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2005年9月 2日 (金)

警察日記

aki091955年

監督:久松精児
出演:三島雅夫、森繁久彌、三國連太郎、十朱久雄、宍戸錠
    小田切みき、二木てるみ、十朱幸代

 典型的な人情喜劇。福島県の磐梯山のふもとの町の警察署が舞台。おそらく会津あたりと思われる。まだ日本が貧しかった頃の話だ。子供二人を捨てた母親、夫がいなくなり食い詰めて万引きや無銭飲食をする子連れの母親、病気の母親と幼い弟たちのために身売りする娘、こそ泥。警察署の厄介になるのはそんな人間ばかり。凶悪犯罪はない。貧しさゆえに犯した罪。警察官は怒鳴ったり諭したりするが、捨て子を親身になって世話したり、金に困って犯したちょっとした罪などは見逃してやる。親に捨てられた2人の子供が別々の家に預けられ、姉の方がまだ赤ん坊の弟を心配して夜訪ねてゆくところなどは泣かされる。人情物は、困った立場のものに同情できる共通の感情的基盤があって始めて成り立つ。かつての日本にはそれがあったのだ。しかしその一方で、町から出た大臣が帰郷する際の、町の大物たちのあわてぶり、へりくだり、へつらった歓迎振りもまた皮肉を込めて描かれている。

 役者たちがみな若い。三國連太郎も宍戸錠もまだ20代くらいではないか。宍戸錠はまだ頬を膨らませる前の二枚目だった頃だ。三島雅夫、森繁久彌、十朱久雄、杉村春子など、芸達者ぞろい。60年代以降の日本の映画やテレビはこの世代の俳優たちに支えられて成り立っていたのだ。その後これほどの役者たちはほとんど生まれてはいない。その遺産もほとんど食い潰してしまった今、日本の映画とテレビは大きな危機に直面しているといっていいだろう。監督も脚本家も俳優も、彼らを育てていたかつての育成制度がなくなってしまったのだ。テレビ出身の見てくればかりのタレントが幅を利かせている。古い映画を見ると、改めてそういったことを感じざるを得ない。

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