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2007年9月30日 - 2007年10月6日

2007年10月 1日 (月)

「サン・ジャックへの道」を観ました

「サン・ジャックへの道」

  調べてみたら最近あまり新しいフランス映画を観ていない。フレンチ・フィルム・ノワールKosumosudokusyoic1 関連で数本最近観直したが、新しい作品では「裏切りという名の犬」、「ぼくを葬る」、「ふたりの5つの分かれ路」「みんな誰かの愛しい人」「クレールの刺繍」「皇帝ペンギン」「コーラス」。06年までさかのぼってもこの程度だ。こんなに少なかったかと自分でも驚いている。やはり多いのはアメリカ映画で、日本映画もそれに迫るほど多い。この二つで最近観た映画の半分以上を占めるかもしれない。次いで多いのが中国映画とイギリス映画。それに続くのがフランス映画と韓国映画とドイツ映画で、後はぱらぱらといった状況。

  「サン・ジャックへの道」はここ数年のフランス映画としては抜群の出来栄えだ。コリーヌ・セロー監督作品としては「ロシュアルドとジュリエット」、「女はみんな生きている」に続いて3本目に観た作品である。「ロシュアルドとジュリエット」はほとんど忘れてしまっているが、「女はみんな生きている」は傑作だと思った。したがって「サン・ジャックへの道」はかなり期待して観たが、フランス映画らしいとぼけた味わいの中に人生への前向きの姿勢がうかがえて素晴らしい出来だった。

  巡礼という形をとったロード・ムービーだ。親の遺書によって子供たちが翻弄され、不本意ながら旅に出るという設定は「ラスト・マップ/真実を探して」とよく似ている。巡礼の旅という点では日本の「ロード88」やルイス・ブニュエルの名作「銀河」が思い浮かぶ。互いに対立し合い、バラバラだった兄弟が絆を取り戻してゆくという展開では、アメリカの「リトル・ミス・サンシャイン」「トランスアメリカ」にもつながる。以前「漂流するアメリカの家族」という短い記事を書いたが、競争社会でのストレスに疲れ、生活の潤いや人間的絆を失いつつある現代人の孤独なありようを見直す作品はどの国でも増えているようだ。

  仲の悪い兄弟が一緒に巡礼の旅に出て、喧嘩しながらも互いに絆を取り戻すという限りでは全くパターン通りの映画である。その枠組みに収まりながらもいかにしてありきたりの作品になることを防ぐのか。誰もが苦労するところである。「サン・ジャックへの道」は「リトル・ミス・サンシャイン」や「トランスアメリカ」とほぼ同じ戦略を選んだ。それぞれの登場人物に強烈な個性を与えることでストーリー展開にメリハリをつけるという戦略である。大概のフランス映画がそうだが、まあこの3兄弟のしゃべること、かしましいこと。亡き母の遺言状の内容を聞いて、3人とも巡礼などに行く気はないとまくしたてる。特に長男のピエールはものすごい勢いで喋りまくった。しかし次の場面では3人とも巡礼の旅に出ることになっている。このあたりの滑稽な展開は「ブロークン・フラワーズ」そっくりだ。とぼけた味わいも共通している。ピエールの人物造形はなかなかの傑作で、片時も携帯と薬を手放せない。それが薬がなくても旅を続けられるようになってゆく。そのあたりの変化がスムーズに描かれていて、さほど安易さを感じさせない。彼ら3人以外にも旅の仲間を加え、案内人も入れて総勢9人の旅にした設定も良い。大いびき3人男を登場させてドタバタ調にしてみたり、シュールな夢を挿入してみたりと様々な工夫をしている。

  それでも「家族の再生」という枠組みからは出ていないのでパターン通りであることに違いはないが(途中で出てきた元気な若者があっさりへばってしまうあたりは展開がすぐに読めてしまう)、「ロード88」などに比べたらはるかに完成度は高い。同伴者たち(うち二人はアラブ人である)のエピソードも全体のテーマにうまく絡められている。この作品については本格的なレビューを書きたい。

「サン・ジャックへの道」レビュー


「長い散歩」

  ほかにもう1本映画を観た。日本映画の「長い散歩」。これはある種の日本映画独特の「臭み」を持った映画ではある。「空中庭園」「カミュなんて知らない」「ニワトリはハダシだ」(背中に天使の羽を付けた子どもが出てくるところも共通している)、「赤目四十八瀧心中未遂」などが持つ独特の臭みだ。7、80年代の日本映画には多かったタイプ。「神々の深き欲望」(今村昌平監督)、「エロス+虐殺」(吉田喜重監督)や大島渚の作品あたりまでさかのぼれるかも知れない。この手の映画は人間の残虐な場面が異様に生々しく描かれる。

