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2006年7月9日 - 2006年7月15日

2006年7月15日 (土)

ミリオンズ

Fuukeiga01 2004年 アメリカ・イギリス 2005年11月公開
監督:ダニー・ボイル
脚本:フランク・コットレル・ボイス
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
美術:マーク・ティルデスリー
音楽:ジョン・マーフィー
出演:アレックス・エデル、ルイス・マクギボン、ジェームス・ネスビット
   デイジー・ドノヴァン、クリストファー・フルフォード

  ダニー・ボイル監督。最初はTVで活躍していたが、「シャロウ・グレイブ」(1995)で映画界に鮮烈デビュー、「トレインスポッティング」(1996)で一躍有名になる。その後アメリカに渡り、「普通じゃない」(1997)、「ザ・ビーチ」(1999)、「28日後」(2002)を撮るがどれも凡作。アメリカに渡ってだめになった監督の典型かと思われたが、「ザ・ビーチ」と「28日後」の合間にイギリスで撮ったTVドラマ「ストランペット」(2001、本館HP「緑の杜のゴブリン」の「映画日記」コーナーにレビューがあります)と「ヴァキューミング」(2001)は以前の疾走感と毒気とエグみを幾分取り戻していた。やっぱりイギリスでないとこの人はだめなのね。それじゃとばかりに「28日後」は舞台をロンドンに設定してみたが、作りはアメリカのB級映画。ボロボロの駄作だった(いいのは出だしだけ)。それでもめげずに、新作「ミリオンズ」ではまたまたイギリスに舞台を設定し、これでもかとイギリスらしさを前面に押し出した。結果は久々の快作。「トレインスポッティング」ほどの毒気はないが、映画の出来とすれば「トレインスポッティング」と並ぶ彼の代表作となった。もっと早く過去の成功作の呪縛から脱して新しい「芸風」を身につけるべきだったと思うが、改めるのに遅すぎることはない。よしよし。金に目がくらんでアメリカに渡ったのかもしれないが、これからはちゃっかり金だけアメリカに出してもらって、映画はイギリスで撮るがよろしい。

  この映画の魅力は何といっても主人公のそばかす少年ダニエル(アレックス・エデル)にある。いまどき珍しいほどの純粋な心を持った少年だ。その少年が思わぬ大金を手にすることになる。それにはある予兆があった。イギリスでは家に名前を付けることがよくある(日本でも昔の風流人が「○○庵」などと付けていたことはあるが一般的ではない)。ダニエルの家の名はserendipity(思わぬ発見)。もちろん空から大金が降ってくることを暗示している。引越しと同時にダニエルが空き地に作った段ボールハウスの上にある日大金の詰まったバッグが降ってくるのだ。兄のアンソニー(ルイス・マクギボン)と数えてみると22万9320ポンドも入っていた。アンソニーはぱっと使ってしまおうとするが、ダニエルは拾ったお金を貧しい人に上げようと言う。アンソニーは「そんなのどこにいる。ここは高級住宅地だぞ」と反対する。それでもダニエルは考えを変えず、会う人毎に「あなた貧しいですか?」と聞いて回るところが何とも可笑しい。子供は単刀直入だ。ついには質問にイエスと答えた近所のモルモン教徒の家にこっそり「贈りもの」をする。贅沢を嫌うモルモン教徒が大きな包みを抱えてスクーター(これも買ったもの、前は自転車に乗っていた)で帰ってくるところも滑稽だ。急にぜいたく品を買いだしたので怪しまれ、警察に職務質問されたときも終始ニコニコ顔を崩さない。

  全編を貫くこのコミカルな演出が効果的である。見つけた大金を役所に届けると言ってArthuusya150awいた弟に、アンソニーがそんなことをすると税金を40%も取られると話す。「どれくらいか分かるか。ほとんど全部だ。」おいおい。ちゃんと算数習ったのか(笑)。このアンソニー、まだ10歳なのだが妙に世故に長けている。「お母さんは死んじゃった」と言うと大人から色々な物を貰えるとダニエルに教えたのも彼だ。始めのうちは舞い上がってホームレスたちにピザをおごって168ポンドも使ったりするが、そのうち不動産を買えば値上がりして利益が上がると言い出す。ドラえもんのような弟とホリエモンのような兄。このあたりの兄弟の描き分けも見事だ。

