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カテゴリー「アニメ・コミック」の記事

2007年1月 9日 (火)

雪の女王

1957年 ソ連 65分
評価点:★★★☆
原題:Снежная королёва
監督:レフ・アタマーノフ 
原作:ハンス・クリスティアン・アンデルセン 『雪の女王』
脚本:ゲオルギー・グレブネル、レフ・アタマーノフ、ニコライ・エルドマン 
美術:レオニード・シワルツマン、アレクサンドル・ヴィノクーロフ

  滅多に観る機会のないソ連・ロシア・アニメだが、昨年一気に4枚の中古DVDを手に入Sdclbglsc04 れた。近所の中古店で見つけた「ユーリ・ノルシュテイン作品集」、年末にアマゾンで買った「雪の女王」、「蛙になったお姫さま」(54、ミハイル・ツェハノフスキー監督)、「森は生きている」(56、イワン・イワノフ=ワノ監督)。いずれもDVDが出ているとは知らなかった。

  この中から有名な「雪の女王」をまず観た。たまたま書店で見かけて買った『世界と日本のアニメーションベスト150』(2003年、ふゅーじょんぷろだくと刊)という本がある。ラピュタ阿佐ヶ谷主催で行なわれた「世界と日本のアニメーション ベストオブベスト」投票の結果をまとめた本である。「雪の女王」は17位にランクされている。世界に名高いソ連アニメの中でも名作とされる作品だが、正直今観るととても上位に入る作品とは思えない。当時としては驚異的作品だったのかもしれないが、今のアニメ技術は当時のレベルをはるかに超えている。今の水準からすれば見劣りするのは仕方がないが、50年も前にこれだけの水準のアニメを作っていたのかという驚きは確かにある。いつまでも神格化するのではなく、もっと実際的な見方をするべきだろう。「雪の女王」が宮崎駿や高畑勲にも影響を与えたことは有名だが、彼らもその時の段階にいつまでもとどまっていたわけではない。

  ただ、確かに影響関係は感じられる。「雪の女王」のヒロイン、ゲルダは「未来少年コナン」のヒロイン、ラナを連想させる。絵のタッチやもキャラクターも非常に似ている(ラナの方がずっと可愛いし魅力的だが)。ただし、どちらかというと受身的なラナに対してゲルダはより積極的。「未来少年コナン」ではコナンがラナの窮地を救うというパターンが多いが、「雪の女王」ではゲルダがカイを救う旅に出る。

  アンデルセンが原作なので主題は単純。「愛は氷の魔術さえ融かす」というもの。とにかく宮崎アニメでおなじみの行動的女性が主人公なのだが、ゲルダの行動力は性格的な強さからきているというよりは、むしろ愛に突き動かされているという感じの描き方である。強さよりもけなげさが強調されている。男の子はとかく強がりを言って無茶な行動をする、女の子は愛情にあふれているという設定は従来の概念の範疇から出てはいない。さらには、ファンタジーというよりも御伽噺なので、ゲルダが平気で氷の上を裸足で歩くなど、細かいところでリアリティーを無視している。「愛のためならどこまでも」という基本設定なので、ゲルダの前に立ちふさがる障害はそれほどリアルではない。彼女を阻むのは嵐などの自然現象で、人間や動物などはむしろ皆彼女の一途な思いに共感して援助してくれる。こういう設定が心地よいともいえるが、その反面いかにも単純で、不満を感じるところである。

  ラナに近いゲルダよりもむしろ旅の途中でゲルダを捕まえる山賊の娘の方が魅力的だ。宮崎駿の「もののけ姫」に出てくるサンにそっくりなキャラクター。男のような話方や振る舞い方をするが根は優しい。ディズニーアニメにはあまりなかったキャラクターではないか。ディズニーではみんなゲルダのようになってしまう。宮崎はそんなところにも惹かれたのかもしれない。他の登場人物、狂言回しの役をする小人、二羽のカラス、王子と王女などはむしろディズニー的。美術担当のレオニード・シワルツマンはソ連のアニメはディズニーから様々なアイデアやキャラクターを借りていると語っている。

  キャラクターの造形としてもっとも秀逸なのは言うまでもなく雪の女王。横長の大きな目と氷の冠が実に印象的だ。威圧感と冷酷さがよく表現されている。性格設定は「心の冷たい女王」という文字通りのもので単純だが、絵的な魅力は抜群である。雪の女王ほど印象的ではないが、北欧デンマークの作家アンデルセンらしさを感じて興味深かったのは女王の城に行く直前にラップランドを通ること。親切な女性たちに助けられるが、彼女たちは恐らく「ククーシュカ ラップランドの妖精」に出てきたサーミ人なのだろう。氷の女王の国に近いために、彼女たちが一番具体的な援助をするという設定が興味深い。

