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« これから観たい&おすすめ映画・BD(20年3月) | トップページ | ダニエル・デフォー著『ペスト』の新訳が出た »

2020年3月16日 (月)

ゴブリンのこれがおすすめ 46 韓国映画+韓国TVドラマ

おすすめ韓国映画
「朴さん」(1960) カン・デジン監督
「誤発弾」(1961) ユ・ヒョンモク監督
「荷馬車」(1961) カン・デジン監督
「帰らざる海兵」(1963) イ・マニ監督
「森浦への道」(1975) イ・マニ監督
「ハンネの昇天」(1975)  ハ・ギルジョン監督
「長雨」(1979) ユ・ヒョンモク監督
「鯨とり コレサニャン」(1984)ペ・チャンホ監督
「旅人は休まない」(1987)イ・チャンホ監督
「ディープ・ブルー・ナイト」(1988) ペ・チャンホ監督
「シルバースタリオン 銀馬将軍は来なかった」(1991) チャン・ギルス監督
「ホワイト・バッジ」(1992) チョン・ジヨン監督
「風の丘を越えて」(1993) イム・グォンテク監督
「太白山脈」(1994) イム・グォンテク監督
「祝祭」(1996)イム・グォンテク監督
「美術館の隣の動物園」(1998) イ・ジョンヒャン監督
「八月のクリスマス」(1998)) ホ・ジノ監督
「ペパーミント・キャンディー」(1999) イ・チャンドン監督
「シュリ」(1999) カン・ジェギュ監督
「イルマーレ」(2000) イ・ヒョンスン監督
「ほえる犬は噛まない」(2000) ポン・ジュノ監督
「JSA」(2000) パク・チャヌク監督
「反則王」(2000) キム・ジウン監督
「子猫をお願い」(2001) チョン・ジェウン監督
「猟奇的な彼女」(2001) クァク・ジェヨン監督
「友へチング」(2001) カク・キョンテク監督
「永遠の片想い」(2002) イ・ハン監督
「オアシス」(2002) イ・チャンドン監督
「おばあちゃんの家」(2002) イ・ジョンヒャン監督
「酔画仙」(2002) イム・グォンテク監督
「殺人の追憶」(2003)  ポン・ジュノ監督
「シルミド」(2003) カン・ウソク監督
「春夏秋冬そして春」(2003) キム・ギドク監督
「二重スパイ」(2003) キム・キョンジョン監督
「大統領の理髪師」(2004) イム・チャンサン監督
「僕が9歳だったころ」(2004)  ユン・イノ監督
「ブラザーフッド」(2004) カン・ジェギュ監督
「キムチを売る女」(2005)チャン・リュル監督、中国・韓国
「トンマッコルへようこそ」(2005) パク・クァンヒョン監督
「マラソン」(2005)  チョン・ユンチョル監督
「王の男」(2006) イ・ジュンイク監督
「グエムル 漢江の怪物」(2006) ポン・ジュノ監督
「光州5・18」(2007)キム・ジフン監督
「シークレット・サンシャイン」(2007)イ・チャンドン監督
「息もできない」(2008)ヤン・イクチュン監督
「牛の鈴音」(2008)イ・チュンニョル監督
「チェイサー」(2008)ナ・ホンジン監督
「母なる証明」(2009)ポン・ジュノ監督
「冬の小鳥」(2009)ウニー・ルコント監督、韓国・フランス
「黒く濁る村」(2010)カン・ウソク監督
「高地戦」(2011)チャン・フン監督
「王になった男」(2012)チュ・チャンミン監督
「ザ・タワー」(2012)キム・ジフン監督
「殺人の告白」(2012)チョン・ビョンギル監督
「10人の泥棒たち」(2012)チェ・ドンフン監督
「悪いやつら」(2012)ユン・ジョンビン監督
「悪魔は誰だ」(2013)チョン・グンソプ監督
「殺人の疑惑」(2013)グク・ドンスク監督
「弁護人」(2013)ヤン・ウソク監督
「レッド・ファミリー」(2013)イ・ジュヒョン監督
「あなた、その川を渡らないで」(2014)チン・モヨン監督
「海にかかる霧」(2014)シム・ソンボ監督
「国際市場で逢いましょう」(2014)ユン・ジェギュン監督
「わたしたち」(2015)ユン・ガウン監督
「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」(2017)チャン・フン監督
「1987、ある闘いの真実」(2017)チャン・ジュナン監督
「国家が破産する日」(2018)チェ・グクヒ監督
「パラサイト 半地下の家族」(2019)ポン・ジュノ監督

