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2006年5月14日 - 2006年5月20日

2006年5月20日 (土)

これから観たい&おすすめ映画・DVD(06年6月)

  新作公開、DVD発売が集中した5月のあおりか、6月はやや物足りない感じ。特に劇場新作は残り物の感あり。一方、DVDの方はいよいよ「ALWAYS三丁目の夕日」、「天空の草原のナンサ」が発売に。「白い家の少女」は未見だが、「タクシー・ドライバー」と同じ年に撮られたジョディ・フォスター主演のサスペンス。一見の価値あり。
  個人的にうれしいのはソ連版「ドン・キホーテ」。もう27年も前に「有楽シネマ」で観た。何本もある「ドン・キホーテ」映画の最高傑作。こんなレアものまでDVDになるとは!すごい時代になったものだ。

【新作映画】
5月27日公開
 「ビッグ・リバー」(舩橋淳監督、日・米)
6月3日公開
 「ココシリ」(ルー・チューアン監督、香港・中国)
 「13歳の夏に僕は生まれた」(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督、伊・仏・英)
 「ママが泣いた日」(マイク・バインダー監督、米・独・英)
 「花よりもなほ」(是枝裕和監督、日本)
6月10日公開
 「親密すぎるうちあけ話」(パトリス・ルコント監督、仏)
 「春の日のクマは好きですか?」(ヨン・イ監督、韓国)
 「プルートで朝食を」(ニール・ジョーダン監督、アイルランド・英)
 「インサイド・マン」(スパイク・リー監督、米)
6月17日公開
 「母たちの村」(ウスマン・センベーヌ監督、フランス・セネガル)

【新作DVD】
5月24日
 「白い家の少女」(ニコラス・ジェスネール監督、加・米・仏)
5月26日
 「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(ジェイムズ・マンゴールド監督、米)
 「真夜中のピアニスト」(ジャック・オディアール監督、仏)
 「マダムと奇人と殺人と」(ナディーヌ・モンフィス監督、仏・ベルギー他)
6月2日
 「スタンドアップ」(ニキ・カーロ監督、米) Seascene_4
6月7日
 「スパングリッシュ」(ジェイムズ・L・ブルックス監督、米)
6月9日
 「ミリオンズ」(ダニー・ボイル監督、英米)
 「ロード・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督、米)
 「あおげば尊し」(市川準監督、日本)
 「ALWAYS三丁目の夕日」(山崎貴監督、日本)
6月21日
 「カーテンコール」(佐々部清監督、日本)
6月23日
 「シン・シティ」(ロバート・ロドリゲス監督、米)
 「天空の草原のナンサ」(ビャンバスレン・ダバー監督、モンゴル・独)
 「ある子供」(ジャン・ピエール・ダルデンヌ監督、ベルギー・仏)
 「ノー・ディレクション・ホーム」(マーティン・スコセッシ監督、英米)
 「プライドと偏見」(ジョー・ライト監督、英仏)
6月30日
 「オリバー・ツイスト」(ロマン・ポランスキー監督、英・チェコ他)

【旧作DVD】
5月21日
 「早春二月」(サイ・ティエリ監督、1963年、中国)
5月26日
 「ドン・キホーテ」(グリゴーリー・コージンツェフ監督、1957年、ソ連)
 「レインボウ」(ケン・ラッセル監督、1989年、英)
5月27日
 「蝶採り」(オタール・イオセリアーニ監督、1992年、仏・伊・独)
 「群盗、第七章」(オタール・イオセリアーニ監督、1992年、ロシア他)
6月9日
 「アクメッド王子の冒険」(ロッテ・ライニガー監督、ドイツ)

2006年5月18日 (木)

