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2008年7月13日 - 2008年7月19日

2008年7月19日 (土)

寄せ集め映画短評集 その18

 このところ忙しくてなかなか記事を更新できませんでした。しかし映画は結構観ています。今月に入って既に6本観ました。さらに、「題名のない子守唄」と「サラエボの花」をレンタル中です(まだ観る時間がない)。とても本格レビューを書く気力がないので、久々に「寄せ集め映画短評集」の復活です。

「河童のクゥと夏休み」(原恵一監督) ★★★★
「潜水服は蝶の夢を見る」(ジュリアン・シュナーベル、米・仏) ★★★★
「僕のピアノコンチェルト」(フレディ・M・ムーラー、スイス) ★★★★
「有りがたうさん」(36、清水宏監督) ★★★★
「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督) ★★★☆
「ディスタービア」(D・J・カルーソ監督、米) ★★★


「河童のクゥと夏休み」(2007、原恵一監督)

 河童は鬼や天狗と並んで日本ではもっとも馴染みのある妖怪である。一番多く登場するのは伝説の中だろうが、漫画の世界でもおなじみだ。黄桜の宣伝で有名になった清水崑の河童漫画、花輪和一の『天水』、水木しげるの『河童の三平』や『河童千一夜』など。そういえば石井竜也監督の『河童 KAPPA』という映画もあった。

  しかしアニメに主役として登場するのは珍しいのではないか。「河童のクゥと夏休み」はそういう意味で画期的な作品であり、日本アニメの質の高さを示すなかなかの秀作だった。走るシーンなどの動きに滑らかさがないが、遠野の川で泳ぐシーンや終盤に描かれる沖縄の風景などはジブリに迫る精密で美しい絵を完成させている。

  ストーリー的にはいろいろと詰め込みすぎている感じはあるが、単なるファンタジーとして終わらせず、人間の文化を河童の視点から相対化しているところが魅力でもある。ファンタジーの中に環境問題や学校でのいじめやマスコミの狂騒などが入り込んでくるところは、宮崎駿よりもむしろ高畑勲の作風に近い。

033798   なんといってもクゥのキャラクターがいい。300年の時間を超えて現代に出現したクゥは、その存在自体が現代の人間社会の歪みを拡大して映し出す湾曲した鏡となる。冒頭のショッキングな描写、クゥの父親が侍に切り殺されるシーンは最後まで映画に暗い影を投げかけている。実際の画面で切り殺されているのは河童なのだが、なぜかわれわれは年貢を少しでも軽くして欲しいと訴えに来た農民を武士が切り殺す場面を見せられたような感覚を覚える。この2つのイメージが無意識のうちに重ねられている。そこに共通するものがあると感じるからである。クゥを身近に感じるのは、単にクゥが擬人化されているからではない。虐げられてきたものたちに対する共感を覚えるからなのだ。人間の身近にいながら常に影の存在で、人間に棲家を追われていった河童たち。「平成狸合戦ぽんぽこ」とその点で重なる。

  いろんなことを読み取ることが出来る作品である。座敷童子やキムジナー、飼い犬のオッサンの使い方もうまい。


「潜水服は蝶の夢を見る」(2007、ジュリアン・シュナーベル監督、米・仏)

 主人公の置かれた状況は「ジョニーは戦場へ行った」や「海を飛ぶ夢」とよく似ているが、この2作ほど深くは感動しなかった。もちろん悪い出来ではない。「ロックト・イン・シンドローム」という難病に侵され、体中が麻痺して動くのは左目だけという絶望的な状況の中でも生きる希望を失わなかった男の話。彼が左目だけ動かせることに気づいた言語療法士のアンリエットは、よく使う順に並べたアルファベット表を用いて左目の瞬きで文字を示させる方法を考え付いた。使用頻度順に並べられたアルファベットを何度も根気よく繰り返すアンリエット、辛抱強く瞬きで合図するジャン。

  やがてジャンは瞬きで自伝を書き始める。20万回の瞬きでつづった自伝。これは実話で、原題は「潜水服と蝶」。潜水服といっても今のウエットスーツに酸素ボンベというスタイルではなく、ますむらひろしの『アタゴオル』シリーズによく登場するあの古めかしい潜水服姿である。言うまでもなく自由に身体を動かせない状態を象徴しているのだが、そのこと以上にあの視覚的イメージが鮮烈だった。それが自由に空を飛ぶ蝶のイメージと対比的に使われている(そういえば舞台劇を原作とした「バタフライはフリー」というアメリカ映画があったな)。

