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2007年3月 2日 (金)

隠された記憶

2005年 フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア 2006年4月公開
評価:★★★★☆
原題:Caché
監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、アニー・ジラルド
   モーリス・ベニシュー、レスター・マクドンスキ、ベルナール・ル・コク
   ワリッド・アフキ、ダビエル・デュヴァル、ナタリー・リシャール

  ミヒャエル・ハネケの映画は初めて観る。何の予備知識もなく観た。『キネマ旬報』で比較Rimg00271 的上位に入っていたので一応観ておこうと思っただけだ。彼がどんな作風の監督なのかも全く知らなかった。「衝撃のラストシーン」などと宣伝されていたことも全く知らなかった。それが却って良かったのかもしれない。「ロスト・ハイウェイ」のようなサスペンス映画のぞくぞくする面白さとフランスにおけるアルジェリア問題という社会的テーマの両方を楽しむことが出来た。

  ブログを書く段になってこの映画やミヒャエル・ハネケのことをあちこちのブログなどで調べてみた。「芸術映画」を気取るタイプの監督だろうという予想はしていたが、どうやら予想通りの作風のようだ。これこそ人間の本質だとばかりに、人間の奥底に潜むおぞましい「残忍さ」、「悪」をこれでもかと抉り出して見せるタイプの映画。正直言って、僕はこういう一部のインテリだけが評価するタイプの映画は好きではない。しかし「隠された記憶」は結構面白かった。この映画だけには他の作品のような不快感はないと言っている人もいるので、たまたま彼の作品の中でも観やすいものに当たったようだ。

  「隠された記憶」はデヴィッド・リンチの「ロスト・ハイウェイ」そっくりの状況から始まる。主人公はテレビ局の人気キャスターであるジョルジュ・ローラン(ダニエル・オートゥイユ)。ある時彼の家に何者かがローラン家を正面から撮影したビデオを送りつけてくる。画面を固定してただ同じ場所を延々と写しているだけのビデオ。誰が何のためにこんなものを送りつけてきたのか?まさしくデヴィッド・リンチの「ロスト・ハイウェイ」である。「ロスト・ハイウェイ」の場合は次に寝室で眠る主人公と妻の姿が映ったビデオが送られてくる。得体の知れない何者かが自分の家の中にまで忍び込んできている恐怖。サスペンス映画としてはこれ以上ないくらいぞくぞくする導入部分だった。

  冒頭部分だけではなく全体的にもよく似ている面がある。全編に謎めいて不気味な雰囲気が漂っており、随所に意味ありげな場面がちりばめられているところ。どこまでが妄想世界でどこまでが現実世界なのか判然とせず、謎が謎のまま最後まで残るところ。「ロスト・ハイウェイ」は不気味な白塗りのミステリー・マンが登場するあたりから現実にはありえない不条理で非現実的な世界に突入してゆく。「ストレイト・ストーリー」は別にして、彼のサスペンス物としてはこれが最高作だろう。

  ミステリー・マンこそ登場しないが、上記の説明は「隠された記憶」にもほぼ当てはまる。どちらも同じように謎は解明されないが、そのことが意図するところはだいぶ違う。どちらも謎解きそのものに重きは置かれていないが、リンチの場合、おそらく、謎めいた雰囲気そのものを作り上げることに狙いがあると思われる。説明のつく謎は謎ではない、リンチにはそういう思いがあるのだろう。だから超常現象のようなものを持ち込んで訳の分からないまま終わらせてしまう。

  「隠された記憶」の場合は違う狙いがある。犯人探しに意味がないのは単なる個人の犯Stmichel7 罪にとどめていないからである。登場人物の誰かが犯人である可能性は少ない。誰を想定しても矛盾に突き当たるように巧妙に仕組まれている。ビデオは現実の物理的存在というよりもジョルジュの意識が覆い隠していた過去の記憶を抉り出し、彼の罪悪感を生み出させるための装置である。「去年の夏、お前が何をしたか知っているぞ」と書かれた「ラスト・サマー」の脅迫文のようなものだが、その脅迫文はある意味で主人公だけではなく観客全員に突きつけられている。したがって特定の犯人は必要ない。個人の恨みではなく、フランスの植民地政策そのもの、アルジェリア人に対する差別意識そのもの、いやそれだけではない、ひいては誰の中にも隠されている罪意識そのものを明るみに引きずり出すための手段なのだから。隠された過去、それにまつわる罪悪感を引きずり出す魔の手。だからジョルジュがすぐ前を通ってもビデオカメラに気づかないわけだし、開けた時にはなかったドアの下に突然ビデオが現われたりするのである。