  絵や絵の動きに関して言えば、かなり動きは滑らかでリアルである。ディズニー的なPegasus1 オーバーアクションはない。女王が馬車に乗って走り回るシーンでは何度か回転するが、頭の部分などはごく自然に角度を変えている。立体的な絵ではないが模型などを作って回転する様子をよく観察したのだろう。絵そのものもスタジオ・ジブリやピクサーなどの精緻を極めた絵に比べるとさすがに見劣りするが、日本のテレビ・アニメよりはるかに丁寧に作りこまれている。特に街の景観や氷の輝きと透明感の表現、雲や風や吹雪の表現などは50年も前のものとは思えないほどリアルだ。ただ、主人公のゲルダとカイはいかにも子供向きのシンプルな絵という感じでやや物足りない。絵柄としては「アルプスの少女ハイジ」や「未来少年コナン」あたりの素朴な絵である。「風の谷のナウシカ」以降のリアルな人物像と比べると実に素朴だ。2人の顔色が土気色なのも気になる。まあ、その分氷の女王のリアルな絵がより引き立つようにはなっているが。

  「未来少年コナン」でも人物は単純化されているが、インダストリアやギガントは恐ろしくリアルだ。僕はそれほどアニメの技術面には詳しくないが、推測するに、セル画の場合背景は動かないからそのままかあるいはずらして使えるが、人物は動くので何度も描き直す必要があるため単純化しているのではないか。技術が進んで人物もかなりリアルに描きこめるようになったということだろう。

  有名な「イワンと仔馬」も最近アマゾンで見つけて入手した。2月には「ロシア・アニメーション傑作選集」Vol.1~4が発売予定である。川本喜八郎の作品集も1月に出る。アニメーションの分野でもDVD化の動きが急である。毎年アニメーションフェスティバルを開催している「ラピュタ・阿佐ヶ谷」の功績も最後に特記しておきたい。

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 フランス・アニメの傑作「ベルヴィル・ランデブー」
 Mr.インクレディブル

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2005年9月 9日 (金)

フランス・アニメの傑作「ベルヴィル・ランデブー」

2002年 フランス=カナダ=ベルギー 2004年12月公開tuki-siro
原題:Triplettes de Belleville, Les
【スタッフ】
製作:ディディエ・ブリュネール
脚本:シルヴァン・ショメ
監督:シルヴァン・ショメ
音楽:ブノワ・シャレスト
美術:エフゲニ・トモフ

 日本製アニメは確かに世界でも最高の水準にある。日本の漫画やアニメに慣れた目から見ると、ディズニーでさえも絵の下手さにあきれることがある。確かに絵の見た目のきれいさは日本アニメが最高だろう。しかし、一見下手に見えるがまた独特の味わいを持った絵柄というのもある。「ベルヴィル・ランデブー」もそういうアニメのひとつだ。その絵の味は、「木を植えた男」(1987)のような素朴な味わいを持つアニメともまた違う。ソ連の「チェブラーシカ」ほどメルヘンチックでもない。絵の感じはフランスの古典的アニメ「やぶにらみの暴君」(1952)にむしろ近い。

  エンキ・ビラルの未来・SF志向とは反対に戦後のフランスを舞台にしたどこか懐かしさを感じる物語。最初にフレッド・アステアやジョゼフィン・ベーカーのパロディ/カリカチュアも出てくる。しかし実に独特のアニメだ。極端にデフォルメされた人体。主人公のおばあちゃんの目とメガネは頭のてっぺんにある。自転車選手の息子は体の太い部分と細い部分が極端に強調されている。背景描写は凝っているがこれもデフォルメされている。どう見てもうまい絵ではないし、きれいな絵でもない。しかし不思議な魅力がある。例えば船が出てくるが、これがありえないほど幅が狭く(まるでまな板の長いほうの辺を下にして立てたような形だ)、喫水線が極端に低い(ほんのわずかしか水に沈んでいない)。これではすぐに横倒しになってしまう。しかし現実にはありえない形だからこそ却って新鮮でインパクトがあるわけだ。

  絵の動きのスムーズさや顔の美しさ、あるいは派手な展開よりも、素朴だがシュールでひねりのあるストーリー展開やキャラクターの奇抜な個性に重きが置かれているアニメである。せりふが少ないのも特徴のひとつだ。宮崎駿ともアメリカの「モンスターズ・インク」や「シュレック」とも違う。どちらかというとイギリスの「ウォレスとグルミット」シリーズやチェコのイジー・トルンカなどに近い味わいである。またベルヴィルという街は明らかにアメリカのカリカチュアだが、風刺的味付けはまたヨーロッパ的だ。同じフランスのミッシェル・オスロ監督(「キリクと魔女」「プリンス&プリンセス」)ともまた違う。こうしてみてくると世界にはいろんなタイプのアニメがある事が分かる。

