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2007年10月21日 - 2007年10月27日

2007年10月26日 (金)

サン・ジャックへの道

2005年 フランス 2007年3月公開
評価:★★★★☆
原題:Saint Jacques...La Mecque
監督・脚本:コリーヌ・セロー
製作:シャルル・ガッソ
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
美術:アントワーヌ・フォンテーヌ
出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ド・パンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン
    マリー・ビュネル、パスカル・レジティミュス、マリー・クレメール
    フロール・ヴァニエ=モロー、ニコラ・カザレ、エメン・サイディ

星の道~さわやかな風がそよぎ、山々は美しく、心も足取りも重い

037_2    「サン・ジャックへの道」は「ラストマップ/真実を探して」と同じようなシチュエーションから始まる。親の残した遺言により無理やり旅に出されることになるのである。しかし「サン・ジャックへの道」の旅は「ラストマップ/真実を探して」の旅よりはるかに長く、遠く、過酷だった。フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼の旅。全行程1500キロ。それも「道まかせ」というツアー名の通り、羊や牛たちが群れる平原を突っ切り、岩だらけの山を越えて行くような難路ばかり。一日平均七時間歩き続けて2ヶ月間の旅。その上に「旅の仲間」は仲の悪いことこの上ない。昔から会うと喧嘩ばかりしているクララ(ミュリエル・ロバン)、ピエール(アルチュス・ド・パンゲルン)、クロード(ジャン=ピエール・ダルッサン)の3姉弟。信仰心もなく、それぞれが家庭内の深刻な悩みやストレスを抱えている。

 3人がそれぞれ巡礼に出ることを断る冒頭のシーンが面白い。これでもかと行けない理由を並べ立てる。夫が失業中のクララ。妻に見捨てられ、酒びたりで一文無しのクロード。中でもすさまじいのはピエールだ。会社の社長で片時も携帯電話と薬を手離せない仕事人間。妻はアルコール依存で自殺願望がある。2ヶ月も家を空けられるはずはない。食いつかんばかりに身を乗り出し、機関銃のようにがなりたてる。これだけ反対しておきながら出発の日には3人ともちゃんとやってくるのが可笑しい。母の遺言に示された条件とは「3人がサン・ジャックの巡礼ツアーに参加すること」。結局、「家庭の事情」を抱える3人は莫大な遺産が欲しかったのだ。

 集合場所に集まったのは全部で9人。楽しい山歩きと勘違いして参加した女の子2人組み、エルザとカミーユ。その女の子が目当てで参加したサイッド。そして彼の従兄弟のラムジィ。彼はサイッドにだまされてメッカへ巡礼に行くと思い込んでいる。人を疑うことを知らない純真な若者で、メッカへ行けば失読症が直ると信じている。常に頭をバンダナ(スカーフ?)で隠している謎めいた女性マチルド(マリー・ビュネル)。そしてこの巡礼の旅「道まかせ」のガイド役ギイ。年齢も人種も宗教も違う不揃いな人々。純粋に巡礼を望んでいるのはラムジィだけという先行き不安な取り合わせ。出発して早々、何かにつけて不平ばかり言って駄々をこねるピエールにクララが食って掛かり、取っ組み合いの大喧嘩。旅の一行ばかりか、観ているこちらも先が思いやられる。

 サンティアゴ・デ・コンポステーラについては、公式サイトに次のような説明がある。サンティアゴ・デ・コンポステーラのコンポステーラとは、「星の平原」という意味を持つ。サンティアゴはフランス語ではサン・ジャックとなる。この巡礼路を題材とした映画にルイス・ブニュエル監督の「銀河」(68)があり、書籍ではパウロ・コエーリョの『星の巡礼』など多数ある。