  しかしこの映画のテーマは意外なほどストレートである。それは「サン・ジャックへの道」にも通じるテーマである。やはり人間回復がテーマなのだ。家庭を顧みず厳格な校長としNya2 て生きてきた老人(緒形拳)のつぐないの旅。これまたロード・ムービーなのである。その男がだらしない母親に虐待されている少女(背中に天使の羽を付けているのが象徴的)を見かけて、その子を連れ去って二人で「わたあめのような雲が浮かび、白い鳥が飛んでいる空」を見る旅に出るのである。子育てに失敗し、妻を不幸にした男と、母親の愛情を知らずに生きてきた少女の出会いと旅。少女にとっては人間の優しさを知る旅であり、老人にとっては虚しかった自分の人生に意味を見出す旅だった。さちという少女(さちは「幸」と書くのだろうか。あまりに不幸だったさち)と出会い、彼女としばらくの間過ごすことで、初めて彼は人生を生きた。さちと二人で歩いた長い散歩。そう、この映画は平成版「生きる」なのだ。

  なかなか優れた映画なのだが、「つぐない」という言葉の抽象性が気になる。彼の背負っていた「罪」とはどんなものかはっきりとは描かれない。結局は彼個人の罪意識の清算で終わっていると言えなくもない。だらしない母親は何ら変わらず同じ様にだらしなく生きている。さちのその後はなにも描かれない。重いテーマにまじめに取り組んではいるが、そのアプローチにはキム・ギドクの「春夏秋冬そして春」のような抽象的・観念的響きが感じられる。その点が残念だ。

  エンディングで流れる、井上陽水の名曲をUAが独自の解釈で歌った「傘がない」が長く心に残った。

 

「サン・ジャックへの道」(コリーヌ・セロー監督、2005年、フランス)★★★★☆
「長い散歩」(奥田瑛二監督、2006年、日本)★★★★

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「ブラッド・ダイヤモンド」短評

2006年 アメリカ 2007年4月公開
評価:★★★★
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー

 このところアフリカを舞台とした映画が激増している。アフリカ関連映画を集めた「ゴブリンのこれがおすすめ 36」から最近のものを挙げてみよう。

「ブラッド・ダイヤモンド」(06、エドワード・ズウィック監督、米)
「輝く夜明けに向かって」(06、フィリップ・ノイス監督、仏・英・南ア・米)
「ラスト・キング・オブ・スコットランド」(06、ケビン・マクドナルド監督、イギリス)
「エマニュエルの贈り物」(05、リサ・ラックス、ナンシー・スターン監督、アメリカ)
「ツォツィ」(05、ギャビン・フッド監督、英・南ア)
「ルワンダの涙」(05、マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督、英・独)
「約束の旅路」(05、ラデュ・ミヘイレアニュ監督、フランス)
「ナイロビの蜂」(05、フェルナンド・メイレレス監督、イギリス)
「ロード・オブ・ウォー」(05、アンドリュー・ニコル監督、アメリカ)
「ダーウィンの悪夢」(04、フーベルト・ザウパー監督、 オーストリア・ベルギー・仏)
「母たちの村」(04、ウスマン・センベーヌ監督、セネガル他)
「ホテル・ルワンダ」(04年、テリー・ジョージ監督、南アフリカ・イギリス・イタリア)
「アマンドラ!希望の歌」(02、リー・ハーシュ監督、南アフリカ・アメリカ)

 2000年以降の顕著な特徴はアフリカが「搾取と虐殺の大地」として描かれていることでCrystal0601191 ある(アフリカを舞台とした映画の簡単な系譜と流れは「ゴブリンのこれがおすすめ 36」参照)。「母たちの村」と「アマンドラ!希望の歌」を除けば、アフリカの人々は虐げられ搾取され、内戦で殺し合っている人々として描かれている。それはほとんどが西洋人の視点で描かれていることと関係していると思われる。西洋人がアフリカでいかに非道なことをしてきたが、ほとんどの映画がその実態を浮かび上がらせ、搾取や支配の構造を暴いてみせる。その点で力強い作品が並ぶ。しかし多くの場合アフリカ人は、逃げまどい、泣き叫び、あるいは無慈悲に殺し合う人々として描かれている。

