カテゴリー「日記」の記事

2008年5月27日 (火)

広島に行ってきました

 ここは来なくてはいけなかった。間近に見える原爆ドームの前に立ってそう思った。ずっと気になりながら、遠すぎて簡単には行けなかった広島。やっと念願が実現した。廃墟となりずっと静かに佇みながら人類に忘れるべからざる過去として、同時に再現されてはならない未来として無言の言葉を語りかけている原爆ドーム。今ではモニュメントになってしまい生々しさは感じられなかったが、その存在意義は今でも失われていない。対岸で行われていたコンサートでは昔懐かしいフォークソング、「花はどこへ行った」、「500マイル」、「悲惨な戦争」、「虹と共に消えた恋」などが歌われていた。

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 土曜日から月曜日まで所要で広島に出張していました。広島へ行くのは初めてでした。日曜日の午後に原爆ドームと平和記念公園を見て回り、月曜日の午前中は広島駅から歩いてゆける縮景園へ行ってきました。

 市電に乗って原爆ドーム前駅で降りると、何とドームはすぐ目の前にありました。これほど間近に見られるとは思わなかった。原爆投下からもう60年以上たっているので外壁はきれいでどこもすすけてはいない。しかし廃墟になった姿はさすがに胸に訴えかけてきます。原爆ドームのすぐそばを元安川が流れていました。すぐそばを川が流れていたことも知らなかった。その後平和記念公園の中を歩き、原爆死没者慰霊碑、原爆供養塔、平和の鐘、原爆の子の像などの写真を撮り、平和記念資料館にも入りました。その後広島城にも行きました。ものすごく暑い日で、お城の最上階は風が通って汗をかいた体に気持ちよかった。

 縮景園は実に素晴らしい日本庭園でした。それほど広い庭園ではないのですが、細かい道があちこちについていて驚くほど変化に富んでいる。歩いているといろんなものが見つかる。楽しかった。特に庭の真ん中にある濯纓池(たくえいち)とそこに渡してある跨虹橋(ここうきょう)が素晴らしい。この石橋の写真が撮りたかった。何故か長野には石橋がない。初めて撮った石橋。とても気に入った。

 案内パンフによると、縮景園という名称は、多くの勝景を集め縮めて表現したことから来ているが、中国の西湖周辺の風景を縮めて表したことによるとも言われているそうです。1620年、広島藩主となった浅野長晟が別邸の庭として作らせたもの。作庭したのは茶人であった家老の上田宗箇。

 詳しい旅行記は別館ブログ「ゴブリンのつれづれ写真日記」に後日載せます。

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2008年3月 3日 (月)

不思議の町祢津

 今日は前回に引き続いて祢津(ねつ)探索に行くことにした。国道18号線から浅間サンラインに出て小諸方面に向う。新屋の信号で左折する予定だった。ところがその信号を見落としてしまった。あれ、こんな先だったかなと思い引き返そうかと思ったとき新家の信号が見えてきた。やれやれここだったかと安心して左折した。本来はここで気づくべきだった。実はサンラインには「新屋」と「新家」というよく似た名前の信号があったのだ。もう何十回となく走っているのに今まで気づかなかったなんて!

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 しかし、何が幸いするか分からないものだ。この勘違いが意外な発見に導いてくれた。山道を登りながらやはりここは違うと気づいて途中から引き返してきたのだが、そのときに信じられないものを見た。「あれ、今確かに人がいたよな。」いるはずのないところに人が見えたのだ。しかも、かがんでいるあの姿勢はひょっとして?あわてて道端の通行の邪魔にならないところに車を停めて、デジカメを持って飛び出した。坂道を少し戻ると左手にため池がある。帰宅後地図で確認したところ、どうやら天池という名前らしい。

 池は何と完全に凍結していた。氷の上に雪が積もって全体が真っ白に見える。その池の氷の上で人が釣りをしていた。この時期になるとよくテレビで見かける風景ではある。氷上のあちこちに小さなテントを設営して、氷に穴を開けて魚を釣る。ワカサギ釣りだ。それと同じ光景をこんなところで見かけようとは。釣っているのはワカサギだろうか?わざわざ放流したのか?いずれにせよ、こんな光景は初めて見た。そもそもいくら寒いといっても塩田辺りのため池では人が上に乗れるほど厚くは氷が張らないだろう。上田の標高は400メートルだが、この辺は500メートル以上あるかもしれない。

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 いやはや、怪我の功名とでも言おうか。道を間違えたおかげで面白い写真が撮れた。ほくほくしながら車に戻り、また道を引き返す。今度は間違いなく「新屋」で曲がった。坂を上ってゆくと左側に大きな案内地図があった。クマイチさんが言っていたのはこれだったか。看板の下を曲がって祢津公民館の駐車場に車を停めた。前回来たときにこの公民館の写真を撮っていたが、裏側から入ってきたので入り口にあるこの大看板には気づかなかった。それにしてもこの狭い地域に公民館が3つもあるなんて。やっぱり祢津は只者ではない。

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 さっそく地図に従って八間石を見に行く。根津小学校の近くにあるようだ。八間石とは長さがおよそ八間(15m)ある巨岩。昔所沢川で土石流が発生した時その勢いて500m下まで押し流されてきたのである。小学校を過ぎてさらに少し歩くと右側にそれらしき岩が見えてくる。所沢川に掛かる塩沢橋のところで右に入ると川のすぐそばに八間石があった。世界一の一枚岩、オーストラリアの「へそ」エアーズ・ロックに比べれば桁違いに小さいが、こんなものが上流から押し流されてきたのかと驚くには充分な大きさである。

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 また看板のところに引き返す。途中「巫女の墓」があるはずだが、見つからなかった。石碑は一つあったがどうも違うようだ。ところが後でよくその写真を見たら、その背景に大きな石碑がもう一つ写っていた。あるいはこれがそうだったのかもしれない。

 次に長命寺に行った。看板からまっすぐ坂を登った突き当たりだ。お寺の前に青と緑の中間のような色の帽子を被ったお地蔵さんがあった。よく見かける赤い帽子もかわいいがこの色もなかなかいい。お寺の横に六地蔵が並んで立っていた。これがまた何ともかわいい。こちらは黄色やら緑やらカラフルな帽子を被っていなさる。横にその由来が書いてあって分かりやすい。門の中には入らずに、横手を回って寺の裏手に出た。散歩道がついており、お姫尊と巨石があるらしい。道は左に続いているのでそのままゆけば西町の歌舞伎舞台(前回東町の歌舞伎舞台を撮ったので、今回はこちらを撮るのが主たる目的)の方に行くだろうと見当を付けて、散歩道に踏み込んだ。

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 最初はのぼりできつい。息が切れるころに天辺に出る。そこからは緩やかな下り。下り切ってやっと舗装道路に出たが、お姫尊と巨石がどこにあるのかわからなかった。途中から何も案内板がない。通り過ぎてしまったのか、この先にあるのか。舗装道路との合流点に「水神宮」と書かれた鳥居があるが、これもそれらしきお宮は見当たらない。舗装道路をさらに登ったところにあるのかも知れないが、そこまで行ってみる気はないので道を下った。

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 道々両側を見ながら歩いているといろんなものが見つかる。石を組んで作った窯の様なものがあった。炭焼き窯だろうか。上から煙が出ている。次に「宮ノ入のカヤ」と書かれた看板が目に入る。カヤ葺き屋根のカヤだが、不思議なことにそれらしき木が見当たらない。高さ35mもある「わが国でも有数の巨樹」と書いてあるが、看板の近くにあるのはせいぜい2m程度の木だけ。切ってしまって看板だけ残っているのか?それにしては切り株も見当たらない。う~ん、まさに不思議の町。誰も歩いていないので尋ねてみる事もできない。

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 その看板のすぐ下に実は「祢津氏居館跡」があったのだが、これも見落とした。もう少し坂を下ると歌舞伎舞台が見えてきた。読み通り、長命寺裏の散歩道は祢津建事神社の上に出るようになっていたわけだ。西町の歌舞伎舞台は東町のそれと形も大きさもほぼ同じだった。こちらも雨戸が閉まっているので中は見えない。脇の説明書きによると歌舞伎はごく近年まで村の人たちによって演じられたとある。例祭や秋の豊年祝など村人たちの生活と密着していたというのはすごい。豊かな町だったに違いない。実際、町中を歩き回ってみると、どっしりとした大きな岩などを配した立派な日本庭園を持った家が多い。

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 歌舞伎舞台と祢津建事神社の写真をふんだんに撮ってまた先へ行く。しかし面白い町だ。家がまばらなところは本当に田舎の風景だし、路地などはどこか懐かしさすら漂っている。古い建物や時には廃屋と思われる建物が随分たくさん残っているのだが、感じるのは貧しさではなく豊かさである。小さな祠や道祖神などが町のいたるところにある。板塀の前、庭の一角、面白いのは家の土台の石組みの中に組み込まれていた夫婦道祖神。こんなものは初めて見た。元々そうなっていたのか、家を建て替えるときに近くにあったものを石垣にはめ込んだのか。いずれにせよ、文字通り生活の中に歴史が違和感なく溶け込んでいる。その自然な佇まいが素晴らしい。

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 もう一つ、真田東部線沿いを歩いていたとき不思議なものを発見した。四角い土台の上に半球体が乗っている。球体の一部は縦に切れ込みが入っている。見たところ天文台だ。誰か天体観測が好きな人が、趣味が高じて自分で天文台を作ってしまったのか?

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 いや、参りました。本当に不思議がいっぱい。不思議の町祢津、またいつか来てみよう。東京の「谷根千」に感動した人はぜひこちらの祢津にも来てみるべきですね。

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<付記>
 別館ブログ「ゴブリンのつれづれ写真日記」を作ってから、写真日記や旅行記は基本的にそちらに載せるようにしています。しかし今回は広く「祢津」を知ってほしいと思ったのでこちらのブログにも載せることにしました。
 別館ブログの方には今回の記事と対になる「祢津の山に異界を見る」という記事も載っています。どうかあわせてお読みになってください。また東京の根津を訪れた時の写真日記「谷根千そぞろ歩き」、「谷根千そぞろ歩き その2」も載せてあります。

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2008年1月 4日 (金)

谷根千そぞろ歩き

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。さて、本年最初の記事は「谷根千」散策です。今回もまた日記文に写真を豊富に載せてお届けします。

 * * * * * * * * * *

 大晦日に帰省する途中、谷根千(谷中・根津・千駄木)を歩いてきた。上野で山手線に乗り換えて日暮里駅へ行く。まず谷中霊園へ行く。ここは前回(99年)行かなかったところだ。入ってすぐ小平浪平の墓を見つけた。僕の実家は茨城県の日立市だが小平浪平は日立製作所の創業者である。小学校の歴史で必ず習う、地元では知らぬ者のいない有名人だ。しかし有名人の墓はこれしか見つけられなかった。広すぎるし、墓が多すぎてどこにあるのか分からない。稲垣浩、上田敏、川上音二郎、獅子文六、高橋お伝、長谷川一夫、横山大観などたくさんあるはずだが。まあ何度も来て根気よく探すしかないだろう。

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  日暮里駅の反対側に出て、御殿坂から夕やけだんだん、谷中銀座商店街へと進む。これは前にも通ったコースだ。商店街の途中にある書店で『谷根千』を7冊買った。目次を見てじっくりと選んだ。1冊525円。店主が谷根千の地図などをおまけにくれた。地図は家を出るとき持ってくるのを忘れたので大いに助かった。谷中歴史散歩という地図には七福神を始め、お寺や神社だけが載っている。その表紙の絵が素晴らしい。夕やけだんだんの上から商店街を見下ろした絵だ。絵というより滝田ゆうの名作漫画『寺島町奇譚』のようなタッチだ。作者は東京芸大卒の宮田琴(みやたこと)と書いてある。ネットで調べたら面白い仕事をしている人だ。非常に興味を引かれた。

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 商店街を抜けるとT字路になっている。根津神社に行きたかったので左折する。まっすぐ進むと三崎坂に出る。前回はこの坂沿いに「いせ辰」や喫茶「乱歩」に行ったが、今回はそのまま坂を突っ切りへび道に入る。ここも前回通ったところだが、名前の通りくねくねと道が曲がっている。かつては藍染川が流れていたところだ。道々気に入った路地や建物があると写真を撮った。へび道を抜けたところにある喫茶店に入って一休み。店の人にここはどの辺かと地図を見せて聞いたら、「根津八重垣界隈」というさらに詳しい緑色の地図をくれた。

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 根津神社は前の通りを渡ってすぐのところだった。何だこんなに近かったのか。前回もここまで来たが、根津神社はもっと先だと勝手に思い込んでいて、だんご坂の方に行ってしまった。今回も地図はざっと見ただけで、道なりに適当に歩いてきたのである。喫茶店でこの後どこを見て回るか計画を立てた。まずオバケ階段を見てから根津神社に行き、その後夏目漱石住居跡を見て、最後に大名時計博物館を回ることにした。

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  オバケ階段は何の変哲もない階段だった。間違ったのかと思って地元の人に聞いたら確かにあそこだと言う。どうしてオバケ階段なのかと聞いたら、上るときと降りるときでは段の数が違うからだと言っていた。恐らく1番下の段が上るときと降りるときでは段に見えたり見えなかったりするということだろう。それはともかく昔のオバケ階段の写真(こちらを参照)を見ると、下から見上げたとき、左に板塀右に石の塀があったのだが、今はそのどちらもない。しかも左側に別の石段があって、階段が2つ並んでいる形になっている。しかも左側の階段は上った先が行き止まりである。一体何のためにこの左側の階段はあるのか。こちらの方こそオバケ階段だという気がする。いやはや何とも不思議な階段たちだ。

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 根津神社はいろいろなものが盛りだくさんで面白かった。まず鳥居をくぐると赤い立派な門があり、その手前に緑色の橋がある。池に架かった橋だ。橋フェチとしては見逃せない。池に白い鳥が1羽とまっていた。橋、池、池の上の植え込み、どれも絵になる。もうその時点で根津神社にはまっていた。門と本殿を撮り、次に小さな鳥居がいくつも並んでいる通路(?)を撮る。通路の途中にお稲荷さんがあり、その先にまた別のお社がある。錦鯉がいるまた別の池もある。ぐるりと一周して本殿に戻ると、大晦日とあって本殿の前には何十人もお参りの人たちが列を作って待っていた。一周する間に20枚以上写真を撮っていた。来てよかった。僕は特に神社やお寺に興味があるわけではないが、ここは来てみる価値があると思った。

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 根津神社に夢中になったせいで、漱石住居跡と大名時計博物館を回るのを忘れてしまった。不忍通りを上野方面に歩き出してから思い出したが、引き返すのも面倒なのでそのまま不忍池まで歩いた。歩いて10分ちょっとか。そこで不忍池と弁天堂などを撮る。ここは盆と正月に帰省する際、電車を一時下車してよく一息入れに来るところだ。

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 2時間ほど歩いただろうか。さすがに疲れた。しかしこれだけ歩いて谷根千のごく一部しか見ていない。谷中霊園と根津神社以外は前回来たときとほぼ同じ道をたどっている。何回も通わないととても全部回り切れない。帰りにも寄ろうと思ったが上野まで立ちっ放しで疲れたのでまっすぐ上田に帰った。今度東京に来る時にでもまた寄ってみよう。谷根千は何度でも来てみたい町だ。

<ブログ内関連記事>
 森まゆみ著『路地の匂い 町の音』

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2007年7月 5日 (木)

産川探索 その2 沢山湖へ行く

 今日(7月1日)は赤地蔵と夫婦道祖神、沢山湖(さやまこ)の写真を撮りに行くことにし070611_5_2 た。三つとも「茶房パニ」の近くにあるはず。いつものルートでまず舌喰池の横を通って独鈷温泉方面へと向かう。途中手塚八幡社に立ち寄った。大きな鳥居が目立つので前から気になっていたのである。もちろん名前は近くまでいって初めて知った。田んぼばかりの所に鳥居がにょきっと立っているので非常に目立つ。その背後は山だが、山の斜面に階段がついていて、階段の途中にも赤い鳥居がある。面白い場所に神社があるものだと前から思っていた。

 車を停めて階段を上る。結構段数があるが、息が切れるほどではない。上り詰めると社殿があった。かなり古いのか、木がだいぶ傷んでいる。数枚写真を撮ってまた車に戻る。070701_3 独鈷温泉の手前を右折。坂道を上がってゆく。途中沢山湖に行く脇道があるはずだが、標識に気がつかなかった。結局「パニ」まで来てしまう。赤地蔵は車を停めたすぐ近くにあるはずだ。すぐ横に交差点があるが、なんとその交差点の所に赤地蔵があった。ここはもう何度も通ったのに、どうして今まで気がつかなかったのだろう?まあ、交差点だから当然他の車に注意を向けなければならない。よそ見をしている余裕はない。そういうことだろう。

 赤地蔵は本当に真赤だ。すぐ隣にバス停らしきものがある。横の説明書きを読むと、野070701 倉あたりは日本一降雨量の少ないところで、庶民の悩み事を聴いてくれる地蔵菩薩に託して住民が毎年雨乞いをしたと書かれていた。したがって「雨乞い地蔵」とも呼ばれているそうである。夫婦道祖神は赤地蔵から100メートルほど行ったところにある。ちょうど「パニ」の裏の道を歩いてゆくことになる。すぐに見つかった。眺めてみると実にかわいい道祖神である。説明書きにもあるように、女神と男神が互いに肩を組み、手を握り合ってほほ笑んでいる姿が何ともほほ笑ましい。家庭円満、子宝の神として崇められているというのも納得だ。しかしこの道は前に「パニ」に来た時に上がってみたと思うが、その時に夫婦道祖神に気づかなかったのだろうか。まあ、関心がないと見たとしてもすぐ忘れてしまうのだろう。

 また車に戻り、来た道を下る。今度は沢山湖に行く枝道を見落とさないようにさらに気を070701_1 配る。来る時にも目に入った大きな看板に沢山湖と書いてある。何だここだったのか。車を乗り入れると、車1台がやっと通れるほどの細い道だった。しばらく進むと右下に湖らしきものが見えてきた。湖の横にある管理事務所のような建物の横に車を停める。その場で写真を何枚か撮る。背後の山もかなりの迫力。どこか山水画を想わせる山容である。湖の周りに舗装された道がついているので、歩きながらいろいろな角度から写真を撮った。しかしこの湖は実にひょろ長い。地図で見るとウナギのように長い形をしている。その長さをうまく写真に収めたいのだが、湖の周りには木が生えているのでなかなか理想的な角度から撮れない。あそこからならいい写真が撮れそ070701_2 うだとどんどん奥まで歩いて行ったが、何せひょろ長い湖なのでなかなかそのポイントまで行きつかない。歩くより車で移動した方がいいと思いなおして、来た道を引き返す。いつの間にかかなりの距離を歩いていた。帰宅後地図で調べたら1キロほど歩いていたようだ。往復2キロである。

 車でまた同じ道を走る。さすがに楽である。先ほど引き返した地点の少し先に小さな橋があったので、車を停めて写真を撮った。誰も意識しないような小さな橋なのに、「二股橋」とちゃんと名前まで付いているのには驚いた。その橋をはさんで湖の反対側からは小川が070701_10 注ぎ込んでいる。すると沢山湖は産川の水源ではないことになる。そのことはさらに湖を回り込むように車を進めるとより明確になった。どんどん先に進むとウナギの形の尻尾の先に出る。だがその先にも道は続いている。尻尾の先は渓流になっている。そして道は上っている。つまりその小川は沢山湖から流れ出ているのではなく、沢山湖に注ぎ込んでいるのである。地図ではその渓流は産川となっている。つまり産川の水源は沢山湖よりさらに上にあり、一旦沢山湖に注ぎ込み、そこからまた流れ下っているわけだ。

070701_12  インターネットで調べてみても、産川の水源は独鈷山としか書かれていない。沢山湖沿いの道は池の尻尾の先からさらにその上流の産川沿いに続き、青木村に出る。その道をたどれば産川の水源に行けるのだろうが、そこまでは行かなかった。地図を見るとその道は沢山湖林道と書かれている。ところで沢山湖は沢山池とも表記される。もちろん実際に見た印象は池ではなく湖である。池と呼ぶには大きすぎるだろう。しかし、Wikipediaで調べてみたら面白い事実が分かった。元々はため池だったのである。1934年に工事が始まったというのだから結構古い。独鈷山のふもとに広がる塩田平は降雨量の少ないところで、各地にため池が作られている。沢山湖はそのため池に水を供給するために作られたため池だと言うのだ。いわばため池の親玉、キング・オブ・ため池である。まあ実感としてはダム湖と言った方がぴったりくるが(実際Wikipediaでは「ダム湖」という表現も使われている)。

