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2005年9月30日 (金)

悪人と美女

lady51952年 アメリカ
監督:ヴィンセント・ミネリ

撮影:ロバート・サーティーズ
出演:ラナ・ターナー、カーク・ダグラス、ディック・パウエル
    ウォルター・ピジョン、グロリア・グレアム
    バリー・サリヴァン、ギルバート・ローランド

  懐かしい映画との感動の再会。この映画は自分にとって思い出深い映画である。最初に観たとき感動した。長い間もう一度観たいと思っていたのだが、なぜかその後まったく出会うことのなかった映画なのだ。テレビでも、映画館でも、ビデオでも見られなかったのだ。高校2年で映画を見始めてごく最初の頃に観たと思われる。最初に見てから30年はたっているだろう。ラストシーンだけはぼんやり覚えていた。一人が電話に出て、他の仲間も顔を寄せて声を聞こうとする場面だ。それ以外の話はほとんど忘れていた。今回改めて見直して、その最後の場面に至る流れがようやくつながった。

  ある日、パリにいる名プロデューサー、ジョナサン・シールズから3人の男女に呼び出しがかかる。映画監督のフレッド(バリー・サリヴァン)、女優のジョージア・ロリソン(ラナ・ターナー)、そして作家であり、脚本家でもあるジム・バートロー(ディック・パウエル)。いずれも今では成功を収めている人たち。3人ともジョナサンによってひとかどの映画人にしてもらったのだが、彼から手ひどい扱いを受けてその後絶交している。ジョナサンはその3人にあえて声をかけ、新しい映画の製作にかかわってくれるよう頼んだのだが、3人とも冷たく断る。しかし間に信頼できる人物ハリー(ウォルター・ピジョン)が入っているため、いやいやながら3人は集まる。そこから回想になる。

  3人とジョナサンの関係が過去にさかのぼって明らかにされてゆく。確かにジョナサンは3人に対してひどい扱いをしたのだが、それは彼らを単なる道具として利用したからではなく、本物のスター、監督、脚本家を育てたかったからだということがエピソードを通して次第に明らかになってゆく。突然の亀裂が入るまでは皆ジョナサンを心から信頼し愛していたのである。だからあのラストシーンになるのである。最期に話は現在に戻る。ジョナサンはパリから電話をかけてきており、提案に対する3人の返事を待っている。3人ともその提案を断リ、部屋を出て行く。しかし最初にジョージアが立ち止まり、隣の部屋にあった電話機を取ってハリーとジョナサンの話を盗み聞きする。他の2人も彼女の両側に顔を寄せてジョナサンの声を聞こうとする。

  結局3人が映画制作に参加したのかどうかは分からないが、少なくとも彼らがジョナサンを心から憎み切っているわけではないことが分かる。見事なラストシーンだ。複雑な人間関係をうまく整理しながらもそれぞれの心理を見事に描いている脚本、シャープで重厚な演出、それらに応えた俳優たちの見事な演技。今見ても少しも色あせない見事な人間ドラマである。  

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