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2005年9月22日 (木)

DVDを出してほしい映画

_ こうしてリストを作ってみて、ほとんどが社会派の作品だということに気付いた。当然僕の好みも反映しているが、これには映画会社やDVD製作会社の姿勢もあわられていると言っていいだろう。またその一部は観る側の姿勢の表れでもある。どうせ売れないと判断するから出さないわけだ。「ジョニーは戦場へ行った」が今年の8月に発売されたが、あの名作の発売がこんなに遅れたのも同じ共通の理由があると思わざるを得ない。
 (注) 作品名の後に紹介とあるのは、当ブログに作品紹介がのっていることを表して
     います。

 

「青い凧」
  50~60年代の中国。時代によって翻弄されてゆく人々を描く忘れがたい傑作。
「歌っているのはだれ?」
  木炭バスに乗り合わせた人々の旅を独特のユーモアで綴るユーゴスラビアの名編。
    84年に岩波ホールで観たきりだが、口琴のビヨーンビヨーンという音が耳について
  離れない。
「ウディ・ガスリーわが心のふるさと」 祝!発売
  フォークの父、ウディ・ガスリーの伝記映画。歌が民衆とともにあった時代!
「エボリ」
  イタリアの巨匠フランチェスコ・ロージ監督が描くいぶし銀の様な傑作。
「エル・ノルテ 約束の地」 紹介
  弾圧を逃れ、南米からアメリカへ密入国した兄妹を待っていたのは過酷な現実
  だった。
「オフィシャル・ストーリー」
  アルゼンチンの軍事政権下で闇に葬られてきた事実を鋭くえぐる。南米映画の金
  字塔。
「戒厳令下チリ潜入記」
  軍事政権下のチリを亡命監督ミゲル・リティンが潜入して撮ったドキュメンタリー。
「下り階段をのぼれ」
  30年以上も前に淀長さんの解説つきでテレビで見たきり。ロバート・マリガン監督
  の反骨精神が発揮された傑作。ばかげた規則なんか糞食らえ。
「紅夢」
  チャン・イーモウ監督の傑作悲劇。この頃のコン・リーは本当に美人だった。
「五月の七日間」
  米ソ間の核禁止条約案をめぐる米軍内部の陰謀を描いた骨太な政治サスペンス。
「ザ・フロント」 祝!発売
  未公開作品だが、ハリウッドの赤狩りを題材にした映画の中でも群を抜いた傑作。
「森浦への道」 紹介
  韓国のロード・ムービーの傑作。ビデオは出ているがDVDも是非ほしい。
「シェーン」 祝!発売
  アメリカ開拓時代の農民の生活をリアルに描いた名作。DVDがないのが不思議だ。
「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」
  未公開作品だが必見の傑作。R.デュバルとR.ハリスの老優二人の名演に酔う。
「シベールの日曜日」 祝!発売
  アンリ・ドカエが撮った白黒画面の透き通るような、寒々とした美しさは例えようもな
  い。
「ジャズメン」
  ジャズが禁止されていた時代のソ連。それでも若者たちはジャズの演奏をやめな
  い。好きでたまらないことをやっているときの人間の顔はこれほどまで輝くものか。
「ジュリア」 祝!発売
  イギリスの大女優ヴァネッサ・レッドグレーヴの代表作。反ナチ活動に身を捧げる
  彼女のきりっとした姿は感動的だ。リリアン・ヘルマン原作。
「シルバー・スタリオン 銀馬将軍は来なかった」  紹介
  米兵にレイプされ村八分にされた母親。韓国の封建的体質を鋭くえぐった名作。
「終身犯」 祝!発売
  獄中で鳥の研究を始めた男がやがて鳥獣学の権威になる。バート・ランカスター
  が渋い。彼には重厚な作品が似合う。
「真実の瞬間」 
  91年のアメリカ映画ではなくイタリアの巨匠フランチェスコ・ロージ監督が闘牛士を
  描いた65年の映画。闘牛を主題とした映画としてはダルトン・トランボが変名で原
  作を書きアカデミー原作賞を受賞した「黒い牡牛」と並ぶ傑作。「黒い牡牛」もDVD
  化を望む(ラストが感動的)。
「1900年」 祝!発売
  5時間を越える超大作。ベルトルッチが最もラディカルだった時代に作られた最高
  傑作。
「Z」(東北新社から出ているそうです。せっかくですからこのまま載せておきます。)
  社会派コスタ・ガブラス監督の代表作。政治サスペンスといえばまずこの作品が思
  い浮かぶ。
「大閲兵」
  文芸座の中国映画祭で観た。個人的には初めて観た中国映画。閲兵式の訓練の
  ためにひたすら行進させられる兵士達を人間的な悩みも交えながら描く。チェン・カ
  イコー監督が「黄色い台地」に続いて撮った第2作。
「遠い日の白ロシア駅」
  ソ連版「再会の時」。戦後25年ぶりにかつての四人の戦友が隊長の葬儀のために
  再会する。白ロシア駅はドイツとの戦いに勝利してベルリンから帰還した兵士達の
  終着駅であった。ソ連映画はまだDVD化がさほど進んでいない未開拓の分野。こ