 ただし灌漑用水としては水が冷たすぎるので、1951年から52年にかけて表層の温水070701_22 部分を取水する設備を新設する工事が行われた。さらには改修とあわせて洪水調節機能を追加する工事が1987年から行われた。竣工が96年とあるから9年がかりの大工事だった。その間犠牲者もいたのだろう。ダム管理事務所の近くに殉職碑がたててあった。まだ新しい感じなのでこの時のものだろう。  前日行った鞍が淵から上がってくる道はがけ崩れのために封鎖されていた。よく見るとその道の上にある崖には斜めに大きな亀裂が走っていた。もろい岩質なのだろうか。これが崩れたらひとたまりもない。

 行ってみてよかった。わざわざ遠くまで行かなくても、地元にこれだけ見るべき場所がある。山が多いということは、それだけ普段人の目に触れない場所がたくさんあるということである。長野県に観光地が多い、というより県全体が観光地であるのは、長野県が山国だ070701_17 ということとどうやら無関係ではなさそうだ。山のこちら側と向こう側とでは違った文化と風習がある。よく言われることだ。平成の大合併でかなり自治体数は減ったが、長野県は全国一自治体数が多い県である。面積が大きいだけではない。山が地域を隔てているのである。この探索シリーズ、しばらく続きそうだ。


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<写真の説明(上から)>
茶房「パニ」のベランダからの眺め
手塚八幡社の鳥居
赤地蔵
夫婦道祖神
沢山湖(管理事務所、放流路、取水口)
沢山湖4枚
(3枚続き左から)ダムの向かいの山、亀裂の入った岩山、殉職碑

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沢山湖(上の3枚)

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上の3枚、左から
手塚八幡社
二股橋
「パニ」のベランダ(「パニ」の写真は以前撮ったもの)

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2007年6月30日 (土)

産川探索 その1 鞍が淵を撮る

 病膏肓に入る。こんな表現を使ったのは初めてだと思うが、今はまさにそういう状態に070630_3 なっている。デジカメで写真を撮るのが面白くて仕方がない。毎週土日はどこかに出かけて、写真を撮っている。何か面白そうな情報を聴きつけたら、行って写真を撮ってくる。そんな体になってしまった。先日、そんなゴブリンの目にとまった記事がある。「週刊上田」という地元のミニコミ誌があるが、そこに「鞍が淵の周辺整備完成」という記事が載っていた。鞍が淵は「小泉小太郎」伝説の発祥の地である。この伝説は松谷みよ子の『龍の子太郎』の題材になった。学生の頃児童文学を読みあさった時期があり、『龍の子太郎』もそのころ読んだ。こういう記事を見たら行かないわけにはゆかない。早速今日行ってみることにした。

070630  その前にまずは腹ごしらえというわけで、西塩田小学校の近くにある「み田村」という蕎麦屋で食事。この店に入るのは初めて。店の内装は悪くない。窓からの眺めもいい。特に山田池の眺めがいい。後で写真を撮ることにする。きのこおろしうどんを頼んだ。麺のこしが相当に強い。でも味はまあまあだった。店の外に出て、たばこを一服。東屋が喫煙所になっていて、庭の作りも悪くない。

 車に戻ってカメラを取り、細い道を下りて山田池の写真を撮る。ここは以前まだ自転車によく乗っている頃に何度か来たところだ。雨の少ない上小(上田小県)地区にはたくさんのため池があるが、ここはその中でも特に眺めのいい池である。県道別所丸子線から見降ろしてもきれいだが、反対側から見るとさらに眺めがいい。すでに家を建てた後だが、こPhoto_113の池が眺められるところに家を建てるべきだったと後悔したものである。小高い丘の上にあるので、横に池と独鈷山を眺め、前には塩田平が見渡せる位置に建てたら最高だ。

 車に乗っていよいよ鞍が淵探索に出発。鞍が淵の正確な位置が分からないが、地図で おそらく独鈷温泉まで行けば見当がつくだろうと考えた。独鈷温泉まで行ってみると、すぐに「鞍が淵」と書いた案内板が目に入った。独鈷温泉のすぐ下を産川が流れていて、そこに飯前場橋が架かっている。その橋のすぐ横に「鞍が淵→」と書いた案内板が立っている。後はそれに従って細い山道を上がってゆくだけ。あまりに細い道なので対向車が来ないか少し心配になる。少し進んだところで左側に小さな鳥居があった。車を停めて写真を撮ろうとした。ところがバッテリー切れの表示。あわててバッテリーを入れ替える。2台の車がすれ違える道幅はないので、他の車が来ないかと気が気でない(結局最後まで1台もすれ違わなかったが)。なんとか写真を撮りまた坂を上る。あわてていたのでそれが何の社なのか確かめる余裕もなかった。

070630_13  道の右側を産川が流れていて、ずっと川のせせらぎが聞こえる。このあたりは山の中なので渓流になっている。さらに坂を上がると何かの工場らしきものが見える。それも越えてさらに上がると鞍が淵の表示が見え、その横に小さな駐車場があった。道の反対側にも駐車場があるので、併せると10台は停められるかもしれない。完全に森の中で巨木がうっそうと茂っている。車を停めた反対側に、木を切り開いた空間があり、鞍が淵についての説明が書かれた案内板が立っている。石垣を組んで平にしてあるので、何かの跡なのかもしれない。川の方に下りてゆく。川床には巨大な岩が肩を並べるようにいくつも居座っている。写真を撮るとフラッシュが作動する。巨木に覆われて昼なお暗い渓谷。文字通りの深山幽谷。憑かれたように写真を撮りまくる。しかし僕の技術ではこの景色の迫力を捉えられない。

 岩には苔がびっしりとこびりつき、地面は降り積もった枯葉で踏むと柔らかい。岩に亀裂070630_13_1 があったり、重なった岩の間を水が流れていたり、そこら中が撮影ポイントだ。岩伝いに川の中ほどまで行って撮った写真もある。岩は苔に覆われているので、足を滑らせやすい。細心の注意を払った。誰も観ていないこともあるが、こういう所に来ると冒険心がくすぐられるのである。今までずいぶん写真を撮ってきたが、早くパソコンに取り込んで、どんな風に映っているか見てみたいとこれほど思ったのは初めてだ。

070630_15  川沿いに上流の方に行くと赤いロープが切れ、少し上にある川沿いの遊歩道に出る。そこをさらに上流の方へ歩いて行った。大きな水音がするので滝か段差があるのだろうと思っていたら、川に90度の角度で水が流れ込んでいた。流れ込んでいる方はまっすぐなので川というより水路のように見える。しかし水が横から流れ込んでいる所より上流はほとんど水が流れていない。というより、行きどまりに見える。土管から水がちょろちょろ流れているだけだ。つまり下の渓流を流れている水はほとんどこの水路から流れ込んでいる水である。水路のようだが、これが本流ということになる。おそらく何かの事情で人が水の流れを変えたのだろう。水路のようにまっすぐ流れてきて、直角に曲がる川など無い。

 車に戻ると手や肩にクモの巣がたくさんくっついていた。車を停めたところのすぐ横にも070630_22 小さな橋があったので、これも写真にとる。最近は橋を見るとすぐ写真を撮りたくなる。重症だ。ともかく、また細い山道を下る。独鈷温泉下の飯前場橋のところでまた車を停め、写真を撮る。独鈷温泉下の道に出て、右折。この道沿いには中禅寺、塩野神社、竜光院、塩田城跡、前山寺、信濃デッサン館、無言館など、上田の観光名所がひしめいている。今日はそこまではいかず、中禅寺手前にある「塩田の郷マレットゴルフ場」に行った。道よりやや高い所にあるので、走っている車からは見えない。眺めがよさそうなので前から一度入ってみたいと思っていたのだ。もっとも、別にマレットゴルフに興味があるわけではない。写真を撮って、ついでに休憩したかっただけだ。なだらかな丘の斜面を全部使ってマレットゴルフ場にしている。結構な広さだ。駐車場から070630_19 周りを眺めるとこれまた景色がいい。しかし360度山しか見えない。島崎藤村の『夜明け前』の有名な一節「木曽路はすべて山の中である」をもじって、「信濃路はすべて山の中である」と書きたくなるくらいだ。

 冷たいものを飲んで一服して、また山を下りる。走っているうちに旧西塩田小学校に出た。今は「さくら国際高等学校」として使われている。普通の高校などに合わない人たちを対象とした通信制のフリースクールである。映画「学校の怪談4」などで使われた古い校舎(体育館は「卓球温泉」の卓球場として使われた)は車で走りながらでも目を引く。そういえば前に訪れた時(文化祭か何かをやっていて中に入れた)、2階で「小泉小太郎」伝説関連の絵だったか彫刻だったかが展示されていたのを思い出した。でも今回は素通り。

 別所丸子線の方に向かう途中で舌喰池が見えてきた。池の堤防が一部切れているとこ070630_17 ろがある。池の外から中の水が見える。絵として面白いので道端に車を停めて写真を撮った。堤防まで上がって池の写真も撮る。池を囲む手すりが木製でなかなか見た感じがいい。ふつうは緑色に塗った金属製のネットで囲んである。ここは前から木だったろうか?写真に突然興味がわき出す前は、そんなことに別段注意していなかった。写真を撮り始めると、それまで何気なく見ていた(つまり、見ていなかった)ものが見えてくる。もうこれは病みつきだ。家に帰って地図などを眺めていたら、もう明日の計画が頭に浮かんでいる(そんな暇ないのに)。産川の水源近くにある沢山湖や野倉の赤地蔵と夫婦道祖神なども撮ってみたい。塩野神社の月見堂にももう一度行ってみ070630_1 たい。依田川の上流部も気になる。そこら中にあるため池もシリーズで撮りたい。ああ、毎日が土日にならないかなあ。

 4時前に帰宅。庭の使っていないプランターの上で白い猫が気持ちよさそうに眠っている。どこかの野良猫だろうか。ここ数カ月ばかり、庭のプランターがこの猫の日向ぼっこ用ベッドになっている。

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<写真の説明>
舌喰池(左上)
鞍が淵、飯前場橋、舌喰池(左から)
鞍が淵(下の3枚)

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 ついでに先日産川の下流部分、浦野川に産川が合流するすぐ手前、古戦場公園の近くで撮った写真も載せおこう。浦野川はそのすぐ先で千曲川に注ぎ込んでいる。つまり、産川は千曲川の支流の浦野川のそのまた支流ということになる。

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<上の写真の説明(左から)>
堀川橋
古戦場橋
古戦場橋から見た下流
 (左前方の山が突然切れたようになっている部分は「岩鼻」と呼ばれている。鼻っ先を正面から見ると大きな窪みが二つあり、見ようによっては髑髏のように見える。岩鼻の上は千曲公園になっており、上田の市街地が一望に見渡せる。)

<追記>
 一つ書き忘れていたことがありました。「み田村」の駐車場から別所丸子線に出る道で何Photo_115 とタヌキを見かけたのです。車の前を横切ってゆきました。これまでも夜ヘッドライトにタヌキらしき影が映ることはあったのですが、夜なので本当にタヌキなのかあるいは猫なのか確信が持てませんでした。しかし今日は昼間。間違いなくタヌキでした。これほどはっきり見たのは初めて。見かけたという話は何度も聞いたことはありますが、まさかこんな所で出会うとは。でも、さすがにシャッターチャンスはありませんでした。う~ん、残念。

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2007年6月23日 (土)

ハープ橋を撮る

  天気がいいのでまた川と橋の撮影に出かける。今日はまず千曲川に架かるハープ橋070623 (新幹線専用の橋)を撮りたかった。小牧橋まで行き、橋を渡らずに川沿いの道に入る。どこか適当な場所があれば車を停めようと思っていたがなかなかいい場所がない。ほとんど橋のそばまで来てようやく空地を見つける。川の方に下りてみると、橋がものすごく大きく見える。普段は車で通り過ぎるだけでこれほどじっくりと眺めたことはない。その大きさに今更ながらびっくりする。さすがに浦野川や依田川などの支流とは違う。しかも千曲川に斜めにかかっているので橋の全長もかなりの長さになる。橋の写真を撮った後川の方を見降ろしてまたびっくり。川を横切るように大きな段差があって激しく白波が立っている。中ほどには魚道のようなものもある。川幅があり水量が多いだけに壮観だ。大きすぎて写真ではうまく表せないだろう。釣り人がたくさん川に入って釣りをしている。先週は全く釣り人を見かけなかったので、今日あたりが解禁日なのだろうか。釣りは全くやらないの070623_8 でそのあたりは不案内だ。アユ釣りだろうか。矢口高雄の『釣りキチ三平』が大好きな割には釣りの知識がさっぱりない。何枚も川と橋の写真を撮ったのだが、大きすぎて橋の全景が撮れない。もう一度車に戻って道を引き返す。適当な脇道に入って車を停める。車がびゅんびゅん通る道端に立って橋の写真を撮る。大きさはちょうどいいのだが、途中の木が邪魔に乗って橋の一部が隠れてしまっている。仕方がない。また車に戻る。

 車を出して小諸方面(上流方向)に向かう。東郷橋のあたりで車を停めたかったが、うっ070623_2 かり脇道を通り過ぎてしまったので仕方なく先に行く。アップルランドの駐車場に車を入れる。道を渡って依田川に出る。ここも釣り人がたくさんいた。水量は千曲川ほどではないが、川幅はかなり広い。何枚か写真を撮って車に戻る。東郷橋と依田川が千曲川に合流する場所を撮りたかったのでまた引き返す。東郷橋を渡ってすぐ橋の横にある道に車を入れる。浄水所(川沿いを走っていると浄水所をあちこちで見かける)の横に車を停め川に出る。まず東郷橋の写真を撮った。東郷平八郎にあやかってつけた名前らしいが、橋自体は特にどうということはない。ここも釣り人でいっぱいだ。河原は石ころがごろごろしている。写真を撮りながら千曲川との合流点に向かう。合070623_3 流点あたりで河原に下りる。丸みを帯びた大きな石が一面にごろごろしていて歩きにくい。

 車に戻る途中ふと河原を見ると、コンクリートの塊が河原に横たわっている。護岸用に張られていたコンクリートが洪水のときにでもはがされて、ここまで押し流されてきたのだろう。水の力はすごい。八丈島だったか、軍艦ほどもある巨大な防波堤が台風の後で見たら跡形もなく無くなっていたという話を椎名誠の本で読んだことがある。

 雲が出てきて薄暗くなってきたので、来た道をまた車で引き返す。小牧橋まで戻ってきたとき、橋を渡って対岸の千曲川市民緑地まで行けばハープ橋の全景が撮れると思いつい070623_7 た。さっそく橋を渡り緑地に車を乗り入れる。こちら側からなら邪魔ものがないのでハープ橋がきれいに撮れた。ただ曇ってきていたのできれいな青空が映らないのが残念だ。この白い橋は真っ青な空が似合う。千曲川の写真も撮った。さすがに本流だけあって堂々たる川だ。千曲川の下流は信濃川と名前を変える。新潟市に入ると河口に近いので川幅も広く大変な水量である。しかし全面水なので変化がない。上田市を流れる千曲川は川の中に中州があったり、巨大な岩があったりと、川の表情に複雑な変化がある。それが大きな魅力だ。川の右岸(上流から下流を見て右手に070623_13 あるのが右岸である)はゲートボール場になっている。この緑地にはグランド(「博士の愛した数式」に河川敷で野球をやるシーンがあったが、ロケは確かこの緑地内で行われたと思う)や釣り堀などもあり、市民の憩いの場所になっている。もう5時頃になっていた。これで切り上げて帰宅する。

<追記>
 ネットで調べてみたら、千曲川水系での鮎解禁は6月17日だった。つまり先週の土曜日に馬坂橋の写真を撮りに行った翌日だった。そうか、それであの時は誰も釣っていなかったんだ。

<写真の説明(上から)>
ハープ橋(2枚)
アップルランド近くの依田川
東郷橋
依田川と千曲川の合流点
 横に流れているのが千曲川(右が上流)、右下から流れ込むのが依田川
依田川のコンクリートの塊(合流点のすぐ上流)
ハープ橋の下を流れる千曲川(左下)
市民緑地から見たハープ橋 (右下)

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2007年6月16日 (土)

依田川探索 その1 馬坂橋を撮る

 川のある生活は幸いなるかな。今日依田川探索に出かけて改めてそう思った。上田に来070616_7 て6年目くらいまでは千曲川のほとりにあるアパートに住んでいた。ちょっと時間があれば自転車でよく川沿いを散歩(散輪?)したものだ。その後引っ越してからは千曲川が遠くなり、川が身近ではなくなってしまった。今でも千曲川の近くに住んでいたころが懐かしい。

 今回探索の対象に依田川を選んだのは、一つには先週醤油久保橋の写真を撮ったからである。上小地区にあるもう一つの木橋、馬坂橋の写真を撮りたいと思ったのである。だが、依田川は前々からずっと気になっていた川である。千曲川をこよなく愛していた割には、ちょっと前まで浦野川や産川などの中小河川は全く眼中になかった。しかし依田070616_6川は大屋駅近くで千曲川に注ぎ込む千曲川の支流であるが、結構大きな川なので流域に よって様々な顔を持っている。中丸子から下丸子あたりでは千曲川に匹敵する川幅を持っている。何より、腰越橋近くの大渕・中渕あたりでは渓谷のような様相を呈していて、野趣があって素晴らしい景観を呈している。これまで車を停めてじっくり眺めたことはなかったのだが、ずっと気になる川だったのだ。

 今日は日差しがきつかったので、2時ごろから探索に出発する。道路地図に馬坂橋の名前が載っていないので、ネットで調べた地名から大体の位置を予想した。とにかく行ってみよう。分からなければ誰かに聞けばいい。そんな覚悟で行った。腰越橋あたりで一旦川の070616_8 写真を撮ろうと思って、橋の手前にある信号を左折した。その方が川に下りる道がありそうな気がしたからだ。曲がってすぐ前方に橋が見えた。何と写真で見た馬坂橋そっくりではないか。こんなにあっさり見つかっていいのか、といささか拍子抜けしたほどである。とにかく川沿いに駐車できるスペースがあったので車を停める。

 河原に下りて橋の方へ歩いて行った。間違いない、馬坂橋だ。新しく付け替えられたば070616_10_2 かりなので、写真で見ると見るからに人工的な色で味気ない印象だった。しかしさすがに間近で観ると太い木材の迫力を感じた。どっしりとした重量感がある。河原からまず上向きに写真を撮った。橋の横に支えのような形の木組みがあるが、不思議なことに橋とはつながっていない。これは一体何のためにあるのか?上流側にだけにあるのも不思議だ。 

 堤をのぼって上にあがる。上から見ると何とも不思議な橋だ。欄干がない。橋の両端に手すりのようなものがあるにはあるが、何せやっと足首の上に届く程度の高さなのでほとんどないのと同じだ。かがまなければ触れないので「手すり」ではなく「足すり」である。なんでこんなに欄干が低いのか。見れば見るほど不思議な橋である。もっともそれなりに幅が070616 広く、川面からの高さがそれほどないので、欄干がなくても不安は感じない。橋の中ほどから川の上流と下流の写真を撮り、橋の向こう側からも橋の写真を撮る。まだ真新しい感じだが、時間を経て古びてくると味わいが出てくるだろう。

 一通り写真を撮って車のところに引き返す。そのまままた車に乗ろうと思っていたが、腰越橋がすぐ近くなのでそのあたりの写真も撮ろうと思い直した。そもそもそれが当初の目的だった。橋を越えると風景が一変する。川底が深くなって渓谷のような様相を帯び、川床には巨岩がごろごろと横たわっている。まるで木曽川にある景勝地070616_9_1 「寝覚ノ床」のようだ(ちょっと大げさか)。狭い階段を下りて写真をバシバシ撮った。石が岩を削って岩に穴があいている場所もある(屋久島の或る川を源流までさかのぼるドキュメンタリー番組で、石がうがったもっと大きな穴を見たことがある)。う~ん、写真ではこの渓谷(「大渕・中渕」と呼ばれているのは後で道路地図を見て知った)の迫力が出るかどうか。対岸の巨大な岩の一つは柱状節理(ただし縦ではなく横向き)のようになっている。

