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2005年8月28日 (日)

喫茶店考

6065 上田は人口12、3万の地方小都市だが、小さな街のわりには個性的な喫茶店が結構ある。電話帳で見ると喫茶店の項目には何十店と載っている。ユニークな店を挙げると、「茶房『読書の森』へ行く」という記事で名前を挙げた「月のテーブル」、「風乃坂道」、「珈琲哲学」の他にも、和風の「森文」、山の上にある「茶房パニ」、「真田坂キネマギャラリー幻灯舎」内にある「カフェ・ミント」などがある。「カフェ・ミント」では毎月「幻灯舎講座」が開かれ、主に上田関連の映画に関する面白い話が聞ける。僕はその講座の常連である。上田市ではないが、東御市の芸術むらの中にある梅野記念絵画館内の喫茶スペースもおすすめだ。明神池を上から見渡す位置にあるので眺めが素晴らしい。これらの店のほとんどは駅前などの人が集まるところにはなく、それぞれ離れたところに散在している。地元の人でないと分からない場所にある。

 もちろん上田駅のガード下にも「Dコーヒー」がある。まさに観光客を当てにした喫茶店である。しかしこの手の店は、所詮電車の時間待ちの客相手なので20分もいれば出て行くことを前提にしている。本でも読みながらゆっくり過ごすのには向かない。僕が好きなのはむしろ昔ながらのゆったりと過ごせる喫茶店である。

 学生の頃は毎日のように喫茶店に入り浸っていた。一人で行くこともあったし、学習会や読書会などでもよく使った。長っ尻しても文句を言われなかった。学生が勉強しているのだから、店側も大目に見たのだろう。学習会でよく使ったのは飯田橋の「デュエット」、御茶ノ水の名曲喫茶「丘」、そして新宿東口の「滝沢」と南口の「ルノワール」などだ。最初の二つはもうない。「滝沢」は学生には料金が高かったが、その分長居できるので利用しやすかった。和風の落ち着いた雰囲気も好きだった。そうそう、飯田橋の神楽坂の途中にあった「パウワウ」も何度か使ったことがある。確か今でもまだあったはずだ。他に新宿の「木馬」と「DUG」、神保町の「響」、渋谷の「ジーニアス」などのジャズ喫茶もよく行った。

 当時の喫茶店の客は結構長く店内にいたものである。サラリーマンなどはさすがに入れ替わりが激しかったが、学生などは珈琲一杯でずいぶん粘ったものだ。あちこちで本を読みふけっている若者がいた。大声で話しているおばちゃんたちもいた。皆それぞれ行きつけの喫茶店を何軒か持っていたのではないか。僕の大学の先輩などは行きつけの喫茶店のいつも座る席に本棚を設け自分の本を置いていたものだ。

 喫茶店は珈琲や紅茶などを飲むところだが、よく考えてみるとどうも珈琲を飲むこと自体が目的で入るわけではない。喉が渇いたのなら別に自販機で缶コーヒーでも買えばいい。そのほうが安上がりだ。むしろ歩きつかれてちょっと一休みしたい時、あるいはゆっくり本を読んだり、何か考え事をしたり、原稿やレポートを書いたり、あるいは単なる暇つぶしのために入ることが多い。サラリーマンや商売人なら商談に使うことも多いだろう。昔はそれほどクーラーも普及していなかったから、夏の暑いときなどはあそこの喫茶店は涼しいからと商談相手を喫茶店に連れて行ったりもしただろう。喫茶店でないと筆が進まないという作家も多い。

 学習会以外にどんなとき利用したかと考えてみると、自分の場合映画が始まるまでの空いた時間や歩き回って疲れたので一休みするために入ることが多かったと思う。一度東銀座の映画館に入る前に、時間つぶしのために歌舞伎座の裏あたりの喫茶店に入ったことがある。本を読んでいたら、隣からどうも聞き覚えのある声がしきりに聞こえてくる。おやっと思って見たらなんと小森のおばちゃまだった。どうやら知り合いと歌舞伎を見に来たらしい。いや、ただそれだけのことだが、有名人と会うのは滅多にないことなのでよく覚えている。

 90年代の終わりごろからか、昔風の喫茶店が激減してきた。代わりにカウンターで注文して自分で席まで運ぶタイプの店が急増した。その手の店は落ち着かないので好きではない。スターバックスも新潟で一度入ったきりだ。もっと落ち着いてゆっくり本が読める店がいい。内装もある程度凝っているほうがいい。せまい区切られた空間、隠れ家の様な空間があればなおいい。例えば神田の「さぼうる」のような。あんまり凝りすぎていたり、店の主人の趣味でいろんなものをごちゃごちゃこれでもかと飾ってあるのはいやみでよくない。多少古びていて、アンティークが似合うような店はいいと思う。谷中の有名な喫茶店「乱歩」に行ったことがあるが、ここは評判ほどいいとは思わなかった。ただ薄暗いだけだ。僕は喫茶店では本を読むのが普通なので、できれば明るい方がいい。もっとも、薄暗ければ薄暗いでゆったりと考え事でもすればいいので目的によってはそれでもいいだろう。とにかく喫茶店はゆったり出来るところでなければいけない。休みの日には好きな文庫本でも持って喫茶店に行き、粘ってみようよ。

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 「パニのベランダで伊丹十三を読む」

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