 そうか、「銀河」の主人公たちもサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指していたのか。もっともこちらはいかにもブニュエルらしいハプニングだらけの奇想天外で摩訶不思議な世界。「銀河」と呼ばれる巡礼路にはキリスト、マリア、死の天使まで現れる。宗教に対する皮肉な目が鮮明だ。シュールな映画だが不思議な魅力がある。人間なんて不完全なもんさ、あたふたする人間たちを見る目は冷淡ではない。「サン・ジャックへの道」は確かに「銀河」と共通する面がある。共に宗教的な枠組みを持っていながら、実に人間くさい映画なのだ。

Fk84  「銀河」の主人公たちが歩んだ道が「銀河」と呼ばれているのに対して、「サン・ジャックへの道」の一行が通った道は「星の道」と呼ぶのがふさわしい(山崎 脩著『旅 スペイン巡礼星の道』という本もある)。クララ、ピエール、クロードたちが経験したのはどんな旅だったのか。ゆったりとしたテンポは「ストレイト・ストーリー」に似ているが、トラクターで旅をするよりもさらにゆったりとしたペースだ。おおらかさにユーモアをまじえた味わいはカナダ映画「大いなる休暇」を連想させる。「長い散歩」のような思いつめたところはない。全体に明るく軽い。強烈なキャラクターを寄せ集め、ギクシャクしながらも最後には姉弟の絆が強まって行くという展開は「リトル・ミス・サンシャイン」に似ている。

 「星の道」を歩む旅。だが、それは必ずしも旅情を感じる旅ではない。少なくとも参加しているものにとっては。彼らには最初自分のことしか見えていなかった。「誰も彼も自分のことばかりだ!きれいな景色も見てやしない。帰りたいのは俺のほうだ!」案内人ギイが悲鳴を上げるのももっともだ。それは、昼間は口論に疲れ、夜は悪夢にうなされる旅だったのだ。仕事や家庭内の問題に追い立てられ、自分のことにばかり気をとられている人間にはゆったりと星空や夕焼けを見上げる暇もない。「歩く」ということの意味はそこにあった。それも1人ではなく反りの合わない同伴者と一緒に歩くということの。「月曜日に乾杯!」の主人公はストレスに耐え切れず、自ら「休暇」を取って旅に出た。「サン・ジャックへの道」の3人は遺言に背中を押されるようにして旅に出たのではあるが、ストレスにまみれていた点は同じだ。「人生は、時々晴れ」のタクシー運転手(ティモシー・スポール)は何もかもいやになって一時仕事を放棄した。みんな人生の重さに押しつぶされそうになっている。

  「サン・ジャックへの道」を観て久々に思い出した映画のタイトルがある。「旅の重さ」(斎藤耕一監督、1972)。巡礼の旅に出ながらもピエールたちは「人生の重さ」を背負っていた。彼らの足取りが重いのはそのためでもある。この旅はいらないものを捨ててゆく旅だった。ただの巡礼者になった今、社長という肩書きも金もおごりも役に立たない。頼めるのは仲間の助けだけである。汗と共に毒素を体外に吐き出してゆく過程。ゆっくりしたペースの旅なので、道中互いの性格があからさまに表れる。軋轢が生まれるがまた触れ合いもある。対立から和解へ。様々な人との出会いというよりも同伴者との触れ合いに重点が置かれている映画だ。互いによく知ってはいるが、仲の悪い姉弟を主要登場人物に設定した狙いはそこにある。

旅の力

 ピエールは途中で誤って薬を捨ててしまった。「薬がないと生きてゆけない」と大騒ぎを始める。誰かが「何の薬なの?」と聞くと、クララとクロードが「人生に耐えるための薬さ」と答えている。ピエールにとって薬は人生のストレスから身を守る鎧だった。しかしいつしか彼は薬なしでやってゆけるようになっていた。足取りも軽く、すたすたと坂道を上れるようになっていた。登場した時の彼は人を小ばかにし、あからさまに差別発言をするいやな奴だった。