 しかしこの映画はとことん淡々とした描き方をつらぬく。正直そこが物足りなかった。「ジョニーは戦場へ行った」のあの有名な場面、「メリー・クリスマス」とジョニーが叫ぶシーンのようなクライマックスが1箇所ぐらいはほしかった。

「僕のピアノコンチェルト」(2007、フレディ・M・ムーラー監督、スイス)
  期待以上にいい映画だった。主人公の少年も悪くないが、何といってもその祖父役を演じるブルーノ・ガンツが素晴らしい。彼は「光年のかなた」のヨシュカのように、あるいは『始祖鳥紀』の幸吉のように、ひたすら空を飛ぶ夢を追い続けていた。普通の人になりたいと願う孫のヴィトスに彼が言った「決心が付かない時は大事なものを手放してみろ」という言葉、そしてヴィトスがある書類にサインすることをためらっている祖父に言った「飛行機は地上にあれば安全だけど、飛ぶためにある」という言葉、どちらもなかなか味のあるせりふだ。そしてその祖父は実際に飛行機を操縦して空を飛ぶのである。「ヒトラー最期の12日間」の印象が強烈だが、この映画も彼の代表作となるだろう。

 珍しいスイス映画という点でも注目していい。僕は80年代に注目されたアラン・タネール監督の「サラマンドル」、「光年のかなた」、同じく80年代に注目されたダニエル・シュミット監督の「カンヌ映画通り」、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の「アリス」、それと「ジャーニー・オブ・ホープ」(91年度のアカデミー外国語映画賞受賞作品、スイス製作だが実質的にはスイス・トルコ合作と言ったほうがよい)くらいしか観たことがない。

  このところ音楽に関係する映画を立て続けに観ているが、不思議とどれも出来がいい。いくら天才とはいえヴィトスがネットで株を動かして大金を手に入れるというやや荒唐無稽な部分もあるが、「シャイン」、「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」などと並んで記憶にとどめておきたい映画だ。お隣ドイツの「4分間のピアニスト」も観てみたくなる。

「有りがたうさん」(1936、清水宏監督)
 僕は80年代に日本映画の古典をむさぼるように観まくっていた。それでも、清水宏監督作品は74年9月にフィルムセンターで「風の中の子供」を1本観たきりだった。「子供の四Artbasya04200wa 季 春夏の巻」、「花のある雑草」、「みかへりの搭」、「蜂の巣の子供たち」、「小原庄助さん」など、30年代から40年代にかけていくつも『キネマ旬報』のベストテンに作品を送り込んだ実績のある監督だが、あまり広く知られた監督ではなく上映機会も少なかった。それが、生誕100周年の2003年に東京フィルメックス映画祭で特集が組まれたのをきっかけに、特集上映がたびたび組まれるようになり復活した。ついにはDVD-BOXまで出たのだからすごいことだ(「小原庄助さん」は最近廉価版も出た)。

  「有りがたうさん」は上原謙がバスの運転手で、客を乗せて走る路線バスの車内をひたすら撮るという珍しい映画だった。しかしそれが滅法面白い。当時ののんびりした様子がよく伝わってくるし、次々に客が入れ替わってそれなりに変化に富んでいる。上原謙は”若大将”加山雄三の父親。美男俳優の代名詞だった人で全盛期は絶大な人気を博していた。いわば元祖イケメン。

  しかし、そんなことを前面に出すのではなく、次々に乗り込んでは降りてゆく乗客たちをユーモアと哀感を込めて描いてゆく。人生が交錯する場所として乗り合いバスが描かれている。最初から最後まで移動するバスを描いているだけなのに、全く退屈しないどころかいつの間にか70年前の日本にタイムスリップした感じで入り込んでしまうからすごい。

 今の日本とは全く違う、ゆったりとした生活のテンポ。話し方もスロー再生しているのかと思うほどゆっくりしている。通りがかりの人が運転手に伝言を頼んだり、荷物を運んでもらったりする。今ほど便利ではなかった時代、バスは沿線の人々の生活を支えるいろんな役割を担っていたわけだ。今でも十分観る価値のある優れた作品である。