 しかし腰越橋をはさんで、どうして川の表情がこれほど一変するのか?依田川は腰越橋を越えるとすぐ山にぶつかり、右にカーブしている。この巨大な岩はその山から落ちてきた 070616_1_3 のだろうか。上流部分は山からそれて平坦な部分を流れているので、上流からここまで運ばれてきたとは考えにくい。いや、上流が平たんなのは川に削られたからであって、削られ残った巨石が上流から押し流されてきたのかもしれない。川がカーブしているので流れが緩くなり、そこに巨岩がたまったとも考えられる。まあ、そんな推理は専門家に任せるとして、ともかくここは知られざる不思議スポットとして認定しよう(僕が認定したところで、何ほどの権威もないが)。

 さて、今度こそまた車に乗ってさらに上流へ向かう。「おお、まだ攻める気か」と感心するかもしれないが、実は武石沖のジャスコでトイレを借りたかっただけ。そこで家に引き返す070616_5 つもりだった。しかしトイレから出ると ”追い立てられる気分” が抜け、もっと写真を撮りたくなった。上流方向に向かい、和紙の里横の下立岩の信号を左折する。適当なスペースに車を停め、そこから歩くことにした。すぐ横に ”立岩下の橋” があった。写真を撮り上流に向かう。すぐ隣の橋はなんと ”立岩上の橋” となっていた。う~ん、わかりやすい。このあたりの風景も独特の情緒があっていい。何となく金沢の浅野川(ひがし茶屋街あたり)を連想した(これまた大げさか)。さらに上流まで歩くと駒形橋があった。これは先の二つの橋より大きな橋で、形もいい。橋の向い側に鐘楼らしきものが見えるので、橋を渡ってみた。来福寺という小さなお寺だった。門と鐘楼の070616_1_1 写真を撮った。川を探索しているといろいろな出会いがあって面白い。こんなところまで入り込まなければ決して出会うことのないお寺だ。

 もっと下流のジャスコ近くの川を撮りたかったので、道を引き返して和紙の里横のコンビニの駐車場に車を停めた。ものすごく広い駐車場で、その奥はすぐ川に面している。川まで降りて写真を撮った。ほんのわずかな距離だが、ここも立岩下の橋あたりとは全く川の表情が違う。川の向い側は山だ。岩山で、木の間からごつごつした岩肌が所々むき出しになっている。立岩下の橋あたりは町中を流れる川だったのに、ここでは森の木立の中を流れる野性的な川になっている。これほどわずか070616_2 な距離で表情が変わる川も珍しいのではないか。正面の山も突然目の前にそそり立つ感じで、たいして高くない山なのに視界を完全にさえぎってものすごく大きく感じる。このあたりの川床は巨岩も一つ二つあるが、小さな石が一面に敷き詰められたように重なっている。川の景色がきれいなので何枚も写真を撮る。駐車させてもらったので、コンビニでジュースを買ってまた下流に向かう。

 すぐまた車を停めるスペースがあったのでそこに乗り入れる。ちょうど152号線に架かる武石橋の横だった。よく見ると武石橋のすぐ10メートルほど先で武石川が依田川に流れ込んでいる。ここは合流地点だった(武石橋は武石川に架かっている)。このあたりは先ほ070616_5_1 どのコンビニからほんのわずか走っただけなのだが、また川の表情が違う。巨岩がごろごろしている。瀬もあって表情が豊かだ。ここでも何枚か写真を撮った。

 もう5時頃になっていたので、今日の探索はここまでとして家に向かう。ところが、依田川橋を渡っている時に、ついでにもう1か所寄って行こうという気持ちになった。依田川を渡ってすぐ先に信号がある。そこを左折してすぐ左側に喫茶「リバーサイド」がある。そこに寄ってみたかった。車を停めて、まず依田川070616_10_3 の写真を撮る。このあたりは相当に川幅が広い。もう渓流の趣はなく、とうぜん野性味も全くない。千曲川のように悠々と流れる川である。これはこれでまたいい眺めだ。「リバーサイド」でアイスコーヒーを飲む。ここは確か普通の民家を喫茶店に改造したものだったと思う。店内が明るく清潔な感じで、ここも好きな喫茶店の一つである。確か目立つ看板が出ていなかったと思うので、知らないと通り過ぎてしまう。結構穴場的な店だ。20分ほど休んで店を出る。今度こそ家に帰った。

 しかし、依田川はすごい。浦野川はおとなしい感じの川だが、依田川には白波が立つ瀬あり、巨岩がごろごろと転がる渓谷あり、ゆったりとした情緒を伴って町中を流れる個所もある。さながら川の「怪人20面相」だ(例えが古すぎる!)。いやはや、こんな川に出会っ070616_1_4 たのではもうやみつきですな。明日も出かけちゃおうか(おいおい、「王の男」のレビューはどうなったんだ!?)。

<写真の説明(上から順に)>

馬坂橋(4枚)

腰越橋

大渕・中渕(3枚)070616_3

駒形橋

来福寺の門

コンビニ裏の依田川

武石橋下の依田川

喫茶「リバーサイド」(2枚)070616_3_1

来福寺の鐘楼

武石橋(左下、橋のすぐ左側が合流点)

立岩下の橋(中)

立岩上の橋(右下)

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「リバーサイド」から撮った依田川橋(右上)



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大渕・中渕(右下)



武石橋から見た依田川と岩肌の露出した山(右下)

和紙の里(左下)

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2007年6月11日 (月)

塩野神社の神橋

 前の記事「浦野川散策 その4 醤油久保橋を撮る」で塩野神社の太鼓橋のことに触れ070611_4_2 たので、以前に撮った写真を載せておきます。

 ここはもう何度か行ったところですが、うっそうと杉などの大木が生い茂った中に神社があります。ほとんど日が差し込まないので真夏でもひんやりと涼しい。本殿の前を小さな小川が流れており、そこに神橋がかかっています。屋根つきの独特の形。生島足島神社の御神橋に似ていなくもないですが、極彩色ではなく木肌のまま。その古びた色合いにまた味があっていい。橋の下を流れているのは小さな川ですが、ちょっとした渓谷の趣があって、どことなく深山幽谷にいる感覚になります。まるで巨大なドームのような巨木に包み込まれているせいでしょうか。

070611_7   あちこちに大きな石がたくさんあって、その石も地面も一面コケに覆われています。苔寺ならぬコケ神社。橋を渡った一番奥に本殿があります。何度か書いたことがありますが、2004年5月29日にここで韓国映画「青燕」のロケがありました。その時エキストラで出たのですが、僕ともう一人のエキストラの女性が夫婦役で本殿前まで歩いていってパンパンと手を打ちお参りして、また石段を降りてくる役でした。主役の二人(笛木優子さんともう一人男性俳優)は大きな石の蔭にいてこちらからは見えないのですが、当然キャメラは彼女たちを中心に撮っているわけで、僕らは遠くの方に小さく映っているのでしょう。日韓の間の様々なしこりのあおりでまだ日本では公開されていないのですが、観る機会があったらぜひ自分たちが映っているか確かめてみたい。

 本堂の横に裏の山に登る小さな道がついていて、初めて来た時にその道を上ってみた070611_12 ことがあります。結構きつい道でしたが、どんどん登ってゆくと展望台に出ます。塩田平一帯が見渡せて素晴らしい眺めでした。しんどいのでその後は一度も上ったことはないのですが、一度展望台から写真を撮ってみたい。そのためにも普段からもっと運動をしておこう。

<付記>
・浦野川散策を始めたこともあって、このところデジカメで写真を撮ることに凝っています。茶房「パニ」の写真も先日撮ったので、以前書いた「パニのベランダで伊丹十三を読みながら」という記事に入れ込みました。

・前にレンタルして観ないで返した「王の男」を観ました。軽い喜劇かと思っていたのですが、韓国版「旅芸人の記録」ともいうべき重厚な歴史劇でした。特に後半がすごい。シェイクスピアを思わせる素晴らしいセリフがふんだんに出てきます。芸人が目をつぶされ、見えない目で綱渡りをするあたりは「風の丘を越えて」を連想させられました。韓国映画としては「トンマッコルへようこそ」「グエムル 漢江の怪物」と並ぶ昨年の収穫です。「王の男」についてはレビューを書きます。

「王の男」 ★★★★☆

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浦野川散策 その4 醤油久保橋を撮る

  あいにく小雨が降っていたが、今日(10日、日曜)ようやく醤油久保橋の写真を撮ってき07610_1_1 た。醤油久保橋は依田川にかかる馬坂橋と並んで上小地方に二つある木橋のひとつである。しかし、それ以上にこの橋を有名にしているのは何度も映画などの撮影に使われているからである。最近のもので有名なのは上戸彩が牛車に乗って橋を渡るオロナミンCの「元気はつらつ?」CM。牛若丸のタッキーも出ていたあれだ。あの橋がこの醤油久保橋。前から一度実物を観たいと思ってはいたが、ほんの数日前までどこにあるのか分からなかった。このところ橋の写真を撮ることに熱中しているので気になってネットで調べてみた。何と醤油久保橋は浦野川にかかっている橋だった。いやはやびっくり。「浦野川散策 その3」で最後に行った岡橋のさらに下流にある。道路地図で調べたら六中の近くではないか。あの辺は日帰り温泉施設「ささらの湯」に行くときによく通るのにどうして気づかなかったのか。とにかく早く行ってみたくて仕方がなかった。

  土曜日は用事があって新宿に行っていたので今日行ってみることにした。そうそう、つい070610_1 でに「ジュンク堂新宿店」に行ってきましたよ。ビルの3つのフロアを占領しているのだから相当な本の数だ。歴史と文学と映画のコーナーを丹念に観たが、結局1冊も買わなかった。欲しいものは手帳にメモして、家に帰ってから持っているかどうかチェックした上でアマゾンで注文しようと思ったからだ。しかしチェックしたらほとんど持っていた。あれだけたくさんあっても欲しいものは限られていて、しかもちゃんと入手済み。そういうものか。あわてて買わずに、冷静に対応してよかった。

  話を元に戻そう。昼食の後、醤油久保橋に向かう。赤坂上から143を青木方面に向かい、吉田の信号で右折。六中の横を通って浦野川に向かう。川がなかなか見つからない。六中のすぐ裏だったように思っていたが違っていたらしい。しばらく走ってやっと川に出る。すぐ橋が見えた。橋は八幡橋だった。確か地図で見た記憶ではその隣に醤油久保橋があるはず。ここで橋の名前を地図で確かめておけばその後の混乱はなかったはず。しかしその時は勘違いに気づかなかった。

  川沿いには道がないので、ちょっと六中の方に戻って迂回する。田んぼの中の細い道を070610_1_1 通る。この辺は初めて足を踏み入れる。やっと橋に出た。だが木の橋ではない。写真を撮りながら名前を確かめると浦野川橋となっていた。そこで初めて地図を確かめた。だいぶ下流に来てしまったようだ。川の反対側に出ると、川沿いに道がある。最初からこっち側に出ればよかった。川沿いの道を上流方向に引き返す。

  このあたりもまた独特の雰囲気があった。しばらく走ると弓埼神社があり、反対側に駐車スペースがあった。たぶんこのあたりだろうと思って車を停める。階段があるので川まで下りてみたが、醤油久保橋が見えない。右側(上流)に先ほど撮った八幡橋が見える。しかし他に橋はない。川がカーブしているのでその先かと思って川沿いの細い道を下流の方へ歩いてみる。浦野川橋が見えてきたが他に橋はない。キツネにつままれた気分だった。車を停めたところに戻りながら不思議で仕方がなかった。

070610   車に戻って改めて地図を確認する。地図では六中のすぐ横をまっすぐ行けば日向橋に出るはずである。しかし着いた橋は八幡橋だった。この橋はなぜか地図に名前が載っていない。ともかくまっすぐ行かずにどこかで右に曲がっていたのだろう。日向橋の下流の醤油久保橋のさらに下流にある八幡橋に出ていたのである。八幡橋で写真を撮ったときに地図を確かめていたら、その時点で間違いに気づいたはずだ。しかし間違えたおかげで浦野川橋の写真も撮れたと思えばむしろ良かったのかもしれない。

  とにかくもっと上流まで行かねばならないことは分かった。車を出してしばらく走ると木の橋が見えてきた。これに間違いない。車を橋の近くに停めて、小雨が降っていたので手早く醤油久保橋の写真を撮る。確かに木の橋は石やコンクリート造りの橋よりも温かみと味わ07610_3 いがある。古びた感じがまたいい。何といってもあの独特の形の灯籠がいい。横から見ると橋の一部がやや下にさがっているのが気になる。川床がえぐられているのかも知れない。オロナミンCの撮影の時かなりの人数が上に乗ったはずだから、その時に沈んだか?付近に家はまばらで、普段あんなに大勢が橋を渡ることはないだろうから。曇り空で薄暗かったが、写真はソフトを使えばいくらでも修正がきく。とにかくずっと気になっていた橋の写真が取れて満足だった。

  帰りは隣の日向橋を渡った。そのまままっすぐ進むと六中の横を通り吉田の信号に出た。あれっ、じゃあさっき来る時は何で八幡橋に出たんだ?う~ん不思議空間。どっか途中にワープ地帯でもあったのか?どうもすっきりしない。今度また来て確かめてみよう。

  これからも川と橋の写真は撮り続けようと思っている。いずれ「ユニークな形の橋10選」などを選んでみようとも思っている。今のところ高速が通るローマン橋、新幹線が千曲川を070604_1 渡るときに通るハープ橋、生島足島(いくしまたるしま)神社の御神橋、塩野神社の太鼓橋(韓国映画「青燕」にエキストラで出た時ここで撮影した)、そして醤油久保橋は当確。参考までに6月4日に撮った生島足島神社の写真も一緒に載せておきます。

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2007年6月 3日 (日)

浦野川散策その3 上流の沓掛川と田沢川を行く

 今日も浦野川の橋を写しに行く。今日は晴れてはいるが晴天とは言えないので、沓掛川Photo_98 と田沢川の合流点を写す程度にしようと思っていた。143号線をまっすぐ青木までゆく。青木村役場の先で左折。沓掛温泉へ行く道に入る。保育園の下の駐車スペースに車を停める。最初勘違いして保育園の横をぐるっと回って図書館や体育館のある方へ上がっていってしまった。図書館の横で道行く人に合流点の場所を聞いたら、もっと下流の方だと言われた。保育園の下まで降り、そこから蕎麦屋がある方へ入ると落合橋があるのでそのあたりだと教えられた。二つの川が合流するから落合というのだと。なるほど、納得。

Photo_99  すぐ道を引き返す。先ほど車を停めた近くへ来ると道の反対側に蕎麦屋の看板が出ていた。蕎麦屋の横を通ると正面に橋があった。夫神(おかみ)橋と書いてある。そこでまず何枚か写真を撮った。しかしそこは合流点ではない。橋には沓掛川と書いてあるので、合流点はもっと下流になるはずだ。川沿いに下ろうと思ったがこちら側の道は途中でなくなっている。また夫神橋まで引き返して対岸までゆくのは面倒なので迂回しようと考えた。それが幸いした。道を左に曲がってすぐまた別の橋があった。それが落合橋だった。白いガードレールがついた一番魅力のないタイプの橋。こちらは田沢川である。下流を見ると合流点はすぐそこだった。川床は背の高い草でほとんど覆われている。川の水は端の方を申し訳なさそうに流れている。

 落合橋を渡って迂回するとかなり遠回りになりそうなので、また夫神橋まで戻って反対側の川岸に出る。川沿いを少し歩くとすぐ合流点に出た。何枚か写真を撮る。目の前を左1_6 (上流)から右にまっすぐ流れているのが沓掛川。ほぼ正面から(正確にはやや左斜め前から)田沢川が沓掛川に流れ込んでいる。田沢川のすぐ右横は青木小学校。地図によると合流した先は田沢川になっているので、ちょうど自分の目の前を横に流れている川は、合流点の左側が沓掛川で右側は田沢川ということになる。なんか不思議な感覚だ。しかし視点を変えて正面の田沢川の方から見れば、丁度左に湾曲しているところに右から沓掛川が流れ込んでいることになるわけだ。合流した先も田沢川となっているということは沓掛川は田沢川の支流ということになるのだろう。二つの川の川幅がほぼ同じで、しかも沓掛川の方が見かけはまっすぐ流れているので、沓Photo_100 掛川に田沢川が流れ込んでいるように見える。しかし正確には田沢川に沓掛川が流れ込んでいると言わなければならないことになる。実に面白い。

 せっかくここまで来たので沓掛川と田沢川の橋も写真を撮ることにした。まず沓掛川から。沓掛温泉へ行く12号線をしばらく走り、途中で左折して川の方に向かう。すぐ橋があった。中道橋。写真を撮る。そこから車1台がやっと通れる川沿いの細い道を上流に向かって進む。もうこの辺に来ると橋の間隔が長くなる。次に見つけた橋は名前が書いてなかった。しばらく川沿いの道をゆき、また12号線に戻る。すぐ先を左折して沓掛橋を渡り、沓掛温泉に向かう。左折せずに右折するとログハ1_7 ウスのカフェ「ヴィエント」と「リフレッシュパークあおき」がある。

 沓掛温泉に上ってゆく坂の途中で写真を撮った。こっちの道に来たのは高いところから川を撮りたかったからだ。川はよく見えないが、田んぼが美しい。田んぼはやはり日本の田舎の風景の原点だ。沓掛温泉でも少し写真を撮る。すぐまた降りて、さっき渡った沓掛橋の写真を撮る。12号線に戻りさらに上流を目指す。そこから先は山なので、沓掛川は深い谷底を流れている。しかし道からやや離れているので、なかなかいい写真を撮るスポット1_8 がない。やっと脇道に入り荒屋橋の写真を撮る。もっと上流の写真も撮りたいが、さらに上に行けばどこかに車を停めて谷に下りてゆくしかない。まあ、今回はこれで勘弁しておいてやろうか、はははは。

 道を下って今度は田沢川の方へ行く。143号線に戻り、青木峠方面に向かう。田沢川は道の右側を流れている。適当なところで右の脇道に入る。最初に見つけたのは洞橋。このあたりも川底のほとんどを草が覆っている。橋のたもとにアイリスが咲いていた。青木には有名な「アイリスの郷」がある。そういえばま2_9 だ行ったことがなかったな。

  また143に戻る。途中赤い家がまたあったのでこれも写真に撮った。次に見つけた橋は下木戸橋。橋を越えてすぐ車を停め、写真を撮る。農作業をしていた人たちが不思議そうに見ている。全く気にならない。憑かれたように橋を求めてひた走っている。やり出すと凝る性分ではあるが、写真を撮ることにこれほど執着するとは自分でも意外だ。それはともかくここはなかなかいい橋だった。川の表情や周りの風景が素晴らしい。もう日もだいぶ傾い Photo_111 てきたので、これ以上先にはゆかず、今度は川沿いの道を通って引き返すことにした。田沢川の橋はこれ以上撮らなかったが、眺めのいい場所で川と家並みの写真を撮った。川沿いに建っている家はどれも新しくてきれいだ。

 また143号線に戻り、上田方面に向かう。家に帰るつもりだった。ところがとことん写真を撮ろうという気分はまだ収まっていなかった。今度は浦野川橋めぐりの出発点になった古郷橋の下流を撮りたくなった。143と浦野川が交差する浦野橋のところは左折する道がないので、早めに左折した。田んぼが一面に広がっている。川のようなものがあるので行ってみると、それは川というより水路だった。橋の横に赤い花が大量に植えられていた。その横には変わった形の建物があった。前から何の建物かと思っていPhoto_101 たが消防署だった。写真を撮っていると他の車が後ろから来たので、押し出されるようにしてまた143に戻ってしまった。

 浦野橋のすぐ先にある仁古田の信号で左折した。川は道の左側にあるはずなので、生協の診療所のあたりでまた左折する。すぐ橋があった。岡橋である。ここは素晴らしかった。橋自体も古郷橋のような石橋で趣があるが、何といってもここは川幅がぐっと広くなっていて眺めが素晴らしい。時間があればゆっくりと川沿いを散歩したいくらいだ。下流にもう一つ橋が見える。仁古田2_10 の信号から左折した道をそのまままっすぐ行くとその橋を渡ってもう一度浦野川を横切ることになる。だいぶうす暗くなってきたのでその後はまっすぐ帰宅した。

 昼過ぎに出発した時にはここまで徹底して橋と付き合うつもりはなかった。ここまでやるとは自分でもびっくり。これまで通ったことのない道にずいぶん踏み込んだ。意識してはいなかったが、橋めぐりをすると同時に大好きな裏道探索もしていたことになる。道理で面白いはずだ。また来週も橋めぐりに出てゆきそうだ。そういえば、「リフパークレッシュあおき」の横にも宮淵川という川が流れていたな。あれは沓掛川の支流になるのか。日記を書きながら心はもう次の週末に飛んでいる。