  もうひとつ全体の基調をなすのはシュールな演出。新居が建つ予定地に兄弟で横たわり、新しい家を想像する場面がある。するとたちまち壁が立ち上がり家具が出現し屋根が付けられて家が出来てゆく。子供の想像力とCGの技術がマッチした面白い場面である。もっともシュールなのはダニエルにいろんな聖人が見えること。何人も現れてはダニエルにアドバイスをしてゆく。いろんな守護聖人がいるのが可笑しい。鍵や防犯対策の守護聖人なんてのもいた。八百万の神様じゃあるまいし、そんな聖人本当にいるのか?アッシジのフランチェスコやナザレのヨセフなど聖人の名前はみな本物だが、その逸話にはダニエルの創作が入っている気もする(正確なところはわからない)。それはともかく、転校先の学校で先生が尊敬する人を挙げなさいというと、ほとんどの生徒はマンチェスターUの選手名を挙げるが(ダニー・ボイル監督の出身地であるマンチェスターが舞台)、ダニエルは次々に聖人の名前を挙げ周りをうんざりさせる。どこか滑稽でシュールなのだが、この背 景には悲しい事実があった。ダニエルはどの聖人にも必ず「聖モーリーンに会ったことがありますか」と尋ねる。聖ニコラスにも同じ質問をすると、彼は「何をした?」と聞き返す。「セルフリッジの化粧品売場で働いていました」と答えるダミアン。変な聖人だと一瞬思うが、何せ「鍵や防犯対策の守護聖人」がいるくらいだからそれほど奇妙だとは思わない。だいぶ後の方でダニエルがある化粧品売り場に行ったときすべてが分かる。引っ越す直前になくなったダニエルの母親がそこで働いていたのである。そこまで来て、モーリーンが母親の名前だったことがやっと観客に分かるのである。憎いほどうまい演出だ。おそらく彼に聖人が見えるようになったのは母親が亡くなってからなのだ。母親は聖人になれたのか、新入りの聖人が天国で元気でやっているのかずっと気にかけていたのである。

  ダニエルのソバカス顔と無邪気でけなげな発想が何ともかわいい。それがこの映画の一番の魅力である。しかし映画全体はそう単純で優しいばかりの作品ではない。ファンタジーの系統に入る作品だが、かなり辛らつな皮肉が込められたファンタジーである。そもそも降ってきた現金はユーロの切り替え前に回収されたポンド札だった。強盗団がその金を奪って、列車から仲間に向かって投げ落としたバッグがたまたまダニエルの段ボールハウスの上に落ちてきたのだ。ポンドからユーロへの切り替えはもちろん架空の話だが、奪われたポンド札をめぐって大人たちが右往左往する様を描く視線は皮肉たっぷりだ。大金が父親(ジェームス・ネスビット)に見つかり、神様の贈り物かと思ったとダミアンが言うと、父親は「神様が現金なんか配るか」と一蹴し、現金を警察に届けようとする。しかし家が強盗段に荒らされているのを見たとたん、あっさりと猫糞を決め込むパパ。そのパパが仲良くなってしまうチャリティーワーカーのドロシー(デイジー・ドノヴァン)も、学校でチャリティー資金を集めている場面はどことなく胡散臭げに描かれている。結局はいい人だったのだが。そして彼女がエチオピア救済チャリティのボランティアをしていたことがラストに繋がってくる。

  これにさらに付け加えられているのはサスペンスの要素。奪った金を横取りされた間抜けな強盗がダミアンに迫ってくる一方で、その金の横取りを決めたダミアンの父たちがポンドをユーロに換金しようと必死で走り回る。強盗の男(クリストファー・フルフォード)は凄みがあるが、行動はどこか間が抜けている。ハラハラドキドキというより「ホーム・アローン」の乗りだ。最初にその男に気づかれそうになったとき(ダミアンがうっかりその貧乏そうArtkurione250waな男にお金をたくさん持っていると話してしまう)、兄が気をきかせてビンに小銭をつめて大金だけどあげるよと男に渡してごまかすエピソードは秀逸だった。

