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2005年10月 5日 (水)

みなさん、さようなら。

2003年 カナダ・フランスf_kesiki01w
監督:ドゥニ・アルカン監督
出演:レミ・ジラール、ステファン・ルソー
       マリー・ジョゼ・クローズ、ドロテ・ベリマン
       ピエール・キュルジ、イヴ・ジャック

  最初のうちはやや退屈で時間が長く感じたが、後半はぐっと引き込まれた。歴史の教授だった父親が病気で死を迎えようとしている。長らく父親と疎遠だった息子が色々な後始末を手伝ってほしいと母親に懇願され、いやいやながら父の元に戻る。父親は女が好きで、どうやら母親とも離婚か別居をしている様子。息子はロンドンで証券関係の仕事をしている。金があるので何でも金で解決しようとする。

 母親にせがまれ何とか父親の最後の時間を快適に過ごさせようと息子は努力し始める。父親の親しかった人たちを世界中から呼び集める。娘は船に乗っていて会いにこれないが、パソコンを通じてメッセージを送ってくる。このあたりから作品に魅力が増してくる。皆あけすけにセックスの話題を口にする。集まった友人たちの中には元愛人たちもいる。知識人が多く、知的だがしかし大して意味の無い会話が飛び交う。

 父親は左翼知識人で、何かにつけて文句を言い、おとなしく人の言うことを聞かない。むきになって人に食ってかかる。息子は父親の苦痛を取るためにヘロインを使うことにする。そこでジャンキーの娘(元愛人の娘)が呼ばれる。彼女の麻薬からの立ち直りも小さな脇エピソードとして描かれる。

 最後は友人の別荘を借りてみんなで最後に時間をすごす。点滴にヘロインを注入し苦しむ父親を死に至らしめる。父親にとっては理想的な死の迎え方だ。監督自身も自分の理想だとインタビューで語っていた。集まった人々が皆芸達者である。18年ほど前の「アメリカ帝国の滅亡」のスタッフが再結集した映画。和気藹々とした雰囲気で撮られたそうだ。カナダ映画の水準の高さを示す傑作である。

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