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« 2007年に観た主な映画 | トップページ | 小冊子「CINEMA APIED」を紹介します »

2008年1月12日 (土)

しゃべれども しゃべれども

2007年 日本 2007年5月公開
評価:★★★★
監督:平山秀幸
原作:佐藤多佳子
プロデューサー:渡辺敦、小川信司
エグゼクティブ・プロデューサー:豊島雅郎、奥田誠治、他
脚本:奥寺佐渡子
撮影:藤澤順一
音楽:安川午朗
落語監修・指導:林家三三、古今亭菊朗
出演:国分太一、香里奈、 森永悠希 、八千草薫、伊東四朗、松重豊、占部房子
    建蔵、日向とめ吉、山本浩司、下元史朗

 平山秀幸監督はこれまで「愛を乞う人」(1998年)、「学校の怪談4」(1999年)、「OUT」(2002年)と観てきたので、本作で4作目になる。さすがに平均して優れた作品を作っている(「学校の怪談4」は意外な佳作だった)。

Turitourou1  タイトルを観た感じではテレビドラマ並の軽い作品かと思ったが、どうして立派な作品である。噺家の卵が苦労して上達するという型通りの作品かと思っていたが、その卵が素人に落語を教えることによって彼自身も噺家として成長するというひねりが加えられていた。

 落語という地味な題材を持ってきたところにこの映画の一番の特異性と価値がある。80年代の漫才ブームを経て現在のお笑いブームに至る時の流れの中で、落語は常に片隅に追いやられていた。奇抜さばかりを追い求め、無理やり笑わせる今のお笑いの風潮にじっくり話芸を聞かせる落語の世界をぶつけてくるには当然現状への批判があるだろう。言葉と笑いがあふれかえっている一方で人間関係に悩み、うまくコミュニケーションを取れないでいる人たちの数も増えている。「しゃべれども しゃべれども」が描いたのは、不器用な生き方しかできない人たちが身を寄せ合い人間関係を作り上げてゆくことによって自分たちの枠を乗り越えてゆく過程である。

 言葉だけが問題なのではない。落語それ自体がうまくなれば良いということでもない(三つ葉の場合はこれが目標だが)。不器用な生き方しかできない人たちが共に同じ苦労をすることを通じて自分の生き方を見つけてゆくことが主題なのである。その意味では「深呼吸の必要」(香里奈の映画初出演作)に通じる作品である。「深呼吸の必要」は自分を見つめなおし、自分を変えたいと思う人たちが沖縄のサトウキビ刈りのバイトに集まってくる映画だ。共に観終わった後に同じような爽やかさを感じるのは、同じ主題を扱っているからである。

 香里奈やTOKIOの国分太一というアイドルを起用しながらありきたりのアイドル映画にしなかったことがこの映画を成功させている。国分太一にはあえて古典落語にこだわる落語家の卵、今昔亭三つ葉を演じさせ、香里奈には十河五月という他人とうまく接することができないためにいつも無愛想で怒っているような顔の女性を演じさせた。「今昔亭」という名前も暗示的である。舞台となるのも華やかな都心ではなく下町である。都電、路地、蕎麦屋、隅田川と遊覧船、ほおずき市などの下町風景が効果的に取り込まれている。

 ひょんなことから始めることになった落語教室に集まったのは、仏頂面の十河五月、関058244 西からの転校生で関西弁のために学校でいじめられている村林優(森永悠希)、元野球選手で今は解説者をやっているが、話すのが苦手という湯河原(松重豊)の3人。これらの「弟子」に落語を教えている三つ葉もまだ二つ目で、なかなか客の心をつかめず焦っている。かくして3人の、いや「師匠」である三つ葉も含めた4人の苦闘が始まる。年齢も性別も性格も違う3人の弟子たち。当然最初はギクシャクしている。それが村林優に湯河原が野球を教えたり、三つ葉と五月が急接近したりと次第に人間関係が深まってゆく。このあたりの展開は仲の悪い3人兄弟が共に聖地を目指す「サン・ジャックへの道」に通じる。落語がうまくなるに連れてそれぞれが自分の殻を脱ぎ捨ててゆき、絆も深まってゆく。とことん落語がうまくなる必要はない、不器用なりに自分を表現できるようになることが大切なのだ。

