韓国てくてく旅行記①
はじめに
同僚と二人で韓国のソウルへ行ってきた。二人とも韓国へ行くのはこれが始めて。韓国語も話せないし、ハングルも読めない。しかし3月1日にプレオープンしたホテルに泊まると いう格安のツアーがあったので、逃す手はないと飛びついたのである。空港からホテルまでは行き帰りともガイドは付くが、それ以外は二人でソウルの街に放り出される形。どこへ行くかも事前に二人で相談していなかった。それでも何とかなるだろうとあまり心配もせずに出かけていった。
個人的にもどうしてもここに行きたいとか、これが食べたいとかいうものがあったわけではない。僕は旅行好きでも食通でもない。ただ、韓国映画は結構観ているし、実際どんなところなのか見てみたいという漠然とした関心はあった。距離も近いので、短期間でしかも安く行ってこれるという魅力もある。旅程は行ってみて決めるという旅だったが、かなり楽しめた旅行だった。今回の旅行記は日程順にそのまま見たり、食べたりしたものを書いてゆこうと思う。
1日目
1時55分発の大韓航空便でソウルへ向う。インチョン空港で他のツアー客と合流。僕ら
以外は全員女性。この時期旅行に出られる男は珍しいわけだ。われわれと同じツアー企画の客は他にいない。送迎バスで都心部へ。途中漢江を渡る。漢江は思ったよりも大きな川だった。ホテルに行く前に免税店とソウル市内一番の繁華街明洞(ミョンドン)に短時間立ち寄った。明洞は20分くらい歩いて観て回っただけ。夜でもかなりの人込みだった。まさに不夜城。泊まったホテルは「ベストウェスタンプレミアホテル国都」。3月1日に仮オープンしたばかりの真新しいホテルなのでさすがにきれいだ。部屋はツイン。ベッドと机の間が狭いが、まあ充分な広さ。
夕食を食べるために明洞の「シンソンソルロンタン」という店まで歩いてゆく。スープのようなもの(意外に薄味)ともう一品を頼む。キムチとご飯がサービスで付く。おいしかった。 言葉が全く話せないので心配していたが、何とかなるものだ。英語よりも日本語の方が通じる感じだった。
今回の韓国旅行は散々歩いた。去年の中国旅行もかなり歩いたが、今回は仕事がないので文字通り歩き通しだった。靴擦れができたりしてきつかったが、反面街中がよく観察できた。店を出て、タクシーを捕まえてソウルタワーへ行く。韓国のタクシーには一般タクシーと模範タクシーがある。模範タクシーの方が料金は高いが、運転手は外国語が話せるらしい。着いたばかりでうまく区別が付かないのだが、幸いたまたま模範タクシーに乗った。運転手の案内つきで ソウルタワーを回る(片言の日本語)。夜景がきれいだったが、昼間にも見たかった。夜では全景がわからない。夜景を写真に撮ったのだが、残念なことにうまく映らなかった。夜景よりもきれいだと思ったのはタワー自体。ライトアップされており、その色がまた刻々と変わる。シャッタータイミングが難しく、これもうまく撮れなかった。帰りも同じタクシーでホテルまで送ってもらった。料金は35000ウォン(100ウォンが12円くらい)。戻ったのは11時ごろ。
2日目
7時起床。8時半ごろホテルを出る。乙支路に沿って明洞まで行く。ホテルの場所は地下鉄2号線の乙支路3街駅と乙支路4街駅の中間辺りにある。昨日
明洞巡りをした時に見かけた「お粥」の看板が出ている店に入る。カボチャのお粥を頼んだ。甘くておいしかった。その後「景福宮」(キョンボックン)へ向う。今日は5つある王宮のうち4つを回る計画だ。途中鐘路タワー手前で「普信閣」を見かけたのでちょっと寄って写真を撮った。また歩いている途中で、韓国映画によく出てくるカップ麺が表に積んである店を見かけたのでこれも写真に撮った。
ほどなく「景福宮」に着く。地図があるのでさほど迷わなかった。駐車場脇から中に入ると大きな門(興禮門)の前でたまたまバッキンガム宮殿の衛兵の交代のような儀式をやっていた(守門将交代儀式と呼ぶらしい)。写真を何枚か撮る。入場料(3000ウォン)を買って正面の門から中に入る。中の敷地は驚くほど広大だった。たくさんの建物や門が何重にも重なっており、行っても行ってもまた別の建物がある。丁度小学生の団体が見学に来ていて、クラス 毎にガイド(?)を囲んで輪になり説明を聞いていた。こういう授業はいいと思った。建物を見ていて一つ気になったのは門や建物の屋根に付いている動物の形を模したと思われる飾りのようなもの。日本の鬼瓦のようなものはない。恐らく同じような役割と思われる。
敷地内にある「国立民俗博物館」にも入る。昔の風俗を再現したジ オラマ、昔の衣装、食べ物、様々な器具、昔の家などが展示されていた。非常に興味深かった。入り口近くの喫茶コーナーでコーヒーを飲む。隣の席は中国人だった(言葉で分かる)。観光客は圧倒的に日本人が多いので、中国人は珍しい感じがした。同じ狭い喫茶コーナーに日本人、中国人、韓国人がいたことになる。博物館を出て、先ほど見逃していた「香遠亭」にも行ってみる。池の中に建っているお堂のようなもので、実にいい眺めだった。後でよく調べたらもう一つ池に浮かぶ慶会楼という有名な楼閣があったのを見逃していた。残念。
