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2005年10月12日 (水)

思い出の夏

train001_s2001年 中国
監督:リー・チーシアン
出演:ウェイ・チーリン、チョン・タイション、リウ・シーカイ
        リー・ワンチュアン

  山西省の小さな田舎町を舞台にした小品だが愛すべき作品。農村部と都市部の経済格差問題を扱っているが、それを映画のロケという題材を通して描いているところが面白い。主人公の少年ショーシェンは暗記が苦手な落第生。1歳年下の生徒と同じクラスにいる。父親は息子の顔を見ると勉強しろとただ怒鳴るだけ。冒頭で村に移動映画館がやってくる場面がある。なんと上映されたのはチャン・イーモウの「キープ・クール」。現代の話だということがそれで分かる。それがなければ4、50年昔の話かと勘違いしてしまいそうだ。未だに移動映画館で映画を見るところがあるとは。町には映画館があり、毎日見られると少年たちがあこがれるのがよく理解できる。ショーシェンの家のテレビは映りが悪く、かろうじて何をやっているのか分かる程度だ。ショーシェンは映画を見に行きたいが、父親は勉強をしろと禁じる。そして妻と一緒にさっさと映画を見に行ってしまう。ショーシェンは結局勉強をサボって、後から友達と一緒に見に行くのだが、親に見つからないよう離れたところから見ているので何をやっているのか分からない始末。

  そんな村になんと映画の撮影隊がやってきた。この村でロケをするという。ショーシェンは助監督と仲良くなり、映画に出してやると言われる。しかし成績が悪いため、校長が選んだ候補者の生徒たちの中には加えてもらえなかった。しかしカメラテストをしてもいい子役が見つからない。そこにショーシェンが飛び込んできていい演技を見せる。監督が気に入って彼にするというが、校長が首を縦に振らない。劣等性を代表に出来ないと。校長は学校で一番の優等生を推薦し、監督も妥協する。ある日その優等生が脚本を読んでいるとき、ショーシェンの友達が優等生が番をしている牛を逃がし、優等生が牛を追いかけている間に脚本を奪ってしまう。ショーシェンは意外な能力を発揮してせりふを完璧に暗記してしまう。しかし牛を追っていった優等生が行方不明になってしまった。せりふ覚えのよさを買われて子役に抜擢されたショーシェンもその罰でまた子役を下ろされそうになる。助監督の説得で、教科書を暗記できれば映画出演を認めてやると校長に言われ、ショーシェンは見事に教科書を暗記してみせる。

  こうして何とかショーシェンは子役の役をもらうことができた。しかし脚本の中に「町にいたくない村に戻りたい」というせりふが出てきて、撮影が頓挫する。町に行きたくて仕方がないショーシェンはどうしてもそのせりふが言えなかったのだ。嘘はつきたくないと。このあたりはいかにもとってつけたような感じもするが、現代中国の都会と田舎の格差をよく表現していると言える。結局監督がこの子役は使えないと見切りをつけ、撮影隊は他の村にいってしまった。

  しょんぼり家にいたショーシェンは照度計が家の垣根に忘れられているのに気付き(彼car008_sの家でロケが行われた)、撮影隊を追ってそれを届けようとする。しかし撮影隊は宿泊所を既に出ていた。向かった先の村は何十キロも離れたところにある。ショーシェンは自転車で追いかけるが、途中で自転車が壊れてしまう。修理してもらっているときに撮影隊がいる村に向かうダンプカーを見つけ、その荷台に乗ってしまう。いつの間にか暗くなり、ダンプカーは積んだ荷物(どうやら石炭ガラのようだ)をザアーっと降ろして走り去る。石炭ガラと一緒に放り出されたショーシェンは、暗闇の中必死になって石炭ガラに埋もれた照度計を探す。やっと照度計を見つけ、さらに歩き続ける。

  村から連絡を受けてショーシェンが撮影隊を追いかけていることを知った助監督が車でショーシェンを探す。やっと道端で座り込んでいるショーシェンを見つける。遠くから2人を映し出すカメラ。ショーシェンが照度計をわたすのが分かる。このあたりがラストシーンだったか。

  もっと先まで見たい気がしてやや物足りなかった。しかしいい映画だ。それにしても、中国旅行記にも書いたが、中国国内の経済格差はすさまじい。巨大ビルが建ち並ぶ大都会があるかと思えば、「あの子を探して」に描かれたような、まともな教師もいない寒村もあったりする。冒頭に書いたように、何の手がかりもなければ昔の話かと錯覚するほどで、とても同じ時代とは思えない。「HERO」や「LOVERS」のようなハリウッドばりの映画が作られている一方で、それを見ようにも映画館一つない村もあるのだ。ショーシェンが都会に憧れる気持ちも分かる。考えようによっては、映画の主題になる材料がいくらでも転がっているということか。

  2人以外は全部素人の俳優を起用したそうだ。ショーシェン役のウェイ・チーリン少年も実際に村に住んでいる少年らしい。監督は主役の少年を探すために、小学校を何十校も訪ねたそうである。野性味があってなかなかいい子役だった。昔は日本にもこういうガキがいっぱいいたな。

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コメント

 HANAさん コメントありがとうございます。
 最初の映画は多分「山の郵便配達」でしょう。とても映像がきれいで、父子の愛情があふれた素晴らしい映画でしたね。僕も大好きです。同じ監督の「ションヤンの酒家」もおすすめですよ。
 韓国映画の方は恐らく「ラブストーリー」ではないでしょうか。タイトル通りのラブロマンスで、僕には少々甘すぎました。でも後味のいい映画だったと思います。女性向きかもしれませんね。
 「想い出の夏」はレンタル店で見つかると思います。探すのにちょっと苦労するかもしれませんが。
 ブックマークありがとうございます。僕の方もHPのリンク集に入れさせていただきました。硬い文章で恐縮ですが、時々覗いてみてください。

これはぜひ見てみたい!

やっぱり中国の山の村を舞台にした郵便配達の話を見たことがあります。タイトルは何だったかしら?「山の郵便配達」だったかな?なかなかいい映画でした。

韓国の映画でやっぱりタイトルを忘れてしまったのですが、女子高校生が友人のラブレターを頼まれて同じ高校の男子に渡すのですが、その男の子は手紙の主より主人公を気に入って・・・といった内容でしたが、これも期待しないで見た割りには素敵な映画でした。

「緑の杜のゴブリン」も読ませていただきました。ブックマークに入れさせていただきます。

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