ラッセ・ハルストレム監督)★★★★
「特攻大作戦」(ロバート・オルドリッチ監督、67年)★★★☆
「ハッピーフィート」(ジョージ・ミラー監督)★★★☆
「藍色愛情」(フォ・ジェンチイ監督)★★★
「デジャヴ」(トニー・スコット監督)★★★

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» 映画「ブロークン・フラワーズ」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Broken Flowers この映画、またまたビル・マーレイが、ロスト・イン・トランスレーションしてるよね。あのポーカーフェイスのまんまで、哀愁に満ちた時が過ぎる・・。 差出人不明のピンクの手紙に綴られた、まだ知らぬ19歳の息子の存在、そこから過去... [続きを読む]

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