おまけ おすすめ韓国ドラマ
「完璧な恋人に出会う方法」(2007)  ★★★★☆
  キム・スンウパク・シフペ・ドゥナソン・ヒョンジュキム・ソンリョンワン・ジヘキム・レハパク・ウォンスク
「魔王」(2007)  ★★★★
  オム・テウンチュ・ジフンシン・ミナ、チョン・ドンファン、キム・ギュチョル
「華麗なる遺産」(2009) 韓国 ★★★★☆
  ハン・ヒョジュ、イ・スンギペ・スビン、ムン・チェウォン、キム・ミスク、ソン・ヨウン
  パン・ヒョジョン、ヨン・ジュンソク、ミン・ヨンウォン、ハン・イェウォン、ユ・ジイン
  チョン・ソグォン、イ・スンヒョン、チェ・ジョンウ、キム・ジェーゼン、ペク・スンヒョン
「ジャイアント」(2010)韓国 ★★★★★
  イ・ボムスパク・ジニファン・ジョンウムチュ・サンウクパク・サンミンチョン・ボソク
  イ・ドクファキム・ソヒョンイ・ムンシク、ナム・ジヒョン、ヨ・ジング、キム・スヒョン
  イ・ギヨン、ユン・ユソン、ムン・ヒギョン、ハン・ダミン、イ・スンヒョン、ホン・ヨジン
  キム・ハクチョルキム・ジョンヒョンソン・キョンチョルユン・ヨンヒョン
「赤と黒」(2011)韓国 ★★★★
  キム・ナムギルキム・ジェウク、ハン・ガイン、オ・ヨンス、チョン・ソミン、チョン・ウィガプ
  チョン・クッカン、キム・ヘオク、キム・ミンソ、キム・ウンス、チ・フ、シム・ウンギョン
「10 TEN」(2011) ★★★★
  チュ・サンウク、チョ・アン、チェ・ウシク、キム・サンホ、ユン・ジヘ、キム・ヘイン
「追跡者〔チェイサー〕」(2012)韓国 ★★★★★
  ソン・ヒョンジュキム・サンジュン、キム・ソンリョン、チャン・シニョンソン・ジェホ
  コ・ジュンヒ、リュ・スンス、パク・ヒョジュ、イ・ヨンウ、ナム・ダルム、カン・シニル
  チョ・ジェユン、チョン・ノミン、イ・レ、大谷亮平、
「IRIS2 アイリス2」(2013) ★★★★
  チャン・ヒョク、イ・ダヘ、イ・ボムス、ユン・ドゥジュン、イム・スヒャンオ・ヨンス
「神のクイズ シーズン4」(2013) ★★★★
  リュ・ドックァンユン・ジュヒ、ドンへ、キム・ジェギョン、パク・ジュンミョン
  カン・ソンピル、イム・ユンホ
「君の声が聞こえる」(2013) ★★★★
  イ・ボヨンイ・ジョンソク、ユン・サンヒョン、イ・ダヒ、キム・ヘスク、チョン・ウンイン
「グッド・ドクター」(2013) ★★★★
  チュウォンチュ・サンウクムン・チェウォン、キム・ミンソ、チョン・ホジン、ナ・ヨンヒ
「秘密」(2013)韓国 ★★★★
  チソンファン・ジョンウムペ・スビンイ・ダヒ、ヤン・ジンソン、イ・ドックァ
  カン・ナムギル、ファン・ソクチョン、カン・シニル、アン・ジヒョン、チェ・ウン、ムン・ジイン
「私の10年の秘密」(2013)韓国 ★★★★
  ソン・ユリユ・ジュンサンカル・ソウォン、イ・ジン、キム・ヨングァン、キム・ガプス
  イ・ヒョジョン、ハン・サンジン、ユ・ヘリ、チン・ヒョク、パク・ヨンジン、チョ・ミリョン
  ソン・ジョンハク、チョン・ソギョンシン・スンファン、パク・ウンジ、イム・ヒョンジュン
