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2020年11月18日 (水)

ゴブリンのこれがおすすめ 54 ソ連・ロシア映画

ソ連・ロシア映画 オールタイム傑作選

 こちらも「ゴブリンのこれがおすすめ」シリーズの第2回で「ニキータ・ミハルコフ監督、70年代から90年代のソ連・ロシア映画」特集を組んでいますが、やはり長い歴史を持つソ連・ロシア映画だけにその全貌を紹介したいと思って、あえて重複を恐れずオールタイム傑作選を挙げてみました。


【長い前書き】
 ソ連映画との本格的な出会いは1973年に東京の大学に入学してからだ。入学してすぐ73年4月29日には銀座松坂屋でエイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」、翌30日には「十月」を見ている。それまで自主上映で何度か上映されていただけで、幻の名作といわれて久しかった映画である。このあまりにも有名な作品がたまたまこの年一般の人の前でヴェールを脱いだのである。何という幸運。期待したほどではなかったが、幻の名作を観ることができただけでも田舎出の学生にとっては感涙ものだった。73年5月17日には新宿の紀伊国屋ホールで「イワン雷帝」の特別上映を観ている。これも幻だった映画である。赤を中心にしたカラーの鮮烈な画面が記憶に残っている。

 ソ連映画を大量に観たのは翌74年である。74年2月15日に後楽園シネマで「バイカルの夜明け」を観た。当時後楽園で大シベリア博覧会が開かれており、それにあわせて大シベリア博記念特別番組と銘打ち、「ソビエト名作映画月間」として23本のソ連映画が上映されたのである。その頃はソ連映画を観る機会は極めて少なく、これだけ大規模にソ連映画を上映するのはおそらく画期的なことだったと思われる。3日ごとにでプログラムが替わるのだが、春休みに入っていたので最初の3本(「シベリヤ物語」「おかあさん」「大尉の娘」)を除いて全部観た。文字通り平均3日おきに通ったのである。観た作品のタイトルを挙げると、「湖畔にて」、「戦争と平和」、「遠い日の白ロシア駅」、「戦争と貞操」、「大地」、「アジアの嵐」、「戦艦ポチョムキン」、「復活」、「外套」、「貴族の巣」、「人間の運命」、「リア王」、「ハムレット」、「ワーニャ伯父さん」、「罪と罰」、「小さな英雄の詩」、「子犬を連れた貴婦人」、「がんばれかめさん」、「ルカじいさんと苗木」。80年代に三百人劇場などで大規模なソ連映画祭が開催されるようになったが、そこでも取り上げられなかった作品が多く含まれており、DVD化も望めないので貴重な特集だった。今ではかすかに記憶の中に残っているだけだが、特に「湖畔にて」と「遠い日の白ロシア駅」の2本はどうしてももう一度観たいと思っている。

 一回に2~3本を上映するのだが、その合間に短編アニメを上映していた。当時のプログラムには載っていないので、作品名も本数も今では分からないのだが、そのレベルの高さに驚いたものである。今のアニメに比べると動きはぎこちないのだが、ウィットに富んだ、独特の世界を作っていた。不確かな記憶ながら、大人が見て楽しむ作品が多かったように思う。宮崎駿が現れるはるか前で、アニメといえばディズニーという時代だっただけに、大人のユーモアがたっぷり盛り込まれたアニメにすっかり感心したのだ。今でも当時のプログラムを観ると、休憩時間に流されていたメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲のメロディーが頭に浮かんでくる。

 80年に日経小ホールで「ジプシーは空に消える」と「ナーペト」を見ている。どちらもソ連映画だが、この頃街頭でおじさんに誘われて「ソビエト映画鑑賞会」なる会に入っていて、その例会で観たのである。大手町の日経新聞社のビルの中にある日経小ホールが会場だった。めったに行かない場所だし、普通の映画館ではないので何とも不思議な空間だと感じた。ソ連映画はめったに観る機会がないので貴重な経験だったが、長くは通わずにやめてしまった。

 81年の1月31日には千石の三百人劇場で「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」を観ている。三百人劇場初体験である。その後頻繁に通うことになる。特に何回か開催されたソビエト映画特集は実に貴重な特集だった。73年に後楽園シネマで開催された例の「ソビエト名作映画月間」の際に見逃した「シベリヤ物語」を81年の4月に見ている(同時上映はソ連初のカラー映画「石の花」だった)。

 84年4月14日、この日三百人劇場で忘れられない映画を観た。当時三百人劇場は4月から5月にかけて「ソビエト映画の全貌」という特集を組んでおり、その一環として上映されたカレン・シャフナザーロフ監督の「ジャズメン」を観たのである。1920年代のオデッサが舞台。主人公はジャズのピアノ弾きである。当時ソ連ではジャズはブルジョア文化の手先とされ、理解されていなかった。それでも主人公はジャズが好きでやめられず、たまたま監獄で知り合ったサキソフォン吹きの男を交えてバンドを結成するが、その男は軍楽隊出身でアドリブが全くできない(汗)。ジャズが好きで好きでしょうがない青年の情熱を描いたさわやかな映画で、特にピアノを弾いているときの彼の笑顔が素晴らしい。好きでたまらないことをやっているときの人間の顔はこれ程輝くものか。忘れられない映画の一つである。そのときの特集では他にアニメ「話の話」を観た。

