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2005年8月28日 (日)

近頃日本映画が元気だ

日本映画の黄金時代
 1950年代は日本映画の黄金時代だった。巨匠たちが競い合うようにして歴史に残る名作を次々に生み出していた。東映の黒澤明、内田吐夢、松竹の小津安二郎、家城巳代治、木下恵介、五所平之助、渋谷実、清水宏、大映の衣笠貞之助、溝口健二、吉村公三郎、東宝の稲垣浩、成瀬巳喜男。他にも小林正樹、豊田四郎、そして社会派の2大巨匠今井正と山本薩夫。錚々たる顔ぶれである。
 その前の時代の阿部豊、伊藤大輔、伊丹万作、亀井文夫、島津保次郎、山中貞雄、山本嘉次郎等を加えると、まさにビッグ・ネームのオンパレード。圧倒される思いである。

テレビの普及 下降の時代 
 しかし60年代の高度成長期に入りテレビが普及してくると、映画はテレビに次第に押されてゆき、長期低落の傾向が顕著になってくる。60、70年代には市川崑、今村昌平、浦山桐郎、岡本喜八、黒木和雄、熊井啓、新藤兼人、勅使河原宏、野村芳太郎、羽仁進、増村保造、山田洋次、吉田喜重などの新しい世代が活躍するが、もはや巨匠の時代は終わったといってよいだろう。
 それでもまだ今よりは活況を呈していた。この時代に様々な大ヒットシリーズが生まれている。70年代の東映を支えた「仁義なき戦い」「トラック野郎」の2大ヒットシリーズ、それらと並ぶ東映の看板作品となった「網走番外地」シリーズ。東映はまた美空ひばり主演の映画も数多く製作した。ひばりと結婚したマイトガイ小林旭は石原裕次郎、「拳銃無頼帖」シリーズの赤木圭一郎とならんで日活の人気を支えた。松竹のご存知「男はつらいよ」シリーズは、第1作発表後27年間に48作が製作される大ヒットシリーズとなった。大映は勝新太郎の3大人気シリーズ、「座頭市」シリーズ、「兵隊やくざ」シリーズ、「悪名」シリーズを放ち、市川雷蔵主演の「陸軍中野学校」シリーズも大ヒットさせた。植木等の「無責任&日本一」シリーズとクレイジーキャッツの「クレイジー作戦」シリーズは喜劇の東宝。東宝はこの他にも森繁の社長シリーズと駅前シリーズ、加山雄三の若大将シリーズなどヒットシリーズをいくつも抱えていた。

どん底から活況へ
 しかし長期低落傾向は止まらなかった。80年代は恐らくどん底だろう。90年代後半ごろから新しい世代が出始めやや上向きになってきた。ようやく2000年以降になって、韓国映画の勢いに対抗するかの如く、秀逸な作品が大分作られるようになってきた。世界の映画祭で日本の作品が賞を受賞するようになってきたのもこの頃からである。宮崎駿の優れたアニメ作品が世界的に評価されてきたことも、日本映画の勢いをかなり後押ししていると思われる。
 「スウィング・ガールズ」「茶の味」「下妻物語」「深呼吸の必要」「この世の外へ クラブ進駐軍」「GO」「ジョゼと虎と魚たち」「ホテル・ハイビスカス」「突入せよ!『あさま山荘』事件」「ピンポン」「阿弥陀堂だより」「誰も知らない」。多少不満はあるが「東京原発」「草の乱」「美しい夏キリシマ」「チルソクの夏」「刑務所の中」「理由」「犬猫」なども悪くない。あるいは日本映画といえるか微妙だが、「珈琲時光」もなかなかの秀作である。「ハウルの動く城」「隠し剣 鬼の爪」「たそがれ清兵衛」などの巨匠の作品を別にしても、自分が見て感心したものだけでこれだけある。なかなかのものだ。まだまだ見落としているものもたくさんある。志の低い情けない作品がまだ圧倒的に多いが、今後どのような素晴らしい作品が生まれてくるか楽しみである。
 以前に比べて日本映画の製作体制が格段に良くなってきたわけではないだろう。映画人の養成機関も増えてきているようだが、まだまだ課題は多い。作りたくても資金が調達できなくて製作できないケースは多々ある。巨匠といわれる人でもその点では大した違いはない。国の支援体制を抜本的に強化したイギリスや韓国、テレビと映画が協力して国の支援なしでも映画の製作、上映、保存、修復体制を支援・維持しているフランスなどからもっと学ぶべきである。ちなみに中川洋吉著『生き残るフランス映画』(希林館)はフランスのシステムを詳しく紹介していて大いに参考になる。しかし、何よりも今必要なことは、映画は後世に伝えるべき優れた文化遺産だという認識を国と国民の中に根付かせることだ。これがなければ映画はいつまでも単なる「商品」というアメリカ式の考え方から抜け出せないだろう。

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