ゴブリンのこれがおすすめ 12

ロード・ムービー
■おすすめの30本 033798_1
「怒りの葡萄」ジョン・フォード監督、1939・米
「明日に向かって撃て」ジョージ・ロイ・ヒル監督、1969・米
「イージー・ライダー」デニス・ホッパー監督、1969・米
「銀河」ルイス・ブニュエル監督、1969・イタリア・フランス
「真夜中のカーボーイ」ジョン・シュレシンジャー監督、1969・米
「家族」山田洋次監督、1970
「アギーレ/神の怒り」ヴェルナー・ヘルツォーク監督、1972・西独
「スケアクロウ」ジェリー・シャッツバーク監督、1973・米
「さらば冬のカモメ」ハル・アシュビ―監督、1973・米
「ハリーとトント」ポール・マザースキー監督、1974・米
「森浦(サンポ)への道」イ・マニ監督、1975・韓国
「旅芸人の記録」テオ・アンゲロプロス監督、1975・ギリシャ
「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」ハル・アシュビー監督、1976・米
「バウンティフルへの旅」ピーター・マスターソン監督、1985・米
「スタンド・バイ・ミー」ロブ・ライナー監督、1986・米
「春にして君を想う」フリドリック・トール・フリドリクソン監督、1991・アイスランド他
「ラテンアメリカ/光と影の詩」フェルナンド・E・ソラナス監督、1992
「エル・ノルテ 約束の地」グレゴリー・ナヴァ監督、1993・米
「風の丘を越えて/西便制」イム・グォンテク監督、1993・韓国
「ゲット・オン・ザ・バス」スパイク・リー監督、1996・米
「セントラル・ステーション」ヴァルテル・サレス監督、1998・ブラジル
「ストレイト・ストーリー」デイヴィッド・リンチ監督、1999・米仏
「ロード・オブ・ザ・リング三部作」ピーター・ジャクソン監督、2001~3・米
「アバウト・シュミット」アレクサンダー・ペイン監督、2002・米
「モーターサイクル・ダイアリーズ」ヴァルテル・サレス監督、2003・米他
「サイドウェイ」アレクサンダー・ペイン監督、2004・アメリカ
「アメリカ、家族のいる風景」ヴィム・ヴェンダース監督、2005・米
「トランスアメリカ」ダンカン・タッカー監督、2005・アメリカ
「サン・ジャックへの道」コリーヌ・セロー監督、2005、フランス
「リトル・ミス・サンシャイン」ジョナサン・デイトン他監督、2006・アメリカ

■追加
「世界最速のインディアン」(2005) ロジャー・ドナルドソン監督、ニュージーランド
「トランシルヴァニア」(2006) トニー・ガトリフ監督、フランス
「ダージリン急行」(2007) ウェス・アンダーソン監督、アメリカ
「星の旅人たち」(2010) エミリオ・エステヴェス監督、アメリカ・スペイン
「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(2013) アレクサンダー・ペイン監督、米

■こちらも要チェック(「旅」を含む映画)
「自由を我等に」ルネ・クレール監督、1932・仏
「或る夜の出来事」フランク・キャプラ監督、1934・米
「オズの魔法使い」ヴィクター・フレミング監督、1939・米
「駅馬車」ジョン・フォード監督、1939・米
「八十日間世界一周」マイケル・アンダーソン監督、1956・米
「誓いの休暇」グリゴーリ・チュフライ監督、1959・ソ連
「俺たちに明日はない」アーサー・ペン監督、1967・米
「脱走山脈」マイケル・ウィナー監督、1968・米
「ペーパー・ムーン」ピーター・ボグダノビッチ監督、1973・米
「幸福の黄色いハンカチ」山田洋次監督、1977
「地獄の黙示録」フランシス・フォード・コッポラ監督、1979・米
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」ジム・ジャームッシュ監督、1984・米
「ダウン・バイ・ロー」ジム・ジャームッシュ監督、1986・米
「旅人<ナグネ>は休まない」イ・チャンホ監督、1987・韓国
「レインマン」バリー・レビンソン監督、1988・米
「旅する女/シャーリー・ヴァレンタイン」ルイス・ギルバート監督、1989・米
「ジャーニー・オブ・ホープ」クサヴァー・コラー監督、1990・スイス
「ユリシーズの瞳」テオ・アンゲロプロス監督、1995・伊・仏・ギリシャ
「遥かなる帰郷」フランチェスコ・ロージ監督、1996・伊・仏・独・スイス
「ニノの空」マニュエル・ポワリエ監督、1997・仏
「キャラバン」エリック・ヴァリ監督、1999・ネパール
「遥かなるクルディスタン」イエスィム・ウスタオウル監督、1999トルコ他
「山の郵便配達」フォ・ジェンチイ監督、1999・中国
「あの子を探して」チャン・イーモウ監督、2000・中国
「アメリカン・ラプソディー」エヴァ・ガルドス監督、2001・米
「カンダハール」モフセン・マフマルバフ監督、2001・イラン
「裸足の1500マイル」フィリップ・ノイス監督、2002・オーストラリア
「リアリズムの宿」山下敦弘監督、2004年・日本
「ロード88」中村幻児監督、2004・日本
「ランド・オブ・プレンティ」ヴィム・ヴェンダース監督、2004・米独
「ラスト・マップ/真実を探して」ジョーダン・ロバーツ監督、2004・米
「ブロークン・フラワーズ」ジム・ジャームッシュ監督、2005年、米
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」トミー・リー・ジョーンズ監督、2006・米
「長い散歩」奥田瑛二監督、2006年、日本
「長江哀歌」ジャ・ジャンクー監督、2006年・中国
「迷子の警察音楽隊」エラン・コリリン監督、2007年・イスラエル・仏
「バビロンの陽光」(2010、モハメド・アルダラジー監督、イラク・英・仏・他)

