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2007年5月15日 (火)

「狩人と犬、最後の旅」を観ました

  このところ映画を観る本数は減っているが、いい映画にあたっている。「狩人と犬、最後Morinoie1k の旅」もカナダの大自然とそこに生きる狩人と犬たちの生活をたっぷり堪能できた。映画の作りとしてはテレビのドキュメンタリー番組のような感じである。BBC製作の2時間番組を観ている感じだ。そういう意味では、「WATARIDORI」、「皇帝ペンギン」、「ディープ・ブルー」などの流れの延長線上にある作品だと言える。これらの作品との一番大きな違いは人間を中心に描いていることである。しかしその人間は自然の征服者としては描かれていない。人間も自然の中で生かされている一つの動物としてとらえ、動物、植物、自然が複雑に絡み合う関係性の中で描いている。人間と犬と野生の生き物と自然のドラマなのである。

  この映画の一番の魅力は自然の美しさである。舞台となったのはカナダのユーコン準州。この地域はひところ読みふけっていた野田知佑の『ユーコン漂流』や『ゆらゆらとユーコン』などでお馴染みだったが、やはり映像で見るとその美しさに圧倒される。冬は雪と氷の世界だが、雪が解けて緑にあふれる季節は木々の緑と水や空の青が絵のように美しい。そしてその雄大さ。映画館の大画面で見たらものすごい迫力だろう。日本では想像もできない楽園のような美しい自然。ああ、自分の表現力不足が情けなくなる。とにかく言葉では表せないほどの美しさだ。

  もちろん主題は自然の美しさではない。そこに住む猟師夫婦の生活が主題である。彼らは狩りと漁で生活している。魚はもっぱら食料として獲るのだが、動物は食料と毛皮を手に入れるのが目的である。毛皮が彼らの唯一の現金収入源なのである。仕留めた獲物は感謝して食べ、必要以上に生き物を殺すことはしない。夏は馬を使い、冬は犬ぞりを使う。自然の中で生活する狩人の生き方、考え方は日本のマタギによく似ている。ラストで主人公の狩人は自分が死んだら探さないでくれ、自分の死はほかの動物を生かすことになるのだからと語る。これは鳥葬の考え方に一部通じるものがある(輪廻思想には触れていないが)。自然の中で暮らす人間には同じような考えが生まれるのだろう。

  この映画にはさらに二つのサブテーマがある。一つは自然の破壊と自然の消失というテーマ。材木会社が木を切り倒しつくしているために罠を仕掛ける場所がどんどんなくなっていることが何度も言及されている。日本は伐採と植林を並行して行ってきた。これだけ国土が緑の樹木におおわれているのは営々と植林を繰り返してきたからである。切るのは一瞬だが木が育つには何十年もかかる。先を見据えて取り組まないと取り返しのつかないことになる。この映画はそういう警告を発している。フランス語の原題で「最後の狩人」と題されているのは、主人公が老いてきているという意味だけではなく、罠を仕掛け狩りをする場所自体が消失しつつあるという意味も込められているのだろう。しかし一方でただ放置しておくだけでは自然は荒れてゆくとも語られている。自然を生かすには適度に人間の手が入ることが必要だという主張が盛り込まれており、いろいろと考えさせられる作品である。 もう一つのサブテーマは、もともとレース犬として育てられたシベリアン・ハスキーのアパッシュがそり引き犬として成長してゆく過程である。北極圏に近いユーコン準州の冬は厳しい。ブリザードに襲われたり、氷が割れて川に落ちたり、そりが崖から落ちそうになったりと絶えず猟には危険が伴う。オオカミやグリズリーも警戒しなければならない。アパッシュはそれらの試練を乗り越えて、そり引き犬たちのリーダーとして成長してゆく。

  ドキュメンタリー・タッチなのでドラマに「天空の草原のナンサ」のような深みはない。また、「運命を分けたザイル」のようにハラハラさせ、グイグイと引き込んでゆく力もない。しかしそれでもこの映画には十分一見の価値がある。自然が壊されつつある(したがって自然の中での人間の暮らしもなくなりつつある)という警告は陳腐ではあるが、耳を傾けるべきである。とにかく良質のドキュメンタリーを楽しむ喜びをたっぷり味わえる。

「狩人と犬、最後の旅」★★★★
 2004年 ニコラス・ヴァニエ監督 フランス・カナダ・他

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