女はみんな生きている
2001年 フランス
監督、脚本:コリーヌ・セロー
出演:カトリーヌ・フロ、ラシダ・ブラニク、ヴァンサン・ランドン
リーヌ・ルノー、オレリアン・ヴァイク、イヴァン・フラネク
このところのフランス映画の好調さを示す痛快な映画だ。だらしない夫と息子と暮らしている平凡な主婦エレーヌが、たまたま若い女性が暴行されるところに出くわしたことから物語が展開し始める。事なかれ主義の夫は女を救うどころか車のドアをロックし、係わり合いになることを避け走り去る。翌日女のことが気になったエレーヌは彼女が入院している病院を突き止め、献身的に付き添う。しかし彼女には怪しい男が付きまとう。この映画の前半はサスペンス調である。
この若い女性は娼婦で名前はノエミということが分かってくる。ある時2人組みの男達にノエミが連れ去られそうになるところをエレーヌが救う。そのままエレーヌはノエミを夫の母親のところへ連れ行き、かくまう。義理の母とはうまくいってなかったが、ノエミの存在がエレーヌと義母の関係も修復させる。エレーヌはノエミからそれまでの身の上を聞き出す。女であるゆえにまるで奴隷のように扱われ、危うく父親によって老人と結婚させられるところを逃げ出した。親切な男に拾われたが、その男は売春組織の一員だった。麻薬を打たれ陵辱されてノエミは無理やり娼婦にさせられた。ノエミは男をだまして搾り取った金をこっそりスイス銀行に預金していた。それが発覚し組織に追われていたというわけである。
この辺りからこの作品はサスペンス調女性映画になる。後半は組織と警察の手から逃れながら、組織を警察に捕まえさせ、エレーヌの夫と息子を痛い目にあわせ、さらにノエミと同じようにだまされて結婚させられそうになっていたノエミの妹を救い出すという展開になる。複雑な筋だがテンポよく進む。見事な脚本だ。当然ハッピーエンドである。特にフェミニズム臭くはないが、だらしなくまた邪悪な男たちを徹底してやりこめるところが痛快だ。「アメリ」以来のフランス映画の傑作である。
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