■気になる未見作品
「都会のアリス」ヴィム・ヴェンダース監督、1973・西独
「さすらいの二人」ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1975・米
「まわり道」ヴィム・ヴェンダース監督、1975・西独
「さすらい」ヴィム・ヴェンダース監督、1976・西独
「自由はパラダイス」セルゲイ・ボドロフ監督、1988・ソ連
「少年、機関車に乗る」バフティヤル・フドイナザーロフ監督、1991・タジキスタン
「プリシラ」ステファン・エリオット監督、1994・オーストラリア
「世界の始まりへの旅」マノエル・デ・オリヴェイラ監督、1997・ポルトガル・仏

  「ロード・ムービー」の定義は難しい。僕のイメージでは「ハリーとトント」や「ストレイト・ストーリー」や「モーターサイクル・ダイアリーズ」のようなタイプの映画である。具体的には、一人から数人が旅に出て、旅先で出会った出来事や人とのふれあいを描く映画というイメージだ。時には途中で同伴者ができることもある。アメリカ文学によく登場する ”hobo” と呼ばれる人たちがいる。「仕事を探しながら列車に乗って各地を転々と旅する人たち」を意味する言葉である。根無し草の生活だが、文学の世界などでは自由な生き方の象徴のように描かれることが多い。有名なジャック・ケルアックの『路上』などにもこの精神が受け継がれている。

  恐らく「ロード・ムービー」もその精神を引き継いでいるものと思われる。60年代のアメリカン・ニューシネマの頃に盛んに作られるようになった。「真夜中のカーボーイ」、「明日に向かって撃て」、「イージー・ライダー」、「スケアクロウ」などがその代表作である。”hobo” のイメージで言えば、「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」あたりがぴったりとくる。ここでは「ロード・ムービー」をもっと広い意味で捉え、「旅」を重要な要素として含んでいる映画も含めて選んでみた。ビング・クロスビーとボブ・ホープの「珍道中」シリーズや日本の「寅さん」シリーズもこの範疇に入るだろうが、シリーズものは省いた。

2006年5月17日 (水)

ニワトリはハダシだ

2003年 日本 2004年11月公開 043205_1
監督:森崎東
脚本:森崎東、近藤昭二
撮影:浜田毅
音楽:宇崎竜童
音楽プロデューサー:佐々木次彦
出演:原田芳雄、肘井美佳、浜上竜也、倍賞美津子
    守山玲愛、加瀬亮、塩見三省、余貴美子
    石橋蓮司、岸部一徳、笑福亭松之助、柄本明

  これまで森崎東監督の作品は「男はつらいよ フーテンの寅」(1970)と「女咲かせます」(1987)の2本しか観ていなかった。「ニワトリはハダシだ」が3本目となる。『キネマ旬報』の2004年ベストテンで8位にランクされた作品なので前から気になっていたが、ようやく今年の3月末にDVD化された。

  様々な社会問題を取り込みながら全体としてコメディに仕立て上げている。かなりの力業である。深刻なテーマをコメディ・タッチで描くという作風は「この素晴らしき世界」「ライフ・イズ・ミラクル」を連想させるが、印象はだいぶ違う。出来もかなり落ちる。庶民的感覚があふれているところや、登場人物たちが真剣に走り回っているのだがどこかこっけいだという作りは「ライフ・イズ・ミラクル」に似ている。ではどこが違うのか。「ライフ・イズ・ミラクル」が戦争という「状態」を背景に主人公たちの人間模様を描いているのに対し、「ニワトリはハダシだ」は検察と警察がからむ汚職事件がメインのストーリーを形成しており、それを中心に展開してゆく。「ライフ・イズ・ミラクル」では戦争は間接的にしか描かれない。その分登場人物たちの人間関係を十分描けた。「ニワトリはハダシだ」ではメインの汚職事件に加えて、さらに警察や検察内の体制派・反体制派の確執、警察と暴力団の癒着、知的障害者の問題(冤罪も含む)、在日コリアンの問題、外国人労働者などの問題が絡み合っている。さまざまな問題が絡み合うメインのストーリーと交錯するようにして家族の絆(夫婦、親子)というテーマが展開されている。正直言って、あまりに内容を盛り込みすぎて消化不良になっていると言わざるを得ない。ごった煮状態になってしまった分、それぞれの問題の追求も家族のテーマの掘り下げもみな中途半端になってしまった。