<追加の写真>

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<写真の説明>
左上:名無しの橋
中:落合橋(田沢川)から見た合流点
右下:荒屋橋

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<写真の説明>
左上:沓掛温泉からの眺め
中:沓掛橋
右下:田沢川近くの家並み

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<写真の説明>
左上:下木戸橋
中:下木戸橋下流の田沢川
右下:岡橋の上流

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<写真の説明>
左上:岡橋
中:荒屋橋
右下:落合橋

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2007年6月 2日 (土)

浦野川散策その2 橋を撮る

Photo_97  3時頃、また浦野川へ行った。前回と同じ所に車を停める。今日は前回歩いた分も含めて、さらに上流まで足を延ばして写真を撮りまくる計画だ。まず前回と同じコースを通って 写真を撮ってゆく。今日は釣り人を見かけなかった。他に川沿いを歩いている人は誰もいない。梅の坪橋と越戸橋の間にある赤い家のところまで来た。前回ここは必ず写真を撮ろうと思ったところだ。ところが、写真を撮ろうとしたところでぷっつりデジカメの電池が切れてしまった。あわてて車のところまで引き返す。あせっているせいか車までの道のりが遠く感じた。車に乗って赤い家のところまで取って返し、写真を撮る。その後川沿いに細い道をゆき越戸橋の写真を撮る。なぜか橋の名前のところがえぐれていて、後で地図を見るまで名前が確認できなかった。

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細谷(ほそがや)橋から上流を見る(右上)

古郷橋(左)


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古郷橋から134号線に架かる浦野橋を見る




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向川原橋から上流を見る




 また車で山洋電気の裏までゆき、橋のたもとに車を停める。山岸橋だ。ここは独特の雰囲気があってなかなかいい空間だ。橋の形も良く、橋からの眺めもいい。そこで数枚写真を撮り、道に沿って下流に戻った。さきほど車で通りこした中橋と矢崎橋の写真を撮る。中橋の上に鳥がとまっていた。また車に乗りその後は橋の上や橋の近くに車を短時間停めてせっせと橋の写真を撮る。殿戸橋、細谷橋、五反田橋まで行った。途中山の写真や目立つ黄色い家の写真も撮った。5時近くだったので、五反田橋までで引き返す。もう少し先まで行くと田沢川と沓掛川の合流点だが、ここはまた次の機会にしよう。

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山岸橋




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山岸橋の上流







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                       矢崎橋(右)




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山の眺め(上流に向かって右側)




 暑い日だったのでかなり汗をかいた。日差しが強いので帽子をかぶっていったがこれは正解だった。前回はサングラスをかけていたが、これでサングラスをかけるとかなり怪しい風体になるので今回はやめた。いい写真がかなりとれたと思う。

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                   中橋(右)



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殿戸橋




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細谷橋




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                 田んぼと山(上流に向かって左側)





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越戸橋から上流を眺める


 今までフラッと気ままに出かけて行って、行きあたりばったりの場所に入り込んでいた。これは意外性があって楽しいので今後も続けようと思うが、それとは別にテーマを持って写真を撮り続けることにした。川と橋の写真。当然その周辺も含める。僕は水辺になぜか惹かれるのでテーマとしても悪くない。出張などで遠出した時も、川があれば写真を撮るようにしよう。飽きずに続くならばライフワークになるかもしれない。

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山と黄色い家





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             山と白い家(上流に向かって左側)

 今日は全部で11の橋を撮った。面白いことに全部形が違う。取り立ててユニークな形のものはないが、一つとして同じものはない。中でも古びた石造りの橋(古郷橋と越戸橋)は趣があっていいと思った。明日の日曜日もまた来てみようか。

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梅之坪橋から上流を眺める

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2007年5月27日 (日)

浦野川散策

  天気がいいのでミニ・ドライブに行くことにした。143号線をしばらく走る。いつものようPhoto_71 に、特にどこへ行くというあてがあったわけではない。仁古田の信号を越えたところで浦野川に架かる橋を渡った。左側の浦野川の眺めがなかなかいいので急遽左折して橋の近くに車をとめた。橋は古郷橋。143号線の橋より一つ上流にある橋だ。古郷橋とは面白い字だ。橋のたもとで一瞬何と読むのか迷ったが、日記に書いてみてその理由が分かった。故郷でも古里でもなく、両方を掛け合わせた古郷なのだ。「ふるさと」と読むのか。それとも「こきょう」か。あるいは「こさと」だろうか。上田には古里と書いて「こさと」と読む地名もあるが。いずれにしてもユニークな組み合わせだ。(追記:読み方は「こきょうはし」でした。何のことはない、橋の反対側にひらがなで書いてありました。)

 橋の上から川を眺めてみる。水は薄茶色に濁っているが、なかなか眺めがいい。もう一Photo_72 つ上流の橋の横に「浦里保育園」の建物が見える。143号線の(青木方面に向かって)右側には何度か「裏道探索」に行ったことはあるが、左側にはまだ行ったことがない。ずっと気になっていたのだが、とっさの判断で図らずも初めて足を踏み入れることになった。川の両側の堤の上に道がある。草に覆われているが、車のわだちができている。そこをたどれば歩けるだろう。まだ日が高いし、上流の眺めがよさそうなので、上流に向かって歩いてみることにした。

 デジカメを持ってこなかったことを後悔する。出がけに迷ったのだが、置いてきてしまった。まあ、また来週の土曜か日曜にもう一度来ればいい。川の左右に山があり、正面あたりでつながっている。左側はすぐ山。右側は広い平地。ちょうど広い扇状地の左寄りにいる感じか。正面のずっと奥の方に水源があるようだ。川の近くには人家が少なく、木立が多い。ほとんど人を見かけない。実にのんびりした場所だ。歩いていて気持ちがいい。数はPhoto_73 少ないとはいえ人家が絶えず視界に入るのは興ざめだが、よく絵に描かれるような美しい田園風景の中に自分がいる。2週間前に書いた「不思議な空間のゴブリン」で分け入ったのは山の中だったが、今回は川沿いの道。気持ちがいいのはそのせいだ。

 97年の12月に「川沿いを自転車で」というエッセイを書いた(本館HP「緑の杜のゴブリン」のエッセイ・コーナー所収)。千葉県の流山市や東京の調布市に住んでいた頃、そして上田市に来てからも、僕はよく自転車で川沿い(江戸川と野川そして千曲川)を散歩していた。僕はなぜか海、川、湖、池などの水辺が大好きなのだ。塩田に家を建ててからは千曲川から遠くなってしまい、以前のように川沿いの散歩をしなくなった。だから今日の浦野川散策はとても楽しかったし、懐かしい気がした。

Photo_74   向川原橋、梅之坪橋、越戸橋と次々に橋を越えてゆく。橋と橋の間隔が短い。それだけ生活空間に近いということだろう。上流に行くにつれて家の数が減ってくる。堤防道のわだちもだんだん草に覆い隠されてくる。川がどんどん野性的になってきて、川の表情も良くなってくる。淀みができているところでは親子が釣りをしていた。なんて長閑なんだ。上田市も青木村のすぐ近くまで来るとこんな所があるんだ。川の横に赤い色の洋風の建物がある。ここは必ず写真に撮ろう。あちこち歩きながら、いくつも必写ポイントを見つける。無意識のうちにアングルまで考えている。ああ、本当にカメラを持ってこなかったのが残念。

 越戸橋まで来たところで引き返す。40分くらい歩いただろうか。もう少し近辺を見てみたかったので、車で川から少し離れた道を上流の方向に向かって走ってみる。道の右側には比較的新し家が立ち並んでいる。分譲地だったのだろうか、どれもしゃれた感じの家だ。ほとんど対向車もなく、走っていて気持ちがいい。だいぶ走って右折したらなんとすぐ143Photo_75 号線に出た。道の向い側は青木の道の駅だった。何だここに出るのか。自分ではもっと沓掛温泉の方に向かっているのかと思っていたので、いささか拍子抜けした。家に戻る。忘れないようにすぐフリー・ソフト「そら日記」に書き込む。地図で調べてみると、何と浦野川はほぼ143号線と並行して流れていた。古郷橋近くで143と交差するところではほぼ直角に交わっていたので錯覚したのだ。そういえば向川原橋の先あたりから川は右にカーブしていたなと今更ながら合点した。

 地図を見ていて面白いことに気づいた。浦野川をさかのぼってゆくと青木村役場のあたりで二股に分かれている。というよりも、沓掛温泉の方から流れてくる沓掛川と田沢の方から流れてくる田沢川が青木村役場のあたりで合流しているのである。こうして川は1本になるが、青木村役場のすぐ下流は田沢川と書いてある。それが途中から突然浦野川になるのだ。ちょうどその境目あたりで道路地図のページが変わっているので一瞬面食らった。同じ川が33ページでは田沢川と書いてあり、34ページでは浦野川になっている。理由はすぐ分った。青木村を流れている間は田沢川と呼ばれ、上田市に入ると浦野川と呼ばれているのである。ちょうど長野県内では千曲川と呼ばれている同じ川が新潟県に入ると信濃川と呼ばれるように。県境だけではなく、市と村の間でもこういうことがあるとは知らなかった。探せば他にもあるかもしれない。実に興味深い現象だ。

Photo_76   日記を書いている間フランシス・ブラックの「トーク・トゥー・ミー」のCDを流す。このCD、不思議なことにステレオに入れると「no disc」と表示されて音が出ない。不良品をつかまされたかと思ったが、試しにDVDプレーヤーに入れたら音が出た。一体どうなってるの?キツネにつままれた感じだったが、音楽は良かった。フランシス・ブラックは有名なメアリー・ブラックの妹。「トーク・トゥー・ミー」は94年製作のソロ第1作。メアリーよりももっとフォーク寄りで、聞きやすい曲が多い。アイリッシュ色が薄い代わりに幅広い人が楽しめるだろう。いい曲がそろっていて素晴らしいアルバムだ。

 「ゴブリンのこれがおすすめ 38」でアイリッシュ/ケルト・ミュージックを特集した直後に、アマゾンでCDを一気に20枚も注文してしまった。これもその中の1枚。「追加」のコーナーに入っている、チェリッシュ・ザ・レイディーズの「スレッズ・オブ・タイム」、デフ・シェパードの「シナジィ」、ベグリー&クーニーの「アイルランドの絆」、ミジャドイロの「ガリシアの誘惑」はみなその時注文したもの。フランシス・ブラックの「トーク・トゥー・ミー」も追加しておきます。Photo_77 ジャンルが違うので入れなかったが、クラース・ドルテの「イン・マイ・ネーム」も傑作だった。こちらはスウェーデン出身のシンガー・ソングライター。ずっとマークしていたのだが、やっと今頃になって手に入った。フォーク調の静かで滋味深い歌を聞かせてくれる。僕はフォークが大好きだ。もちろん、これもおすすめです。

 

<写真の説明・上から>
古郷橋
向川原橋
梅之坪橋
梅之坪橋上流の河原
赤い家
越戸橋
越戸橋上流の河原Photo_78
浦野川と堤防道

(注)
写真は6月2日に撮ったものです。

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2007年5月13日 (日)

不思議な空間のゴブリン

  日曜日。晴天。昼食の後、陽気に誘われてミニ・ドライブに行きたくなった。BGMは小野リサの「コレソン~ザ・コレクション」。ドライブにはボサノバが合う。浅間サンライImg_0441 ンに出る。久しぶりにサンライン脇道探検に行こう。道の駅「雷電くるみの里」を越えた次の脇道あたりで左折。何となく見覚えがあるので前にも来た道のようだ。山の方に向かってしばらく進むと左側の奥の方に東屋が見える。気になるが左に曲がる道がないので帰りに寄ることにする。さらにしばらく行くと右側に入る細い砂利道が見えた。何となく面白そうなところに出る気配。迷わず車を乗り入れる。小さな橋を渡ったところで車を止める。橋の下にはコンクリートで囲った水路のようなものが走っている。水は流れていない。車を降りて道の先の方へ行ってみる。細い道が続いていて、あちこち枝道がある。車が1台やっと通れる幅だが、舗装されている。日曜日のせいかあたりに全く人気がない。畑もあちこちにあるから平日なら人もいるのだろうか。40分ほど歩Img_0446 きまわってみたが、車1台通らないし、人っ子一人見かけなかった。遠くの方からモーターのような音や人の声が風に運ばれて時々聞こえてくるだけだ。どこかの木にウグイスがとまっているのだろう、しきりに「ホーホケキョ」と鳴いてくる。街中ではまず聞かない鳴き声だ。

  道に迷わないよう気をつけながらも、あちこち脇道に入ってみる。廃車にされた車が林の中に放置されているのを何台も見かけた。写真を何枚か撮った。道の先も後ろもただ道があるだけ。人気はない。遠くの音とウグイスの鳴き声だけが聞こImg_0449 えるし~んとした不思議な空間。遠くの山がきれいだ。この数カ月何かと気忙しくて、ゆったりと過ごす時間がなかなかとれなかった。人気のない不思議空間と何物にも邪魔されず思いを巡らせる自由な時間。久々に味わう開放感だった。暑い日差しにうっすらと汗をかくが、そんなことは気にならない。

  作家はこんなところをぶらつきながら小説の着想を練るのだろうか。たとえばサスペンス小説。こんな人気のないところなら死体の遺棄場所にふさわしいかもしれない。主人公は 五分林太郎。「不思議空間探検家」を自称する写真家。今日もいつものように人気のない山の中を歩き回っていた。おや、遠くの丘の上にポツンと1軒だけ家が建っている。あんなところに誰が住んでいるのだろう。なぜあんなところに家を建てたのか・・・。

  突然頭の上から「ホーホケキョ」という鳴き声が降ってきてはっと我に返る。またいつものImg_0443空想癖が出ていた。気がつくと道の分岐点に立っていた。右に行けば下り道で、道のずっと先に千曲川沿いの緑の山々が見える。左に行くと登り道。細い道は右にカーブしていて、その先は木立ちに隠れて見えない。左に行くことにした。体の向きを変えようとした瞬間、眼の隅にそんなところにあるはずのないものがちらっと見えた。何だろう。林の下をびっしりと覆っている草の間から何かが突き出ている。少し近寄ってみImg_0447 るとそれが靴だとわかった。しかもその先には白っぽい足が見える。ぎょっとして2、3歩後じさった。とんでもないものを「発見」してしまった。パニックに陥り車に引き返そうとして数歩前に歩きだして、ふと足が止まった。何か変だ。早くこの場を離れたいという衝動を無理に抑えて、もう一度林の方を見る。靴はやはりそこにあった。消えていてほしいという期待はあっけなく打ち砕かれた。幻でも錯覚でもない。靴を履いた白い足が草の下から突き出ている。それを確認した林太郎は、不自然な印象の「原因」にも気づいた。二本の足があり得ない角度で並んでいるのだ・・・。

  失礼。この辺でやめておきましょう。まあ、こんなことを想像させる空間だったわけです。車に戻り、道を引き返す。しばらく道を下ってから、上がってくるときに気になった東屋の方Img_0456 へ行くために右折する。さっきの道よりさらに狭い道。林の中を少し進むと急に視界が開ける。目の前に田んぼが広がっている。棚田というほどではないが、緩やかな斜面に何枚も田が並んでいるので階段状になっている。車を停めて写真を撮った。右に曲がりまた坂を上る。正面に丸い建物が見える。何の建物が分らないが、フロントガラス越しにこれも写真に撮った。さらに細い道を上ると来る時に見えた東屋が現れた。道の右側にはため池もある。上田とその周辺は全国でも3本の指に入Img_0458るほど雨の少ないところである。したがっていたるところにため池がある。だからため池自 体は珍しくないが、ここはため池然としていない。小さな湖のような趣があった。眺めがいいので東屋の横に車を停め、写真を撮った。しばらく池を眺めてから帰ってきた。帰ってから地図で調べてみた。恐らく弁天池だと思われる。

 そんなに長いドライブではなかったが、いい場所を2か所も発見し た。これだから脇道探検は止められない。
Img_0460

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2007年3月25日 (日)

韓国旅行に行ってきました

  しばらくブログの更新が滞っていましたが、実は3泊4日の日程で韓国旅行に行っており10 ました。実質観光できたのは2日間と少しでしたが、半年分くらいはその間に歩きました。ガイドもない、同僚と男二人の旅。ショッピングなどはほとんどせず、見て回り食べ回り歩き回りの旅でした。いやあ疲れた。今日上田の街に出て、話が通じ、文字がすべて理解できることがどれほど安心できることかとつくづく感じたしだい。この旅行についてはまた後日ブログにまとめる予定です。仕事で行った中国と違って今回は完全な観光。写真もたくさん撮ってきました。どうぞお楽しみに。

  「夫婦善哉」以後映画を2本見ました。日本映画「ゆれる」と韓国映画「私の頭の中の消しゴム」。「ゆれる」は兄弟の心理のずれを描いている。悪い出来ではないが、いまひとつ胸に迫ってこない。兄を告発した形になった弟が昔の家族ビデオを見て反省するという展開が安易だと感じた。「私の頭の中の消しゴム」も悪い出来ではないが、韓国映画のラブ・ロマンスにつき物の泣かせる演出があきれるほど過剰だ。あまりに意図が見えみえなので身構えてしまい、全く泣けなかった。「八月のクリスマス」のような映画はもう撮れないのか。

  「ゆれる」★★★★
  「私の頭の中の消しゴム」★★★☆

  「紙屋悦子の青春」、「トンマッコルへようこそ」、「心の香り」、「夫婦善哉」とこのところまた以前のような長いレビューになってしまったので、「夫婦善哉」のレビューを書き終えた後はせっせと読書にふけっておりました。もう長いこと中断していた『ハリー・ポッターと謎のプリンス』もその間に読み終えました。面白かった。最後の山場は完全に引き込まれていました。ある重要人物の死はなんとなく予感していたが、それでもやはり残念でした。最後の第7巻が今から待ち遠しい。

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2007年3月14日 (水)

喫茶「すみれ屋」へ行く

  昼間用事のついでに「すみれ屋」に行ってきた。小諸市と菅平を結ぶ真田東部線(4号線)沿いにある。地名でいうと東御市和(かのう)。丘の上にあるのでとても眺めのいい喫茶店だ。店のすぐ下を高速道路(上信越自動車道)が走っているのが玉に瑕。だが気になるほどではない。丘の上にぽつんと建っているが、大きな看板がないのでスピードを出していると見落とすかも。

  店の横の駐車場から入り口と下の眺めを撮る。まだ店の中で写真を撮らせてもらう勇気070314 はない(汗)。結構小心者のゴブリンです。中に入るとすぐ左手にギャラリーがある。いつも何か展示している。今日は女性用のアクセサリーを展示していた。右手が喫茶室。テーブルは3つか4つ、それにカウンター席というこじんまりした広さ。明るい色の内装の上に、窓を大きくとってあるのでとても明るい。席から外の眺めを見渡せる。コーヒーを頼み、外を眺めたり本を読んだりしてしばしゆったりと過ごした。

  やはり丘の上は眺めがいい。自宅は平地にあるので周囲の家に囲まれてほとんど山が見えない。丘の上の家にあこがれる。窓側が斜面なら他の家や人の目が気にならない。「すみれ屋」の窓から外を眺めながら、つくづくこういう家がほしいと思う。こんな部屋にパソコンがあれば、ちょっと疲れた時に外を眺めて目を休められる。遠くを眺めるのは気持ちがいいし、目にもいいだろう。ちょっとテーブルの配置なども考えたりした(実現性はゼロだが)。

  女性客が多いのだろう。インテリアや飾ってある絵などは女性向きだ。あまりこてこてにやられると鼻につくが、目の邪魔になるほどではないのでいい。落ち着いた雰囲気である。絵は店の雰囲気に合っている。欲しいと思う絵もあった。HP「すみれ屋の四季」とブログ「すみれのつぶやき」も参照してください。

  大好きだったテレビ番組に「出没、アド街ック天国」という番組がある。去年あたりから番070314_1 組表から消えてしまったのだが、番組のホームページを見ると関東ではまだやっているようだ。もう東京を離れて19年になるが、この番組を見て東京を懐かしんでいた。東京の諸地域や時には地方都市を毎回取り上げ、その地域のシンボル的名所、その地域を代表する名店などのベスト30を紹介してゆき、最後に番組がその地域のコマーシャルを作るという番組である。これが観ていて楽しい。愛川欣也と大江麻理子(初代は八塩圭子)の司会コンビ、コメンテイターの山田五郎(初代は泉麻人)、レギュラー・メンバーの薬丸裕英、峰竜太、毎回変わるその地域ゆかりのゲストたちの間の爆笑トークがまた魅力。大好きな番組で、毎回録画していた番組はこれだけだったのに、去年(一昨年?)の春の番組改変期から長野では観られなくなってしまった。