 87年に三百人劇場で開催された「ソビエト映画の全貌'87」も素晴らしかった。三百人劇場は当時毎年のようにソ連映画の特集を組んでいたが、この特集は様々な意味で注目に値する。まず何といっても、これまでめったに見る機会のなかった作品が多数上映プログラムに含まれていた点を評価すべきだろう。ソ連初のSF映画「アエリータ」の様な貴重な作品の発掘は大いに意義のあることだ。しかし、最もうれしかったことは「女狙撃兵マリュートカ」、「鬼戦車T-34」、「処刑の丘」、「思いでの夏休み」等々、名作と言われながらも長らく見る機会を得られなかった作品に出会えたことである。

 2点目としては全6期に分けてソビエト映画の様々な側面を一応網羅できるように企画を組んだことが挙げられる。特にタルコフスキーの作品を6本加えたことは、前年の12月に彼が亡くなったこともあってタイムリーであった。それまで空席が目立った客席が、タルコフスキーの作品を上映する日になると、とたんに満員になったのだから、確かに関心は高かった。幾つもの雑誌でタルコフスキー特集が組まれていた最中だけに若いファンにとっては絶好の機会だったろう。彼の遺作となった「サクリファイス」も当時上映中で、しばらくタルコフスキー・ブームが続いていた。

 3点目として、作品完成後検閲に引っ掛かり15年もお蔵入りしていたアレクセイ・ゲルマン監督「道中の点検」がこのプログラムの第一弾として公開されたことである。この作品はどうしてこれまで上映禁止になっていたのかと思うほどすぐれた映画である。これだけの作品が15年間も公開されないでいたということは驚くべき事実だ。しかし当時のソ連の一連の動きは映画製作・上映の面にも一大改革をもたらしつつあるようだ。実際この作品がソ連内外で公開されたこと自体、ソ連におけるペレストロイカの影響が芸術の分野にも及んできていることの興味深い一例である。この「道中の点検」や、ウラジーミル・コリドフ監督の「コミッサール」、テンギズ・アブラゼ監督の「懴悔」などはソ連内外で反響を呼びおこした。ソ連にはまだまだ埋もれた名作がありそうだ。

 こうしてリストを作ってみると、2000年代が手薄なのがはっきり分かる。ニキータ・ミハルコフ監督以降大監督が出てこない。実際に停滞しているのか、それともすぐれた作品があるにもかかわらず十分なリサーチがされてない、あるいは売れないと踏んで公開やDVD/BDの発売を見合わせているのか、何とも判断が付かない。しかし国際映画祭でも最近ソ連映画の名前を聞かなくなったのは確かだ。それでもこれだけの傑作群を生み出してきた映画大国だ、完全に火が消えてしまったとは思えない。いつかこの休眠状態から目覚めてほしいものだ。

 