  特定の犯人などいないし、犯人探しが主眼ではない。だから確たる手がかりとなるものなどなく、すべてはほのめかしばかりである。難解なのではなく、意図的にほのめかしに留めているのである。ジョルジュの意識を追い詰めること、そうすることによって彼が隠蔽していた過去の記憶を抉り出し、そのことについて彼に語らせることが狙いである。フランスからの独立戦争を描いた名作「アルジェの戦い」を見せても彼に罪悪感を与えはしないだろう。インテリの彼はいい映画だと言うかもしれないが、アルジェリア問題を自分にひきつけて考えはしないだろう。あれを観てあなたに罪悪感はないかと問われれば、昔の話だ、俺には関係ない、そもそも俺はアルジェリア人に偏見など持っていないなどと答えたかもしれない。そんなことで彼の心の内奥にある疚しさの扉を開けられはしない。しかし、彼自身が過去に行った事実をぐりぐりとつつきまわされたのでは彼としてもたまらない。逃げようがない。映画はそれをやっているのである。過去の記憶がビデオ映像という形を取ってジョルジュを追いつめると言ってもいい。どんなに記憶の片隅に追いやっても、誰かに見られている、誰かが知っているという恐怖。これは単なる犯罪サスペンス映画ではなく、「ロスト・ハイウェイ」にヒッチコックの「白い恐怖」のような心理サスペンスと松本清張のような社会派ミステリーを重ね合わせた作品なのである。

  追い詰められ、問い詰められているのはジョルジュだけではない。追い込まれて開き直る彼の姿を冷酷に映し出し、彼の偏見をさらけ出させる。またその姿を見せることで、同じようにあなたたちも何か思い当たることがあるのではないか、とわれわれ全員に問いかけているのだ。ジョルジュだけではない、すべての人にこの種のビデオがある。明日それが送られてくるかもしれない。誰にでも降りかかる可能性があるから、このビデオが恐怖なのだ。ジョルジュは自分には偏見などないと思っていたかもしれないが、忘れていたということ自体、自分のやったことに何の疚しさも罪悪感も感じていなかったことを意味する。こういう形で脅迫されて初めて思い当たる。加害者側はすぐに忘れてしまうのだ(一方、マジッドはテレビでジョルジュの姿を見て吐き気を覚えたと言っている)。だから田舎の母親(アニー・ジラルド)に会いに行って昔のことを聞く必用があったのである(3番目のビデオに田舎の実家が映っていたので、母親の無事を確かめる意味もあった)。

  かといってマジッド(モーリス・ベニシュー)が犯人というわけではない。それでは彼の個人的恨みで終わってしまう。彼はジョルジュの悪夢のきっかけに過ぎない。同じようにラストの映像も特に意味はない。冒頭の映像に意味がないのと同じだ。冒頭の映像が恐怖を与えるのは、そこに見られては困る秘密が映っているからではない。自分では気づかないうちに誰かに「見られている」事自体が恐怖なのだ。ラストの映像も同じ。次にはあの学校の映像を観て恐怖に震える別の人物が現れることになるのだろう。

  ビデオは映像だけに単なる脅迫文以上に恐怖を与える。「白い恐怖」の中でグレゴリー・ペックが見る夢が出てくる。有名な夢判断の場面。その夢の中に、大きな幕に無数に描かれた巨大な目をハサミで切り抜いているシーンがある。まさにそういう心理状態。見えない「目」の存在が恐怖を増幅する。さらには子供が書いたような不気味な絵が2枚ビデオと一緒に送られてくる。これがジョルジュの記憶を呼び覚ます鍵となった。数回に分けて絵やビデオが届けられることによって、まるで何層もの分厚い皮を剥くように何重もの記憶の襞を手繰ってジョルジュの記憶の奥底に行きつく。  映画の現在の映像にビデオ映像とジョルジュの過去の回想あるいは夢が入り混じる。ビデオはジョルジュの妻アンヌ(ジュリエット・ビノシュ)の疑念まで生み、今度は彼女がジョルジュを問い詰める。恐怖が疑念を生み、ジョルジュはじわりじわりと追い詰められてゆく。ジョルジュはついに秘められた過去を語りだす。マジッドは昔ジョルジュの両親の家で働いていた。「61年10月17日、民族解放戦線がアルジェリア人にパリでのデモを呼びかけた。当日警視総監のパポンは約200人のアラブ人を溺死させた。マジッドの両親も二度と戻ってこなかった。」父親が探しに行くと「黒いのがいなくなって喜べ」と言われたという。アンヌは「それから」を連発し、さらに問い詰める。両親は責任を感じたのかマジッドを養子にした。しかしジョルジュは彼と同じ部屋に住むことを嫌い、マジッドが「血を吐いた」と嘘の告げ口をした。その後マジッドは病気になってどこかへ行ってしまった。

