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2007年3月31日 (土)

16ブロック

2006年 アメリカ 2006年10月公開
評価:★★★★☆
原題:16 Blocks
監督:リチャード・ドナー
脚本:リチャード・ウェンク
撮影:グレン・マクファーソン
出演:ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モ-ス、ジェナ・スターン
   ケイシー・サンダー、シルク・コザート、デヴィッド・ザヤス、コンラッド・ブラ

 これはいい!このところいい映画に出ていないと思っていたブルース・ウィリスだが、これ004323 は久々の秀作。「ダイ・ハード」と並ぶ彼の代表作になるだろう。「16ブロック」はいろんな意味で「ダイ・ハード」シリーズの対になる作品である。「ダイ・ハード」から18年。「なんで俺がこんな目に合うんだ」という運の悪さは共通だが、たった一人で悪党グループを壊滅させたタフガイ刑事ジョン・マックレーンは、「二日酔いで、足が悪く」、頭髪がだいぶ後ろに後退し、キューピーのように下腹がぷっくりと出たへたれ刑事ジャック・モーズリーに「加齢」なる変身。このへたれ具合が何とも良い。まるでトマス・H・クックの小説を読むような味わいなのだ。事件現場の見張り役に「誰か暇な奴を呼べ!」ということで呼ばれたのがこの酔いどれジャック。つまりはそういう存在だ。ふらふらと夜勤から署に戻って最初にやるのは机の引き出しから酒ビンを取り出すこと。ところが酒ビンは空だった。まことに冴えない、見るからにしょぼくれた男である。ヒーローからアンチヒーローへ。このひねりがこの映画の最大の魅力である。観客の脳裏には、意識するしないにかかわらず、「ダイ・ハード」のイメージが否応なく重なってくる。だからこそ、このへたれぶりが生きてくるのである。

 ひねりやねじれはそれだけではない。ジャックがやっと非番になってふらふらしながら帰ろうとしているところへ、裁判の証人を裁判所まで連れて行けとの上司の命令。朦朧とした状態で断ろうとするが、結局手当てのない超過勤務を請け負ってしまった。眠たげな顔に「やってらんねーよ」的グダグダ感濃厚。とはいえ、たった16ブロック先まで車で送って行くだけのこと。15分で済むはずだった。ところがとんでもない陰謀に巻き込まれて・・・という「レイヤー・ケーキ」のような展開になってゆく。10時までに証人を法廷に連れてゆかなければ裁判は不起訴となってしまう。時限サスペンスの要素がまず付け加えられている。しかも「24」シリーズのようにリアルタイムで進行してゆく。さらに、「ダイ・ハード」シリーズでは他の警官からのバックアップがあったが、何と「16ブロック」では同僚の警官に追いかけられ命を狙われるのだ。このねじれも効いている。彼が護送する証人とは警官仲間が子供の口に銃を突っ込んでいるところをたまたま見てしまった男なのである。エディが証言すれば警察の不祥事が表沙汰になり、かつ仲間が有罪にされてしまう。それを防ぐためにジャックの上司も含むグループが証人を消そうと躍起になっていたのだ。ほとんどシチュエーションはイーストウッドの「ガントレット」と同じ。違うのは主人公の性格付け。一方は精悍で、一方はすっかりくたびれている。

 さらに証人であるエディ・バンカー(モス・デフ)という男がこれまたユニークなのだ。しゃべることしゃべること。何しろ最初に登場するのは彼の姿ではなく彼の声なのである。豚箱の中でやたらと喋り捲っているのだが、その声の主の姿はジャックの位置からは見えない。見えるのは鉄格子から突き出されている両手だけ。この登場のさせ方が実に秀逸。ジャックならずとも先を思いやられる。男二人の組み合わせというのは反りの合わないデコボココンビが多い。「48時間」がすぐ思い浮かぶ(もっともこちらは警官同士だが)。白人が黒人を護送するというシチュエーションなら「さらば冬のかもめ」というアメリカン・ニューシネマの逸品がある。このおしゃべりエディーを演じるのがモス・デフ。ラッパーだからしゃべるのはお手の物。なんだかんだと訳の分からないことを並べ立て、誰彼かまわず謎々を問いかけるのがうざい。なにせ「銀河ヒッチハイクガイド」の超オタクな世界にすっかりなじんでしまう人ですから。中年のへたれ警官に口ばかり達者なこそ泥兄ちゃん(以外にまともだということは後で分かってくるが)のコンビが、武装警官に追われ必死で逃げ回る。ヒーローもへったくれもない。脂汗流して悪い足を引きずり、ハアハア息切れしながらの逃走。情けなさ横溢。そこがいいのである。相手の弾は当たらないが、こちらの弾も当たらない(少なくとも急所には)。あれだけ大騒ぎして誰も死者は出ない。ばたばたと敵を倒すヒーローでない分、戦いは粘っこくリアルだ。