【おすすめソ連・ロシア映画】
「アエリータ」(1924) ヤーコフ・プロタザーノフ監督
「戦艦ポチョムキン」(1925) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「母」(1925) フセヴォロド・プドフキン監督
「アジアの嵐」(1928) フセヴォロド・プドフキン監督
「十月」(1928) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「全線」(1929) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「大地」(1930) アレクサンドル・ドブジェンコ監督
「人生案内」(1931) ニコライ・エック監督
「十月のレーニン」(1937) ミハイル・ロンム監督
「アレクサンドル・ネフスキー」(1938) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「石の花」(1946) アレクサンドル・プトゥシコ監督
「イワン雷帝」(1946) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「シベリヤ物語」(1947) イワン・プイリエフ監督
「女狙撃兵マリュートカ」(1956) グリゴーリ・チュフライ監督
「ドン・キホーテ」(1957) グリゴーリー・コージンツェフ監督
「鶴は翔んでゆく」(1957) ミハイル・カラトーゾフ監督 ※旧邦題「戦争と貞操」
「雪の女王」(1957) レフ・アタマーノフ監督
「静かなるドン」(1958) セルゲイ・ゲラーシモフ監督
「大尉の娘」(1959) ヴラディミール・カプルノフスキー監督
「人間の運命」(1959) セルゲイ・ボンダルチュク監督
「小犬をつれた貴婦人」(1959) イオシフ・ヘイフィッツ監督
「外套」(1959) アレクセイ・バターロフ監督
「誓いの休暇」(1960) グリゴーリ・チュフライ監督
「復活」(1961) ミハイル・シュヴァイツェル監督
「僕の村は戦場だった」(1963) アンドレイ・タルコフスキー監督
「ハムレット」(1964) グリゴーリー・コージンツェフ監督
「鬼戦車T-34」(1964) ニキータ・クリヒン、レオニード・メナケル監督
「落ち葉」(1966)  オタール・イオセリアーニ監督、ジョージア
「戦争と平和」(1965-67) セルゲイ・ボンダルチュク監督
「コミッサール」(1967)アレクサンドル・アスコリドフ監督
「妖婆・死棺の呪い」(1967) アレクサンドル・プトゥシコ監督
「アンドレイ・ルブリョフ」(1967) アンドレイ・タルコフスキー監督
「貴族の巣」(1969) アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー監督
「ざくろの色」(1969)セルゲイ・パラジャーノフ、他、監督
「放浪の画家ピロスマニ」(1969) ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督、ジョージア
「湖畔にて」(1970) セルゲイ・ゲラーシモフ監督
「罪と罰」(1970) レフ・クリジャーノフ監督
「チャイコフスキー」(1970) イーゴリ・タランキン監督
「リア王」(1970) グリゴーリー・コージンツェフ監督
「がんばれかめさん」(1971) ロラン・ブイコフ監督
「帰郷」(1971) ウラジミール・ナウモフ、アレクサンドル・アロフ監督
「小さな英雄の詩」(1971) レフ・ゴルーブ監督
「道中の点検」(1971) アレクセイ・ゲルマン監督
「遠い日の白ロシア駅」(1971) アンドレイ・スミルノフ監督
「ワーニャ伯父さん」(1971) アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー監督
「バイカルの夜明け」(1972) ヴィクトール・トレクボヴィッチ監督
「惑星ソラリス」(1972) アンドレイ・タルコフスキー監督
「ルカじいさんと苗木」(1973) レゾ・チヘイーゼ監督
「鏡」(1974) アンドレイ・タルコフスキー監督
「霧の中のハリネズミ」(1975) ユーリ・ノルシュテイン監督
「想い出の夏休み」(1975) セルゲイ・ソロビヨフ監督
「デルス・ウザーラ」(1975) 黒澤明監督
「愛の奴隷」(1976) ニキータ・ミハルコフ監督
「ジプシーは空に消える」(1976) エミーリ・ロチャヌー監督
「処刑の丘」(1976) ラリーサ・シェピチコ監督
「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」(1977) ニキータ・ミハルコフ監督
「孤独な声」(1978) アレクサンドル・ソクーロフ監督
「メキシコ万歳」(1979) セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督
「オブローモフの生涯より」」(1979) ニキータ・ミハルコフ監督
「話の話」(1979) ユーリ・ノルシュテイン監督
「モスクワは涙を信じない」(1980) ウラジーミル・メニショフ監督
「スタフ王の野蛮な狩り」(1980) ワレーリー・ルビンチワ監督
「ふたりの駅」(1982) エリダル・リャザーノフ監督
「解任」(1982) ユーリー・ライズマン監督
「ワッサ」(1982) グレープ・パンフィーロフ監督
「ジャズメン」(1983) カレン・シャフナザーロフ監督
「ノスタルジア」(1983) アンドレイ・タルコフスキー監督
「懺悔」(1984) テンギズ・アブラゼ監督、ジョージア・ソ連
「炎628」(1985) エレム・グリモフ監督
「死者からの手紙」(1986) コンスタンチン・ロプシャンスキー監督
「サクリファイス」(1986) アンドレイ・タルコフスキー監督
「翌日戦争が始まった」(1987) ユーリー・カラ監督
「黒い瞳」(1987)  ニキータ・ミハルコフ監督、イタリア
「アシク・ケリブ」(1988)  セルゲイ・パラジャーノフ、ダヴィッド・アバシッゼ監督
「タクシー・ブルース」(1990) パーベル・ルンギン監督、ソ連・フランス
「ウルガ」(1991)  ニキータ・ミハルコフ監督
「太陽に灼かれて」(1994)  ニキータ・ミハルコフ監督
「コーカサスの虜」(1996) セルゲイ・ボドロフ監督、カザフスタン・ロシア
「あの娘と自転車に乗って」(1998)  アクタン・アブディカリコフ監督、キルギス・仏
「シベリアの理髪師」(1999) ニキータ・ミハルコフ監督
「老人と海」(1999)  アレクサンドル・ペトロフ監督、ロシア・カナダ・日本
「ククーシュカ ラップランドの妖精」(2002)  アレクサンドル・ロゴシュキン監督
「ここに幸あり」(2006)  オタール・イオセリアーニ監督、仏・伊・ロシア
「12人の怒れる男」(2007) ニキータ・ミハルコフ監督
「明りを灯す人」(2010)  アクタン・アリム・クバト監督、キルギス・仏・独・他
「独裁者と小さな孫」(2014)  モフセン・マフマルバフ監督、ジョージア・仏・英・独
「草原の実験」(2014)  アレクサンドル・コット監督
「裁かれるは善人のみ」(2014)  アンドレイ・ズビャギンツェフ監督
「サリュート7」(2016)  クリム・シペンコ監督
「スペースウォーカー」(2017)  ドミトリー・キセレフ監督


【その他DVDアニメ短編集】
「ユーリ・ノルシュテイン作品集」
「ロシア・アニメーション傑作選集vlo.1」
「ロシア・アニメーション傑作選集vlo.2」
「ロシア・アニメーション傑作選集vlo.3」

 

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