年末から06年新春にかけて出る注目すべきDVD
2005年は過去の映画をDVD化する作業が飛躍的に進んだ年です。それまで観たくても観られなかった映画が家庭で気楽に観られるようになったのは喜ばしいことです。特に映画館が近くにあまりない地方都市の住民にとってはずいぶん便利になりました。レンタル店の棚も2、3年前と比べるとDVDの比率が格段に多くなっています。ずいぶん長かったビデオ時代ももう終わりですね。次世代DVDが今後どのように展開されるのか気になりますが、この傾向はまだしばらくは続くでしょう。もっとも、わざわざDVDを借りたり買ったりしなくても、衛星放送やインターネットを通じて観るのが普通になる日も遠くないと思われます。
11月20日に「05年にDVD化されたおすすめ旧作」というリストを掲げましたが、年末に来てかなり貴重な映画が一気にDVD化されます。サイレント時代に作られたソ連映画の歴史的名作5本です。「戦艦ポチョムキン」などいくつかは前にもDVDになっていたと思いますが、これだけまとまって出るのは初めてではないでしょうか。もっとも、すべての人におすすめできるわけではありません。何しろ古い映画だし、僕はこれらを70年代の前半に見たのですが(SF映画「アエリータ」は80年代)、その当時既に古いと感じたわけですから。専門家でもなければ観る必要のない映画ですが、歴史的に貴重な作品だけにDVD化されたこと自体は大いに意義のある事です。他に比較的新しいソ連映画も2本出ます(いずれも12月22日発売)。先にDVD化されていたソ連映画最初のカラー映画「石の花」とあわせると、今年かなりソ連映画のライブラリーは充実したことになります。しかしまだまだソ連映画は未発掘の分野。個人的に出してほしいものだけでも2、30本は下りません。来年はさらに多くの作品が身近になることを期待します。
「アエリータ」(1924年、ヤーコフ・プロタザーノフ監督)
「アジアの嵐」(1928年、フセボロド・プドフキン監督)
「アンドレイ・ルブリョフ」(1966年、アンドレイ・タルコフスキー監督)
「人生案内」(1931年、ニコライ・エック監督)
「大地」(1930年、アレクサンドル・ドブジェンコ監督)
「母」(1926年、フセボロド・プドフキン監督)
「炎628」(1985年、エレム・クリモフ監督)
また、来年1月に「ポランスキー・スペシャルDVDコレクション」が発売されます。初期の傑作「水の中のナイフ」、「反撥」、「袋小路」の3作を収録。滅多に観られない名作ですので是非この機会に手に入れておくといいでしょう。2月にはG.W.パプスト監督のサイレント映画の名作「パンドラの箱」も出る予定。これも滅多に観られない歴史的名作ですので関心のある方は是非。
1月27日 「ポランスキースペシャルDVDコレクション」
2月25日 「パンドラの箱」
旧作ばかりでは何ですので、来年出る新作DVDからぜひ観たいと思っているものも挙げておきます。1月、2月は話題作がひしめき、かなり充実しています。先日レビューした「メゾン・ド・ヒミコ」も3月3日発売予定。
1月12日 「ヒトラー最期の12日間」(04年、オリバー・ヒルシュピーゲル監督)
1月13日 「理想の恋人」(05年、ゲイリー・デビッド・ゴールデンバーグ監督、米)
1月25日 「シンデレラマン」(05年、ロン・ハワード監督、米)
1月25日 「亀は意外と速く泳ぐ」(05年、三木聡監督、日本)
1月27日 「マラソン」(05年、チョン・ユンチョル監督、韓国)
1月27日 「星になった少年」(05年、河毛俊作監督、日本)
1月27日 「樹の海」(04年、瀧本智行監督、日本)
1月27日 「運命じゃない人」(04年、内田けんじ監督、日本)
1月27日 「Dearフランキー」(04年、ショーナ・オーバック監督、英)
1月27日 「ラヴェンダーの咲く庭で」(04年、チャールズ・ダンス監督、英)
2月 3日 「チャーリーとチョコレート工場」(05年、ティム・バートン監督、米英)
2月22日 「リンダ リンダ リンダ」(05年、山下敦弘監督、日本)
2月24日 「NANA」(05年、大谷健太郎監督、日本)
2月24日 「いつか読書する日」(05年、緒方明監督、日本)
2月24日 「ヴェラ・ドレイク」(04年、マイク・リー監督、英仏)
2月24日 「南極日誌」(05年、イム・ピルソン監督、韓国)
2月24日 「ふたりの5つの分かれ路」(04年、フランソワ・オゾン監督、フランス)
2月24日 「ハッカビーズ」(04年、デビッド・O・ラッセル監督、米・独)
最期に、「2005年発売のDVD/ビデオ マイ総合ランク」というリストも掲げておりますので、よければごらんになってください。今年の総点検をする際に多少のお役に立てるかもしれません。
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