  自分を見つめなおし、他人を捉えなおす旅。他人と共にすごす濃密な時間。ゆったりとSwiss9_3 お湯に浸かって疲れを取るように、自分たちのストレスを取り除いてゆく旅。それは他人のつらさを知る旅でもあった。「村の写真集」や「山の郵便配達」に込められたメッセージと同じ物がそこにあった(歩きではないが「ストレイト・ストーリー」をこれに加えてもいいだろう)。ゆったりとしたペースで歩いているからこそ見つけられるものがある。ギイとピエールがそれぞれに家庭の事情があることをぶつけ合うシーンがある。他の人たちが息を呑んで見つめている。こういうことをきっかけに互いの事情が理解できるようになってゆく。ピエールだってただわがままなだけではない。仕事に追われ、家には自殺願望の妻がいる。牛の糞まみれになって彼が妻に携帯で電話するシーンが印象的だ。弟のクロードだって、好んで失業しアル中になっているわけではない。何も持たずに参加し、ちゃっかり金を借りたりしているが、根っからの怠け者ではない。

  日本から逃れてきた人たちが「かもめ食堂」で出会い、そこでのんびり、ほのぼのとした生活を送るうちに生きる力を得ていったように、9人の巡礼者たちも不満、不平、対立を経て心の平安を得るにいたる。川の水は流れてゆくにしたがって川自体の浄化作用できれいになってゆく。「道まかせ」ツアーにも浄化作用があったようだ。それが「旅の力」なのだろう。彼らが旅の途中でリュックから荷物を捨ててゆくシーンが象徴的だ。「亀も空を飛ぶ」の少女が背中に人生の苦悩の象徴を背負っていたように、彼らのリュックの中には人生のしがらみや苦悩や煩悩がぎっしりと詰まっていたのである。

  ピレネー山脈の手前(フランスとスペインの国境地帯)まで来たとき、案内人のガイは3人に彼らの旅はここまでだと伝える。遺言ではここまで来ればいいと書かれていたのだと。サンティアゴ・デ・コンポステーラまで行く必要はない。クララとクロードはほっとして帰ろうとするが、何とピエールが旅を続けると言い出す。「途中でやめたくない。巡礼のお陰で病気が治った。サンティアゴを見たい。・・・失敗の連続。俺の人生は最悪だ。酒びたりで自殺願望の妻しかいない。生きる権利もないと?初めて無心で何かをやろうとしてるんだ。みんなと一緒にいたい。」引きずられるようにして他の二人も旅を続ける。

  このあたりから「旅の重さ」が取れ、だんだんコミカルな展開になってゆく。とんでもなく早い時間に元気いっぱいで出発して途中でへばってしまうテレコム管理職の若い男や、大いびき3人男が登場して笑わせる。途中宿を借りるために寄った教会では白人以外は泊めないと拒否する神父がいたり、願い事を書いた紙をチェックして捨てたり書き換えたりする修道女たちが描かれたりする。

  しかし染み付いた煩悩は簡単には取れないもの。シュールな夢が何度も描かれる。荒野のドア、迷路、マチルドの顔をかたどった石、黒服の人物、様々な動物に歩く巨大なAの文字。中でもすべてを失った男クロードはピエール以上に苦悩を引きずっていた。「あなたは死に向かってる。私は生きたいの」とマチルドに言われてしまう。耐え切れずやめていた酒を飲みだす。しかしその後のピエールとクララの対応がそれまでと違っていた。酔っ払ってひっくり返ったクロードをギイがかついでくると、ピエールとクララがさっと立ち上がって両脇から支えた。ようやく姉弟は一つになったのだ。

 一行はようやく目的地サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着する。旅の最後の地はヨーロッパ最西端のフィニステレ岬。地の果てである。ここで悲しいが感動的な場面が待っていた。ラムジィが母の死を知り嘆き悲しむ場面だ。夕陽が映える海を背景に、母の死を知って嘆き悲しむラムジィの姿が映し出される。ここはそれまでに映し出されたどんな美しい風景よりも美しいシーンだった。彼が心から悲しんでいたからだ。疑うことを知らない彼は感情を素直に表す。ある墓地で墓碑銘を読んで彼は本気で悲しんでいた。「お母さんが亡くなったなんて、悲しいでしょう?」今度は自分の母親をなくしたのだ。彼がそもそもメッカに行きたいと願ったのは、字が読めるようになって母を喜ばせたいと思ったからだった。しかし映画は彼の泣く顔を映さなかった。画面は彼を遠景で映している。光り輝く海を背景にして彼のシルエットだけを映した。これが素晴らしい効果を上げている。