  後半はドタバタ調になるが、ラストはまたファンタジーに戻る。いろんな要素を盛り込んではいるが、やはり基本はファンタジー。ダニエルはひとり家を抜け出して線路でお金を燃やしてしまう。その上を列車が走り抜けてゆく。列車が通り過ぎると、線路の向かい側にママが座っていた。5分間だけの邂逅。ママが「髪にコンディショナーを付けなさい」とダミアン に言うせりふは実に自然でいい。いつもそんな風に子供に話しかけていたのだろう。記憶の中で美化された美人の母親ではなく、ごく普通のおばさんなのがまたいい。ダミアンは聞く。「ママは聖人なの?」「厳しい審査があるの。善を行うだけではダメで、奇跡を起こさないといけないのよ。」「それで?」「ママはもちろん合格。」「どんな奇跡を起こしたの?」母親の答えは書かないでおこう。最後はアフリカに飛ぶ。文字どおり飛ぶのだ。

  初期の2作とはだいぶ作風が違うが、久々にダニー・ボイル監督の本領が発揮されている。様々なタイプの映画を撮れてこそ一流の証。監督はインタビューで「28日後」の後「なんでも好きなことができるようになれたのはとても幸運だった」と語っている。逆に言うとそれまでは制限があったということになる。ハリウッドで気にそまない作品を作らされていたということだろう。ある意味で初心に帰った作品なのだ。本人も「ミリオンズ」は「シャロウ・グレイブ」と同様誠実に作った映画だと言っている。ダミアンの描き方には敬虔なカトリック教徒だった母親の影響もあるようだ。「ダミアンの母親は、人を信じることができる人間にダミアンを育てた。ぼく自身も、母親にそう育てられたんだ。人が誰かを信じれば、その誰かも別の誰かを信じることができる。そうやって、人を信じる心は、波紋のように伝わっていくと思うんだ。今の時代に、人を信じろなんて言うのは、時代錯誤かもしれない。でも、ぼくは、楽天的な人間なんだ。そして、今こんな時代だからこそ、楽天的な映画が作りたかったというのもある。実際世の中で起こっているのは暗い出来事が多い。そんな中で、希望を示せればいいなって。」

  金に縛られているこの世界に対抗するダミアンの武器は想像力だった。「ダミアンと聖人の関係で重要なのは、彼の信仰心ではなくて、彼の想像力のほうだ。それが、聖人と彼をつなげている。彼は明らかに、アーティストになるべき人なんだ。彼の想像力は、あらゆることに対抗できる。お金とか、悪事とか、物質主義社会の誘惑とかね。」監督自身「トレインスポッティング」のように子供の頃電車を眺めてはロマンを感じていたという。「電車が夢を運んで来るという考えが入っている映画なんだ。」

  脚本は「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」を書いたフランク・コットレル・ボイス。ダニー・ボイル監督の意見もだいぶ取り入れたようだ。「ブラス!」、「グリーン・フィンガーズ」、「シーズン・チケット」、「リトル・ダンサー」、「ベッカムに恋して」「カレンダー・ガールズ」などの系統に属する前向きで楽観的な作品。いかにもクリスマスにふさわしい映画に仕上った。この映画自体が贈り物だ。

待望の連休

059259   このところ記事の更新が遅れて申し訳ありません。この2週間は猛烈に忙しかったのです。もう体も精神もボロボロ。映画を観る気力もなく、観てもレビューを書く気力はさらにありませんでした。おまけにココログが11日から13日の昼間にかけて大手術メンテナンスを施したので、その数日前から駆け込みラッシュで管理画面の操作が異常に重たくなり、どうにもなりませんでした。かろうじて1本だけ書いた「プライドと偏見」のレビューもTBを1本送っただけで断念。いやあ辛かった。長いトンネルを抜けてほっと一息。

  今日からは3連休。映画観まくるぞ。レビューも書きまくるぞ、ってこっちはなかなかそうも行かない。やっぱり時間がかかる。実は9日に「ミリオンズ」を観ていたのですが、忙しくてレビューがまだ書けていません。さわやかないい映画だったので忘れないうちに早く書きたかったのですが、とても書ける状態ではありませんでした。昨日の夜書こうと思っていたのですが、1週間レンタルで借りていた「ロード・オブ・ウォー」の返却期限が昨日までだと判明。あわててそっちを観ました。無事延滞することなく返してきましたが(代わって「シリアナ」をレンタル)、これは「ミリオンズ」を上回るとてつもない傑作。今年のベスト1かと早すぎる結論を下しそうになるほど素晴らしい映画でした。あっ、よく調べたら公開は去年の12月。去年の映画だったか。まあ、いずれにしてもすごい映画であることに変わりはない。ゴブリン大絶賛。