 あとはもうカーチェイスも織り交ぜた追いかけっこになる。あれだけ人の多いニューヨーTrump_jb クの街なのになぜか追っ手にすぐ見つかってしまう。「人民の海の中へ」戦術が使えない。ジャックはエディを連れて勝手知ったる裏通りを逃げ回るが、すぐ近くの裁判所になかなか近づけない。まるでカフカの「城」である。しかしエディを狙っているのがもと相棒のフランク(デヴィッド・モ-ス)だと分かったあたりからよれよれジャックの顔に活力がみなぎってくる。もっとも、形勢が不利なことにかわりはない。あまつさえ一時エディに逃げられてしまうハプニングまで起こる。やっと見つけると「あんたといたら危険だ。ずっとあんたの仲間に追われている」と言われる始末。

 この二人のやり取りの中からこの映画のテーマが見えてくる。立ち直ってケーキ屋をやりたいと言うエディと人間はそう簡単に変われるものではないと言うジャック。これに対するエディの反論が面白い。「チャック・ベリーも強盗で服役したけど改心した。バリー・ホワイトはタイヤ泥棒。300本もタイヤを盗んだけどバリーも改心した。”人が変われない”ってのは嘘だ。」なかなかいいせりふなのだが、時と場合をわきまえていない。せっかく警官に取り囲まれたバスから逃がしたのに、エディはこのせりふを言うために戻ってきたのだ!「エディ、台無しだ。」ジャックがぼやくのももっともだ。このあたりに、颯爽と敵をかわすヒーロー映画のパターンをこわそうという仕掛けがよく表れている。「おしゃべりエディ」がだんだんエディ・マーフィーのイメージに重なってくる。必死で逃げ回っているわりにどこか滑稽なのだ。

 エディの気持ちが少しずつ理解できてくるように、ジャックの落ちぶれている理由も見えてくる。ジャックは元相棒のフランクから「元に戻れ」と言われたが、あれはどういう意味だとエディに問われる。これにジャックが答えたのはラスト近くだ。かつてはジャックもフランクたちの仲間だったのである。彼が「暇な奴」呼ばわりされているのはそのせいなのだ。すっかり「窓際族」に追いやられて自棄酒を飲む毎日。説明はないがそんな背景が読み取れる。そんな落ちぶれ刑事が命を狙われる危機に追い詰められてアドレナリンと共に正義感も噴出してきた。最後には彼自らが証人として裁判所に出頭する覚悟を固める。

  落ちぶれ者同士が出会い、命がけで行動をするうちに人間として立ち直ってゆく。そういうストーリーになっているのである。「トランスアメリカ」「リトル・ミス・サンシャイン」とその点でつながる映画である。ロード・ムービーと言うにはあまりに短い道のりだが。16ブロックという短い二人旅。直線距離にすれば短いが、散々あちこち逃げ回り、息せき切って疾走した2時間弱の間に、彼らはそれまでの何年分もの経験をし、「変わって」ゆく。ジャックは自分もかつて不正警官の仲間だったと打ち明けた後、エディに「俺はお前と会う運命だった。吉兆だ」と言う。いつの間にか二人の間には絆が作られていた。だからラストがさわやかなのだ。事件からしばらくたった頃、エディがジャックに誕生祝のケーキを贈ってきた。そのケーキには「チャック・ベリー バリー・ホワイト エディ・バンカー ジャック・モーズリー」そして「People Can Change」と書かれていた。添えられていた写真にはエディの開いたケーキ屋が映っている。その名前は“EDDI&JACK’S GOOD SIGN BAKERY”になっている。それに続くエンディング・ロールではバリー・ホワイトの「キャント・ゲット・イナフ・オブ・ユア・ラブ、ベイブ」が流れるというサービスぶり。いやいや、楽しめる映画でした。