  この番組に触発されて「上田のベスト30」を作ってみようかと何度か考えたことがある。上田城址公園、無言館、別所温泉等々。どうもいまひとつなのでやめてしまった。しかし「上田とその周辺の喫茶店ベスト10」なんかは面白いかもしれない。ちょっとやってみよう。順位は関係なく挙げてみる。

■■上田とその周辺の喫茶店 マイ・ベスト10■■

「月のテーブル」
  上田市仁古田、農家を改造した風格のある店。
「風乃坂道」
  別所温泉駅の近く、常楽寺の坂道下にある店。特にベランダの席がお気に入り。
「珈琲哲学 上田店」
  芳田のショッピングモール内にある。凝った造りとインテリアが好きだ。
「茶房パニ」
  「独鈷温泉」からさらに上がった山の上にある。ここもベランダの席がお気に入り。
「カフェ・ミント」
  上田駅前の松尾町「真田坂キネマギャラリー幻灯舎」内にある。上田フィルムコミッションのサテライト店なので、ロケ関係の写真や小道具などが展示されている。
「茶房 読書の森」
  小諸市御牧ヶ原の山の中にある。道が分かりにくいが、それも隠れ家的でいいかも。イラストレーター山口マオさんの作品が多数置かれている。
「カンパアニュ」
  ログハウスの素敵な店。おいしいパンと食事も楽しめる。最近行ってないな。禁煙だからか。
「梅野記念絵画館の喫茶コーナー」
  東御市の芸術むら公園内にある。喫茶コーナーは全面ガラス張りなので、真下の明神池や遠くの浅間山などが見渡せる。眺めは最高。
「アトリエ・ド・フロマージュのティールーム」
  東御市新張(みはり)にある有名なレストランの別棟がティールームになっている。ここも窓が大きいので眺めがいい。
「すみれ屋」
 上記参照。

  他にも気になりながらまだ行っていない店がいくつかある。おまけにベストテン圏外の店をもう3店あげておこう。
「森文」
  柳町にある和風の店。
「デリカフェ」
  上田市の中心部海野町にあるカフェ。
「ヴィエント」
  青木村沓掛にある「リフレッシュパークあおき」のすぐ下にある。ここもベランダが気持ちいい。

<ブログ内関連記事>
喫茶店考
茶房「読書の森」へ行く
パニのベランダで伊丹十三を読みながら
浅間サンライン

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2007年3月11日 (日)

冬を見てきた

  「かぐら」でいつもの肉南蛮うどんを食べる。長野県はそばが有名だが、僕は昔からそば070311 よりうどんが好きだ。「かぐら」は昔神楽殿だった建物に使われていた木材を譲り受け、蕎麦屋に改築した店。天井を見ると何本も太い梁が通っている。濃いこげ茶色に塗られていて、何とも落ち着く雰囲気だ。和風のインテリアも建物の雰囲気に合っていて和める。ここで売っているそば茶のティーバッグもうまい。なくなるとここで食事をしたついでに買い足してくる。

  店を出る。いい天気だ。陽気に誘われるようにまたミニ・ドライブに出かける。いつものように行く当てはない。今日は丸子を抜けて武石(たけし)へ行ってみた。以前は武石村という独立した自治体だったが、今は合併で上田市の一部になっている。今の上田市は菅平から美ヶ原までを含むとんでもなく広い面積になっている。

070311_2   まだ3月だというのに日差しが強烈だ。車の暖房は止めてあるが、差し込む日差しで暑いくらいだ。武石沖の交差点で右折。62号線に入る。比較的広い道で交通量も少ないので気持ちよく走れる。車の中で流しているMDはCoccoの「サングローズ」。これはなかなかの傑作だ。声はそれほど独特ではないが、何と行っても曲が良い。他に「クムイウタ」と2枚組み「ベスト」をCDで持っている。

  途中右側に日帰り温泉施設「うつくしの湯」がある。今日はそこを素通り。さらに道をまっすぐ進む。かなり先に行くと左側に美ヶ原に行く道がある。前にここまできたことはある。左折せずにさらにまっすぐ行ってみた。しばらく進むと山の木がどうも白っぽく見えてくる。さっきまでとは違い全体に色が少しかすんで見える。変だなと思っていたら、すぐその理由が分かった。雪だ。何とその先は雪が積もっている。先へ行くほど雪が厚く積もっている。武石のこんな奥まで来たのは初めてだが、何とここにはまだ冬があった。今年は記録的な暖冬で、もう春が来たと思っていたのに。右側に車を停めるスペースがあったので、そこに車を乗り入れて写真を撮ることにした。

  車が先に1台止まっていた。誰も乗っていない。足跡が下の川のほうに続いているの070311_5 で、川で釣りでもしているのだろう。車を停めたところは10センチ近く雪が積もっている。あっという間に靴は雪まみれだ。丁度ダムのすぐ下あたりで、遠くにダムが見える。川を中心に何枚か写真を撮った。雪はつい最近降ったものだろう。風が吹くと雪の粉が飛ばされてちょっとした吹雪のようになる。

  ダムを上から見たくてさらに上まで上がってみた。そこから先の道は除雪されていない。雪は凍結しているようだ。真冬の山道を行く感じ。「チェーンつ070311_6けろ」の看板が何枚もあるが無視。今年買ったばかりのスタッドレスとインプレッサの足回りのよさで何の不安も感じない。ぐいぐい坂を上がる。右下にダム湖が見える。かなり小さいもので、上には真っ白に雪が積もっている。ダム湖は凍結しているのだろう。車を停める ところがないので仕方なくどんどん上がる。このまままっすぐ行けば松本に出てしまう。そこまで行く気はないので途中やや道が広くなったところでUターンした。帰りはどこにも停まらずにまっすぐ戻る。それにしても、数キロ進む間に季節が冬から春に変わって行く。スキー場に行くときも似たような感覚はあるが、本当に雪がなくなった途端にそこは春なのだ。これほど短時間で、劇的な変化は初めての経験。今年のような暖冬の年だけ経験できるものなのだろうか。実に面白い経験だった。

*  *  *  *

  この間映画は台湾映画「深海」と有名なフィルム・ノワール「キッスで殺せ」を観た。「深海」はあまり面白くなかった。ヒロインは美人だが、どうも彼女に共感できない。彼女の行動が理解できない。最後は姉と何とかうまくやってゆけそうでほっとするが、遅すぎた。

  「キッスで殺せ」は都内某所で開かれたフィルム・ノワール上映会で観た。朝の10時から「ローラ殺人事件」、「拳銃魔」、「キッスで殺せ」、日本映画「悪の階段」の4本が上映された。その日上田から行ったので「拳銃魔」の途中から観た。最後の「悪の階段」は時間の関係で半分しか観られなかったので、結局通して全部観たのは「キッスで殺せ」だけ。うう~残念。「キッスで殺せ」は映像が凝っていてなかなか面白かった。DVDを持っているので、機会があればいずれレビューを書いてみたい。鈴木英夫監督「悪の階段」(65)も途中までだがかなり面白かった。出演は山崎努、西村晃、加藤大介、団令子。最近鈴木英夫監督は注目されていて、あちこちで特集上映会が開かれているようだ。今のところカルト映画扱いのようだが、なかなか興味を引かれる。いつかDVDを出してほしい。

  「深海」★★★☆
  「キッスで殺せ」★★★★

  「紙屋悦子の青春」と「トンマッコルへようこそ」はまた長編レビューになってしまった。パソコンをにらみすぎて目が真っ赤になっていた。目がしょぼしょぼするのでぐりぐりこすっていたら、毛細血管が切れていたようだ。反省。

  今日こそ手持ちのDVDを観よう。さて、何にするか。中国映画「心の香り」これは当確。もう1本は日本映画がいいな。ブログの「名作の森(日本映画)」のコーナーが手薄なので少し観だめしておかねば。「夫婦善哉」か「貸間あり」あたりにしようか。

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2007年2月12日 (月)

冬の不動滝

07212_1  上田駅の近くで昼食をとった後、ドライブに行く。いつもながら行く当ては特にない。国分に向かい千曲川沿いの道を丸子方面に向かう。そのまま丸子を抜け、「ブランシュたかやまスキー場」へ行ってみることにした。家から車で1時間程度で行けるスキー場は5つ6つある。「ブランシュたかやまスキー場」は「車山スキー場」と同じ山の反対側にあるスキー場で、その二つの中間にあるのが「エコーバレースキー場」。「車山」は行ったことはないが、他の二つは滑ったことがある。

 スキー場に着くと結構人はいた。雪はさすがに少なく、気温が高いのでほとんどシャーベット状。駐車場の辺りは緩斜面で家族向き。そこから速度の遅いとろとろリフトで延々のぼって上のゲレンデに行ける。そっちの方はあまり人はいないのではないか。スキーの用意は当然していないが、レンタルして4、5回だけでも滑ってみたいという誘惑に駆られた。もちろんそうはせずにおとなしく帰った。

07212_2   途中2箇所寄ったところがある。登ってくる途中看板を見かけて帰りに寄ろうと思っていたところだ。最初に車を停めたのは道路わきの小さな川原。なんとか渓谷との看板があったのでいってみた。別にどうということはないただの渓流があるだけだった。途中二股の道があって、もう一方の道はもっと上まで上っていたのでそっちに行けばすごい渓谷があったのかもしれない。そっちに行ってみようかとも思ったが、もう4時近かったので諦めた。

 次に行ったのは「不動滝」。わき道に入るとすぐ山道。車が1台やっと通れる程度の細い07212_3道だ。対向車が来たらどうしようと不安が頭をかすめるが、この時期にこんなところに来る人はないだろうと自分を納得させる。実際、車1台、人っ子一人見かけなかった。途中あと2.5キロという看板が目に入る。山道だから結構あるなと思ったがとにかく進んだ。ようやく「不動滝」という看板が立っている橋のところに着く。水の音も聞こえてくる。やれやれやっと着いたか。車を停め、カメラを用意して車外に出る。ふと先ほどの看板をもう一度見ると、何と「不動滝1キロ」とあるではないか。思わず「バカ野郎」と叫んでしまった。

 その先も道はあるが雪が道を覆っている。橋の先に滝のようなものが見えるが、コンク リートの堰だった。一瞬それが「不動滝」だったことにして引き返そうかと思ったが、ここまで来たのだから行ってみようと気を取り直す。車で橋を渡ったがその先は舗装されていない。上れなくなったらえらいことになると思って、バックで橋のところまで引き返す。車を置いて歩いて上る。「1キロ」となっているが実際はその半分ぐらいの感覚だった。中国で203高地を登ったときも「頂上まで30分」と書いてあるのに実際は10分くらいしかからなかった。「何だもう着いたのか、案外たいしたことはないな」と思わせるために、実際より多めに書いてあるのだろうか。

07212_5  それはともかく、いい加減息が切れてきたころに滝が見えてきた。山の陰なので気温はかなり低い。それでも滝に着くころには汗をかいていた。滝が落ちている岩は不思議なほど真っ黒だった。そこだけ黒いのでやけに目立つ。何しろあたりは茶色一色で、地面は雪で真っ白なのだ。滝の高さは7、8メートルくらいか。黒い岩に氷がツララ状にいくつも張り付いている。このところほとんど雨が降っていないので水はあまり流れていないのではないかと心配していたが、結構ざあざあと流れていた。普通の年ならもっと水量は多いのだろう。もっとも暖冬だからこの時期に上ってこれたのだろう。雪が多い年だったら「冬の不動滝」は拝めなかったかもしれない。

 滝の下に東屋がある。そこでタバコを吸ってしばし休憩。休んだ後何枚か写真を撮った。周りの山は岩山だ。ごつごつとした岩が崖のようにむき出しになっている。もう陽もか07212_1_1 なり低くなってきたので10分ほどいてすぐ道を引き返した。橋のところまで戻った時はほっとした。しかしまだまだ油断は出来ない。雪の残る細い山道を今度は下らなければならない。大した斜面ではないのだが、何せ道が細いのでロウ・ギアで走った。それでも結構スピードが出る。道からそれないよう慎重に運転する。雪のあるところはさすがに走りにくかったが、スリップすることもなく無事降りられた。愛車インプレッサはスバルの車だけにやはり足回りがいい。ほとんど不安を感じなかった。普通の道に出て、気持ちよく家まで走った。

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2007年2月10日 (土)

久々の休日

Coffe2  朝起きてすぐ珈琲を淹れ、ゆっくりと新聞を読みながら飲む。BGMはAKIKOの「シンプリー・ブルー」。最近どんどん出てくる日本のジャズ・ミュージシャンの中でも特に気に入っている1人。ピアノの木住野佳子とアキコ・グレース、サックスの矢野沙織、ヴォーカルのケイコ・リーとAKIKO。このあたりは本当にいい(今気がついたが、全員女性だ)。珈琲を飲みながらゆったりと音楽を聴く。至福の時間。こんな当たり前の時間がずいぶんと久しぶりに思える。

 外で昼食をとった後、ブックオフに行ってDVDとCDを売る。売るといっても、気に入らなかったものはわずかで、ほとんどは既に持っているのに二重買いしたもの。半年もたつとCDとDVDをあわせて軽く10枚を越える。情けない。今回もCDとDVDをあわせて14枚ほど持っていったが、全部でたったの3千数百円。安いと思ったが仕方がない。査定の間にいくつかほしいものを見つけたが買わなかった。持っていないかどうかよく確かめてから買わないとね。記憶力も衰えてきているが、持っている物の数が膨大なのでとても全部は覚え切れない。また失敗しないよう慎重にしないと。

 街中に行く。「電気館」に行くと、何と「それでもボクはやってない」と「紙屋悦子の青春」が今月中旬から上映予定とある。うれしい。やっと観れる。あんまりうれしかったので、「リトル・ミス・サンシャイン」の上映時間を確かめるのを忘れた。今年はまだ映画館で映画を観ていない。明日「リトル・ミス・サンシャイン」を観に行くつもりだが、これが今年最初に映画館で観る映画になる。最近日本映画のレベルが上がってきたので、映画館で日本映画を観る機会が増えてきている。チラシもいいのが手に入った。ほくほく。 天気がよかったのでその後ドライブに行った。サンラインに入り、また初めてのわき道をあちこち走ってみた。道々ずっと平原綾香の「ODYSSEY」のMDをかけていた。素晴らしいアルバムだ。聞くほどにほれ込む。彼女の低音が心地よい。

 夕方「ジャーヘッド」を観る。思っていた以上にいい映画だった。特に最後の30分くらいがいい。昨日観た「雪に願うこと」も素晴らしい映画だった。地味だが力強い。このような作品を作れるようになったことは日本映画の実力がもはや世界でもトップクラスになったことを示している。相変わらずしょうもない作品をたくさん作ってはいるが、少なくともトップテンに入る作品のレベルは世界のトップクラスに比べても見劣りしないところまで来た。蔦屋書店でDVDを返却。「グエムル」がもう1週間レンタルになっていた。「トランスアメリカ」を借りる。「グエムル」のレビューが延び延びになっていたが、今日と明日で何とか書き上げよう。

 「グエムル 漢江の怪物」★★★★☆
 「雪に願うこと」★★★★☆
 「ジャーヘッド」★★★★

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2007年1月14日 (日)

大法寺に行く

 今日は天気がいいのでまたふらっとドライブに行ってきた。丸子のあたりを少し走ってま_2 た上田に戻る。車のMDから流れているのは鬼束ちひろの「インソムニア」。彼女の曲をじっくり聴くのは初めて。このアルバムはだいぶ前にレンタルCDからMDにダビングしてあったのだが、前のサニーにはカセットテープのデッキしか付いていなかったのでMDが聞けなかったのだ。自前やレンタルCDからダビングしたMDが100枚以上たまっていた。やっと去年インプレッサに買い換えた時からMDが聞けるようになったのである。「インソムニア」は意外なほど素晴らしかった。こんないいとは!他のアルバムもこんな感じなら矢井田瞳と同じくらい好きになれそうだ。

  143号を青木に向かう。大法寺に行く道に入り、そのまま大法寺の方には曲がらず道を直進。坂を行けるところまで上ってみる。こんな奥まで上ってきたのは初めて。棚田に行ったときにも書いたが、初めての道は楽しい。道がかなり細くなったところで車を止める。こんな山の上まで家があるのかと驚くほど上のほうまで家が建っている。車1台しか通れない道がさらに上まで続いていて、木立の影に家が1軒見える。車を止めたところからの眺めは、丁度稲倉棚田からの眺めに似ていた。写真を撮ろうかと思ったが撮らなかっ_5_1 た。また道を下って今度は大法寺の方に曲がる。ここに来るのは久しぶり。3度か4度目。三重塔まで上って写真を撮った(右上の写真)。あたりはシーンとして何も聞こえない。晴れているが木陰になるのですごく寒い。三重塔に上がる道の途中に喫茶店がある。塔を眺めながら珈琲を飲めるのが売りのようだ。まだ入ったことはないが、せっかくだから写真を撮ってきた(真ん中の写真)。

  大法寺は小県郡青木村にある。昔は大宝寺と書いたようだ。国宝の三重塔が有名で、塔の姿が美しいので見返りの塔とも呼ばれる。信州の鎌倉と呼ばれる上田市にも有名な三重塔が二つある。前山寺の三重塔(左の写真、戦没画学生の絵を集めた「無言館」の近くにある)Photo_25 と別所温泉にある安楽寺の八角三重塔。今日は行かなかったが安楽寺の近くにある常楽寺も一度は行ってみる価値がある。一番奥にある石造多宝塔の一角はどこか不思議な雰囲気が漂っている。周りは巨大な木が茂っているために、昼間でも日が差さず初夏に行っても肌寒いくらいだ。多宝塔のあたりに木漏れ日がまるでスポットライトのように差し込んでいる。飛び回る虫たちがスポットライトの中に入ると白く姿が見え、またスポットライトから外れるとふっと消える。なんとも不思議な光景。薄暗いシーンと静まり返った苔むす石の塔の周りを消えたり現れたりして飛び回る虫たち。どこか神秘的で映画の1シーンのように思える。常楽寺のすぐ下にある別所神社もついでに行ってみるといい。能舞台のような建物があるだけだが、観光客もあまり行かないのでかえって人気のない不思議な雰囲気が味わえる。

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2007年1月 6日 (土)

大雪です

 今年は暖冬。例年のような猛烈な寒さがない。昨年末に一度雪が積もりましたが、正月0716に帰省して戻ってきたときには完全に消えていました。しかし今日の雪は大雪です。大粒の湿った雪が昨夜から降り続いています。午前中に近所の人たち総出で雪かきをしましたが、今は誰も雪かきをしていません。止むまではいくらやっても切りがないと諦め顔。

 上田は全国でも雨が少ないことで有名な地域。当然雪も少ない。20センチ以上積もることはまず滅多にありません。でも今回は20センチを悠々越えそう。こうなると雪かきも大変ですが、寒いところなので北側の建物の影になっているところは雪がいつまでも残り、夜間に凍結して氷になってしまいます。氷の上ではスタッドレスも大して役に立ちません。数年前に、氷の上にまた新雪が積もり非常に滑りやすい状態になっているときに、信号で止まっていた車に追突してしまったことがあります。あの時は待ち合わせの時間ぎりぎりであせっていた。いつもならかなり手前からポンピング・ブレーキをかけるのですが、気が急いているので思わずぐっとブレーキを踏み込んでしまいました。もう滑り出したらどうしようもない。「あ、あ、あ」と言っている間にドスン。幸い大したスピードではなかったので相手の車のバンパーを壊しただけで済みました。苦い思い出です。

 雪が降ればスキーという楽しみもあるのですが、このところ忙しくてなかなかいけません。去年は一度も滑りませんでした。長野に来て初めて覚えたスキー。一時はかなり夢中になっていましたが、年々遠ざかっています。かつてはリフト乗り場前にとんでもない行列が出来ていたものですが、最近はスキー、スノボー人口もがた減り。待つこともなくすいすいとリフトに乗れてしまいます。楽だけどさびしい気も。今年は何とか一度はスキーに行ってみたい。

(写真はゴブリン亭の庭)

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2006年12月23日 (土)