  今月のレンタルDVDは「シリアナ」に加えて「クラッシュ」、「ジャーヘッド」と充実したアメリカ映画が次々にリリースされ、他にも「歓びを歌にのせて」、「ヘイフラワーとキルトシュー」、そしてロシアで大ヒットした「ナイト・ウォッチ」などの話題作が出ます。さらにアメリカ映画では前月から積み残した「スタンドアップ」、「スパングリッシュ」、「シン・シティ」もあるので、久しぶりにたっぷりアメリカ映画が楽しめそうです。ボブ・ディランのドキュメンタリー映画「ノー・ディレクション・ホーム」も楽しみ。そうそう「ある子供」もあった。ダルデンヌ監督はやや苦手なのだが、評価が高いので観ておかねばならない。

  ともかくまず「ミリオンズ」のレビューを書き上げなくては。でも今日は「新しい」車が手に入る予定だ。ドライブに行ってしまうかも。いつの間にか11年も乗ってしまったサニーに代えて、まだ製造されてから7年しかたっていないピカピカの中古インプレッサに乗り換える。欲しかったのは他の車種だが、そこは中古の悲しさ。業者に頼んでから半年たっても見つからない。痺れを切らして店頭にあった中から選んだのがインプレッサだったというしだい。まあ、後4、5年も乗れば迷わず成仏してくれるでしょう。それからまた「新しい」中古を探せばいい。CDやDVDや本ばかりではなく車も中古なのかと驚くなかれ。何を隠そう、僕は中古の車以外買ったことはありません!もちろん安いから。数百万円以上出して車を買う人の気持ちが僕には理解できない。ただの移動手段ではないか?僕は何事につけブランドというものに一切興味がない。いいじゃないか、形が気に入って、安全に走れる車ならば。

  まあ、読者の中には車好きの方もいらっしゃるでしょうからこれ以上は言いません。「うだうだ言ってないで早うレビューを書け!」って?はいはい、すぐ取り掛かります。冷たいやつを一杯やってから。

2006年7月13日 (木)

ゴブリンのこれがおすすめ 20

ファンタジー映画

■おすすめの15本(本格的ファンタジー)
「ロード・オブ・ザ・リング・シリーズ」(ピーター・ジャクソン監督、01~3)
「ハリー・ポッター・シリーズ」(クリス・コロンバス監督、他、01~)
「チャーリーとチョコレート工場」(ティム・バートン監督、05)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」(ゴア・バービンスキー監督、03)
「ビッグ・フィッシュ」(ティム・バートン監督、03)
「スリーピー・ホロウ」(ティム・バートン監督、99)
「ロスト・チルドレン」(ジャン・ピエール・ジュネ、95)
「フィオナの海」(ジョン・セイルズ監督、94)
「シザーハンズ」(ティム・バートン監督、90)
「コクーン」(ロン・ハワード監督、85)
「ルカじいさんと苗木」(レゾ・チヘイーゼ監督、73、ソ連)
「メリー・ポピンズ」(ロバート・スティーヴンソン監督、64)
「石の花」(アレクサンドル・プトゥシコ監督、46)
「美女と野獣」(ジャン・コクトー監督、46)
「オズの魔法使い」(ヴィクター・フレミング監督、39)