 下町情緒をたっぷり盛り込んだ人情話。単純だがしっかりとした作りで好感が持てる。出演者がまたいい。主演の国分太一には感心した。TOKIOには何の関心もなかったので、初めて観た感じがする。相当に練習をつんだと思われる落語もなかなかのものだったが、立ち居振る舞いからして落語家の雰囲気が漂っていたのは立派だ。途中で演じる「火焔太鼓」とラスト近くの一門会で演じる「火焔太鼓」では明らかに違っていた。映画の中に役者としての彼自身の成長を見た思いがした。和製クリストファー・ウォーケン松重豊はその渋い顔でさすがの存在感を示していたが、せっかくの彼の持ち味がストーリー展開の中でいまひとつ活かせていないのが残念。彼にも活躍の場を与えてほしかった(飲み屋で毒舌はいてるだけじゃねえ)。そう言えば、そもそも彼が「落語教室」に参加するのもかなり無理な設定のように思えた。

 三つ葉の師匠今昔亭小三文を演じた伊東四朗はさすがの貫禄。60年代に一世を風靡した「てんぷくトリオ」時代には三波伸介の影に隠れてそれほど才能があると思わなかったが、90年代以降は渋さと軽さを併せ持った役者として大活躍。今や日本の名優の一人といっていい。三つ葉の母親役を演じた八千草薫がこれまたいい。脇役ながら漫才映画らしく状況に応じてボケと突っ込みを共にやっている。こんな彼女を観たのは初めてだ。「門前の小僧習わぬ経を覚える」を地で行って、いつの間にか落語を覚えて「自分の方が上手いじゃない!」と独り言を言うところは実に可笑しい。香里奈の「火焔太鼓」はうまくない。しかし「深呼吸の必要」といい、この映画といい、彼女は案外地味な映画が似合うのかもしれない。

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コメント

ほんやら堂さん コメントありがとうございます。
僕はあまり落語は聞いたことがないので、みんなが褒める森永悠希の「まんじゅう怖い」がそれほどいいとは思えませんでした。
映画としては突出した出来ではないと思いましたが、いい加減な作りが目立つ日本映画の中では良心作だと思いました。

ゴブリン様

TB&コメント有り難うございました.

僕は関西に住んでいた一時期,桂枝雀にはまっていました.
森永悠希君のおかげで枝雀版「まんじゅう怖い」の雰囲気を思い出し,幸せでした.

映画全体は良かったのですが,最後のロマンチックシーンがややぶっきらぼうで,残念.

でもこういう映画を作る監督は好きです.

cyazさん コメントありがとうございます。
森永悠希くんのあのこまっしゃくれた感じはいいですね。関西弁でないとあの感じは出せないでしょう。
僕は長い間漫才を聞いていませんでした。だいぶ前に古本屋で漫才を録音したカセットテープのセットを買ったことがあります。あれ以来聞いていない。この映画を観て漫才をじっくりと聞いてみたい気持ちになりました。これは映画の力ですね。楽しい映画でした。

ゴブリンさん、TBありがとうございましたm(__)m
森永悠希クンの「まんじゅうこわい」には脱帽しました(笑)
原作の味わいを残しつつ、映画は映画なりのテイストで
いい塩梅に仕上がっていたと思います。
香里奈演じる十河の実家であるクリーニング店も都電に乗った
とき、見て来ましたよ~♪
TB何度か試みたのですが、反映しませんでしたm(__)m

kimion20002000さん コメントありがとうございます。
「深呼吸の必要」はいまどき珍しいくらいストレートな映画でしたね。厳しい労働と共同作業を通じて若者たちが変わって行く。苦労をして達成感を味わう。今の若者に欠けているものが描かれていた気がします。

TB&コメントありがとう。
「深呼吸の必要」は僕もとっても、気持ちよく見ました。たぶん、その後も多く描かれたオキナワ映画の中で、ダントツの評価です。
長澤まさみも、僕は、実は、この作品が一番好きなんです。

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