最近のトラックバック

お気に入りホームページ

お気に入りブログ 2

  • とんとん亭
    いい映画をたくさん観ているとんちゃんさんのブログ。映画の魅力を丁寧に語っています。
  • 新・豆酢館
    カテゴリーが実にユニーク。関心の広さと深さとユニークさが魅力です。
  • 虎猫の気まぐれシネマ日記
    猫が大好きなななさんのブログ。とても丁寧に、詳しく映画を紹介しています。
  • 犬儒学派的牧歌
    一見近寄りがたいタイトルですが、とても読みやすくまた内容の濃いレビューに出会えます。
  • TRUTH?ブログエリア
    GMNさんの充実したブログ。アメコミに強い方ですが、映画の記事もすごい。読ませます。
  • It's a Wonderful Life
    kazuponさんのブログ。観ている映画がかなり重なっているのでとても参考になります。
  • no movie no life
    洋画、邦画を問わず幅広くご覧になっています。しかも取り上げている映画は良質なものばかり!
  • 日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々
    おいしい物といい映画が大好きな方。味わいのある映画を選ぶ確かな目をお持ちです。
  • 再出発日記
    邦画を洋画と同じくらい観ておられます。社会的視点をしっかりとお持ちで、大いに勉強になります。
  • 藍空放浪記
    アジア映画を中心に幅広く映画をご覧になっています。レビューも長文で深い考察に満ちています。

お気に入りブログ

« 2008年2月3日 - 2008年2月9日 | トップページ | 2008年2月17日 - 2008年2月23日 »

2008年2月10日 - 2008年2月16日

2008年2月11日 (月)

「トランシルヴァニア」を観ました

G3  初めて観たロマの映画はエミーリ・ロチャヌー監督のソ連映画「ジプシーは空に消える」(76)だった。80年2月に日経小ホールで観ている(昨年DVDをゲット、こんなものまでDVDが出ているとは!)。エミール・クストリッツァ監督の「ジプシーのとき」(89、未見)より13年前に製作されている。次に観たロマ映画がトニー・ガトリフ監督の「ガッジョ・ディーロ」だった。2000年9月に観た。何と「ジプシーは空に消える」を観てから20年後である。それほどロマが映画で描かれることは少ないということだ。「ガッジョ・ディーロ」(97)は4つ星だったが大いに満足した。次に観たトニー・ガトリフ作品は「僕のスウィング」(02)。2004年の3月に観た。こちらは4つ星半の傑作。そして今回の「トランシルヴァニア」(06)がトニー・ガトリフ作品3作目である。

 「僕のスウィング」が公開された2003年はニュージーランドのマオリに伝わる伝説を主題にした映画「クジラの島の少女」、アボリジニの少女たちを描いた「裸足の1500マイル」、イヌイット語でイヌイットを描いた最初の映画「氷海の伝説」が公開された記念すべき年である。アフリカを舞台にしたアニメ映画「キリクと魔女」が公開されたのもこの年である。80年代に米・仏・伊・英・ソなどの映画大国以外の映画がどっと入ってくるようになった。2000年代以降はその傾向がさらに増幅されている。

 その傾向を顕著に反映しているのは『キネマ旬報』の外国映画ベストテンである。70年代までは票が入った作品は100本以内で収まっていた。初めて100本以上まで達したのが84年である。95年には130本を越えて、2ページでは収まりきらなくなり3ページ立てになった。2005年にはついに150本を超えた。これは明らかに欧米の映画大国以外の作品がどっと増えたことの反映である。中国や韓国やイラン映画は今ではベストテンの常連である。欧米以外の映画の公開本数が増えただけではなく、作品のレベルがほとんど欧米と変わらないところまで上がってきている。60年代まではわずか1ページで足りていた。しかもほとんどが欧米の映画だったことを思えば隔世の感である。70年代までは上記5大国以外に日本で紹介されたのは特定の傑出した監督の作品が中心だった。スウェーデンのイングマル・ベルイマン、オーストリアのヴィリ・フォルスト、インドのサタジット・レイ、スペインのルイス・ブニュエル、デンマークのカール・ドライエル、ポーランドのアンジェイ・ワイダ、イエジー・カワレロウィッチ、アンジェイ・ムンク、等々。

 日本や欧米先進国の感覚では信じられないような世界が映画で観られるようになった。初期の記録映画には、たとえばロバート・J・フラハティの「アラン」(34)や「極北の怪異」(22)のような作品があった。世界中の映画人がキャメラを持って「見たことのない驚異の世界」を記録した。しかしそこに住んでいる人々にとってそれは日常だった。80年代以降の映画が違うのはその点である。「ものめずらしさ」を驚異の目で記録するのではなく、それぞれの国民、民族が自分たちの言葉で自分たちを語り始めたのである。