  こにはごく一部の作品を上げるにとどめる。まだほんの一部しか開拓されていない
  広大な沃野に今後どれだけ鍬が入るのか。
「にがい米」 祝!発売
  女性季節労働者たちを描いたネオ・リアリズモの傑作。S.マンガーノの太ももがま
  ぶしい。
「日曜日には鼠を殺せ」 祝!発売 紹介
  スペイン戦争の後日談。罠と分かっていてスペインに戻るG.ペックの決意が感動
  的だ。戦争映画のBOXには入っているが、単独でも出してほしい。
「日曜日は別れの時」
  後に労働党の議員になったグレンダ・ジャクソンの代表作。美人ではないが素晴ら
  しい女優だった。
「二ペンスの希望」
  貧しいがゆえに働き続けなければならない若者と恋。イタリアのほのぼの喜劇。
「にんじん」
  ルナールの名作の映画化。アリ・ボールの演技が素晴らしい。赤毛だから「にんじ
  ん」。
「灰とダイヤモンド」 祝!発売
  アンジェイ・ワイダの代表作の一つ。3度目に観たときにはこんなもんだったかと
  がっかりした記憶もあるが、やはりポーランド映画の代名詞的作品だけに名前を挙
  げておく。この作品に限らず、ワイダの作品は、いや、ポーランド映画はほとんど
  DVD化されていないのではないか。
「バウンティフルへの旅」
  いつも壁に向かって話しかけている老婆。ある日故郷のバウンティフルへと一人旅
  立つ。しかし故郷に向かう鉄道は廃線になり、バスの路線はまだあるが故郷の駅が
  なくなっている。いろいろな人に助けられてやっと故郷にたどり着く。主演のジェラル
  ディン・ペイジが素晴らしい。これが遺作となった。
「ハンガリアン」 祝!発売
  第二次大戦中ドイツに出稼ぎに行ったハンガリーの農民たち。戦争の波に彼らも
  否応なく巻き込まれ翻弄されてゆく。何人もの人がばたばたと殺される映画が横行
  する中、一人の農民が死んだときに仲間たちが仕事を放り出し囲むようにして祈り
  を上げる場面は感動的だ。初めて海を見た彼らが言葉もなくただ呆然とたたずむ
  シーンも忘れがたい。
「ハンガリアン狂詩曲」
  民族的なダンスが時折差し挟まれながらドラマが展開する。今まで見たことのない
  独特の様式を持った作品だ。この映画と「ハンガリアン」「メフィスト」を見れば、80
  年代のハンガリー映画の水準がいかに高かったか分かる。
「100人の子供たちが列車を待っている」 紹介
  貧しくて映画も見たことのない子供たちに映画の原理を説き明かし、手作りで映画
  というものを教える女性教師。原初的な形の動画が次々に出てくる。目を輝かせて
  見つめる子供たち。映画の原点を見つめなおさせてくれるチリ映画の名作。「列車」
  とはリュミエールの「列車の到着」に出てくる列車のことである。ビデオは手に入れ
  たが、DVDも是非ほしい。
「標識のない川の流れ」
  10数年前にNHKで放映された。いかだ流しの老人と中年男と青年。舞台を川と
  筏に限定しながらこの三人の生き方を描く。ゆったりとした河の流れが映画のリズ
  ムを作る。中国映画の傑作。
「フィクサー」
  ユダヤ人作家バーナード・マラマッド原作。30年以上前にテレビで観たきり未だ見
  る機会を得ない幻の名作。ユダヤ人差別を正面から描いた気骨ある作品。
「芙蓉鎮」 祝!発売 紹介
  世界に衝撃を与えた歴史的名作。文革の実体をこの作品を通して初めて知った人
  は多い。
「マルチニックの少年」
  マルチニック島に住む少年が成長してゆく過程を温かい目で描いている。子供らし
  いいたずらも出てくるが、人種問題にも鋭く切り込んでいる。監督のユーザン・パル
  シーは「白く渇いた季節」という傑作を出した後さっぱり名前を聞かないが、今どうし
  ているのか。
「路」 紹介
  トルコのユルマズ・ギュネイ監督の代表作。この映画を見たときの衝撃は今も忘れ
  ない。
「メイトワン1920」
  あまり知られていないのが残念だが、労働組合の闘いを描いた数少ない傑作の一
  つである。
「夜行列車」 祝!発売
  同じ夜行列車に乗った様々な人々。それぞれの人生模様を描く群像劇。ポーランド
  映画を代表する傑作のひとつだ。
「やぶにらみの暴君」 祝!改作「王の鳥」発売
  学生の頃フィルム・センターで観た。伝説の名作は評判を裏切らなかった。50年以
  上も前のアニメだが、その想像力の豊かさは今でも十分驚嘆に値するだろう。技術
  的には超えられても、創造性は簡単には超えられない。
「ラグタイム」
  E.L.ドクトロウの同名小説の映画化。20世紀初頭のアメリカをパノラマ的に描い
  ているが、黒人差別に憤りテロに走る黒人ピアニストのエピソードが強烈。
「ル・バル」 
  全編せりふなし、ダンスだけで戦前から現代までの歴史を表現してゆく。エットーレ
  ・スコラ監督の才能が光る異色の傑作。
「レッズ」 祝!発売
  『世界を震撼させた十日間』の著者ジョン・リードの伝記映画。W.ベイティ監督、
  主演。