0070_3    ラムジィは3兄弟以外の登場人物の中では最も重要な役割を担っている。クララに人間的優しさを取り戻させたのは彼なのである。字を覚えたいというラムジィにクララはこっそり字を教え始める。この無償の教育を通じてクララは教師としての初心を取り戻してゆく。同時にラムジィも字を覚えることで人間的に成長してゆく。字を覚えるという行為は人間の成長に不可欠のものである。NHKドラマ「大地の子」でも映画「拝啓天皇陛下様」でも字を習う場面は感動的だった。ピエールは仕事に振り回されていたが、クララは字を教えるという教師本来の仕事をすることで生き生きとしてくる。同様に、ラムジィも神の力によってではなく人の助けと自分の努力で字が読めるようになった。そういう描き方になっているところが素晴らしいのだ。

 旅が終わった後クララたちの母親が登場する。弁護士らしき男が母の残した家を訪れた3人に言う。「お母様はあなたが育った家が売られる前に来て欲しかったのです。」窓辺には去って行く3人を見送る母の背中が。ラムジィの母親への思いが3人の子供たちを憂える母の思いにつながってゆく。まるで毛利元就の「三本の矢」のような話なのだが、姉弟の結束だけが説かれているわけではない。日々の生活の中で自分も他人も見失っている状況を見直すことが必要だった。旅の後彼らはまた日常生活に戻ってゆく。彼らが抱える家庭の問題は解決されていない。しかしこれからは3人で力を合わせて乗り越えてゆくのだろう。

 コリーヌ・セロー監督は、無償でラムジィに字を教えたクララの例があるように、意味のある仕事ならそれに打ち込むこと自体を否定してはいない。お金だって否定していない。宿に泊まれなかったとき、ピエールは自腹を切ってみんなを一流ホテルに泊まらせた。「みんな兄弟。一緒に泊まるべきだ。」一行は久々に風呂に入り、うれしそうにベッドに飛び乗った。仕事もお金もそれ自体を否定しているのではなく、そういうものに埋もれて自分を見失ってしまうことに警鐘を鳴らしているのだ。

 全体のストーリー展開を見れば、この映画は実に単純な映画である。「予定調和」へ一直線に向かっているだけと揶揄されかねない。それでもこの映画には観客の心をひきつける魅力がある。基本的には、最初は遺産目当てだった巡礼が、いつの間にか人間として生まれ変わるための旅になって行くというテーマ自体に共感するからである。しかしそれだけではない。「リトル・ミス・サンシャイン」ばりに強烈な個性を一堂に集め、話の展開にメリハリをつけている。それにユーモラスなドタバタ調のトーンと宗教などに対する皮肉をトッピングして飽きさせない工夫をしている。

 もう1点重要な要素がある。自然の美しさだ。画面に映し出されるフランスの田舎は実に美しい。日本ではパリの美しさばかり強調されるが、フランスは農業大国なのである。しかし、重要なのは、本来人を癒す自然の美しさも9人の巡礼者たちの目には入っていないということだ。足元しか見ていないからだ。彼らは疲れ果て、いがみ合ってばかりで風景を楽しむ余裕などない。われわれはフランスの田舎の美しさを堪能すると同時に、その美しさが少しも目に入っていない一行の、不平を言いながら重い足取りでだらだら歩く姿を見つめることが出来るのである。この映画的効果が見事だった。

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2007年10月22日 (月)