 トルコ映画の「ハッカリの季節」、「遥かなるクルディスタン」、「路」、「エレジー」、ユーゴスラビアの「黒猫・白猫」、「歌っているのはだれ?」、セネガルの「母たちの村」、中国映画「ココシリ」、「子どもたちの王様」、「芙蓉鎮」、ネパール映画「キャラバン」、ラップランドを舞台にしたソ連映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」、アイスランドの「春にして君を想う」、アフガニスタンの「アフガン零年」、オランダの「さまよえる人々」、「マゴニア」、カナダの「狩人と犬、最後の旅」、「大いなる休暇」、キルギスの「あの娘と自転車に乗って」、タイの「風の前奏曲」、チェコの「スイート・スイート・ビレッジ」、デンマークの「ペレ」、ノルウェーの「歌え!フィッシャーマン」、「キッチン・ストーリー」、ブータンの「ザ・カップ/夢のアンテナ」、ブラジルの「シティ・オブ・ゴッド」、ブルガリアの「略奪の大地」、ベルギーの「ロゼッタ」、イランの「友だちのうちはどこ?」、「酔っ払った馬の時間」、「ブラックボード」、「少年と砂漠のカフェ」、「亀も空を飛ぶ」、グルジアの「ピロスマニ」、ドイツ製作だが実質的にモンゴル映画である「天空の草原のナンサ」、フランス映画だがカリブ海に浮かぶマルチニック島を舞台にした「マルチニックの少年」等々。そこにはわれわれとは相当に異質の、信じられないような世界が描かれている。しかもこれらのほとんどが傑作の域に達しているのだ。

Gpjg8   いずれも見たこともない風習が描かれていたり、独特のユーモラスな世界があったり、日本とは全く違うゆったりとしたテンポで描かれたりしている。もちろんほとんどの作品は優れた人間ドラマになっており、それが大きな魅力なのだが、エキゾチックな雰囲気も魅力の一つである。その点で言えば、ロマを描いたトニー・ガトリフの一連の作品は格段にエキゾチックである。独特の衣装、独特の風俗と生活スタイル、そしてなんといってもあの独特の音楽が最大の魅力だろう。「ガッジョ・ディーロ」と「僕のスウィング」はロマ音楽そのものが主題だと言ってもいいほどだ。「トランシルヴァニア」は音楽が主題とは言えないが、全編に歌と踊りがあふれかえっている。典型的なのは「黒いオルフェ」を思わせるカーニバルの喧騒。酒場でも家の中でも車の中でも人が寄り集まると歌と踊りが始まる。ドラキュラの故郷トランシルヴァニアがこれほど豊かな音楽文化を持つ土地柄だったとは!

 「歌が飛んでゆく 歌が飛んでゆく・・・ここでは誰もが知っている 馬に乗っても歌うんだ。」劇中に出てくる歌だが、まさにその通りの土地柄である。その音楽に乗って展開されるドラマは野生的な愛の狂騒曲。とにかくキャラクターが濃い。ドラマも濃い。男を追いかけてトランシルヴァニアにやってきたフランス女がいつの間にかロマの女のようにたくましくなってゆく。ヒロインの名前がジンガリナという、フランス人としては異国風の名前なのが象徴的だ。まるでロマのような名前だ。途中でチャンガロという男が絡んできて、ロード・ムービーになって行く。その旅は出産で終わる。最後に笑いかけるジンガリナの笑顔が強烈な印象を残す。久々にレビューを書く意欲が湧いてくる作品と出合った。

  * * * * * * * * * * * *

 この間他に2本観た。「オーシャンズ13」は相変わらず速いテンポで、なんら人間的ドラマを挟まずにベルトコンベアーのように機械的に進行してゆく。2作目とほとんど変わらない、味わいの薄い映画だった。もう1本のアメリカ映画「イカとクジラ」はなかなかの佳作。ファミリー・ドラマだが、「クラッシュ」、「アメリカ 家族のいる風景」、「ランド・オブ・プレンティ」のような9・11の影を引きずった作品ではない。むしろこれら家族の絆を追い求める映画(「ラスト・マップ/真実を探して」、「リトル・ミス・サンシャイン」、「トランスアメリカ」などもこの系統だ)とは逆に、家族は崩壊したままで絆の回復は期待できそうにない。その点ではよりリアルにアメリカの現実を見つめていると言えるかも知れないが、作風としては伝統的なアメリカ映画の造りである。これも余裕があればレビューを書いてみたい。

「トランシルヴァニア」(2006年、トニー・ガトリフ監督、フランス) ★★★★☆
「イカとクジラ」(2005年、ノア・ボーンバッハ監督、アメリカ) ★★★★
「オーシャンズ13」(2007年、スティーブン・ソダーバーグ監督、米) ★★★

「トランシルヴァニア」のレビュー

人気blogランキングへ

« 2008年2月3日 - 2008年2月9日 | トップページ | 2008年2月17日 - 2008年2月23日 »

ゴブリンのHPと別館ブログ

フォト
2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