浅間サンライン

 休みになるとふと車で走ってみたくなる道がある。浅間サンライン。国道18号線の北側Photo_19 をほぼ18号と並行して走っている道である。この道がドライブしていて気持ちいいのは一つには眺めがいいからである。上田から佐久方面に行く千曲ビューラインも一部眺めのいいところがあるが、サンラインの方がずっと視界は開けている。走っていると日ごろのストレスが消えて行くようだ。もう一つの魅力は途中でいくつも山側に入る道があり、初めての道にわざと入ってみると意外な風景と出会えることである。前に「川沿いを自転車で」というエッセイを書いたことがある(本館ホームページ「緑の杜のゴブリン」の〔エッセイ〕コーナーに収録)。そこで「とにかく一度も行ったことがないところに行ってみたくて、できるだけ色々なコースを取ってみた。狭い路地などがあると無性に入ってみたくなるのである」と書いたように、自転車が車に変わってもやはり意外な出会いが僕は好きなのである。
 これまで何度も日記に浅間サンライン周辺のドライブのことを書いてきた。今日もまたふらっとドライブに出て、稲倉棚田に行ってきた。いい機会なので浅間サンライン周辺ドライブ日記から3篇を選んで掲載してみます。

<「アトリエ・ド・フロマージュ」に行く> 2006年5月22日
 いい天気だったのでドライブに行くことにした。浅間サンラインに出て、別府の信号を山側に入ったところ(上田から行けば左折)にある「アトリエ・ド・フロマージュ」に行く。チーズPhoto_20 工房があってチーズフォンデュで有名なレストランだ。ここで食事したのは1度だけだが、隣の建物にティールームがあるので、時々ふらっと訪れて珈琲を飲みながら本を読んでゆく。今日もティールームに入りアイスコーヒーを飲んだ。『ダ・ヴィンチ・コード』の続きが読みたかったからだ。ゆったりと時間をすごした後店を出る。まだ明るかったので店の裏のほうを歩いてみた。

 なんとものどかな田園風景。草のにおいが鼻にむっと来る。斜面になっているので眺めがいい。家は点々とあるだけ。のんびり田舎道を歩くのは気持ちがいい。花があちこちに咲いている。庭だけではなく田んぼの隅や道端に何気なく咲いている。街中だとこうはいかない。

 いったん引き返して、最初通過した気になる小道を上がってみた。細い上りの道。左側にきれいな家が建っている。玄関の周りに貼ったレンガが素敵だ。デジカメを持って来ればよかったと思うようないい景色だ。しばらく上ると左手に木立が見えてきた。なぜか見覚えがあるとぼんやり感じた。初めて来るはずなのに変だと思っていたら、なんと見覚えのある「もの」が見えてきた。縄文式住居のように萱のようなものを円錐状に立て掛けて作った小屋。これは以前ある知人に連れてこられたところじゃないか!そうかここだったのか。何という偶然。散歩に来てよかった。誰もいなかったが、なんとなく遠慮して林の中には入らなかった。林の横でタバコをすって引き返した。

 横を水路が流れている。最初の道に戻ったが、そのまま道を横切ってさらに水路に沿って小道を下っていった。どこかで「フロマージュ」の駐車場の下を走っている道に出るはずPhoto_24 だから、そこを右に曲がれば「フロマージュ」に戻れると踏んだからだ。そこから先はビニールハウスの中で仕事をしている人を見かけただけで、車も人も通らない。最初は田んぼの中を進むのだが、そのうち両側が木で覆われ視界がふさがれる。だいぶ下ったがまだ道にぶつからない。ずっと右側の「フロマージュ」のある方角を気にしていたのだが、だんだん離れてゆく気がして心細くなってくる。まあ、最悪の場合道を引き返せばいいのだから迷うことはないと自分を慰める。しかしいくら下っても道はさらに先まで続き、「フロマージュ」は遠ざかってゆく。もう日もだいぶ傾いてきてあたりが黄色がかってきた。左側がちょっと開けたところまできたときに、引き返すことにした。

 今度はずっと上りだ。だいぶ歩いたので足も疲れている。早く車のところに戻りたい。自然足取りも速くなる。やっと車に戻りほっとする。駐車場下の道を確かめてみたら、さっき歩いていた小道に出る手前でカーブして下に降りていた。これでは交差しないはずだ。車の運転は別に疲れないが、塩田までの遠いこと。こんなに遠くまで来ていたのかと改めて驚いた。

<金原ダムに行く> 2006年6月17日
  ドライブに行く。どこに行くと決めてはいなかったが、やはり浅間サンラインへ。野竹トンネルを抜けてすぐ左折。ローマン橋が正面に。橋を超えてすぐ左折。道の横に車を停められる広いスペースがあったのでそこに車を停めてタバコを一服。しげしげと橋を眺める。なかなかきれいな形の橋だ。真下まで行って下から橋を見上げる。道路の真ん中に切れ目が入っている。下から見るとただのコンクリートの塊だが不思議な空間になんとなく圧倒される。

  また車に乗って少し戻り左折。坂をどんどん上がってゆく。どこに出るかと思っていたら以前行った児童書専門店「なるに屋」に行く道に出た。まっすぐ行くと菅平に行く道とぶつPhoto_23 かる。交差点のすぐ横が西友。右折してしばらく菅平方面に向かい、「真田の湯」下の交差点で右折。小諸へ行く山道。何度も通った道だがここは走りやすくて好きだ。金原(かなばら)ダムに行こうかと思いついたのはその道を走っているときだった。あまりに暑いので車のクーラーを入れた。しかし案内板が見つからないので浅間サンラインとの交差点まで行ってしまった。途中「すみれ屋」を見つけた。なくなったのかと思っていたがまだあったんだ!しかしこんな坂を下ったところにあったんだっけ?場所を移転したのかもしれない。気づいたのが遅かったので通り過ぎてしまった。また今度行ってみよう。

 浅間サンラインを上田方面へ向かう。途中で金原ダムの看板を見つける。急遽右折して行ってみることにする。どうも前に通ったことがあるような気がする道だ。人家が途絶えてからすぐダムは目に入ってきた。ダムの下でいったん車を停める。珍しいことにコンクリートの塊ではなく、お城の石垣のように大きな石を組んでできている。下から見上げているとダムの上を歩いている人が見えた。どうやらさらに道を登るとダムの横まで行けるようだ。また車に乗ってさらに坂を上る。意外なほどすぐにダムの横に出た。車を止めてダムを眺める。ダムはさほど大きくはなく、ダム湖というより池に近い。水量もわずかで底のほうに少したまっているだけ。水は緑色ににごっていて汚い。3、4人湖面まで降りて釣りをしていた。

 ダムの周りを歩いてみる。正面の急角度で削った山の斜面に黄色い花が一面に咲いていてきれいだ。どういうわけかその斜面を見ていると目の焦点が合わないような不思議な070226_1 感覚に襲われる。平衡感覚がやや失われてまっすぐ歩けない感じ。ふらつくほどではないが、不思議な感覚だった。しかし素晴らしいところだと思った。天空の桃源郷とでも言うのか、人里はなれた理想郷のような空間だ。「天空の草原のナンサ」という映画のタイトルが頭に浮かんだ。ダムの上から見下ろす景色もきれいだ。カメラを持ってくればよかった。きっとダムの壁がコンクリートの塊でないからそう感じるのだろう。放水路のあたりだけコンクリートでできている。しばらく眺める。かなりの高さだ。落ちたらまず助からないな。ほぼ垂直に屹立するコンクリートの壁。ぞっとする。先ほどの黄色い花が咲いている斜面の下まで行くと、黄色い花がレンギョウだと分かった。とんでもない急斜面に斜めに咲いている。黄色い花は目立つのできれいだ。ダムの周りの道はぐるっと1周するように続いているのだが、放水路の横に柵があって先に行けない。また引き返す。ふと反対側を見ると少しダムから上がったところにあずまやが見えた。あそこまで行ってみよう。車に戻ってさらに道を上がる。道が行き止まりになっているところで車を停めた。左側にあずまやがあった。そこまで下りてまたタバコを吸う。他に誰もいない。悪くない空間だが、ハチや虫がたくさん飛んでいてあまり長居はしたくなかった。タバコをすい終わる頃に軽トラックが1台やってきた。入れ替わるように車に乗って坂を下る。

 途中右側に見覚えのあるワイナリーの看板を見かける。そうかここはやはり以前通った070226_7 道だった。浅間サンラインを上田に向って走っていた時右上の崖の上にまるで空中城郭のように高級そうな住宅が建ち並んでいるのが目に入って、急遽右折してそこまで上がっていったことがある。その住宅街を抜けてさらに坂を上がったとき通ったのがこの道だった。ワイナリーの看板はその時見かけた。後日そのワイナリーに行こうと思ってもう一度探したことがあったが見つからなかった因縁の道である。こんなことでまた通るとは。交差点の名前をよく覚えておこう。浅間サンラインに出るが、どうも上ってきたところと違う交差点に出たようだ。交差点の名前は下大川。おそらく先ほどはひとつ隣の海善寺北から登ったのだろう。(金原ダムの写真は07年2月25日に撮ったもの。)

<稲倉棚田に行く> 2006年12月23日
  気持ちのいい天気だったのでドライブに行く。浅間サンラインに出て、芳田のショッピングモールに入った。レストランで食事をした後、「珈琲哲学」に入る。いつも思うがこの店の2 作りはいい。両側に塔が付いている。右側の塔にはベランダのようなものも見える。この塔にはあこがれる。塔に上がれるのかどうかは分からないが、できれば自分の家にも欲しいと思う。僕は狭い自分だけの空間が好きだ。塔があればそんな空間を作りたい。なんだか幽閉されているようにも思えるが。「珈琲哲学」の内装ももちろんいい。しばらく塔のことを考えた後、珈琲を飲みながら『風の影』(下巻)を読む。今佳境に入っている。

 珈琲哲学を出て、芳田の交差点を右折して山側に入った。浅間サンラインは両側に家が立ち並んでいないので解放感があって好きだ。ドライブとなると、ついここにきてしまう。Photo_22 今走っている道は何度も通ったことのある道で、そのまままっすぐ行けば144号線に出る。その時道の右側にある「稲倉棚田」の看板が眼に入った。迷わず右折する。前から上田に棚田があることは聞いていたが、実際に行ったことはなかった。細い山道をしばらく上がると山の斜面に狭い駐車スペースがあった。すぐ足元が棚田だった。棚田を上から見下ろしている。左側に山があるので右手に向って斜面が下っており、その斜面にそって棚田が作られていた。冬なので茶色かがった風景だが、夏は緑と水が目にまばゆいだろう。周りに家が一軒もなく、人っ子一人いない。シーンと静まり返った不思議な空間。カメラを持ってこなかったことが悔やまれた。明日も天気がよければデジカメを持ってまた来てみよう。

 そこにいたのは5分程度。さらに上にまで道が続いていたのでどうなっているのか見たくなった。車でさらに道を上がる。ぽつんと一軒だけ家があるのは前から見えていたが、何回か道を曲がると家がたくさん見えた。ついさっきまで何もない空間にいたので、こんな山の上にも「集落」があるのかと驚いた。さらに上ってゆくと比較的大きな道に出た。とりあえず左折する。しばらく走ってそれが真田から小諸に行く真田東部線だと気づいた。ここも何度も通った道だ。そのまま行くと真田に出てしまうので引き返そうか迷ったが、踏ん切りがつかないまま菅平に上る144号線に出た。横沢の信号を左折して上田に戻った。144号線も普段は走っていて気持ちがいいのだが、あの棚田の気分が残っているせいか、両側を家に囲まれた道がいとわしかった。

<ブログ内関連記事>
浅間サンライン脇道探索「せせらぎ公園」を発見
蒼い時と黒い雲
喫茶「すみれ屋」へ行く
不思議な空間のゴブリン

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2006年12月11日 (月)

「武士の一分」を観てきました

Mado_akari1_1   5日から7日までココログのメンテナンスがあり、使いにくかったことをお詫びいたします。また丁度その時期は個人的にも忙しく「ココシリ」のレビューがなかなか書けませんでした。何とか書き終えたのですが、ちびちびと書き続けていたのでだらだらと長い文章になってしまいました。やはり根をつめて一気に書いた方がいいものが書ける気がします。しかしあまり無理してまた潰瘍が出来ても困るので、今後もスローペースで行かざるを得ません。

  土曜日に「武士の一分」を観てきました。山田洋次監督作品ですので安心印、さすがの出来でした。木村拓哉は意外に健闘。特に視力を失ってからの「目の演技」がいい。壇れいは初めて観ましたがなかなかの美人。ただ、いくら3部作とはいっても同じ原作者、同じようなストーリー展開ではさすがに前2作よりインパクトは弱い。もっと工夫が欲しかった。

  他にDVDでベトナム映画「夏至」とスパイク・リー監督の「インサイド・マン」を観ました。ベトナム映画を観るのは「無人の野」(1980)以来2本目。だらだらと何の盛り上がりもなく続くこの手の映画はどうも受け付けない。映像は綺麗だし、女優も美人なのですがさっぱり面白くなかった。一方、「インサイド・マン」はなかなかの出来。スパイク・リーらしさはかなり薄れていますが、この手の映画としては良くできている方だと思いました。デンゼル・ワシントンを観るのは久々。それなりに頑張ってはいましたがかつてのような求心力はない。むしろ光っていたのはクライヴ・オーウェン。あの渋い面構えがいい。たっぷり見ごたえのある作品でした。それぞれの評価点は以下の通り。「武士の一分」はレビューを書きます。(レビューはこちら

 「武士の一分」★★★★☆
 「夏至」★★★
 「インサイド・マン」★★★★

  本館ホームページ「緑の杜のゴブリン」の<miscellany>コーナーに「マイDVDコレクション 今年の成果」という記事を載せました。今年は加速度的に旧作のDVD化が進みました。コレクターとしては喜ばしい限りです。ただ、リストものですし、個人的な趣味で集めたものですからブログには載せませんでした。興味ある方だけどうぞ。

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2006年11月16日 (木)

白目は白い

Lamp3s   久しぶりの更新です。実はしばらく入院しておりました。ある異変を感じて12日の日曜日に病院へ行ったら、そのまま入院させられる羽目に。生まれて初めて胃カメラを飲まされました。出た結果は「胃潰瘍」。予想していた結果です。ストレスがたまっていたのですね。点滴とおかゆで過ごした数日間。今日やっと退院しました。

 おとといあたりから気づいたのは目の白さ。鏡を見ると目がやけに白く見える。逆に言うと、それまではかなり目が充血していたということ。何しろ一旦映画のレビューを書き出したら6、7時間ぶっ続けでパソコンに向かっていることも珍しくなかった。時間を忘れてのめりこんでしまう。目が充血していて当然だ。それが当たり前になっていたので自分では気が付かなかったのだろう。しばらくパソコンを見ない日を過ごしていたら目が白くなっていたというしだい。白目ってこんなに白かったんだ。

 11月1日付の「今日『フラガール』を観てきました」という記事で「前に一度肩の力を抜こうと自分に言い聞かせたことがあるが、いつの間にかまたがむしゃらに突き進んでいた。もう一度肩の力を抜こう」と書いたばかり。病室で寝ながらまたあれこれ考えました。HPとブログは今や生きがいなので止めるつもりはありませんが、もっとペースを落とさねば。体を壊してまで無理して書いていたのでは本末転倒。体を大事にしながら無理せずに書いてゆくことにします。HPとブログを初めて以来映画を観る本数が減っていました。要するに、映画を観る時間を削ってレビューを書いていたわけです。これまた本末転倒。今後は観た映画を全部長々と書くことはやめ、短評を増やそうと考えています。

 とりあえず週末をゆっくり過ごして静養します。書きかけだった「玲玲(リンリン)の電影日記」(★★★★)のレビューはその間ゆっくり時間をかけて書き上げます。なかなか書けなくて苦労していたのですが、やはりどこか調子が悪かったのでしょう。11日の土曜日に観た「カミュなんか知らない」(★★★★)は短評で済ませます。日曜日に観る予定だった「ナイロビの蜂」は哀れ観ないで返却。その上延滞料金まで取られました(悔しい!)。またいずれ借り直して観ます。のんびり気楽に、今後はこれで行きます。

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2006年10月 9日 (月)

蒼い時と黒い雲

Bicycle2_1  中国から帰ってきてからものすごく忙しかった。映画を観る時間がなかなか取れない。それでも何とか中国にいっている間更新ができなかった埋め合わせをしようと、何とか2本観てレビューも書いた。しかし頑張れば頑張るほどゆとりがなくなる。土曜日も夕方まで仕事だったので、この連休でやっと一息つけた。午前中庭の手入れをした。近くの田んぼに出て山を眺める。気持ちがいい。午前中こんなにゆっくり過ごしたのは久々だ。ブログを眺めながらCDを聞く。これまた久しぶり。買っても聞いていないCDがたまる一方。

 午後、「湯楽里館」に行く。上田市の隣の東御市にある日帰り温泉施設で「ゆらりかん」と読む。風呂に入る時はいつもメガネをはずすのだが、外の景色が眺めたくて今日はかけたまま入る。上田の近くにはたくさん温泉があるが、やはりここが一番いい。何といっても露天風呂からの眺めが格別だ。丘の斜面にあるので湯船の横に立つと町を見下ろせる。遠くの山もきれいだ。夜は夜景がまた美しい。メガネをかけていってよかった。しかし風が冷たくて長く外に立っていられない。ぬるいお湯にゆったりと浸かり雲を眺める。やっぱり休みはいい。のんびり出来ることはそれ自体幸せなことなのだ。休みになって改めてそう思う。風呂上がりにアイスクリームを食べてから外に出ると、もう薄暗くなっていた。隣に地ビール「ORAHO」を飲ませるレストランがあるのだが、今日は一人なので諦める。

 帰り道浅間サンラインを通ると夕暮れの空が幻想的で美しかった。夕暮れ時に小諸方面からサンラインや18号を通って上田に帰る時には時々このような空を観ることができる。もともと雲を眺めるのは好きだが、夕焼け空や飛行機の上から眺める雲海と並んで好きなのは、日が沈む前後の「蒼い空」。「蒼い時」という表現があるが、夕暮れや明け方の「蒼い時」には世界が違って見える。一日で一番好きな時間帯だ。今日見た夕暮れ時の神秘的な空はぞっとするほど美しかった。地平線の近くは夕焼けの名残で薄いオレンジ色。上空のほうは光が薄れた薄暗い「蒼い」空。大きな雲や小さな雲が空のあちこちに筆で書いた水墨画のように黒い影を作っている。こんなにゆっくり夕空を眺めたのはいつ以来だろう。一日のうちのほんの短い時間しか見られない。あくせくしているとつい見逃してしまう。車を止めてずっと眺めていたいくらいだ。いやむしろ、太陽を地平線ぎりぎりに沈んだところで2時間くらい止めて、流れる雲が大空のスクリーンの上に次々と作り出してゆく神秘的な光と影のショーをずっと眺めていたいと思う。広い原っぱに出て、イスの背を倒して斜めに空を見上げる。目に見える範囲すべてがスクリーンだ。映画のスクリーンなんて比じゃない。山の端と空全体がスクリーンになった壮大なスケールの天体ショー。しかも入場無料。片手にポップコーンの袋を持って、おっと危ない。車の運転をしながらではじっくりと眺めていられないのが残念。いや、考えようによっては、これが本当のドライブイン・シアターかもしれない。

 家に帰って食事。しばらくゆっくりしてから「かもめ食堂」を観る。いい!これはいい。今年公開の日本映画を観るのは「嫌われ松子」以来3ヶ月半ぶり。相変わらずコメディ調の映画で、最近の日本映画でいいと思うもののほとんどはコメディの要素が強い。しかし「かもめ食堂」におちゃらけたところはまったくない。癖のある女優を3人そろえているが、彼女たちを見る視線は温かくまっすぐだ。フィンランドで開店した日本食堂が舞台。しかし、外国で生活しているのにどこにも肩を張っている風がないのがいい。3人ともよく個性が描き分けられている。中でも小林聡美が実に魅力的だ。彼女の明るさがそのままかもめ食堂の魅力になっている。そんな描き方がまたいい。「かもめ食堂」の前に観た「アメリカ、家族のいる風景」、まだ観ていないがもう1本借りてきた「Vフォー・ヴェンデッタ」と共に近々レビューを書きます。

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2006年7月27日 (木)

夏の夜のバロック・コンサート

Photo_3   今日は信州国際音楽村のホール「こだま」で「夏の夜のバロック・コンサート」を聴いてきた。音楽村は小高い山の上にある音楽ホール。舞台は小さく大規模なコンサートはできない。室内楽のコンサートなどにぴったりのサイズ。しかし、市民会館のような多目的ホールではなく音楽専用ホールなので音響は非常によい。小ぢんまりとしていいホールだ。横に野外コンサート・ホール「ひびき」もある。こちらは木の座席がだいぶ腐食していたが、今回来てみたらきれいに改修されていた。下もコンクリを打ってある。前は土だったと思う。かなり整備されてきれいになった。