  キム・ソヒョン、チェ・スリン、キム・ヘジン
「神様がくれた14日間」(2014) ★★★★
  イ・ボヨンチョ・スンウ、キム・テウ、チョン・ギョウン、バロ、ノ・ミヌ、チョン・ウンピョ
「スリーデイズ ~愛と正義~」(2014)韓国 ★★★★
  パク・ユチョンパク・ハソン、ソ・イヒョン、ソン・ヒョンジュチェ・ウォニョン
  ユン・ジェムンチャン・ヒョンソン
「伝説の魔女」(2014)韓国 ★★★★☆
  ハン・ジヘハ・ソクジン、コ・ドゥシム、オ・ヒョンギョン、ハ・ヨンス、ド・サンウ
  パク・ソロモン、チョン・インファビョン・ジョンス、キム・ユンソ、パク・クニョン
  キム・スミイ・ジョンウォン、コ・ジュウォン、パク・イナン、ホン・アルム、イ・スンジュン
  チョン・ヘソン、イ・スンヒョン
「バッドガイズ」(2014) ★★★★
  キム・サンジュン、マ・ドンソク、パク・ヘジン、チョ・ドンヒョク、カン・イェウォン
「パンチ~余命6ヶ月の奇跡」(2014) ★★★★
  キム・レウォン、キム・アジュン、チョ・ジェヒョンチェ・ミョンギルパク・ヒョックォン
「ミセン -未生-」(2014) ★★★★☆
  イム・シワンカン・ソラ、カン・ハヌル、イ・ソンミン、ピョン・ヨハン、キム・デミョン
「私はチャン・ボリ!」(2014)韓国 ★★★★☆
  オ・ヨンソイ・ユリキム・ジフン、オ・チャンソク、ハン・スンヨン、ゴニル、アン・ネサン
  キム・ヘオクヤン・ミギョンソンヒョクキム・ジヨンファン・ヨンヒキム・ヨンリム
  チェ・デチョル、ウ・ヒジン、ハン・ジニ、クム・ボラ、チョン・ウォンジュン、オ・スンア
  シン・スーイオン、ユ・ウンミチョン・ユンソクシン・スヨン、チョ・ヒョンド
  ハン・ジンヒ、チョン・インテク
「アチアラの秘密」(2015) ★★★★☆
  ムン・グニョン、ユク・ソンジェ、オン・ジュワン、シン・ウンギョン、チャン・ヒジン
  チョン・ソンモ、チェ・ジェウン、イ・ヨルム、パク・ウンソク、アン・ソヒョン、チェ・ウォノン
「ゴハン行こうよ シーズン1」(2015)韓国 ★★★★
  ユン・ドゥジュン、イ・スギョン、シム・ヒョンタク、ユン・ソヒ、チャン・ウォニョン
  チョン・スヨン、イ・ドヨン
「ゴハン行こうよ シーズン2」(2015)韓国 ★★★★
  ユン・ドゥジュン、ソ・ヒョンジン、クォン・ユル、チョ・ウンジ、キム・ヒウォン、イ・ジュスン
  ファン・ソクチョン、ファン・スンオン、キム・ドンヒョン
「失踪ノワールM」(2015) ★★★★
  キム・ガンウパク・ヒスン、チョ・ボア、キム・ギュチョル、パク・ソヒョン、カン・ハヌル
「深夜食堂fromソウル」(2015) ★★★★
  キム・スンウ、イ・ギウ、チェ・ジョンフン、アン・ジェウク、チェ・ジェソン、シム・ヘジン
「D-DAY」(2015) ★★★★
  キム・ヨングァン、チョン・ソミン、ハ・ソクジン、イ・ギョンヨンキム・ヘウンキム・サンホ
「優しくない女たち」(2015)韓国 ★★★★☆
  チェ・シラキム・ヘジャ、ソン・ジェリム、キム・ジソクト・ジウォンイ・ハナ