 監督のリチャード・ドナーはテレビ時代にマックイーンの「拳銃無宿」やビック・モローの「コンバット」を作っていた人。僕らの世代には懐かしい番組だ。映画でも「オーメン」、「スーパーマン」、「グーニーズ」、「リーサル・ウェポン」など次々とヒットを飛ばした。70~80年代あたりがピークか。「16ブロック」は久々の快作である(「あれだけ大騒ぎを起こして警察はどうやってもみ消すつもりだったんだ」など、突っ込みたいところは色々あるが)。

 ブルース・ウィリスは何本も観たが、いいと思うのは「ダイ・ハード」シリーズと「シン・シティ」、そしてこの「16ブロック」くらい。最近渋さが出てきたのでこれからがむしろ楽しみだ。悪徳警官フランク役のデビッド・モースもしっかり存在感を示した。顔は覚えているがどんな役だったかは覚えていない、そんな役者だった。この作品での役は記憶に残りそうだ。バリー・ホワイトにも一言。彼は一貫して「愛」をテーマに歌ってきた人。彼の魅力はソフトでセクシーな低音。僕が持っているのは「愛の炎(Just Another Way to Say I love You)」というレコード1枚だけだが、これがなかなかいい。チャック・元祖ロックンローラー・ベリーほど有名ではないが、今でも聞いてみる価値はあります。

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コメント

ほんやら堂さん TB&コメントありがとうございます。
味のあるブルース・ウィリスを久しぶりに観ました。大ヒットする作りではありませんが、こういう作品の方が大作よりも僕は好きですね。モス・デフとのとのコンビもいい。この手の映画は組み合わせが決め手ですからね。
なんだかんだ言ってもアメリカ映画はこういう映画のつぼを心得てますよ。

ゴブリン様,TB有り難うございました.

この映画,レビューは賛否相半ばしているようですが,小生も良い映画だと思います.

特にウィリスのメタボくたびれ親父ぶりには親近感が湧きますね.

それでも冒頭,エディを撃とうとしたちんぴらを撃ち倒したときの銃の構えは,さすがにブルース・ウィリス,決まってました.

カゴメさん TB&コメントありがとうございます。
ブルース・ウィリス久々の快作でしたね。しっかり楽しめましたよ。リチャード・ドナーが「拳銃無宿」や「コンバット」を監督していたというのは僕もこの記事を書くために調べて初めて知ったのです。僕も驚きましたよ。
実は最近のブルース・ウィリス作品はあまり観ていなかったのです。「ラストマン・スタンディング」や「隣のヒットマン」も観ていません。どうもいまひとつ触手が動かなかった。この映画を観てみようと思ったのは、カゴメさんがブログで取り上げていたからです。やはりカゴメさんは頼りになります。

おおっ! ゴブリンさんもご覧になりましたか!
全っ然、噂になってなかった作品でしたが、
観てみると、意外や意外、なかなかオツな作品でありましたねぇぇ。
ゴブリンさんのこの記事も、とても晴れやかな書きっぷり。かなりお気に召されたのが伝わって来て、こっちまで嬉しくなるようですよ(笑)

>監督のリチャード・ドナーはテレビ時代にマックイーンの「拳銃無宿」やビック・モローの「コンバット」を作っていた人。

あ、そうだったんですか! カゴメは映画では“ドナー監督作品”と意識して観てましたが、
あの「コンバット」も手掛けてたんですねぇぇ。
うーむ、相当昔っからお世話になってたんだぁぁ・・・。

>いいと思うのは「ダイ・ハード」シリーズと「シン・シティ」、そしてこの「16ブロック」くらい。

「ラストマン・スタンディング」なんかも好きなんですが、
まぁアレは「用心棒」が格別好きだから憎めないだけかも(苦笑)。
ウィルスは「隣のヒットマン」辺りから方向性に迷っている節が散見されてましたが、
どうやらこの「16ブロック」で吹っ切れましたかねぇぇ。
「ダイ・ハード4.0」(なんで.0なんだろ?)が楽しみのような怖いような(苦笑)。

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