  なぜジョルジュはそれほどマジッドを嫌ったのか。ビデオが送られてきて以来ジョルジュはある悪夢に悩まされていた。鶏の首を切り落とす少年、首のない鶏が飛び跳ねる断末魔の姿。首を切った男の子はもう一人の男の子に向って斧を手に向ってくる。顔には鶏の返り血が付いている。恐らく毎回この場面で目が覚めるのだろう。鶏の首を切り落とした少年は明らかにマジッドである。

  ジョルジュは過去のトラウマを打ち明けるが、かたくなに自分の責任を認めようとしなKey_mb3 い。子供のしたことだ、悪意はなかったと。最後は開き直り、いきり立つ。映画はそれ以上切り込まない。確かに些細なことのようにも思える。しかし、マジッドへの恐怖の裏側には偏見がなかったか。雇い人の息子だという見下げた気持ちはなかったか。このエピソードだけでは釈然としないが、映画の前半にそれを裏付ける場面がある。自転車に乗った黒人とぶつかりそうになったときに、ジョルジュがその男に投げつけた言葉だ。そしてこの偏見はジョルジュだけのものではない。警察は彼の訴えを鵜呑みにしてマジッドと彼の息子を犯人扱いして拘束してしまう。証拠が不十分なので後に釈放されるが、ここに個人を超えた偏見の輪が描かれている。

  マジッドは釈放後ジョルジュを呼び出し、彼の目の前でのどを掻っ切って自殺する。さらにその後マジッドの息子(ワリッド・アフキ)がジョルジュに会いに来る。エレベーターの中のシーンが印象的だ。マジッドの息子はじっとジョルジュを「見つめる」。身を切られるような視線の痛さ。彼は「やましさが何かこれで分かった」と言い残して去ってゆく。

  マジッドの死によって憎しみの連鎖が生まれ、それがまた長回しのビデオに始まり長回しの映像(次の脅迫ビデオ)で終わる循環構造の中に組み込まれてゆく。DVDの付録映像所収の監督インタビューでハネケは次のように語っている。

  これは、個人が「罪」とどう向き合っているかについての映画です。人間は世に生まれたことですでに「罪」を持っています。意図的であろうとなかろうと先進国で生きるわれわれは絶対に後進国や貧しい人々を犠牲にして高い生活水準を保っています。ですから、先進国にいるわれわれは誰でもある種の罪意識を心の中に抱えているわけです。そういったやましさを個人がどのように消化するかは人それぞれです。例えば飲んだくれて忘れようとする人もいれば、自殺してしまう人もいます。私は人間の誰もが持つ「罪」をどのように表現するかを仕事にしているのです。他の監督や演劇作家も同じですが、「人間の罪をどのように描くか」がわれわれの大きなテーマの一つだと考えています。

  ハネケはショック療法のような手法でこの「罪」を描き出そうとした。単に抽象的な「罪」と言うだけなら僕は賛同できない。それではまるで「春夏秋冬そして春」でギドクが描いた人間の「業」と同じように観念的である。しかしここでは、少なくとも植民地支配や南北問題に言及している。さらには別のインタビューではこう語っている。「ただ海外でこの映画がフランスに特殊な題材を扱ったものと思われることには警戒がある。個人の罪と集団(国家)の罪が重なり合う事態は、どこででも起こりうることで、これはそんな普遍的な問題を扱う映画だ」(eiga.com)

  「普遍的」という言葉も抽象性に導きやすいので警戒すべき言葉だが、ここでは少なくとも人種的偏見や植民地主義などの具体的テーマが示されており、かつ個人のレベルにとどまらず一人ひとりに問いかけている。さらには、ビデオを使うことでメディアの報道に対する不信というテーマも盛り込んでいる。「わたしにとって政治的なメッセージを込めた映画はつまらない。個々の人間の心の奥底に突き刺さるものを作らないと面白くない」という考えを持つハネケだが、少なくとも「隠された記憶」ではこの二つをぎりぎりのところで重ね合わせている。この映画がもっとも観るに耐える作品になったのはそのためである。

  最後に蛇足を一つ。僕がこの映画で一番驚いたのは「衝撃のラストシーン」でもマジッドの突然の自殺でも、「斬新な映像トリック」でもない。ジョルジュの母である。なんとアニー・ジラルドが演じていた。あまりの老け具合にキャストを見るまで気がつかなかった。アニー・ジラルドは僕が高校生から大学生の頃好きだったフランス女優の1人である。ジーン・セバーグを思わせる短髪が似合う女優で、当時カトリーヌ・ドヌーヴよりはるかに好きだった。高校生の時に観た「愛のために死す」(1970)の時で既に40歳近かったわけだが、大人の女の魅力にあふれていた。6、70年代が女優としてのピークだろう。1931年生まれだから、「隠された記憶」の時は74歳。う~ん、気づかない方がよかった。