小諸探索① 布引渓谷~布引観音

 「かぐら」で食事。いつもの肉南蛮うどん。おいしゅうございました。そば茶のティーバッグも忘れずに買った。さて、その後は久しぶりのドライブと撮影。こんな晴天の日はドライブが気持ちいい。行く場所は決めていなかったがとりあえず芸術村の方に向かう。千曲ビューラインからの眺めがあまりに美しいので、途中で車を止めて写真を撮る。そのままビューライン沿いに佐久まで行こうかとも思ったが、急に考えが変わる。以前みまき大橋の写真を撮ったが、まだその橋を渡ったことがなかったのを思い出したのだ。芸術村の下を通り、突き当りを左折。みまき大橋に出る。橋を渡るのは初めてだが、すぐ先の信号から先は通ったことがある道。40号線である。千曲川の左岸を走る道で、道沿いには日帰り温泉施設「御牧の湯」、布引観音温泉、布引観音がある。まず「御牧の湯」の写真を撮った。前に1度だけ入ったことがある。今日は撮影だけ。あの時はまっすぐ風呂に行ったのだが、周りにはいろんな施設とオブジェがあって、ちょっとした公園のような感じになっている。御影石で囲った池があったので写真に撮る。ぐるっと一渡り見て回り、何枚か写真を撮る。

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<写真>
御牧の湯(2枚)、千曲ビューラインからの眺め

 さらに先に進むと右手に布引観音温泉が見える。ここも前に1度泊まったことがある。なんてことのない建物なのでここは素通り。今日の目的は布引観音とそのすぐ前にある布引渓谷。布引観音の下に車を止め、まずは渓谷を見に行った。駐車場前の道を渡るとそこが渓谷だ。まずは道から写真を撮る。川原には大きな岩がゴロゴロ転がっている。背後が山なので、川原の半分は日陰になっている。木が邪魔で写真が撮りにくい。道を探して川原に降りる。岩だらけで歩きにくい。ふと見ると、上流のほうに何か塔のようなものが立っている。そういうものを見つけると近くに行って写真を撮りたくなる。足場の悪い川原を上流に向って進む。上の道は頻繁に車が通っているが、川原にはほかに誰もいない。背丈ほどもある岩を乗り越えたりしていると、何か無人島で冒険でもしている気分。う~ん、楽しい、楽しい。近くまで行っても塔の正体はわからない。あれは一体何なのか?煙突のような形だが、橋脚にも見える。昔は橋が架かっていたのだろうか。腑に落ちぬまま、石に足をとられつつまた元の駐車場に戻る。

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<写真>
布引渓谷(6枚)

 駐車場に布引観世音のいわれが書いてあった。有名な「牛に曳かれて善光寺」の言い伝えと関係がある。あちこちに同じような話があるようだが、ここでは昔信心うすい老婆が千曲川で布を晒していると、牛が角に布をかけて走り出したという話だ。説明版の裏側には地図が書いてある。布引二段滝、馬岩、見返り地蔵、牛岩、善光寺穴、不動滝、釈尊寺。途中にいくつも見所があるようだ。階段を上り始めると、看板に片道20分と書いてある。一気に逃げ腰になる。滝だけ撮って引き返すか。しかし、あそこに石碑が、こっちにはお地蔵さんがと、写真を撮っているうちに、もうここまで来たら上まで行こうという気になった。とにかくきつい坂だ。しかし今日は久々にたっぷり睡眠をとったので足が軽いし、何度も立ち止まって写真を撮りながら上ったので息が切れるほどではなかった。あちこちの岩のくぼみや岩の上に石碑や木像、石像が置かれている。細い道の片側は谷で片側は断崖である。このあたりは岩山で、遠くからもその露出している岩肌が見える。石の上や石像の周りにはケルンのように小石が積み重ねられている。

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<写真>
布引観音に至る道(3枚)

