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2007年5月31日 (木)

「父親たちの星条旗」を観ました

 

Ob_065  ずいぶん久しぶりに映画を観た感じがする。実際、5月18日に「明日へのチケット」を観 て以来だからもう10日以上映画を観ていなかった。遅れに遅れていた「麦の穂をゆらす風」のレビューをやっと書き終えたので、これからはせっせと映画を観ることにしよう。

  「硫黄島からの手紙」を観たのは4月の23日。ほぼ1カ月遅れて「父親たちの星条旗」を観た。公開は「父親たちの星条旗」の方が先だが、おそらく日本人には「硫黄島からの手紙」の方がより関心が高いと考えたのだろう。作品としては「硫黄島からの手紙」の方が上だと思う。テーマとメッセージが明確だ。「硫黄島からの手紙」はとかく誤解・偏見まみれで描かれることが多い日本人をほとんど違和感なく描いている。その点は十分評価できる。しかし何か物足りない。何か突き抜けるものがない。どうも焦点が拡散してパノラマ的になっている気がする。西郷(二宮和也)と清水(加瀬亮)の二人は線が細くて印象が弱く、一方栗林中将(渡辺謙)と西中佐(伊原剛志)などは英雄的に描かれている。

  だが、英雄は本当に英雄なのか、「父親たちの星条旗」が問うたのはまさにそのことである。擂鉢山の頂上に星条旗をたてようとしている米兵たちの写真、ロバート・キャパが撮った銃弾に貫かれてのけぞる兵士の有名な写真と同じくらいよく見かけるこの写真を元に、イーストウッドはその旗の下にいた兵士たちのその後を描いてゆく。彼らは作られた英雄だった。旗を押し上げているあの勇ましい兵士たちの姿から連想される英雄的イメージは虚像だった。ラストでドクの息子が語った「英雄なんてものはいない。・・・英雄とは人間が必要にかられて作るものだ」という言葉がこの作品の主題を簡潔に表現している。そしてこのメッセージが貫こうとしているのは描かれた当時のアメリカではなく、9.11後のアメリカである。泥沼化したイラク侵攻。しかし増派はあっても撤退はない。いつまで力の政策を続けるのか、いつまで同じ虚像を作り続けるのか。「父親たちの星条旗」が問うているのはまさに現在のアメリカである。

  「アメリカ、家族のいる風景」のレビューで9.11後に現れたアメリカ映画の顕著な変化をまとめた。アメリカは混迷を深めている。もはや強いアメリカという標語は色あせ、アメリカは自信を失い進むべき方向を見出せずにいる。不信感が広がり、人間関係がきしみ出し、家族が崩壊し帰るべき家とて見出せない。「ロッキー・ザ・ファイナル」は観ていないが、かなり興味をひかれる映画だ。シリーズ中唯一の傑作である第1作に戻ったからである。あからさまな英雄志向ではなく、「16ブロック」のように、初老になったロッキーがぼろぼろになりながら強敵に立ち向かう。彼を突き動かしていたのは名声でも栄誉でもない。勝利ですらない。そういう描き方になっているようだ。だから興味をひかれる。もはやこの流れは小さく細い流れではなくなっている。「父親たちの星条旗」はアメリカ映画の主流が追い求め、連綿と描き続けてきたヒーロー像を地面に引き倒した。もっとも、その像はすでに写真の旗竿と同じ角度くらいまで傾いていたのだが。

  「父親たちの星条旗」はそれ自体完結した作品だが、「硫黄島からの手紙」と対になっている。同じ戦いを双方の側から描くという試みはおそらく初めてである。このアイデアはそれ自体賞賛されていい。その卓抜なアイデアをプラスすれば、「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」を1つの作品として5つ星を付けてもいいとさえ思う。

  最後にもう一点付け加えておきたい。あの旗竿の写真は確かに素晴らしい写真である。いや、あの旗竿の角度が完ぺきだったと言うべきか。旗竿の角度がもっと小さかったならばあの躍動感は出ない。逆にほぼ垂直に立て終わっていても動きが出せない。ただ旗の下に人が集まっているだけの写真になってしまう。6人の兵士が力を合せアメリカの旗を今まさに垂直に立てようとしているその動きの途中だからこそ、あの躍動感と力強さが出せたのだ。報道カメラマンはその一瞬のタイミングを逃さず見事に切り取った。ポスターとしてこれ以上ないくらいに絵になる。しかし、そのこととその旗竿を立てかけた兵士たちを英雄視することとはまた別のことである。

「父親たちの星条旗」 ★★★★☆
 2006年 クリント・イーストウッド監督 アメリカ

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