 周りの環境や眺めがいいので時々ふらっと行くことがある。ぶらぶら散歩して帰ってくる。しかしコンサートを聴くのは久しぶりだ。最後に聞いてから6、7年はたっている気がする。天満敦子さんのコンサートを聞いて以来か。久しぶりだったので今回のコンサートは楽しみだった。

  6時に音楽村に到着。着いてみたら駐車場はがら空き。人はほとんどいない。会場の入り口でチラシを確かめたら6時半開場、7時開演だった。30分間違えた。開場まであたりをぶらついて時間をすごす。ホールの周りは木が多いので涼しい。すぐ横はラヴェンダー畑。ここの名物にしたいらしい。前にラヴェンダー・アイスを食べたことがあるが、結構美味しかった。いけますよ。今日は晴れのような曇りのような微妙な天気だったので、湿気は少しあったが気温はさほど高くない。ぶらぶらするにはちょうどいい気温だった。

  さて、演奏会は素晴らしかった。曲目もかなり聞き応えがあるいい曲がそろっていた。演奏者はソプラノの鈴木美登里、バロック・ヴァイオリンの寺神戸亮、ヴィオラ・ダ・ガンバの上村かおり、森川麻子、坪田一子、坂本龍右、チェンバロのニコラス・パール。

  今日から音楽村で4日間ヴィオラ・ダ・ガンバ協会の夏期講習会があり、せっかく一流の演奏者が集まっているのだから公開で講師演奏会をやろうということになったようだ。宮澤賢治の作品を英語と日本語の対訳で読んでいる読書会のメンバーがガンバを弾くのでコンサートに誘われたしだい。

  演目はディートリヒ・プクステフーデとフランツ・トゥンダーの曲をそれぞれ6曲と3曲ずつ。二人ともまったく知らなかった。しかし曲は素晴らしかった。これまでバロックの演奏会には何度か行ったが、曲がいまひとつ魅力がないといつも思っていた。しかし今回の演目はどれもよかった。これまで聞いたのはイタリアやフランスの曲が多かったが、今回はドイツ。どこかなじみがある感じがした。目をつぶって聞いているとロマン派や古典派あたりの室内楽曲を聴いているような錯覚を起こすほど。演奏としてはヴァイオリンの寺神戸亮さん、ガンバの森川麻子さん(小柄でとてもかわいい人でした)と上村かおりさん、ソプラノの鈴木美登里さんが特によかった。

  前に学生時代はクラシック一辺倒だったとどこかで書いたが、大学院に入ってからジャズやロックを聴くようになって、以来滅多にクラシックは聴かなくなった。それでも一時期朝起きるとバロックのレコードをかけていた時期があった。バロックは朝が似合う(そう言えば、夜寝る前に必ずコルトレーンを聞いていた時期もあった)。その頃聞いていたのはもっぱらバッハやヴィヴァルディ。クープランやラモー、テレマンなどはいまひとつ曲に魅力を感じなかった。ホロヴィッツは当時大好きだったが、彼の「ホロヴィッツ・プレイズ・スカルラッティ」もいまひとつだった。どうもバッハやヴィヴァルディのような華がない。しかし今回知った二人はなかなか魅力的だった。新しい発見。

  早めに入場したので舞台の真正面の席に座れた。楽器の演奏の時はみな下向き加減で演奏するのでいいのだが、ソプラノの鈴木美登里さんは舞台の一番前にこちら向きで立って歌う。僕は真正面に座っていたのでなんだか目が合いそうな気がして落ち着かなかった。まあ、こっちが気にするほど向こうは観客のことなど見ていないだろうが。いや、しかし、なかなかの美人でしたよ。まっすぐ目を見られなかったのはそのせいかも。

  明日も無料コンサートがあるということなので是非行ってみようと思う。( この4日ほど映画を観ていません。現在レンタル中のDVDもなし。今日当たり手持ちのDVDを何か観てみようと思っています。映画レビューは今しばらくお待ちください。)

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2006年7月23日 (日)

久々の温泉

Earth1_1   お昼過ぎに「OUT」のレビュー完成。ホームページとブログにアップする。昼飯を食べてからいくつかの本屋を回る。徳田秋声の『あらくれ』(講談社文庫)を探していたのだがどこにも置いてない。しかし代わりにオリーヴ・シュライナーの『アフリカ農場物語』の上巻が岩波文庫から出ているのを発見。イギリスの「ニュー・ウーマン・ノヴェル」の代表作の一つ。こんなものが翻訳で出るとは!いい時代になったものだ。その後家に帰るつもりだったが、急に温泉に入りたくなった。急遽「ささらの湯」に向かう。久々だ。

  レビューを書き上げたので心の余裕ができたこともあるが、このところ車を代えてからドライブがしたくて仕方がない(「待望の連休」参照)。まっすぐ家に帰らずにわざわざ遠回りしたりしている。きのうの夕方も芸術村までふらっと車で行った。久々に温泉に行こうと思ったのもそういう気持ちの延長だろう。新しく中古で買ったインプレッサは年式が4年違うだけでこれだけ車のグレードが違うのかと驚くほど乗り心地がいいし、サニーにはなかったいろいろな装備が付いている。買ってしばらくはずっと雨だったのでまだ遠出はしていないがとにかく走るのが楽しい。ただ燃費は悪い気がする。まだガソリンを入れ替えていないので燃費を計算できないが。

  春から秋にかけては風呂に入らずシャワーで済ませているので、しばらくゆっくりと湯船に浸かっていない。温泉は広いし気分的にもゆったりとできる。特に露天風呂は気持ちがいい。のんびりした気分になれる。「ささらの湯」は家から車で20分ほど。市内には家から車で10分もかからないところに有名な別所温泉があり(「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」や「卓球温泉」などのロケ地)外湯も4つほどあるが、こちらは最近とんとご無沙汰。「ささらの湯」は職場の組合から回数券がもらえるので只で入れる。だからどうしてもそっちに足が向いてしまう。上田近辺には車があれば1時間以内に行ける日帰り温泉が「ささらの湯」以外にも6つほどある。別所温泉などの温泉郷も4つくらいある。いや、よく考えればもっとあるかもしれない。あまりに身近なので普段はありがたみも感じず、滅多に利用しない。最近は面倒で温泉券をもらいに行きもしない(4つくらいの温泉から1箇所選べる)。近くに温泉がない人には「何を贅沢な、ばちが当たる」と言われそうだ。でも実際はそんなもんです。

  家に帰るとアマゾンで注文していたDVDがどさっと届いていた。「これから観たい&おすすめ映画・DVD(06年6月)」で紹介した「ドン・キホーテ」が手に入ったのがうれしい。チェコの人形アニメ作家イジー・トルンカも2本ゲット。つい先日も待望の「タヴィアーニ兄弟傑作選DVD-BOX」と「ひょっこりひょうたん島」のDVD-BOX2セットを入手。「OUT」もブックオフで買ってその日に観たのである。覚悟していた値段の半分で車が買えたのでこのところ気が大きくなっている。そろそろ気を引き締めねば。

  さあ、今日はこれから「スタンドアップ」を観るぞ。またアメリカ映画。このところ充実している。楽しみ、楽しみ。

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2006年7月15日 (土)

待望の連休

059259   このところ記事の更新が遅れて申し訳ありません。この2週間は猛烈に忙しかったのです。もう体も精神もボロボロ。映画を観る気力もなく、観てもレビューを書く気力はさらにありませんでした。おまけにココログが11日から13日の昼間にかけて大手術メンテナンスを施したので、その数日前から駆け込みラッシュで管理画面の操作が異常に重たくなり、どうにもなりませんでした。かろうじて1本だけ書いた「プライドと偏見」のレビューもTBを1本送っただけで断念。いやあ辛かった。長いトンネルを抜けてほっと一息。

  今日からは3連休。映画観まくるぞ。レビューも書きまくるぞ、ってこっちはなかなかそうも行かない。やっぱり時間がかかる。実は9日に「ミリオンズ」を観ていたのですが、忙しくてレビューがまだ書けていません。さわやかないい映画だったので忘れないうちに早く書きたかったのですが、とても書ける状態ではありませんでした。昨日の夜書こうと思っていたのですが、1週間レンタルで借りていた「ロード・オブ・ウォー」の返却期限が昨日までだと判明。あわててそっちを観ました。無事延滞することなく返してきましたが(代わって「シリアナ」をレンタル)、これは「ミリオンズ」を上回るとてつもない傑作。今年のベスト1かと早すぎる結論を下しそうになるほど素晴らしい映画でした。あっ、よく調べたら公開は去年の12月。去年の映画だったか。まあ、いずれにしてもすごい映画であることに変わりはない。ゴブリン大絶賛。

  今月のレンタルDVDは「シリアナ」に加えて「クラッシュ」、「ジャーヘッド」と充実したアメリカ映画が次々にリリースされ、他にも「歓びを歌にのせて」、「ヘイフラワーとキルトシュー」、そしてロシアで大ヒットした「ナイト・ウォッチ」などの話題作が出ます。さらにアメリカ映画では前月から積み残した「スタンドアップ」、「スパングリッシュ」、「シン・シティ」もあるので、久しぶりにたっぷりアメリカ映画が楽しめそうです。ボブ・ディランのドキュメンタリー映画「ノー・ディレクション・ホーム」も楽しみ。そうそう「ある子供」もあった。ダルデンヌ監督はやや苦手なのだが、評価が高いので観ておかねばならない。

  ともかくまず「ミリオンズ」のレビューを書き上げなくては。でも今日は「新しい」車が手に入る予定だ。ドライブに行ってしまうかも。いつの間にか11年も乗ってしまったサニーに代えて、まだ製造されてから7年しかたっていないピカピカの中古インプレッサに乗り換える。欲しかったのは他の車種だが、そこは中古の悲しさ。業者に頼んでから半年たっても見つからない。痺れを切らして店頭にあった中から選んだのがインプレッサだったというしだい。まあ、後4、5年も乗れば迷わず成仏してくれるでしょう。それからまた「新しい」中古を探せばいい。CDやDVDや本ばかりではなく車も中古なのかと驚くなかれ。何を隠そう、僕は中古の車以外買ったことはありません!もちろん安いから。数百万円以上出して車を買う人の気持ちが僕には理解できない。ただの移動手段ではないか?僕は何事につけブランドというものに一切興味がない。いいじゃないか、形が気に入って、安全に走れる車ならば。

  まあ、読者の中には車好きの方もいらっしゃるでしょうからこれ以上は言いません。「うだうだ言ってないで早うレビューを書け!」って?はいはい、すぐ取り掛かります。冷たいやつを一杯やってから。

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2006年5月 5日 (金)

庭のテラスで読書、至福の時

Sdcutmo307   今年の連休はずっと庭の手入れをしている。連休後半に入っても庭の手入ればかり。このところ仕事が忙しく、ブログにも時間をとられて庭は荒れ放題だった。この3日間だいぶ手を入れたので庭もすっかりきれいになった。 1時ごろ食事に出かける。天気がいいので近くのラーメン屋まで歩いて食べに行った。片道15分くらいか。このぐらいの距離なら歩くのもいいものだ。帰りに鉢植え用の花を買ってきた。

  すぐ買ってきた花を植えた。その後庭の手入れをする。まだ手入れの行き届かないところがあるが、あの荒れ放題だったときに比べるとだいぶすっきりした。ふと見ると、シロヤマブキ(山吹とは別種)の花が二つ三つ咲いていることに気づいた。白い花はたくさんあるが、僕はこの花の白さが一番好きだ。大きすぎず小さすぎず、形もきれいだ。そしてその白さ。こんなきれいな白い花は他にないと思う。近くにある山吹も花芽が大きくなってきたので、連休明け頃に黄色い花が咲き出すだろう。

  連休前はどこかいい喫茶店があれば行ってみようかと考えていた。しかし雑誌で探しても、行ってみたいと思うような新しい店は見つからなかった。そこで考えを変えた。どうせ喫茶店に行ってもそう長くはいられない。金も時間もかかる。それなら、自分の家の庭をもっと快適にして、そこでゆったりと本でも読めばいいではないか。庭もだいぶきれいになってきたので、早速その考えを実行に移した。

  庭の手入れでだいぶ汗をかいたので、まずシャワーを浴びて汗を流した。すっきりしてからテラスに出る。ガーデンテーブルにパラソルをたて、冷たい飲み物を用意して本を読み始めた。今の季節だと湿気が低いので、気温は高くても日陰だとちょうどいい暖かさになる。それに何と言っても外は気持ちがいい。

  考えてみれば、自分の家の庭なら時間も金も節約できる。出かける手間は省ける。なにせ家から0分。場所代もいらない。飲み物代も只。何時間粘っても誰からも文句を言われMy_garden ない。快適な気温で、庭の眺めも悪くない(回りは住宅ばかりだがそっちは見ないようにすればいい)。少し読書に疲れたたら、ちょっとその辺を散歩する。20メートルも行けば田んぼに出る。そこから独鈷山が眺められる。遠くには美ヶ原や浅間山も見える。しばし辺りを眺めて気分を入れ替えた。こうして2時間ほど読書にふけった。暗くなる前に藤沢周平の『蝉しぐれ』を読み終えた。映画版と違って深い感動を覚えた。文四郎とお福の今生の別れの場面は涙が出た。「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか。 」映画でも使われたせりふだが、さすがに原作の方は胸に深く沁みた。

  自宅のテラスで過ごす至福の時。家のすぐ前だが、これだって立派なアウトドア・ライフだ。自宅の庭がこんなに快適だなんて。どうしてもっと前に思いつかなかったのだろう。これは残り二日もこれで行くしかないな。天気が続くことを祈ろう。

  さて、夜は映画三昧だ。

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2006年5月 1日 (月)

連休前半終了 水槽替えと庭の手入れ

Images_57_4   連休の前半はこれまでやれなかったことをやることにした。一つは金魚の水槽を大きいものに替えること。60センチの水槽は既に買ってあったが、水槽の交換には時間がかかりそうなので連休まで手をつけなかった。もう一つは庭の手入れ。このところ忙しくてろくに水もやっていない。芝生が伸び放題で、境目を乗り越えて庭全体に広がっている。何とかしなくてはと前から思っていたが、忙しさにかまけて何もしてなかった。

  連休初日の土曜日は水槽の交換に当てた。カインズホームで水槽の砂利とオーナメント(岩と水草)を買ってきた。早速60センチ水槽への入れ替えを始める。大変な作業だった。まず買ってきた砂利を水洗いする。結構泥が出る。次に今の水槽の水と金魚をバケツに移す。古い水槽を取り外し、新しい60センチの水槽を置く。かなり大きい。底に砂利を入れる。次にバケツで水を入れる。これが大変。6、7杯入れただろうか。およそ60リットル入るようだ。

  それが終わるとカルキ抜きを入れて水を中和する。しばらく置いてから金魚を移した。うまく馴染んでくれるか心配だったが、良かった元気に泳いでいる。今度は濾過器を組み立てて水槽に設置した。ライトも取り付ける。これで完了。いよいよ電源を入れる。おおっ。素晴らしい。ちょっと水草が足りなかったのかスカスカの気がするが、少しは開放感があったほうがいいのかも知れない。そのうちまた本物の水草を買ってきて増やそう。今いる金魚たちはもう何年生きているのだろうか。多分もう買ってから4、5年はたっているだろう。だいぶ体も大きくなってきて、前の水槽では狭く感じ始めたのが大きい水槽に替えるきっかけだった。

  ライトをつけるとまるで熱帯魚の水槽のようだ(実際金魚と熱帯魚の両方に使えるものだが)。網ですくって移すときにうろこが何枚か剥げ落ちている金魚がいる。多分大丈夫だろう。いずれ再生するのではないか(根拠のない期待)。もう1匹買って来ようか。にぎやかな方がいい。記念に金魚に名前をつけようかな。

  翌日の日曜日に金魚をもう2匹買ってきた。頭の天辺だけが赤く、全体が白い金魚だ。水槽に入れるとなんとまあ小さいこと。それまでいた4匹はかなり大きくなっており、新たに買ってきた2匹はまるで子どものようだ。しばらくじっと眺めていたが、小さな新人たちはおとなしく2匹並んで隅のほうを泳いでいる。一番大きい2匹は水槽を大きくしてから悠々とかなりのスピードで泳ぎ回るようになった。時々さっと反転するので、小さい2匹はそのあおりを食って時々弾き飛ばされそうになる。一番大きいまだら模様を二番目に大きいのがしきりに追い掛け回している。一番大きいのがメスで、二番目がオスなのだろうか。とにかくそのしつこいこと。ずっと追いかけていた。まだら嬢は嫌がっているように見える。それはともかく、水槽を眺めるのは実に楽しい。まさに癒しの時間。しばらくはこれが癖になりそうだ。

Big_0135   今日は庭の手入れ。プランターから雑草を抜き、伸びきった芝生を刈る。久々に芝生用バリカンを使った。バリカンがつかえない境目のところは芝刈りハサミを使う。ハサミを使いすぎて手の握力がなくなってきた。庭の手入れをしてすっかり汗をかいた。まだまだ半分も手入れは終わっていないが、残りは水曜日以降にやろう。その後テラスのガーデンテーブルでタバコを吸う。気持ちがいい。近所の人が前を通るとき「夕涼みですか」と声をかけてくれた。

  ゆっくりと庭を眺める。ユキヤナギは満開を過ぎて花がだいぶ散ってきた。ミツバツツジの薄紫の花が綺麗だ。ツツジは白、赤と何種類か植えてあるが、ミツバツツジの色が一番好きだ。他のつつじはまだ花が咲いていない。去年あまり咲かなかったドウダンツツジはうまく咲くだろうか。シバザクラの白と赤の花も綺麗に咲いている。芝生がだいぶ入り込んでいるがちゃんと咲いてくれたので一安心。プランターの宿根草も一部咲き始めている。名前は忘れてしまった。ヤマボウシとシャラとエゴの木が小さな葉を付け始めている。これから新緑が楽しみだ。新緑の緑の鮮やかなことといったら、花以上に綺麗だとすら思う。ただコニファーが何本か枯れてしまった。切らないとだめかなあ。そろそろ庭師さんでも頼んで本格的に手入れしてもらおうか。

  明日は一日だけ仕事。気が重いが、あさってからまた連休だ。連休後半は近所にちょっと出かける程度にして、映画と読書にたっぷり時間をかけよう。

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2006年1月14日 (土)

最近上田でもいい日本映画が観られるようになった

st  どうしたわけか、最近急に上田でもいい映画が観られるようになった。それもなぜか日本映画ばかりだ。昨年の12月に「メゾン・ド・ヒミコ」を観たのが最初。今年に入って先週「運命じゃない人」を観た。今日は「ALWAYS三丁目の夕日」を観てきた。明日は「THE有頂天ホテル」を観に行く予定。その後も「博士の愛した数式」(これは上田でもロケをした)と「県庁の星」が控えている。日本映画のレベルが上がってきたことの現われだろうと思う。ただこの調子で今後もいい映画が続くかはまだ分からない。いずれにしても今年はもっと映画館で映画を観ようと思っている。

  「ALWAYS三丁目の夕日」は予想以上によかった。後半はもう涙が乾く暇がなかった。このところコメディタッチの映画ばかり作っていた日本映画だが、これは伝統的な日本映画の味わい、「警察日記」や「本日休診」、あるいは小津の長屋物などに通じる庶民の哀歓を綴った人情喜劇である。アメリカ映画の様なアクション大作やミュージカルを作れない日本では、こういう映画が得意だった。戦後間もない東京の風景を再現した映像も素晴らしい。懐かしい風景だった。レビューを書くのが楽しい作業になりそうだ。

  それにしても、雨天とはいえ土曜日なのに観客は20人程度。小さな映画館なのにがらがらである。上田では普通の入りだが、いい映画なのだからもっと多くの人に観てほしい。ただ、子供が三人観ていたが、途中そわそわしたりしていなかったので夢中で観ていたようだ。年配の人だけではなく子供たちも観て楽しめる映画のようだ。なんだか自分のことのようにうれしい。

 一方洋画の方は観たい映画がさっぱりこない。「ナルニア国物語」が来る予定だが、出気が気になる。VFXが発達した今日、かつては映画化が困難だったファンタジーがスクリーン上で表現可能になった。「ロード・オブ・ザ・リング」を観れば、もう大概のものは映画化が可能だという気になる。そうなると「ナルニア国物語」にとどまらず、ファンタジー王国イギリスが生み出した膨大な数のファンタジー小説が次々に映画化される可能性がでてくる。これは児童文学大好きの僕としては楽しみである。

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2005年10月17日 (月)