 滝はどうということもなく、馬岩と牛岩には馬と牛の姿が岩に現れているというが全く分からず。不動の滝に水はなく、見返り地蔵と善光寺穴(穴が善光寺まで通じているそうな)には気づかずに通り過ぎる。しかし道端には無数のお地蔵さんや石碑(馬頭観音など)がたくさん置かれている。バシャバシャ写真を撮る。まるで羅生門のような釈尊寺の門と、頂上近くにあったお地蔵さんの赤い涎掛け特に印象的だった。

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<写真>
布引観音に至る道(3枚)

 やっと頂上に着く。さすがに足はがくがくだ。目の前のお堂が布引観音だと思い写真を撮る。しかし反対側(崖の方)を観て仰天。向かいの断崖絶壁のところに赤いお堂がしがみつくように建っている。後でもう一度地図で確かめたら、これが布引観音だった。望月の弁天窟の様だが、それよりはずっと立派だ。横で子供が「きれい」と声をあげている。確かに赤い柱が目に鮮やかだ。観音堂の奥は岩に食い込んでいる。床下には清水寺のような高い木組みがあり、それで支えているようだ。それにしてもどうやってあんなところに建物を建てたのか?すごいことを考える人がいるものだ。あそこから毎日下界を見下ろしていれば、僕のような者でも悟りが開けるのだろうか。下りは上りより楽だったが、足が疲れているので慎重に下りた。

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<写真>
釈尊寺、布引観音(2枚) 右の写真:右側にうっすらと浅間山が見える

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小諸探索② 大久保橋~「茶房読書の森」再訪~大杭橋

 40号線をさらに先へ進む。次なる目的地は千曲川にかかる「戻り橋」。先日懐古園に行った時、小山敬三美術館の裏から見えた赤い橋が気になっていた。地図を見て「戻り橋」がそれだろうと当たりをつけていたのである。「戻り橋」に行くには40号線をまっすぐ行って、大久保橋の手前で右に曲がる。ところが行ってみると、目印の大久保橋があの赤い橋だった。あわてて橋の手前で車を止める。間近に見るときれいな橋だ。下流側にパイプを渡した別の橋もかかっている。大久保橋のすぐ横には古いコンクリートのアーチが立っていた。川の両岸にあるので、昔はそこに古い橋がかかっていたのかもしれない。横に新しい橋をかけ、古い橋のアーチだけを記念に残したのではないか。

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<写真>
大久保橋(3枚)

 来る途中なかなかいい川の景色が見えていたので、土手に沿って下流方向に歩いてみる。川原に降りる道があった。下りてみると石ころだらけ。ここもまた歩きにくい。川原から上流と下流の写真を撮った。また車に戻り、「戻り橋」へ向う。赤い橋は見つかったが、「戻り橋」は名前が気になる。上田の別所温泉近くにも「西行の戻り橋」がある。どんな橋なのか「姿」だけでも確認しておきたい。しかし行ってみると何ということのない橋だった。千曲川自体もあまり野性味のない普通の表情。川床に岩が見えないのはすぐ下流に西浦ダムがあるからだろう。近いので戻り橋からもダムが見える。ダムといっても上流側はダム湖のようになっているわけではない。やや川幅が広くなっているだけ。ダムというよりは水量の調整池という感じだ。地図を見るとダムの横に発電所があるので、発電にも利用しているのだろう。帰ってからネットで調べてみたが、戻り橋のいわれは西行とは関係ないようだ。

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<写真>
大久保橋下流の千曲川、戻り橋、戻り橋から西浦ダムを見る