  イ・スンジェ、チャン・ミヒ、パク・ヒョックォン、ソ・イスク、キム・ヘウン、ソン・チャンミン
  イ・スンヒョン、イ・ミド、チェ・ジョンウ、キム・ソンファ、ハ・スンリ
「リメンバー ~記憶の彼方へ~」(2015)韓国 ★★★★
  ユ・スンホ、パク・ミニョン、ナムグン・ミンパク・ソンウン、チョン・ヘソン、イ・シオン
  チョン・グァンリョル、シン・ジェハ、キム・ジヌ、イ・ウォンジョン、ハン・ジンヒ、ハン・ボベ
  ソン・ヨンギュ、オム・ヒョソプ、イ・スンヒョン、オ・ナラ、キム・ヒョンボム、イ・ジョンウン
「記憶~愛する人へ~」(2016) ★★★★☆
  イ・ソンミンジュノ、ユン・ソヒ、キム・ジス、パク・ジニ、イ・ギウチョン・ノミン
「交渉人 テロ対策特捜班」(2016) ★★★★
  シン・ハギュン、チョ・ユニ、ユ・ジュンサン、ソン・ドンイル、チョ・ジェユン、コ・ユン
「シグナル」(2016) ★★★★
  イ・ジェフンキム・ヘスチョ・ジヌン、チャン・ヒョンソン、チャン・ヘギュン、イ・サンヨプ
「ビューティフル・マインド ~愛が起こした奇跡~」(2016) ★★★★
  チャン・ヒョク、パク・ソダム、ユン・ヒョンミン、パク・セヨン、ホ・ジュノ、キム・ヒョンギュ
「ボイス~112の奇跡~」(2016) ★★★★★
  チャン・ヒョクイ・ハナ、ペク・ソンヒョン、イェソン、ソン・ウンソ、イ・ヘヨン、キム・レハ
「町の弁護士チョ・ドゥルホ」(2016) ★★★★☆
  パク・シニャンカン・ソラ、リュ・スヨン、パク・ソルミ、キム・ガプスチョン・ウォンジュン
「浪漫ドクターキムサブ」(2016~7) 韓国 ★★★★
  ハン・ソッキュ、ユ・ヨンソク、ソ・ヒョンジン、ヤン・セジョン、キム・ホンパ、チン・ギョン
  イム・ウォニ、ピョン・ウミン、ソ・ウンス、チェ・ジノ、キム・ミンジェ、チャン・ヒョクジン
  チュ・ヒョン、ソ・ヨン
「愛の迷宮~トンネル~」(2017)  ★★★★
  チェ・ジニョク、ユン・ヒョンミン、イ・ユヨン、エン、イ・シア、チョ・ヒボンキム・ミンサン
「甘くない女たち~付岩洞の復讐者たち~」(2017)  ★★★★
  イ・ヨウォンラ・ミランミョン・セビンジュンチョイ・ビュンモー、チャン・ヨン
「秘密の森」(2017)  ★★★★
  ペ・ドゥナ、チョ・スンウイ・ジュニョク、ユ・ジェミョン、シン・ヘソン、イ・ギョンヨン
「魔女の法廷」(2017)  ★★★★☆
  チョン・リョウォンユン・ヒョンミンチョン・グァンリョル、キム・ヨジン、キム・ミンソ
「マッド・ドッグ ~失われた愛を求めて~」(2018)  ★★★★
  ユ・ジテウ・ドファンリュ・ファヨン、チョ・ジェユン、キム・ヘヨン、チェ・ウォニョン
「ミスティ ~愛の真実~」(2018)韓国 ★★★★☆
  キム・ナムジュチ・ジニ、コ・ジュン、イム・テギョン、チン・ギジュ、チョン・ヘジン
  ク・ジャソン、キム・スジン、イ・ジュニョク、シン・カンウ、イ・アヒョン、イ・ソンウク
  ナム・ギョンウプ、アン・ネサンイ・ギョンヨン、キム・ヒョンジョン、キム・ボヨン
  チョン・グクファン、キム・ミョンゴン、チョン・ジンギ