■おすすめの40本(大人のファンタジー、他)
「リトル・ミス・サンシャイン」(ジョナサン・デイトン監督・他、06)
「トンマッコルへようこそ」(パク・クァンヒョン監督、05)
「ローズ・イン・タイドランド」(テリー・ギリアム監督、05) Piano1s
「下妻物語」(中島哲也監督、04)
「父と暮らせば」(黒木和雄監督、04)
「ミリオンズ」(ダニー・ボイル監督、04)
「クジラの島の少女」(ニキ・カーロ監督、03)
「春夏秋冬そして春」(キム・キドク監督、03)
「ホテル・ハイビスカス」(中江裕司監督、03)
「茶の味」(石井克人監督、03)
「ククーシュカ ラップランドの妖精」(アレクサンドル・ロゴシュキン監督、02)
「至福のとき」(チャン・イーモウ監督、02)
「マゴニア」(イネケ・スミツ監督、01)
「イルマーレ」(イ・ヒョンスン監督、00)
「ギャラクシー・クエスト」(ディーン・パリーゾー監督、99)
「マルコヴィッチの穴」(スパイク・ジョーンズ監督、99)
「ルナ・パパ」(バフティヤル・フドイナザーロフ監督、99)
「グース」(キャロル・バラード監督、96)
「Shall we ダンス?」(周防正行監督、95)
「熱帯魚」(チェン・ユーシュン監督、95)
「はるか、ノスタルジィ」(大林宣彦監督、94)
「パリ空港の人々」(フィリップ・リオレ監督、93)
「ラテンアメリカ光と影の詩」(フェルナンド・E・ソラナス監督、92)
「天使にラブ・ソングを」(エミール・アルドリーノ監督、92)
「大誘拐」(岡本喜八監督、91)
「春にして君を想う」(フレドリック・トール・フリドリクソン監督、91)
「ふたり」(大林宣彦監督、91)
「ゴースト ニューヨークの幻」(ジェリー・ザッカー監督、90)
「ベルリン・天使の詩」(ヴィム・ヴェンダース監督、87)
「夢見るように眠りたい」(林海象監督、86)
「未来世紀ブラジル」(テリー・ギリアム監督、85)
「エクスカリバー」(ジョン・ブアマン監督、81)
「光年のかなた」(アラン・タネール監督、80)
「ミツバチのささやき」(ヴィクトル・エリセ監督、73)
「華氏451」(フランソワ・トリュフォー監督、66)
「黒いオルフェ」(マルセル・カミュ監督、59)
「赤い風船」(アルベール・ラモリス監督、56)
「オルフェ」(ジャン・コクトー監督、49)
「天国への階段」(マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督、46)
「天国は待ってくれる」(エルンスト・ルビッチ監督、43)
「悪魔が夜来る」(マルセル・カルネ監督、42)

■追加
「シルク・ドゥ・ソレイユ 彼方からの物語」(2012、アンドリュー・アダムソン監督、米)
「フランケン・ウィニー」(2012、ティム・バートン監督、アメリカ)
「ホビット 思いがけない冒険」(2012、ピーター・ジャクソン監督、米・ニュージーランド)
「砂漠でサーモン・フィッシング」(2011、ラッセ・ハルストレム監督、英)
「ミッドナイト・イン・パリ」(2011、ウディ・アレン監督、スペイン・アメリカ)
「ヒューゴの不思議な発明」(2011、マーティン・スコセッシ監督、アメリカ)
「アリス・イン・ワンダーランド」(2010、ティム・バートン監督、アメリカ)
「ラブリーボーン」(2009、ピーター・ジャクソン監督、米・英・ニュージーランド)
「パンズ・ラビリンス」(2007、ギレルモ・デル・トロ監督、メキシコ・スペイン・他)
「迷子の警察隊」(2007、エラン・コリリン監督、イスラエル・他)
「嫌われ松子の一生」(2006、中島哲也監督、日本)
「かもめ食堂」(2005、荻上直子監督、日本)

 このジャンルはアニメにぴったりで、したがってアニメに傑作が多い。しかし「コープス・ブライド」のレビューに「お勧めアニメ」のリストを挙げているので、ここではアニメ作品をはずしました(いずれこのコーナーでも改めて取り上げます)。アニメをはずしてみるとさすがに該当作品は少ない。このジャンルのほとんどはお子様向け。そこで、大人向けのファンタジーやSF作品を代わりに取り込んでみました。
  こうやってまとめてみると「幽霊」ものが多いことに気づきます。竹内結子主演の「黄泉がえり」、「いま、会いにゆきます」など一時は流行にすらなっていました。この手の作品としては「父と暮らせば」と「ゴースト ニューヨークの幻」あたりが代表作でしょう。
  「ET」や「未知との遭遇」なども考えましたが僕自身の評価があまり高くないので上げませんでした。一般的には当然リストに入る作品でしょう。「チャーリーとチョコレート工場」の評価もさほど高くないのですがジャンルにぴったりの作品なので取り上げました。

2006年7月 9日 (日)

プライドと偏見

2005年 イギリス 2006年1月公開
監督:ジョー・ライト
原作:ジェイン・オースティン『高慢と偏見』
出演:キーラ・ナイトレイ、 マシュー・マクファディン 、ドナルド・サザーランド
    ブレンダ・ブレッシン、ロザムンド・パイク、ジュディ・デンチ、サイモン・ウッズ
    ルパート・フレンド、トム・ホランダー、クローディー・ブレイクリー、 ジェナ・マローン
    キャリー・マリガン、タルラ・ライリー

