お気に入りブログ

  • 真紅のthinkingdays
    広範な映画をご覧になっていて、レビューの内容も充実。たっぷり読み応えがあります。
  • 京の昼寝〜♪
    僕がレンタルで観る映画のほとんどを映画館で先回りしてご覧になっています。うらやましい。映画以外の記事も充実。
  • ★☆カゴメのシネマ洞☆★
    細かいところまで目が行き届いた、とても読み応えのあるブログです。勉強になります。
  • 裏の窓から眺めてみれば
    本人は単なる感想と謙遜していますが、長文の読み応えのあるブログです。
  • なんか飲みたい
    とてもいい映画を採り上げています。短い文章できっちりとしたレビュー。なかなかまねできません。
  • ぶらぶらある記
    写真がとても素敵です。

お気に入りブログ 2

お気に入りホームページ

ゴブリンのHPと別館ブログ

無料ブログはココログ

« 座頭市物語 | トップページ | コッポラ幻の処女作「ディメンシャ13」 »

2005年10月 3日 (月)

キープ・クール

ctea1997年 中国
監督:チャン・イーモウ
出演:チアン・ウェン、リー・パオティエン、チュイ・イン、グォ・ヨウ
    チャオ・ベンシャン、チャン・イーモウ、リー・シュエチェン

  チャン・イーモウの芸域の広さを示す本格的なコメディだが、全編俳優たちが喋りまくり、叫びまくりで最後には頭が痛くなってきた。しかし出来はいい。チャン・イーモウには珍しく現代の、それも大都会を舞台にしている。

  地下鉄から降りてきた女の子を男が追い回す冒頭のシーンから現代性と大都会が強調される。女の子はサングラスをかけ、短髪で超ミニ。男はサングラスにモヒカン頭。超ミニで女の子は自転車に乗る。女の子のマンションまで男はついてくるが、そこは高層マンションが立ち並んでいる。そこで女の子を見失ってしまう。男はめげず、大声で彼女の名前を呼ぶ。そこに通りかかった屑屋に声をかけ、金を払って女の子の名前を大声で呼ばせる。その屑屋役がチャン・イーモウである。まるでヒッチコックのようにちゃっかり出演している。それでも女の子が無視するので、また人を雇って今度はスピーカーで叫ばせる。しかし彼女は現れない。

 多分その次の日、呼びかけが功を奏したのか男が女の子の部屋にいる。ベッドイン寸前にまた誰かが外で呼びかけている。あわてて男が飛んでゆくと、おっさんが人に頼まれたといって叫び続けている。男は頼んだのは自分だ、もういいから止めろと言うが、おっさんは人助けだからと一向に止めない。そうこうするうちに女の子はさっさと外出してしまう。

 これが冒頭場面だが、見事なコメディである。この後、女の子の新しい恋人が雇った男たちに主人公は襲われ殴られる。その時主人公はたまたま通りかかった通行人のかばんを奪って暴漢たちに投げつけた。そのかばんには実はパソコンが入っていて、後でその持ち主の中年男に壊れたパソコンの弁償を迫られる。しつこく弁償を迫る中年のおっさんと、女の子の新しい恋人(実はやくざだ)と、そのやくざ男の右手を切り落として復讐しようとする主人公が入り乱れて話はとんでもない方向へと転がってゆく。弁済の話がついて3人が話し合う場所に選ばれたカラオケバーみたいなところでのエピソードが傑作である。パソコンおっさんは最初主人公の復讐をとめるが、最後には逆切れして大暴れする。

 結末場面は刑務所から出てきたパソコンおっさんが車で出迎えられる場面である。運転手は主人公に雇われており、出所してきたおっさんは、反省しているという手紙とともに東芝の新しいパソコンを渡される。主人公のお詫びの気持ちを受け止めたおっさんは、主人公の家に行ってくれと運転手に指示する。ここで幕。きちんとコメディのつぼを押さえている演出だ。ただ、惜しむらくはもう少し間をとってほしかった。頭が痛くならないように。

 これはおそらく始めて見た中国の本格的コメディではないか。ほかに思い当たらない。香港映画にはいくらでもあるが、中国映画には珍しい。もっとも、案外多く作られてはいるが、輸入されていないだけなのかも知れない。

« 座頭市物語 | トップページ | コッポラ幻の処女作「ディメンシャ13」 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: キープ・クール:

« 座頭市物語 | トップページ | コッポラ幻の処女作「ディメンシャ13」 »