*特に優れた演技を残した俳優、あるいは魅力的だった人には色を付けてあります。

 

 2004年5月4日付けの朝日新聞に「韓国産映像アジアを覆う」という記事が載っていた。「冬のソナタ」の大ヒットをきっかけに韓国ドラマは日本でも大人気だが、その人気は日本だけにとどまらず中国、台湾、東南アジア各国などアジア全域に広がっていたという。記事が紹介しているのはテレビドラマ中心だが、映画も広くアジアに浸透していたようだ。韓国の映像文化が勢いを得ている背景には、韓国政府の積極的な映像文化振興政策がある。97年のアジア金融危機をきっかけに韓国政府は文化産業へのてこ入れを強めてきた。98年から2003年の間に韓国映画の輸出額は実に11倍に伸びている。これは驚異的な数字だ。
 しかし政府の支援策だけではこれだけの急成長を説明できない。実は韓国映画の水準はもともと高かったのだ。2000年の末に、「長雨」、「森浦への道」、「帰らざる海兵」、「朴さん」、「誤発弾」、「ノダジ」、「荷馬車」、「ハンネの昇天」など、60、70年代の作品8本が一気にビデオ化された(ぜひDVDも出してほしいのだが未だ未発売である)。「ノダジ」は今ひとつだったが、それ以外はすべて傑作である。1950年代末から60年代半ばにかけての第二期黄金時代以後、韓国映画は軍事政権の下で長い停滞期が続いていた。その停滞期とされる時期にこれほどの水準の作品を作っていたとは、ただただ驚嘆するばかりだ。「誤発弾」の短評の中で、「驚くほど日本の古い映画に似ている。ストーリーの展開、映像、音楽や録音の状態、建物まで似ている(障子がある)。日本語で吹き替えていたら韓国映画だとはしばらく気づかないのではないか。顔や服装だって日本人そっくりなのだから。実際ときどき日本映画を見ているような錯覚を覚えた。・・・映画作りもかつては日本映画から多くを学んでいたことがよく分かる。」と書いた。これを書いた時点では推測だったが、2020年11月28日付「朝日新聞」に載った「世界に飛躍する韓国映画」という記事を読んで、この推測が正しかったことが確信できた。その記事の中に「朝鮮人監督の多くが日本の映画会社で学び、腕を振るった。優れた映画技術はその後も弟子や後輩に受け継がれていったのでは」という記述があるのだ。日本大学芸術学部の古賀太教授の言葉である。実際、日本の植民地時代後期の挑戦映画が中国で見つかり、その水準の高さに古賀氏は驚いたという。1980年以降ようやく韓国映画は停滞から脱した。イ・チャンホ、ペ・チャンホ、イム・グォンテクの三大巨匠が次々と傑作を放ち始めた。これらの作品を日本はずっと無視してきたのだ。
 そのあたりを自分の体験を交えて振り返ってみたい。僕が韓国映画を意識し始めたのは80年代末ごろだ。もっとも、当時は「鯨とり コレサニャン」、「達磨はなぜ東へ行ったのか」、「旅人は休まない」といった、かわった題名の映画が入ってきたなという程度の認識だった。「童年往事 時の流れ」や「恋恋風塵」などの台湾映画と印象がダブっていたのを思い出す。それくらい当時は韓国映画も台湾映画もまだ珍しかった。丁度東京から上田に移ってきたころだったので、上記作品を実際に観たのはだいぶ後だった。「達磨はなぜ東へ行ったのか」は未見である。80年代末から90年代初めごろレンタル・ビデオ屋にあった韓国映画はほとんどがエロチックな映画で、僕が最初に観た韓国映画も「桑の葉」だった。同年に「シバジ」、「旅人は休まない」、「ディープ・ブルー・ナイト」も見てはいるが、その後数年は空白。第5回東京国際映画祭(1992年)でグランプリを取った「ホワイト・バッジ」と米兵に体を売りながらもしぶとく生き抜いてゆく一人の母親を描いた「銀馬将軍は来なかった」という力作2本が93年に公開されたが、当時はまだ関心は持たなかった。