「ゲド戦記」(2006、宮崎吾朗監督)
 テレビを始め鳴り物入りで大宣伝された映画だが、あまりに評判が悪くて観ていなかった。もちろん気にはなっていたので、テレビ放映されたときに観た。期待値があまりに低かったからかもしれないが、心配したほどひどい出来ではないと思った。

  ただ、キャラクターは宮崎駿作品の登場人物を思わせるものが多く、あまり個性が感じられなかったのは確かである。父親の遺産を受け継ごうと懸命に努力しており、それなりのレベルに達してはいる。しかし、例えて言えば、父親の絵をトレース紙でなぞったような感じを受けた。似てはいるが何かいまひとつ突き抜けるものがない。まあ1作目だから仕方がないだろう。処女作にしては立派な出来である。

「ディスタービア」(2007、D・J・カルーソ監督、米)
 ヒッチコックの「裏窓」そっくりのシチュエーションだが、多少の新味を付け加えている。「裏窓」は展開が間延びしていて、ヒッチコックの作品の中ではあまり出来のいいほうではないと思う(アイディアは抜群だが)。しかしそれでも「ディスタービア」よりはだいぶましだ。同じ「覗き見」というアイディアとしては、ブライアン・デ・パルマの「ボディ・ダブル」がなかなかの拾い物。B級映画の作りだが、サスペンスの盛り上げ方がうまい。「裏窓」のような味わいは薄いとしても、ハラハラする見ごたえは「裏窓」以上だと思う。

【ミステリー・サスペンス マイ・ベスト30】
「インファナル・アフェア」(02、アンドリュー・ラウ、アラン・マック監督)
「アパートメント」(95、ジル・ミモーニ監督)
「ミシシッピー・バーニング」(88、アラン・パーカー監督)
「オフィシャル・ストーリー」(85、ルイス・プエンソ監督)
「コンドル」(75、シドニー・ポラック監督)
「仁義」(70、ジャン・ピエール・メルヴィル監督)
「Z」(69、コスタ・ガブラス監督)
「ミニミニ大作戦」(68、ピーター・コリンソン監督)
「暗くなるまで待って」(67、テレンス・ヤング監督)
「飢餓海峡」(64、内田吐夢監督)
「5月の7日間」(63、ジョン・フランケンハイマー監督)
「いぬ」(63、ジャン・ピエール・メルヴィル監督)
「天国と地獄」(63、黒澤明監督)
「北北西に進路を取れ」(59、アルフレッド・ヒッチコック監督)
「12人の怒れる男」(57、シドニー・ルメット監督)
「情婦」(57、ビリー・ワイルダー監督)
「男の争い」(55、ジュールス・ダッシン監督)
「狩人の夜」(55、チャールズ・ロートン監督)
「恐怖の報酬」(52、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督)
「見知らぬ乗客」(51、アルフレッド・ヒッチコック監督)
「サンセット大通り」(50、ビリー・ワイルダー監督)
「野良犬」(49、黒澤明監督)
「第三の男」(49、キャロル・リード監督)
「チャップリンの殺人狂時代」(47、チャールズ・チャップリン監督)
「ナチス追跡」(46、オーソン・ウェルズ監督)
「白い恐怖」(45、アルフレッド・ヒッチコック監督)
「飾り窓の女」(44、フリッツ・ラング監督)
「深夜の告白」(44、ビリー・ワイルダー監督)
「レベッカ」(40、アルフレッド・ヒッチコック監督)
「M」(31、フリッツ・ラング)

<モア10本>
「殺人の追憶」(03、ポン・ジュノ監督)
「メメント」(00、クリストファー・ノーラン、ガイ・ピアース監督)
「ユージュアル・サクペクツ」(95、ブライアン・シンガー監督)
「羊たちの沈黙」(91、ジョナサン・デミ監督)
「仕立て屋の恋」(89、パトリス・ルコン監督)
「ディーバ」(81、ジャン・ジャック・ベネックス監督)
「グロリア」(80、ジョン・カサヴェテス監督)
「殺しのドレス」(80、ブライアン・デ・パルマ監督)
「スティング」(73、ジョージ・ロイ・ヒル監督)
「激突!」(72、スティーヴン・スピルバーグ監督)
「フレンチ・コネクション」(71、ウィリアム・フリードキン監督)
「逃亡地帯」(66、アーサー・ペン監督)
「コレクター」(65、ウィリアム・ワイラー監督)
「鳥」(63、アルフレッド・ヒッチコック監督)
「モンパルナスの夜」(33、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督)

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