 『高慢と偏見』はイギリスの女性作家ジェイン・オースティン(1775-1817)の最も有名な小説である。彼女は全部で6冊の長編小説を残している。作品の出来にほとんど差はない。

Sense and Sensibility (1811) 『いつか晴れた日に』(キネマ旬報社)  
Pride and Prejudice (1813)『高慢と偏見』(岩波文庫、他)  
Mansfield Park (1814)『マンスフィールド・パーク』(集英社)     
Emma (1815)『エマ』(中公文庫、他)     
Northanger Abbey (1818) 『ノーサンガー・アベイ』(キネマ旬報社)     
Persuasion (1818)『説きふせられて』(岩波文庫)

  ジェイン・オースティンはジョージ・エリオットやブロンテ姉妹などと並んでイギリスで最も尊敬されている女性作家である。国民的作家だけあって、イングリッシュ・ローズの中にNois ジェイン・オースティンと名付けられた黄色いバラもある。彼女の小説はすべて映画化されているが、有名なのは比較的最近のものである。アン・リー監督、エマ・トンプソン主演の「いつか晴れた日に」(95年)、ダグラス・マクグラス監督、グウィネス・パルトロウ主演の「エマ」。『高慢と偏見』はBBCにより95年にジェニファー・イーリーとコリン・ファース主演でドラマ化されている(残念ながら未見)。BBCのイギリス文学ドラマ化作品はいずれも質が高く、かなり原作に忠実なので必見である。

  映画化作品としては「いつか晴れた日に」の出来が抜群によい。エマ・トンプソンは名優ひしめくイギリス映画・演劇界にあって、中堅女優としてはダントツだろう。他に比肩すべき女優が思い当たらない。「エマ」は水準の出来だが、悪くはない。「プライドと偏見」(何という中途半端な邦題だ)はその中間あたりの出来か。ヒロインのエリザベス・ベネットを演じたキーラ・ナイトレイがなかなか魅力的だった。イギリスのミドルセックス出身。「穴」で始めて観たときはソーラ・バーチに隠れてあまり印象に残らなかったが、「ベッカムに恋して」では(主演のパーミンダ・ナーグラの親友の役)なかなかかわいい女優だと思った。その後「パイレーツ・オブ・カリビアン」でブレイク。「キング・アーサー」は映画そのものが今一だったが、「ドミノ」(未見だが近々観る予定)の評判は良く、着実にキャリアを重ねている。一方、ミスタ・ダーシーに扮したマシュー・マクファディンには相当違和感があった。うつむきがちで寡黙な男というイメージになっており、彼の高慢さがさっぱり感じられなかった。エリザベスとの出会いの場面では、人を見下したような彼の高慢さがいやらしいほど出ていなければならない。もっと高慢で不機嫌な男に「見え」なければならない。原作では強烈な経験なのである。そうでなければ彼に対するエリザベスの激しい嫌悪感が十分描けない。かなり後のほうになるまでエリザベスは彼に嫌悪感を持ち続けていたのである。それは実際ダーシーがいやな奴だからである。もっとも、自分だけが物事を正しく見ているという彼女の慢心が彼への偏見を生み、彼の本当の姿を見失わせてもいるわけだが。猛烈な嫌悪感があったからこそ彼の真意を知ったときのエリザベスの驚き、自分の偏見と思い上がりに対する反省がリアルに伝わってくるのである。あんな暗い目立たない男ではダーシーらしさがまったく感じられない。

  何せ彼は年収1万ポンドの大地主なのである。J.P.ブラウン著『19世紀イギリスの小説と社会事情』(英宝社、昭和62年)によれば、「貴族階級とは、1万エーカー(約18平方マイル)をこえる私有地をもつ大地主から成っていて、彼らは大部分がいわゆる爵位貴族階級に属していた。年間1万ポンドを上まわる収入を産み出す資産をもち、絶大な権力を備えたこの一握りのグループの数は、3百世帯から4百世帯程度であった。」ダーシーは爵位こそ持っていないが、彼の年収1万ポンドは貴族に匹敵する。彼の領地ペンバリーにいたっては目で見える範囲すべてが彼の領地という広大さ。とにかく、英国貴族の領地の広大さは日本では想像できないほどで、子供が庭で迷子になることもあるほどである。そういう身分である彼の態度には本人が自覚していなくても高慢さ(特に身分の低いものを見下す態度)がにじみ出てしまうのだ。それがマシュー・マクファディンからはさっぱり感じられない。その点が残念だった。