 そこへ突然94年に登場したのが「風の丘を越えて」という傑作である。韓国映画の最高傑作とも言われるこの作品の登場は、韓国映画に対する僕の認識を一夜にして変えてしまった。だがその後またしばらく空白の時期が続いた。96年公開の元従軍慰安婦を取り上げたドキュメンタリー「ナヌムの家」、97年公開の社会風刺映画「われらの歪んだ英雄」、99年公開の傑作ラブ・ストーリー「八月のクリスマス」等が一部で注目された程度だ。
 何といっても日本で韓国映画ブームの原点になったのは、2000年に公開された「シュリ」の大ヒットである。さらに「シュリ」より作品的に高く評価されたのは、同年公開の「ペパーミント・キャンディー」だ。韓国映画得意のラブ・ロマンスの佳作「美術館の隣の動物園」も同じ年に公開されている。
 その後はまるで堰を切ったように韓国映画が流れ込んできた。翌年の「JSA」、「イルマーレ」、「リベラ・メ」、「魚と寝る女」、「反則王」、「ユリョン」、2002年の「友へ・チング」、「春の日は過ぎ行く」、そして2003年には「おばあちゃんの家」、「二重スパイ」、「猟奇的な彼女」、「吠える犬は噛まない」と傑作、話題作が目白押し。2004年に入っても「殺人の追憶」、本国での観客動員数の記録を塗り替えた大作「ブラザーフッド」と「シルミド」が相次いで公開され着実にファンを増やした。他にも「オールド・ボーイ」、「春夏秋冬、そして春」、「永遠の片想い」、「子猫をお願い」、「大統領の理髪師」、「オアシス」と傑作・話題作が続々と公開された。「風の丘を越えて」のイム・グォンテク監督の主要な作品も次々に公開された。2004年には、「春香伝」、「太白山脈」、「風の丘を越えて~西便制」、「祝祭」の4作品を収録したイム・グォンテク監督のBOXが出た。
 その後も韓国映画の勢いは続いたが、2015年あたりからその勢いも落ちてきた印象がある。ただそれは単なる個人的な印象かも知れない。というのも、この数年韓国映画に限らず観る映画の数そのものが減ってきたからである。最近はもっぱらTVドラマを観まくっている。映像配信サービス「ユーネクスト」でTVドラマを大量に観られるようになったからである。衛星放送の契約をしていないため地上波で放送されたものしかそれまで観られなかったのである。
 もちろん、少ないとは言え地上波放送やレンタルなどで内外のTVドラマはそれまでも観てきた。しかし韓国のTVドラマだけはどうしても観る気になれなかった。自分でもよく理由は分からないが、韓国映画は意欲的に観ていたが、どうしてもTVドラマは観る気になれなかったのである。未だに「冬のソナタ」は観ていない。大量に流れ込んできた恋愛ドラマに何か反発を感じていたのかもしれない。それと歴史ものがどうしてもなじめない。何度かテレビ放送時に観てみたのだが、何度見ても途中でやめてしまう。面白くないのだ。映画なら「王の男」や「王になった男」には何の抵抗もなかったし、傑作だとも思った。それがなぜかTVドラマの歴史ものには入り込めない。
 だからずっと韓国のTVドラマとは無縁だったのだが、これも「ユーネクスト」のおかげで壁を突破できた。恋愛ドラマも歴史ドラマも抵抗があったので、サスペンス・ドラマから入ったのである。これが功を奏した。映画も「カル」や「H」などのサスペンス・ホラーを作っていたころは大したことはなかったが、「チェイサー」あたりから韓国でも本場アメリカを超えるような傑作が登場してきた。TVドラマもサスペンス・ドラマは傑作ぞろいだった。そこから入ってコメディや恋愛ものも観るようになった。未だに歴史ものはだめだが、かなり様々なタイプのドラマを観るようになってきた。それはまた、それにこたえるほど韓国のTVドラマが充実しており、層が厚いということでもある。何しろドラマにのめりこんで映画を観る気になかなかなれないほどである。
 もちろんドラマばかりではなく映画も頑張っている。上記「世界に飛躍する韓国映画」という記事によると、「国民一人当たりの映画鑑賞回数は13年から毎年4回を超すという驚くほどの高止まりを続け、昨年は4.37回。韓国映画の同国内でのシェアも昨年まで9年連続で5割を超えた」とある。(注)今後はもっと映画も観るようにしないと、自分にこう言い聞かせながらこのリストを紹介します。