 ここまでで帰ろうと思ったが、ふと橋の横を見ると「茶房読書の森」の看板が目に入った。まだ4時前だ。ついでに「読書の森」にも寄っていこう。車を橋横の細い道に乗り入れる。「読書の森」に初めて行ったのは2005年の8月28日。2年ぶりだ、懐かしい。ところが最初に見た看板以外には案内板が見当たらない。とにかく山の上だからと適当に山に向って上って行った。すぐ寂しい山道に入る。対向車もない。だんだん不安になってきた。やがてT字路にでた。どっちだ?左折してみた。今度は二股だ。一旦左折して、また引き返し右折する。しかしすぐ行き止まり。また引き返し、さっきの二股のところまで戻り、最初入りかけた道に行く。俺は今どこにいるんだ?不安が頭をよぎる。まあ、いざとなれば来た道を引き返せばいい。幸い方向感覚はいいほうだ。腹を決めてまっすぐ進んでゆくと、左側に「茶房読書の森」の看板が見えた。ほっ。やれやれ、この道でよかったんだ。見覚えのある急坂の駐車場に車を止める。前回とは逆の方向から来たことになる。しかしまあ、どっちから来ても分かりずらい。

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<写真>
茶房読書の森(3枚)

 車を降りると、横に犬がいた。ここの飼い犬なのだろう。吠えもせず、ニコニコ顔(?)でこっちを見つめている。入り口で写真を2枚撮った。中に入って珈琲を注文。他に客はなく、見覚えのあるご主人が1人でいた。店内の写真を撮ってもいいかと聞くと、快くOKしてくださった。前回買った絵葉書がまたたくさんおいてあったので、持っていないものを5、6枚選ぶ。程なくして奥さんと娘さんらしい人が戻ってくる。今日撮ったデジカメの写真を見ていると、写真をやっているのですかと声をかけられた。ブログのことを話した。それがきっかけで色々とご主人と話をすることができた。前回はほとんど話さなかっ た。

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<写真>
読書の森(3枚) 右:「銀河ドロップス」のような小物がいい

 山口マオさんのことから小林敏也さんと宮沢賢治、さらにはますむらひろしのことに話が及び、パロル舎から出ている宮沢賢治の画本シリーズ(挿絵、小林敏也さん)を教えていただいた(帰ってからアマゾンで数冊注文した)。テーブルの上においてある「ロバの音楽座」という楽団のCDが気になったので聞いてみると、この店の近くで時々演奏会をしているそうだ。古楽器を使った演奏で、子供向けに作られているそうだが、大人も楽しめるらしい。帰りに絵葉書と一緒に、ロバの音楽座のCDを1枚買った(「ジグ 空想の船」というアルバム)。この文章を書きながら聴いている。以前いろんな古楽器を使って演奏する「タブラトゥーラ」という楽団のコンサートを聞いたことがあるが、こちらも様々な古楽器を使っているので似たような響きがする。初めて聴く曲でもどこかで聞いたことがあるような懐かしい響きがある。中には、ヨーロッパ映画の中で流れていたような気がするものもあった。いい買い物だった。

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<写真>
読書の森、絵葉書コレクションと収納ボックス、CDとチラシ

 もう夕方。薄暗くなっていたが、もう一足伸ばした。ご主人に川と橋の写真をよく撮っていると話したところ、小諸大橋のすぐ横にある大杭橋という吊橋のことを教えていただいたのだ。ここまでくることは滅多にないので、一気に写真を撮ってしまいたかった。地図で場所を確認する。「戻り橋」に戻り、そこから142号線でさらに千曲川の上流方向に行けばいい。散々迷った道も今度は迷わずに戻れた。ひょっとして「戻り橋」という名前のご利益?冗談はさておき、日が落ちる前に着かねば。小諸大橋はすぐ分かったが、大杭橋に行くのに少し迷った。着いた時には陽が山の端に沈みかかっていた。急いで写真を撮る。どうにか間にあった。写真はソフトで補正すれば何とか見えるだろう。ほっとする間もなく引き返す。帰り道はもう真っ暗。なれない道だがもう迷わなかった。われながら方向感覚の良さには感心する。

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<写真>
大杭橋(2枚)、戻り橋からの眺め

 家に帰ってすぐ写真をパソコンに取り入れる。1日で124枚の写真を撮っていた。

<ブログ内関連記事案内>
 茶房「読書の森」へ行く
 喫茶店考
 喫茶「すみれ屋」へ行く

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