  原作『高慢と偏見』はいわば「婿探し物語」であり、その主題は「結婚」である。だが、決して単なるラブ・ロマンスではない。ヒロインのエリザベスは自分の周りの人物たちをいつJane_austen も観察している。彼女の周りの人たちの性格や行動が彼女の目を通して描かれる。小さな田舎町に暮らすアパー・ミドルの人たちの暮らしをリアルに描いた小説なのである。その人間観察、人物描写の的確さ、見事さがこの小説の価値を支えている。だが、映画は人間観察からラブ・ロマンスに重点を移している。2時間という映画の枠に収めるためには仕方のない処理なのかもしれない。むしろ原作の雰囲気を結構残していることを褒めてもいい。

  ストーリーの中心にいるのはエリザベスの家族、ベネット一家。エリザベスの両親を演じたドナルド・サザーランドとブレンダ・ブレッシンが出色。対照的な夫婦だ。その性格の違いは原作の冒頭で見事に描き出されている。英文学史上有名な書き出しである。近所に大地主が越してくるから挨拶に行ってくれと大騒ぎをする母親。われ関せずとそ知らぬふりをする父親。最初の2、3ページで早くも読者はこの小説の世界にすっかりはまり込んでいる。ミスタ・ベネットはやや世間を斜に構えて見ている男だが、分別のある好人物。ドナルド・サザーランドが飄々とした演技でいい味を出している。息子のキーファーが大活躍だが、まだまだこの親父も負けていない。

  母親のミセス・ベネットは5人の娘に何とか良縁を見つけようとそればかり気にかけている女性。原作も皮肉を交えてこっけいに描いている。「秘密と嘘」、「ガールズ・ナイト」、「リトル・ヴォイス」のブレンダ・ブレッシンはこういう役柄を演じさせたらまさにぴったり。かなりこっけいに描かれているが、彼女があれだけ婿探しに夢中になるには切羽詰った事情もある。いうまでもなく子供が5人とも娘ばかりで相続人がいないのである。映画の途中で従兄弟のコリンズ(トム・ホランダー)という男が出てくる。限定相続なので財産は男系親族であるコリンズが相続することになる。相続権のない娘たちは裕福な男と結婚する以外生きる道がない(働くなど問題外だ)。もし売れ残ろうものなら身内の情けにすがって、周りから軽蔑されながら細々と食いつないでゆくしかない。せいぜい残されているのはガヴァネス(住み込みで上流の子弟を教える家庭教師)になる道くらいである。実際に遠縁の男に財産を奪われ惨めな境遇に転落した一家を描いたのが『いつか晴れた日に』である。夫を失った妻と三人の娘(妻にすら相続権はないのだ!)が屋敷まで奪われ、狭苦しい家で細々と暮らしている。

  だから娘たちも婿探しに血道を上げるのである。映画ではハンサムな軍人や裕福な地主が現れるたびにキャピキャピ騒ぎまわる様子が描かれている。原作もそう大差はない。 コミカルな持ち味は原作にもある。社会学的な関心がオースティンにあるわけではない。あくまである状況下に置かれた人物たちの性格や振る舞いを事細かに描くことに関心がある。生活描写と性格描写が命なのだ。その焦点はほとんど娘たちに当てられる。無権利状態に置かれていた娘たちはたとえ男の兄弟がいる場合でも結婚する以外に「幸せをつかむ」道はなかったのである。相手が見つからなければ、相続者となった兄弟の家に厄介者のオールド・スピンスター(昔は「老譲」というすさまじい訳語が当てられていた、オールド・ミスのことだがこれも今や死語?)として肩身の狭い思いで暮らしてゆくしかないのである。

  5人姉妹の下3人はまだ子供だが、長女のジェイン(ロザムンド・パイク)と次女のエリザベスはさすがに落ち着きがある。ジェインはしとやかで控えめな、いかにも長女タイプ。一方エリザベスは自分の考えをしっかりと持ち、はっきりと意見を言う女性。結婚という人生のゴールは変わらないが、とにかく自分の理想にあった人物をじっくり探そうとするところが他の姉妹と違う。当時の倫理的枠組みを踏み越えてはいないが、はっきりとした自覚と意思を持った女性であって、その点が一番の魅力である。映画ではキーラ・ナイトレイの美貌にだいぶ頼ってはいるが、彼女の自由ではつらつとした振る舞いは確かに魅力的だ。