 「ブラッド・ダイヤモンド」を論じる上で以上のことをまず見ておくべきである。これまでの映画は非メジャー系が多かったが、ついにハリウッドもアフリカを舞台にした「社会派アクション」映画を作ってきた。はっきり言おう。紛争ダイヤモンドをめぐる搾取構造は確かに分かりやすく描かれているが、結局はいかにもアメリカ映画の作りになっている。派手な演出が目立ち、登場人物たちの白黒はあまりに単純に分けられている。反政府組織の連中はまるで無頼漢の集まりである。それこそランボーの映画を見ているようだ。ソロモン(ジャイモン・フンスー)の息子が父に銃を向ける場面も、彼が連れ去られ兵士として訓練を受ける段階で予想がついてしまう。ダニー(レオナルド・ディカプリオ)が死ぬ直前にマディ(ジェニファー・コネリー)に電話をかける泣かせのシーンなどはまるっきり「アルマゲドン」だ。この安易な作りがだいぶこの映画の価値を下げてしまっている。

 ディカプリオの演技は出色で見事だと言っていいが、途中から「いい人間」に変ってしまう設定が安易である。最後までそれぞれ違う思惑を持ちながら共通の目標を追うという展開にすべきだった。「あの子が大人になればこの国は平和になり楽園になる」と信じて息子の救出に命をかけるソロモン役のジャイモン・フンスーも素晴らしい演技を見せてくれるが、地獄のような現状を描けば描くほど彼の願いは虚しく感じられてしまう。ジェニファー・コネリーに至っては自ら戦乱の中に飛び込んでゆく硬骨のジャーナリストらしさはかけらも感じられない。「ヴェロニカ・ゲリン」のケイト・ブランシェットの精悍さに比べたら、アフリカに遊びに来ているのかと思えてくるほどだ(ブランシェットもヴェロニカ本人に比べると美人過ぎるが)。

 アフリカ人が血を流して掘り出した宝石類を西洋人が装飾品として買い求めるという関係は、「ココシリ」で描かれたチベットカモシカの毛皮取引と同じだが、作品の強烈さは「ココシリ」よりはるかに劣る。少年兵の悲劇もブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」(こちらは兵士ではなくギャングだが)ほどのインパクトはない。「ロード・オブ・ウォー」に比べれば、ダニー・アーチャーなどは武器密売人としては甘ちゃんの小物だ。

 しかし「ブラッド・ダイヤモンド」をただのアクション映画だと片付けるつもりはない。欧米先進国によってアフリカの国がいい様に搾り取られている実態の一端が確かに暴かれている。「とうの昔に神はこの地を見捨ててる」というダニーの台詞はありきたりだが、「全国民がホームレスなんて」というマディーの台詞にはかなりのインパクトがあった。ソロモンを付け狙う片目の男の台詞、「俺は悪魔だろう。それは地獄にいるからだ。俺は地獄から出たい」も印象的だ。

 せっかくいい題材を取り上げたのに、アメリカの大作映画の枠組みに嵌め込まれてしまった。問題なのは紛争ダイヤモンドだけではない。「石油が出なくてよかった」という言葉Huymgm01 が出てくるが、アフリカでは資源のある国ほど先進国の餌食にされ、紛争で国が乱れている。派手な演出に力を入れた分問題の掘り下げが浅くなってしまった。ダニーが言い放った「TIA(This is Africa)」という言葉は、アフリカではそんなことは当たり前だという意味で使われていた。それがアフリカだと。映画はその言葉にもうひとひねり加え、そんなダニーのような男たちが暗躍するアフリカの実態を描こうと試みた。アフリカの現状はこうなっているのだと。しかしストーリーはソロモンとダニーがいかに子供を取り戻し、彼らがいかに危機を脱出するかというサスペンスにシフトしてしまった。その分作品が軽くなってしまった。

 アフリカを描くことにかけてはイギリスの方がはるかにアメリカを引き離している。「アラビアのロレンス」、「ズール戦争」、「遠い夜明け」、「ワールド・アパート」、「ナイロビの蜂」、「ラスト・キング・オブ・スコットランド」等々。しかしアパルトヘイトを倒したアフリカ人の熱い息吹を伝えたドキュメンタリーの傑作「アマンドラ!希望の歌」の監督はなんとアメリカ人だ。問題は国籍にあるのではない。アフリカとどう向き合い、どう描くかにある。

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