*映画リストのうち青色がついている作品はこのブログでのレビューにリンクが張ってあります。

(注)
 古い文章ですが、韓国の映画保護政策について書いた過去の記事を引用しておきます。

・韓国映画の目覚しい躍進を支える有力な制度的仕組みとして、1996年の「映画振興法」によって実施された「韓国映画の上映義務」制、いわゆる「スクリーン・クォータ制」(上映時間割当制)がある。すべての映画館は年間146日以上、韓国映画を上映する義務を負い、この制度に国の様々な助成策が加わって韓国映画の「躍進」を促してきた。
 しかし1999年、それまで韓国映画市場の6~7割を占有してきたハリウッドは、このスクリーン・クォータ制に激しい攻撃を加え、韓国政府に圧力をかけたが、韓国映画人は団結して民族映画擁護のため、この制度を死守する大運動を展開。「クスリーン・クォータ文化連帯」という非政府組織をつくり、その力で政府はハリウッドの要求をはねつけてきた。
 「シュリ」(1999年)「JSA」(2000年)「シルミド」(2003年)「ブラザーフッド」(2003年)など、国民的な大ヒット作が続出、韓国映画は市場の過半数を制するまでになり、ハリウッドは再びスクリーン・クォータ制への攻撃を強めた。04年7月14日、3000人の韓国映画人があつまり、この制度を死守する大デモを決行、日本でも知られる大スターたちも参加している。

・韓国映画の市場占有率は、2002年に45.0%だったのが、03年には49.4%、そして04年に上半期はついに60.0%に達した。昨年12月公開の「シルミド」が1108万人、今年2月公開の「ブラザーフッド」が1174万人の記録的な大動員を果たしたことも。これにたいしアメリカ映画は2002年48.7%、03年43.5%、そして04年36.1%と押され続けである。

<参考>
 各国の映画保護政策については、古い記事ですが下記の記事も参照してください。

「変貌著しい世界の映画」
「資料・日本と諸外国の映画環境①」
「資料・日本と諸外国の映画環境②」

 

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