庭の枯葉~生活のゆとり

momizi  庭でタバコを吸っていたら、枯葉がかなり落ちていることに気付いた。昨日までは気付かなかった。今日になって急に落ち始めたのだろうか。秋が深まってきたようだ。庭の木はまだ一部しか紅葉していないのに、もう葉が落ちるとは。木に元気がないということか。そう言えばおとといあたりからリンドウの花が一輪咲いている。去年まではもっとたくさん咲いていたのに、今年は寂しい。庭のいたるところに芝がはびこり、いつか抜かねばと思いつつやらずに来てしまった。庭の一部に植えたはずが、どんどん回りに広がっている。リンドウに元気がないのは芝のせいだろうか。伸び放題の芝、厄介な存在だ。

 長野に来てから季節の変化を感じるのはもっぱら山だった。しかし庭を造ってからは庭の変化から季節を感じることが多くなった。やはり庭を造ってよかった。最近はブログ作りに時間を取られ、すっかり庭の手入れをおろそかにしている。うっかりすると水撒きさえ忘れている。プランターの花をいくつも枯らしてしまった。地面に直に植えている花はしばらく水をやらなくても長持ちするが、プランターの場合はそうは行かない。

 そろそろブログに割く時間を減らすようにしよう。何も毎日更新する必要はない。自然のリズムに出来るだけ近づけてゆこう。映画のレビューは1本仕上げるのに3、4時間はかかる。映画自体を見る時間を合わせれば5、6時間かけていることになる。映画を見るたびにこれを繰り返すのは正直しんどい。そろそろ肩の力を抜く時期だな。 ちょうどブログに載せる映画レビューのストックも底をついてきた。ここらで生活の余裕を取り戻そう。毎日長い時間パソコンに向かっているので、庭の手入れだけでなく本を読む時間も減った。以前紹介したハリポタの新作もあれ以来ほったらかしだ。好きな散歩も長いことしていない。音楽をゆっくり聴く時間も激減した。パソコンとばかり向き合っているので日記も短くなってしまった。ほかのことを何もしていないから書くことがないわけだ。ブログに載せるために映画を必死で見る。いかん、いかん、これでは本末転倒だ。もっとペースを落とそう。

 今週あたりからブログの更新を週2~4回に減らそう。もっと時間をかけて記事を書こう。SD-rain01行き当たりばったりで映画を見るのではなく、シリーズを作ってある程度計画的に見るようにしよう。今ひとつ考えているのは「名作の森」シリーズ。古典的名作を1~2週間に1本ずつ紹介するシリーズだ。今まででもそれはやってきていたが、シリーズ化することで自分に課題を持たせ、広く名作を知ってもらおうという考えである。ペースもこの程度なら負担にはならない。名作は何十年たっても色あせない。今なら、DVDや衛星放送で古い映画も簡単に見られる。さらに、シリーズ化すれば、次はどんな作品を採り上げるのだろうと期待してくれる読者も出てくるかもしれない。

 ブログに関してもう一つ課題がある。映画レビューの五十音順のリストを作ることだ。ブログの欠点は、古い記事を探しにくいということである。最近書いた記事しかトップページには表記されない。バックナンバーも付いてはいるが、日付で区切られているので、一つひとつの記事のタイトルが分からない。他のブログには五十音順のリストが付いているものもあるが、ココログには標準装備されていない。何らかの工夫をしてつけているのだと思うが、その方法が分からない。何とかその方法を見つけるのが当面の課題だ。

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2005年9月 4日 (日)

メアリ・ローズ・ガーデン

 イギリス映画に「グリーンフィンガーズ」という作品がある。「グリーンフィンガーズ」とは「庭弄りが好きな人」という意味である。囚人たちがガーデニングを始め、やがて"ハンプトン・コート・パレス・フラワーショウ"にまで出場するという映画だ。いかにもガーデニング王国イギリスらしい映画である。そう いえば、「大脱走」にもイギリス人のガーデニング好きが活かされた場面が出てくる。連合軍の捕虜たちは脱走のためにトンネルを掘るのだが、そこで彼らは頭の痛い問題に直面した。掘り出した土をどう処理するかという難問である。そこで思いついたのが畑作り。イギリス人捕虜がドイツ兵に畑を作らせてくれと頼み込んで了解を得る。その畑に何食わぬ顔をして掘った土をばら撒いてゆくのである。頼みに行ったのがアメリカ人の捕虜だったら逆に怪しまれたかもしれない。イギリス人だったから成り立った話である。
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 別にこの映画に影響を受けたわけではないが、2001年に本格的に庭を造った。家を建てて3年目だ。それまでは庭というより荒地で、石がごろごろしていてコンクリートの破片や太い鉄線などが地面から顔を出していた。庭を造って以来、散歩のときも他の家の庭をよく眺めるようになった。ああ、あの塀の作りはいいなあ、あのかたちのいい木は何の木だろう、ああいう花の色 の配色は参考になるなどと思いながら眺めるのである。ガーデンデザインの本などを見ると見事な庭の写真が載っているが、素人にはとてもまねが出来ない。せいぜいそこからヒントを得て、自分の庭に応用する程度である。しかしそれが楽しい。

 そのうち本格的なガーデンも観たくなる。上田にはこれといったものはないが、佐久にはメアリ・ローズ・ガーデンがあり、茅野市にはバラクラ・イングリッシュ・ガーデンがある。バラクラ(「薔薇のある暮らし」をもじった名前らしい)には行ったことはないが、メアリ・ローズ・ガーデンには一度行ったことがある。その時の日記を引用しておこう。

 駐車場から見上げた建物は素晴らしかった。期待が膨らむ。美しい英国風の建物で、そこがガーデンの入り口と書いてある。中に入ると売店のようになっていて、すぐ左にレストランがある。奥に切符売り場があり、その横のドアを通るとガーデンに出た。見事なガーデンだった。自然庭園風ではなく、幾何学的な庭園 だった。丘の斜面に作られているので段々畑のようになって続いている。それぞれを塀で囲い、狭い門のような入り口でつないでいる構造がいい。ローズ・ガーデンとなっているが、薔薇以外にも様々な花が咲いていた。写真でしか見たことがなかったものもたくさんあり、勉強になった。写真では実際の大きさが分からないからだ。花の配置の仕方、芝生と花壇の配置もよくできていた。芝生が随分短く刈ってあって、こんなに短くするものかと驚く。家の芝生は長すぎる。と言うより、ほとんど手入れしていないから伸び放題である。確かにこのくらい短いと歩きやすい。しかし手入れが大変だろう。

 ガーデン全体が段々状になっているのですぐには全貌がつかめないのもいい。あちこち歩き回りながら、まだこの先にもあるのかと楽しみが長く続く。ちょっと奥の方にシークレット・ガーデンと名がついている一角もあった。ブランコがあったので乗ってみた。ブランコに乗るのは久しぶりだ。こういう隠れ家の様なスペースは前から欲しかった。ちょっとしたこの遊び心がいい。庭が広ければシークレット・ガーデンを作って見たいものだ。ガゼボのある一角も素晴らしい。同じものがほしいと思ったほどだ。うちじゃ置くとこもないが。

 一通り回った後、塔に登ってみた。結構面白い作りで、両脇に螺旋状の階段がつき、その間に小ぶりな部屋が二部屋続きで配置してあるという作りだ。屋上からは回りが見渡せ、眺めはいい。下を見下ろすと、庭園の全貌が見て取れる。意外に小さいスペースだった。中にいるとかなり広い気がするが、実際にはたいしたスペースではない。その狭い空間を、いくつものパートに区切って、それぞれ違った個性を持たせ、びっしりと花が植えてあるために狭さを感じないのだ。見事な工夫である。

 塔から降りて、レストランの横のテントを張ったテラスでコーヒーを飲む。コーヒーはサービスだ。楽しいひと時だった。

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2005年9月 1日 (木)

ブログとホームページの違いに驚く

gem2  新しくブログを作ったのは8月の27日。ホームページの「恋太郎の映画日記」はさっぱり人気がでないが、それはタイトルのネーミングが悪いからだろうと考えて、さんざん頭をひねって、ブログのタイトルを「銀の森のゴブリン」にした。最初からメルヘンチックなタイトルを作ろうと思ったわけではないが、出来上がったらそうなっていた。銀は銀幕から取った。最初は「何とかカフェ」とか、「何とかタイム」にしようかと考えていたが、映画関係のホームページやブログには多いのでやめた。代わりに思いついたのが「何とかの森」だった。そこから「銀の森」ができた。ゴブリンはどこから発想したのか覚えていないが、妖精の住むケルトの森を連想したのだろう。このタイトルなら反響があるはずだ。その考えはあたった。

  ものすごい反響である。きのう(8月30日)1日だけでなんとアクセス数が70あった!そのうちの10くらいは自分でアクセスしたものだ。アップした文章がどんな風に見えるか確かめたり、どれくらいアクセスがあったかを調べるためにアクセスしたものだ。それを除いても60くらいある。とんでもない数である。まだ開設して3日目だぞ。今日も60近いアクセスがあった。しかもホームページ時代には経験したことがなかった、コメントやトラックバックが入ってくる。これは感動だ。自分の書いた文章に他の人からの反応が返ってくる。反応が直に感じられるのである。一方、ホームページはといえば、きのうのアクセス数10、うち自分でアクセスしたのが7あるから、純粋な外来分はたったの3回だ。今日なんかもう後30分で日付が変わるがまだ7だ。純粋な外からのアクセスは3回のみ。何とか自分のホームページを宣伝しようとあちこちのアクセスアップ・サイトに登録したりしたが、さっぱりアクセス数は増えない。もう嫌気が差してやる気をなくしかけていた。それがブログを作ったとたんにこの反響。一体何なんだこの違いは。

  確かにタイトルもずっと魅力的になったし、ブログのデザインもタイトルにふさわしいデザインを選んだ。見かけはホームページより断然良い。それは自分でも分かる。女性でも違和感なく入ってこれる(ただ文体が堅いのですぐ他のブログに移ってしまうかもしれない)。しかしそうはいっても、名前を変えたところでブログの存在が知られていなければ誰も見に来ない。どんなに優れたサイトでも見つからなければ存在しないも同然である。ブログがホームページよりも有利なのはまさにこの点である。作ってみてから知ったのだが、ブログは自分で記事さえ載せればあとは勝手に情報を流してくれるのである。ホームページでは出来たばかりのサイトは検索にかからないが、ブログにすれば有名なサイトだろうが出来たばかりの無名のサイトだろうが関係なく、公平に新着情報として流れるから目に触れる機会が増えるのだ。ココログならココログのサイトに行けばいつでも新着の文章が見られるのである。自分が書いた文章のタイトルがのっているのを見つけた時は本当にうれしかった。ホームページではホームページのタイトルすら検索になかなかかからないのに、ブログなら文章単位で人の目に触れるのである。実にうまく出来たシステムだ。これならば、アクセスが増えるかどうかはどれだけ人をひきつけられる文章が書けるかどうかにかかっている(もちろんサイトのコンテンツは文章だけではないが)。これは公平な競争である。どんなにもがいても上位に上がれないホームページの時代はもう終わるのかもしれない。

 ただそうは言ってもホームページのほうが使い勝手が良い面もある。だから当分は両方を使おうと思う。それぞれの性格を分けようと考えている。ホームページは一種のデータベースにして、良さそうなのを選んでブログで公開する。例えばそういうやり方だ。

 反響が出てくると俄然やる気が起きてくる。まだまだどれだけの人が定着して、リピーターになってくれるか分からない。そのためにはひたすら読んでもらえる文章を書くことだ。文体も色々変えてみよう。堅い一方じゃ読者を選ぶ。ある一定の線以上は妥協するつもりはないが。ポリシーはなくさない、しかし戦略は柔軟に。これで行こう!

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ある陶芸家の話

kirie_bl 食事に出かける。店に入ると年配の先客がいた。Y先生という小諸に住んでいる陶芸家の先生だと紹介された。後からKさんも来た。客が三人になった。カウンターで横に並んでいたのでマスターを挟んで色々と話をしたが、Yさんの話が面白かった。彼が独自に開発した「練りこみ」という技法の話だ。陶芸というとすぐろくろを使うと連想するが、「練りこみ」の場合はろくろが使えない。粘土を細かく切ってブロック塀を積み上げるようにして下から積み上げてゆく技法だ。粘土は何種類もの色を用意して模様をつける。上薬を塗るのではなく、一つひとつの違う色の粘土を組み合わせて模様を付けてゆく。点描画の様な手法である。写真を1枚見せてもらったが、着物の柄にヒントを得た見事な模様である。

 何と彼は50歳まで30年ほど呉服屋をやっていたそうだ。だから着物の柄に詳しかったわけだ。まさに50の手習いである。今74歳だといっていた。50歳からまったく分野の違うことに手を出してここまで来るとは。それも世界で彼にしか出来ない唯一無二の技法を編み出したのである。

 とにかく小さな粘土を一つずつ貼り付けて行くのだから気の遠くなる作業だ。写真の壷は幅50センチ、高さ50センチだからかなりの大きさである。前述のように、ろくろを使わずに下から積み上げてゆく。ろくろを使うと表面をこするわけだから、せっかく一つひとつ貼り付けた粘土が流れて混じってしまう。とにかく、空気が入らないように力を込めて押し付けながら貼り付けてゆく。

 しかも驚いたことに、粘土はあらかじめ色違いのものを何種類も分けて用意しておくのだが、焼く前はどの土も皆白い色なのだそうだ。焼いて初めて色が出る。したがって積み上げているときはほとんど白一色なのだ。粘土も間違わないように番号をつけておくのだそうである。その上、壷だから下絵の様なものは作れない。実際あらかじめ完成図を頭に描いて作ったのではないそうだ。積み上げながら模様を作り上げてゆくのだそうだ。ほとんど同じ白い色の粘土だから、組み上げた部分はどこにどういう色の粘土が入っているか頭に入れておかねばならない。それでいて完成品は見事な絵柄になっている。一体どうやったらそんなことが出来るのか。

 難しいのは一番てっぺんの部分である。壷だから口のところはすぼまっている。てっぺんのあたりはドームのようになるわけだ。ここはしっかり貼り付けないと粘土自身の重みで下にたれてきてしまう。一旦たれたら手で持ち上げて直しても、焼いたときにへこんでしまうそうである。まるで形状記憶合金だ。

 そのほかにも陶芸のいろいろな話を聞いた。実に面白かった。小諸の懐古園の近くに店があるそうなので一度行ってみたいと思った。

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2005年8月28日 (日)

茶房「読書の森」へ行く

1144 昼食を食べた後どこかドライブにでも行こうかと考えたとき、ふと「読書の森」に行ってみようと思いついた。「読書の森」とは喫茶店の名前である。その魅力的な名前が気に入ったので前から行ってみたいと思っていたのだが、どうも分かりにくそうなところにあるので今まで行かずにいたのである。

 喫茶店を選ぶときには当然店の外観や内装や雰囲気、あるいは珈琲の味などを意識するだろうが、ネーミングも重要である。上田には結構魅力的な名前の喫茶店がある。「月のテーブル」や「風乃坂道」などは、名前を聞けばどうしても行ってみたくなる。「珈琲哲学」も大いに気持ちを引かれた。3店とも実際に行ってみたが、造りも凝っていていい喫茶店だった。これが「マイアミ」や「ルノアール」という名前じゃ未だに行っていなかっただろう。

 よく休日に車で走っている時、どこかの喫茶店に入ってのんびり本を読んでみたいという誘惑に駆られることがある。僕は喫茶店でもレストランでもちょっと時間があれば本を読むのが習慣だ。「読書の森」はそういう意味でも魅力的なネーミングである。よし、今日こそ行ってみよう。一気に腹を決める。国道18号に出て小諸方面に向かう。「読書の森」は小諸市の御牧ヶ原にある。押出入口で右折。千曲川を渡る。そこから山道だ。どんどん坂を上る。その先がはっきりしない。紹介文が載っていた地元のミニコミ誌には簡略な地図しか載っていない。後は勘だ。道路地図を見て農業大学校がある辺りだろうと見当をつける。どこかで左に入るはずだ。左手に集落が見えたので左折してみたがどうもそれらしきところはない。元の道に戻りさらに坂道を上がる。

 坂を上りきったところに農業大学校の看板があった。そこで左折してみる。山道で家は点々とあるだけだ。どんどん道が細くなってきて家もなくなってきた。心細くなる。どうもこの道ではないらしい。しかし引き返そうにも道が狭い上に枝道もないのでUターンが出来ない。どこか枝道が見つかったらそこで引き返そうと思っていた矢先、突然「読書の森」の看板が眼に入ってきた。やれやれここでよかったのか。看板のところで左折する。細い一本道。右前方に家の屋根が見える。ひょっとしてあそこか。行ってみるとその通りだった。ホッとため息をつく。駐車場(らしきところ)は急斜面で、車を横にして停めた。他に2台停まっている。

 茶房「読書の森」はそれほど広くはなかった。奥にカウンターがあり、真ん中に横長の大きなテーブルが二つある。そこにテーブルと同じ長さの横長の椅子が付いているので狭くて歩きにくい。周りの壁には本棚や机がぎっしり並んでいる。本はいずれも古びたものばかり。さながら場末の古本屋といった感じだ。どれも相当黄ばんでいる。

 ブレンドを頼んだ。適当に本棚を見渡し、インテリアに仕立てた古道具の写真集を取ってきて眺める。この店の雰囲気に合っていたからだ。一通り見終わって本棚に返す。その本があった棚にはドストエフスキーとトルストイの全集が並んでいた。ロシア関係の本もある。本の持ち主は明らかに昔世界文学全集が流行っていた頃の世代だ。ロシア文学の面白さといったら例えようもない。高校生時代に『戦争と平和』や『静かなるドン』を何ヶ月もかけて読んだものだ。ドストエフスキーとトルストイは僕もほぼ全作品持っている(全集ではないが)。

 ふと見上げると壁に絵葉書が架けてある。売り物のようだ。その絵柄にドキッとした。この画風は見たことがあるぞ。あの猫の絵のタッチは見覚えがある。今、講談社インターナショナルから出ている「宮沢賢治短編集」という日本語と英語の対訳本を読書会で読んでいるのだが、その挿絵のタッチと絵葉書の絵のタッチが実によく似ているのだ。気にはなったが絵葉書を買おうとまでは思わなかった。作者の紹介文が横に置かれていて、写真も付いている。山口マオ。写真を見ると今カウンターにいる人の若い頃の写真だ。ひょっとしたらこの人があの挿絵を・・・いや即断はよそう。家に帰ってから本を見て確かめてみよう。

 ふと隣の机の上を見るとこれまた一枚の絵葉書に目が留まった。宮沢賢治の有名な「アメニモマケズ」の詩を題材にした絵葉書だ。「サウイウモノニ」が右端に、「ワタシハナリタイ」が左端に書かれ、真ん中に帽子をかぶった昔の学生風の少年(若者?)の絵が描かれている。白黒のシンプルな絵だ。ハーフフェイスと言うのか、顔の向かって右側に光が当たり、左側は陰になっている。この昔風のシンプルな絵に激しく心を引かれた。主人にこれも売り物なのかと聞くと、それは見本なので、そこの箱の中に絵葉書が入っているから探してみてくださいと言われた。

 探してみたが、残念ながら「アメニモマケズ」の絵はなかった。だが、かわりにほしい絵が何枚も見つかった。宮沢賢治の他の作品を題材にした山口マオさんの絵葉書が7、8枚、ミヤシタマサヤさんのカラーの絵葉書が5、6枚。どれも気に入ったのでまとめて買った。ついでに「アメニモマケズ」の絵葉書も欲しいと言うと、見本に置いておいたものだがいいですよと気軽にOKしてくれた。お礼を言って店を出た。支払いのときレジの後ろの壁にポール・マッカートニーの「アナザー・デイ」のシングル盤が掛けてあったのが目に入った。僕も大好きな曲である。他にもビートルズのポスターが貼ってあったので、どうやらビートルズのファンらしい。

 帰り道絵葉書を入れる額縁を買った。家に着いて「宮沢賢治短編集」を見てみると、やはり挿絵を描いていたのは山口マオさんだった。なんとその本人が小諸にいたとは!ミニコミ誌の紹介文も改めて見てみると、オーナーは依田さんという別の人だった。山口マオさんは友人のイラストレーターと書かれている。たまたまオーナーが留守で山口さんが留守番をしている時に行ったということだろう。何という幸運。今度の読書会のときにみんなに絵葉書を見せてやろう。

(付記:「カフェレポドットコム」という素晴らしいサイトを発見しました。カフェレポのコーナーで「読書の森」を取り上げています。写真がたくさん載っていますので、是非こちらもご覧になってください。)

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