  ダーシーがエリザベスに心を惹かれていると知ったキャサリン夫人(ダーシーの叔母)がものすごい剣幕で怒鳴り込んでくる場面がある。演じるは大女優ジュディ・デンチ。「アイリス」でボケが進んだ晩年のアイリス・マードックを演じ、「ラヴェンダーの咲く庭で」では孫ほどの男性に恋してしまう繊細な老女に扮した彼女が、ここでは一転して威圧感辺りを払う暴君のごとき上流婦人として登場する。頭からエリザベスを見下し散々彼女に圧力をかけてゆくが、エリザベスは一歩も後に引かない。負Artbasya05200waけずにやり返す。ここは原作でもクライマックスのひとつ。自分だけは物事の理非をわきまえていると自信過剰気味で、幾分分別臭いところのあるエリザベスだが(映画ではさほど強調されてはいないが)、この場面では読者・観客全員の共感を得てしまう。権威に屈せず、自分の気持ちを曲げようとしないからだ。エリザベスの面目躍如たる場面だ。

  「エマ」はイギリス映画ではあるが、アメリカ人女優グウィネス・パルトロウをヒロインに据えたためだろう、ほとんどラブ・ロマンスになってしまった。「プライドと偏見」は、その中途半端な邦題から同様の不安を持っていたが、イギリスが徹底した階級社会であり、性のダブル・スタンダードが支配していた社会であることをきちんと描いているため、単なるラブ・ロマンスには堕さなかった。その意味で「エマ」より優れている。一方、ダーシーの描き方に不満が残る分「いつか晴れた日に」には及ばなかった。

  登場人物ばかりではない。イギリスの景観と壮麗な大邸宅も魅力の一部。実際の映像で見せられるのは小説には出来ない映画の長所。パーティでのダンス・シーンなども映像の力を駆使している。映像面ではたっぷり楽しめる。

  古典を映画化する場合、古臭さを嫌って現代ものに置き換えてしまうことがよくある。しかし小説も戯曲も作品の中には時代が反映されている。その時代ならではの苦悩もある。現代劇に置き換えたとたん元の作品が持っていた重要な要素が抜け落ちてしまう。ただ筋だけが似ている魂の抜け落ちたような作品になってしまいがちである。アメリカ版「大いなる遺産」(アルフォンソ・キュアロン監督、97年)はその悲惨な失敗例。デヴィッド・リーン版(47年)に遠く及ばない。ごくまれにシェイクスピア劇などに優れた翻案が生まれることはあるが、よほどの工夫をしなければ大概は失敗に終わる。「いつか晴れた日に」も「エマ」も「プライドと偏見」も無理やり現代版に置き換えようとはしなかった。これはひとつの見識だと思う。

  なお、「プライドと偏見」の原作『高慢と偏見』については「イギリス小説を読む② 『高慢と偏見』」で簡単に紹介しているので、興味のある方はそちらもどうぞ。時代背景などを知る上では「イギリス小説を読む① キー・ワーズ」も多少参考になるかもしれない。また、イギリスでは階級によって話す言葉まで違うことを分かりやすく説明した『不機嫌なメアリー・ポピンズ』(平凡社新書)もイギリス社会を理解する上で絶好の入門書。これは必読。

■ドナルド・サザーランド出演作 おすすめの10本
「コールド・マウンテン」(2003)
「ハッピー・フューネラル」(2001)
「評決の時」(1996)
「JFK」(1991)
「白く乾いた季節」(1989)
「普通の人々」(1980)
「1900年」(1976)
「ジョニーは戦場へ行った」(1971)
「M★A★S★H マッシュ」(1970)
「駆逐艦ベッドフォード作戦」(1965)

■ジュディ・デンチ出演作 おすすめの10本
「プライドと偏見」(2005)
「ラヴェンダーの咲く庭で」(2004)
「アイリス」(2001)
「シッピング・ニュース」(2001)
「ショコラ」(2000)
「ムッソリーニとお茶を」(1999)
「恋に落ちたシェイクスピア」(1998)
「Queen Victoria 至上の愛」(1997)
「ヘンリー五世」(1989)
「眺めのいい部屋」(1986)

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