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コメント

 ヒロたんさん コメントありがとうございます。
 残念ながら僕もこの作品については何も情報を持ち合わせておりません。ビデオは出ていたのかもしれませんが、僕自身はレンタル店で見た記憶はありません。DVDは今のところ「コーザ・ノストラ」くらいしか出ていませんね。ただDVDならそのうち出る可能性はあると思います。
 お役に立てなくて申し訳ありません。

ここ数年「エボリ」探してます。ビデオ手に入れたいが、何か情報お願いしたく

沢木耕三郎さん、またまたコメントありがとうございます。
 別に僕も珍しい映画ばかり見ているわけではありませんが、「世界中の映画を見てみよう」が80年代以来の僕のテーマですので、意識的に様々な国やジャンルの映画を見るようにしています。ご指摘の3本は僕も見ました。特に「わが心のボルチモア」は大好きな映画です。ニキータ・ミハルコフはほぼ全作品を見ましたが、「愛の奴隷」は残念ながらさほど印象は残っていません。見たのももう20年以上前ですからね。「ピクニック」はユニークな映画ですね。映像がとてもきれいでした。
 沢木さんも相当映画を見ておられるようですね。もし興味がありましたら、本館HPの「恋太郎の映画日記」も覗いてみてください(左枠のお気に入りリストに載せてあります)。「世界中の映画を見てみよう」というコーナーがあり、国別のおすすめ映画のリストを載せています。

いやあ、それにしても
「歌っているのはだれ?」とか
「メイトワン1920」とか
「ハンガリアン狂詩曲」とか
世界中で私以外観た人間いないんじゃないかと
思うような映画の名前が出てきてびっくりしています。
別にマニアックな映画が好きなわけではないのですが、
意外な傑作は意外なところにあるものです。例えば、
「愛の奴隷」とか「ピクニックatハンギングロック」とか
「わが心のボルチモア」とかも、
DVDが出たことが奇跡のような知られざる傑作です。

沢木耕三郎さん コメントありがとうございます。お名前を見て、有名な作家の名前と似ているので、一瞬ドキッとしました。

 そうですか、「Z」は出ていましたか。ご指摘ありがとうございます。「恋恋風塵」は「侯考賢傑作集80年代篇」に収録されています。ただ、バラでは出ていないかもしれませんね。「いちご白書」も懐かしい映画ですね。「YOU」と並ぶ学園紛争ものの代表作。あの頃はみんな赤毛のキム・ダービーに憧れましたよね。そう言えば、「ソルジャー・ブルー」なども高校生のときに見てものすごいショックを受けました。これも出ているのだろうか?挙げていけば切がないですね。思いつくままに挙げてみただけなので、また時間があれば追加したいと思います。本当にありがとうございました。

確かにどうしてこの映画はDVDにならないのだろうと
思う作品がたくさんあります。
「1900年」とか「シベールの日曜日」とか
出たらすぐ買うんですけどね。
あと、「恋恋風塵」とか「いちご白書」とか。
日本映画でいえば「ステイゴールド」とか、
幻の作品です。
ところで「Z」は東北新社から出ています。
なんといっても音楽が最高です。

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