タイヨウのうた
2006年 日本 2006年6月公開
評価:★★★★
監督:小泉徳宏
原作・脚本:坂東賢治、「タイヨウのうた」(ソニー・マガジンズ)
撮影:中山 光一
主題歌:「Good-bye days」(作詞・作曲:YUI)
出演:YUI、塚本高史、岸谷五朗、麻木久仁子、通山愛里、山崎一、ふせえり
『キネマ旬報』のベストテンでは1点も入らず選外だったが、決して悪くない映画だ。主人
公は2人の高校生。しかし若者を主人公にした日本映画にありがちなちゃらちゃらした軽薄さはない。前向きに生きてゆこうとするヒロインをしっかりと描いており、その点に好感が持てる。映画のタイプとしては韓国のラブ・ロマンスに近い味わい。この映画の魅力のかなりの部分はヒロインを演じたYUIの魅力である。その点では村川絵梨主演の「ロード88」と同じ。難病ものという点も共通している。韓国映画タッチで、難病もの、けなげで可愛いヒロインとくれば、当然泣かせようという演出も目立つ。しかし心配したほど過剰ではない。ただし、話の展開はこれまた当然ながら先が読めてしまうストレートなタイプ。不治の病にかかった可愛い女の子がいて、つかの間の美しい恋愛をする。太陽の光にあたれないXP(色素性乾皮症)という難病である。だから夜しか外出できない。公園で1人ギターを片手に歌を歌う。
紫外線をカットするスクリーンをたらした窓から彼女はいつも男の子を見ていた。その男の子とついに出会い、踏み切りでいきなり後ろから突き飛ばし自己紹介をする。二度目の出会いはバス停。そこから二人は急速に接近して行くが、病気のことを知られてしまい彼女は一旦男の子を思い切ろうとする。しかし両親の計らいで再び出会う。そして1枚のCDを残して彼女は死んでゆく。
まさに絵に描いたようなストーリー展開である。海が出てくるのもお決まりのパターンだ。途中手が麻痺してギターが弾けなくなってしまう。しかしギターが弾けなくても歌は歌える。彼女は歌を録音することを決意する。この展開も読めてしまうが、悪くはない。歌は主演のYUI自身が歌っているようだが、高音が苦しそう。しかし高音はどこか元ちとせを思わせる声になり悪くはない。歌も特別うまくはない。主人公が作詞作曲した設定の歌"Good-bye Days”(実際にYUIの作詞作曲)も耳に残るほどではないが、切ない雰囲気はよく出ており悪くはない。
色々物足りないところがある映画だ。それでも主演したYUIのもっている魅力には抗いがたいものがある。福岡出身のシンガーソングライターで、TVドラマ「不機嫌なジーン」の主題歌を歌っていたそうだ。TVドラマを全く観ないので知らなかった。このところ日本映画には将来有望な若手女優が多数出てきたが、彼女もその1人に入れていいだろう。女優も続けるのなら、今度は歌を歌わない映画で演技をしっかり磨いてほしい。磨けば光る才能を持っていると思う。
脇役では岸谷五朗がさすがの存在感。最初に知ったのはかつての人気TV番組「イカ天」に三宅裕司の補助司会のような役割で出てきたとき。89年ごろか。彼が役者として一流であると思ったのは「北の国から2002 遺言」で内田有紀の父親役を演じた時。あのド迫力の演技はすさまじかった。映画は今のところいい作品に出ていないが、いずれ彼の才能を最大限に引き出せる監督とめぐり合えるだろう。
このところレベルが急速に上がってきた日本映画だが、ラブ・ロマンスでは韓国映画に大きく水をあけられている。しかしいつか「八月のクリスマス」、「イルマーレ」、「猟奇的な彼女」、「永遠の片想い」クラスの作品が生まれるだろう。期待したい。
* * * * *
「紙屋悦子の青春」のレビューに時間がかかっているので、先に「タイヨウのうた」の短評を載せた。日曜か月曜には何とか書き上げたい。昨日観た「トンマッコルへようこそ」は期待以上の傑作だった。後半は予想もしない展開。最後の戦闘場面は長く記憶に残るだろう。やや軽めだった前半がもっと引き締まっていれば満点をつけていたと思う。やはり韓国映画のレベルは高い。「うつせみ」、「弓」、「王の男」なども気になる。
「トンマッコル」を返しに行ったら蔦屋書店にツァイ・ミンリャンの作品がまとめて置いてあった。レンタルは無理だろうと諦めていたのでうれしかった。さっそく借りようと思ったらみんなレンタル中なので、同時に出ていたチェン・ウェンタン監督の「深海」を借りてきた。それはいいのだが、うう~む、手元のDVDがなかなか観られない。
「トンマッコルへようこそ」★★★★☆
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コメント
達也さん コメントありがとうございます。
最近中古店でYUIのCDをよく見かけます。まだ中古でも2000円代なので手が出ませんが、値が下がったらぜひ欲しいですね。
僕はだいぶ冷静な書き方をしましたが、YUIは本当に魅力的ですね。単にかわいいだけではない。引き込まれるような存在感があります。若い頃に観たらふらふらになっていたかもしれません。
投稿: ゴブリン | 2007年5月16日 (水) 00:35
達也です。
YUIのウタにビックリして、
急いで映画をやっとこ観た感じです。
静かに感動の込み上げてくる
良い映画でした。
派手さは全くありませんが、
ずっときっと、記憶に残る映画かも
知れません。
投稿: TATSUYA | 2007年5月15日 (火) 18:13
kimion20002000さん TB&コメントいつもありがとうございます。
だいぶ前にDVDが出ていたのですが、観るのがこんなに遅れたのはありきたりの恋愛ドラマじゃないかという不安があったからです。確かによくあるタイプの映画ではありますが、YUIの魅力がそれを越えて画面にあふれています。傑作ではありませんが好ましい映画でしたね。
投稿: ゴブリン | 2007年3月 4日 (日) 15:03
こんにちは。
ありきたりな展開なんですけどね、不思議なういういしさがありましたね。YUIのもつ魅力だと思います。テレビ版のほうは、怖くて見ていません(笑)。
投稿: kimion20002000 | 2007年3月 4日 (日) 13:47
こーいちさん TB&コメントありがとうございます。
これまでも「リトル・ミス・サンシャイン」や「雪に願うこと」などにTBをいただいていましたね。重ねて御礼を申し上げます。
YUIちゃんは本当に可愛いですね。映画初出演なのに演技もしっかりしていました。自然体の佇まいがいいですね。素晴らしい素材だと思うので順調に伸びていってほしい。
映画そのものも、「悪くない」を連発しましたが、どちらかと問われれば「いい映画」だと思います。型どおりである程度先の読める展開ですが、それでも感動させる力を持っています。まだ若い監督ですからこれからが楽しみです。
投稿: ゴブリン | 2007年3月 3日 (土) 23:23
こんばんは。
TBありがとうございました!
難病ものですけど無理やり泣かそうとしてないところは
好印象でした。
YUIちゃんも初々しくて良かったですw
投稿: こーいち | 2007年3月 3日 (土) 21:08