次の王宮「昌徳宮」に向う途中「キョンホカルビ」という店で昼食をとる。ビビンバを頼んだ。5000ウォン。キムチなど小皿が5つも付いていた。心配したほど辛くない。滞在中にいくつもの店に入ったが、日本でなじみのキムチはどこの店でも出てきた。味も日本のものとさほど変わらないと思った。それとよく出てきたのがサイコロ状に切っ た大根のキムチ。これもおいしかった。600円でかなり贅沢な食事ができた。
「昌徳宮」(チャンドックン)では言語別のガイドツアーがあり、たまたま着いてすぐ英語のツアーがあったのでそれに参加した。実に詳しい、しかも有意義な解説で感心した。この日一番充実した見学だった。ガイドの方の英語も見事で、質問にも適切に答えていた。ただ同じ説明を繰り返すだけの日本のガイドとは違う。西洋人は街であまり見かけなかったが、さすがに英語ガ イドの時間に集まって来た人は20人近くいた。屋根の上の動物を模した不思議な飾りの意味はここで説明されていた。予想通り鬼瓦と同じような魔よけで、飾りの数が多いほど重要な建物だということだった。その王宮で一番重要な建物には11個付いているらしい。
使用人たちが住む一角も見られた。以前「3人の映画人を偲んで」という記事の中でロバート・アルトマンの「ゴスフォード・パーク」に触れた際、イギリスのブラ イトンで見た「プレストン・マナー」のことを書いたことがある。どこでもお屋敷の住人が住む贅沢な空間と使用人が住む一角は画然と天と地ほどの差で区切られている。ここでもそうだった。使用人たちが住んでいた一角は見るからに貧弱な作り。狭くて中は何もない。男女の住む場所が画然と分かれている。入る門が違う。男の門のほうが少し高くなっている。ただ二つの区画の間に建つ建物は中で通じている。そりゃそうだろう。
ガイドの説明はしばしば観光客に質問を投げかける形で行われ、考えさせるようになっていたことにも感心した。例えば、使用人が通る門は低くなっているのはなぜか、水魚門と いう名前が付けられているのはなぜかなど。前者の答えは、使用人が門をくぐる時礼をして(つまり腰をかがめて)くぐるので低くなっている、後者は二つとも切り離せない関係にあるのでリレイションシップを表しているとのこと。出口近くでガイドさんが大きな木の根元に猿がいるのが分かりますかと聞いた。すぐ分かった。根っこに彫刻を施したのだろうか?天然のままだとしたらすごい。隠し絵のようで面白かった。
次に3つ目の王宮「宗廟」(チョンミョ)に向う。しかし周りを塀が囲んでいて入り口が見つ からない。右往左往した後警官に聞いてやっと分かる。敷地のほぼ反対側にあった。入り口に向う途中で大覚寺を見かけたので写真を一枚撮った。やっと「宗廟」の入り口に着く。入場料は1000ウォン。ここはあまり面白くなかった。京都の三十三間堂のような横長の建物で祭礼に使われるようだ。広さもさほどなく、あまり変化もない。何より先に見た二つの王宮があまりに見事だったのでどうしても見劣りがしてしまう。
もう一つ観る計画だったがその頃にはだいぶ歩き疲れていたのですっかり忘れていた。 一旦ホテルまで歩いて戻る。途中電気店が並ぶ細い路地を通った。まるでかつての秋葉原のようで面白かった。ずっと歩きとおしだったので疲れたが、地理がだいぶ分かってきた。小一時間休憩して外出。明洞の「コムソッチプ」という焼肉店に行く。約15万ウォンのセットとマッコリという白酒のような酒を頼んだ。マッコリは甘みがあっておいしい。アルコール度は結構高い気がした。焼肉は食べるのに夢中で写真を撮るのを忘れてしまった。この店の特徴なのか、それとも韓国では一般にそう なのか分からないが、店員が肉を網に載せるシステムになっている。それはいいのだが、どんどん網にのせるので焦げないようにこちらもどんどん食べなければならない。もっとゆっくり食べたいのだが、主導権はあちらにあるのでどんどん食べるしかない。早すぎて追いつけないほどではないが、もっとゆっくり味わいながら食べたかった。
その後タクシーで東大門市場へ行く。市場といっているが、実際には屋台が並んでいる一帯のことである。サッカー場の近くから清渓川の間にずらっと屋台が並んでいる。ものす ごい人込み。ざっと観て回ったが特にほしいものはない。清渓川のところまで来たので川に下りてみた。川沿いの遊歩道をしばらく歩いてみる。トイレを借りたくなってデパートに入った。ついでに中を見て回ったが、日本とほとんど同じで特に新鮮味はなかった。11階に映画街があり、チラシを貰ってきた。その後またしばらく屋台を回る。
帰りは地下鉄にしようと思ったが、コインがないのでまた歩いて戻る(自販機はなぜか紙 幣が使えない)。20分ぐらい歩いてようやく到着。いやはや、今日1日で数ヶ月分くらい歩いた感じだ。かかとに靴擦れができていた。ホテルについてやっと人心地がした。翌日は江南(カンナム)地区に行き、漢江を見ることにした。(↓下の写真は「景福宮」で撮ったもの)
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