 この映画の主人公は一人のおばあちゃんだ。孫のシャンピオンはまるで機械のようで、感情を持たない感じである。顔の表情も変わらない。シャンピオンは自転車が好きで、それを見抜いたおばあちゃんがツール・ド・フランスに出場させようと特訓を始める。その成果があって孫はツール・ド・フランスに出場するが、途中で棄権してしまう。しかもその直後に謎の黒服の男たちに連れ去られてしまう。それに気付いたおばあちゃんが息子を取り戻そうと大活躍する。なにしろ息子たちは例の不思議な形の船に乗せられベルヴィルに連れてゆかれるのだが、その船をおばあちゃんはよく湖などにある足こぎボートで追いかける。何と大西洋を足こぎボートで漕ぎ渡ってしまうのだ!!いやはや、彼女こそツール・ド・フランスに出場すべきだった。
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  ベルヴィルの街は明らかにパロディ化されたアメリカである。ベルヴィルを通してアメリカそのものが風刺されている。特にアメリカ映画・アニメがカリカチュアの対象だ。自由の女神は太ったおばちゃんになっている。例のなんとも奇妙な黒服の男たちはアメリカのギャングのパロディ。またベルヴィルでおばあちゃんは年取った三人姉妹と出会うが、彼女たちを通してアメリカのショービジネスがパロディ化されている。彼女たちはアニメの最初に登場している。まだ現役の若い頃で、テレビのショーに出演している。かなり売れっ子だったのだろうが、今は年老いて貧乏暮らしをしている。彼女たちが食べているものがすごい。池で蛙を取ってきて食べているのだ。しかも蛙の取り方がまた荒っぽい。手りゅう弾を池に投げ込んで、吹き飛ばされた蛙を網で拾い上げる。この蛙料理にはさすがのおばあちゃんも一瞬たじろぐ。おばあちゃんはこの三人姉妹と協力して孫を救い出すのである。この三人姉妹は実に魅力的だ(決して悪意がこめられたパロディではない)。おばあちゃんも十分すごいが、やはり彼女だけでは魅力に欠けると考えたのだろう。おばあちゃんのペットの犬(列車を見ると必ずほえるのが可笑しい)も含めて、登場するキャラクターがみんな魅力的なのがすごい。

  黒服の男たちは自転車選手を誘拐して、無理やり自転車を焦がせて客たちに賭けをさせている。自転車は、健康器具として使われる自転車のように固定されていて動かない。前にスクリーンが付いていて、そこにツール・ド・フランスのコースと思われる道が映し出される。よくゲームセンターにある、コースから外れないように自動車を走らせるゲームの様な画面だと思えばいい。最後は動かないはずのこの自転車が台ごと動き出して、おばあちゃんたちはそれに乗って逃げる。それを自動車に乗った黒服の男たちが追跡する。アメリカ映画お得意のカー・チェイスのパロディだ。

 アニメは漫画と違って絵が動く上に音も出せるので、格段にリアリティが増す。漫画の方が表現手段として下位にあると言っているのではない。制限があるからこそ工夫が生まれるのである。スーパーマンがなぜマントをつけているかご存知だろうか。あのマント自体は何の実用性もない。にもかかわらずマントを付けているのは、空を飛んでいる場面を描く時にマントがひらめいていると風を切って飛んでいる感じが視覚的に伝わってくるからだ。マントがなければただ体が横になっているだけである。それはともかく、話を元にもどすと、アニメは漫画よりリアリティが増すが、にもかかわらずリアリズムのアニメは極めて少ない。現実ではなく、むしろ現実にはありえないものを描くのに適している。したがって相当に荒唐無稽なストーリーでもさほど抵抗なくすんなり受け入れられる。それがアニメの強みだ。

  「ベルヴィル・ランデブー」はカリカチュアやパロディといった風刺の伝統とつながっている。ヨーロッパには長いカリカチュアの伝統がある。金権腐敗にみちた十九世紀のパリを辛辣に風刺したドーミエやイギリスの『パンチ』誌を思い起こせばよい。風刺画、風刺漫画、漫画は本来毒があるものなのだ。「ベルヴィル・ランデブー」はこの伝統を受け継いでいる。残念ながら日本の漫画・アニメにはこの毒がほとんどない。その意味でももっと日本で知られていいアニメだと思う。

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