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コメント

kimion20002000さん コメントありがとうございます。
TBは入らなかったようですね。「明日へのチケット」の時も入らなかったのでしょうか。申し訳ありません。
<すべての場面が、場面そのものではなく、心理の暗喩になっている。>確かにそんな印象ですね。不気味なビデオ映像ばかりがリアルで、それも含めたすべてに暗喩が込められている。他の作品は観ていないのでわかりませんが、それがハネケの手法なのでしょう。
その分観客の側が考えさせられるわけです。僕はその手の映画は好きではないのですが、この映画は一応の主題があるのでぎりぎり評価できました。

こんにちは。
僕はDVDで鑑賞したので、何回か巻き戻してみたり、スローにしたり(笑)
でもそのおかげで、監督の撮影方法や、モンタージュ方法が少しだけ理解できるような気がしました。
すべての場面が、場面そのものではなく、心理の暗喩になっているという印象を受けました。
だから、音楽は、よけいに意味づけをしてしまう(感情を喚起する)から、排除したのかな、と。
ちょっと、TBがうまくいかないので、もういちど、チャレンジしてみます。

真紅さん コメントありがとうございます。

僕も冒頭に書きましたが、この監督は基本的には好きなタイプではなさそうです。また、「衝撃のラスト」というキャッチは完全なミスリーディングですね。人騒がせなキャッチですね。

観終わった後の「イヤ~な感じ」という感覚はよくわかります。まだアルジェリア人に対する差別と偏見という具体的な問題があるので何とか理解できますが、それすらも曖昧にされると人間のどろどろとした悪意が強調されることになります。それこそが人間の本質だと言わんばかりに。そうなる一歩手前でぎりぎり踏みとどまった作品。正直、ほかの作品を観てみようという気持ちにはなれません。

ゴブリンさま、こんにちは~。
私もハネケ作品は初見でした。イヤ~な感じですね、この映画(笑)。
凄い映画なんだろうことはわかるのですが、傑作だとは言いたくない気がします。
「胸に手を当てて考えてごらん、自分がしてきたことを!」ということなのですね・・。
しかし「衝撃のラストシーン」には肩透かしでした。
ではでは、また来ます。

カゴメさん TB&コメントありがとうございます。
あのラストには最初あっけに取られますが、色々考えているうちにその真の狙いが見えてくると思います。ただ、「衝撃のラストシーン」などと宣伝されているので、かえっていたずらに誤解を広げ、誤った方向に観客を導いていると思います。映画の本質からそれたキャッチコピーなど、プロモーションのあり方には考え直してほしいことがたくさんありますね。
ラストも含め、この映画全体が一種のショック療法といったかなり手荒な作りになっていると思います。ハネケさんもずいぶん人が悪いなあ(笑)。

ゴブリンさん、おはよーございます。
TB、コメント、感謝です♪♪♪

ハネケさんの作品はカゴメもこれがわずか二作品目でして。
あまり多くを語れないのですが、「ピアニスト」と今作を観た限りでは、
流石に哲学を習い修めてた人だなぁぁと(笑)。
心の傷に擦り込むような辛らつな問題提起はすれど、
「自分なりの解決とは何か」は勿論、一切指し示しませんね。
たかが二時間の映画に打開策を求めるのも安易とは言え、
この荒野に置き去りにされるような感覚には、とっても薄ら寒い感じがあります(笑)。
思うに、周囲の若年層なぞを見てると、
こういった手合いの作品は歓迎されなくなるんだろうなぁぁ、と。
(昨今は、見てすぐ解答が判るものじゃないと受け付けてもらえないようで)
ハネケさんは賢い人だけに、やるせないような憤懣があるのでしょうね。
「この人、まだまだやる気だなぁぁ」と嬉しくなりました。

とんちゃんさん TB&コメントありがとうございます。
僕もあのラストには唖然としました。映画が解決を与えないということは、後は自分で考えろということです。僕は最後に観客を放り出してしまう映画は好きではないのですが、この映画の場合放り出すのではなく問いかけているのだろうとあのラストを観て考えたわけです。
でも何人か集まってあれこれ「あいつが怪しい」などと議論してみるのも面白いし、そういうことができる映画だと思います。そのうち「では、なぜそんなことをしたのか」という疑問が湧いてくるでしょう。恐らくそれがハネケの最終的狙いなのだと思います。それぞれが自分の胸に手を当てて考えてみる。本当の議論はそこから始まるのですね。

おはようございます★

いや~~お見事としかいえません。
私は自分のレビューが恥ずかしくなりました。

>すべての人にこの種のビデオがある

確かに・・・言えてますね。
これですっきりしました。子供の復讐でもなく、全てが妄想だったのでもなく、やっと鮮明にこの映画の意図する事がわかりました。有難うございます^^

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