  「ライフ・イズ・ミラクル」もさまざまな要素(ブラック・ユーモア、皮肉、辛辣さ、隠喩や寓意、不条理さ、寓話性とメルヘン、等々)がごった煮的にぶち込まれている。だがテーマ自体は単純であり、それをさまざまな角度や味付けで描いた。だから一貫したストーリー展開など捨てているが、そこには人生があふれかえっていた。「ニワトリはハダシだ」では問題を沢山抱え込みすぎている上に、警察とやくざと主人公の家族が追いかけっこをするというストーリーが展開の中心にあるため、めまぐるしいドタバタ的展開に追われてそれぞれの踏み込みが浅いという印象を受けるのである。勇壮な火祭り、吉原万灯篭などの観光的な映像までこれでもかと盛り込まれているのだが、ただ背景の風物として描かれているだけでテーマとは何の関係もない。

  挑戦的かつ大胆なテーマとか現代社会が抱えるタブーへの切り込みが評価されてきた森崎監督だが、その割には「ニワトリはハダシだ」の切り込みの深さをほめる人はあまりいない。在日コリアンの問題などちょっと触れられた程度で、「GO」や「チルソクの夏」「パッチギ!」などとは比べるべくもない。賄賂事件そのものもテレビドラマに出てくる程度のもので、いわばお決まりのパターンの域を出ない。しかも真相は最初から見えているようなものなので、やくざと主人公たちのドタバタ調追いかけっこが焦点になってしまう。中心となる親子のドラマもそのせいで薄められてしまっていることは否めない。だから、この映画をほめる人でも、むしろそこで展開されるドタバタの生み出すエネルギッシュな活力、痛快さ、ユーモアあふれる人間的な温かみ、ちょい役ながら次々と出てくる大物俳優の強烈な印象を与える個性の強さや新人俳優たちのさわやかさをほめている。

  要するに、別に汚職事件でなくても良かったのだ。庶民のヴァイタリティーと温かさを笑いとエネルギーを交えて描きたかったということだろう。その点では「ライフ・イズ・ミラクル」にも通じるものがある。舞台となった舞鶴の海の美しさ、田舎らしいのどかな風景も共通するものがある。都会派のスマートなコメディではない。

  「ライフ・イズ・ミラクル」と「ニワトリはハダシだ」のもうひとつの共通点は、ともに子供を奪われた親が子供を取り戻そうと努力する点だ。もっとも前者の場合は息子と引き換えにする敵側の女性捕虜と父親が恋愛関係になってしまうという展開になる。後者の場合はむしろ親子愛、ないしは家族愛がテーマになる。前者の場合は戦争のさなかに、それも息子が敵側の捕虜になっているというのに、親父が能天気に恋愛にふけっているという力の抜けようが戦争を無力化し、笑いを生んでいた。たとえ戦争が迫っていようが、彼らは力強く人生を楽しんでいたのである。後者はドタバタ調ながら息子サム(浜上竜也)を救おうと必死で走り回るチチ(原田芳雄)とハハ(倍賞美津子)、そして養護学校の直子先生(肘井美Photo 佳)の姿に惹かれる。中途半端な汚職問題に比べればこの部分は確かによくできている。おたおたすることなく、警察だろうがやくざだろうがひるまず立ち向かう。この部分はハードボイルドなタッチも入り込んでいて、ハハが包丁を差し出してやくざに立ち向かうシーンも出てくる。ただ展開のめまぐるしさに追われて、じっくりと家族愛が描けていないところが物足りない。原田芳雄と倍賞美津子という存在感のある役者を使っていい味を出しているのだが、どうも散漫になっている。「ライフ・イズ・ミラクル」のように、様々な要素が重複的にメイン・テーマを補強しているという展開ではない。

  印象的なシーンはいくつもある。サムを匿うために渡った島の平和なたたずまい、そこで語られたチチとハハの結婚した時のエピソード。在日であるハハが「チョンでもええのん?」と心配して聞くと、チチは「あほう。何人だって構へん、ニワトシはハダシじゃー!」と答えたという。海から上がって濡れて震えている夫の体を自分のスカートで拭きながら、「ニワトリはハダシ、ええ文句や、バタバタせんとドーンと構えときなはれ」と励ます。なかなかいいエピソードだ。

  直子先生の母が娘を励まして言う「布袋さんはな、時々知恵の薄い人のふりをしてこの世に出てきはるねん」というせりふも印象に残る。聞いているわれわれは自然と知的障害を持つサムに布袋さんのイメージをかぶせる。ここには庶民的な知恵がうまく取り入れられている。「親方日の丸が無くならない限り、この国からいじめは無くならない」というお定まりのせりふよりずっと気が利いている。

  この作品が放つインパクトは役者たちの力量に負うところが大きい。「美しい夏、キリシマ」や「父と暮らせば」 などに引き続いて観た原田芳雄はさすがの存在感。別居中の妻を演じた倍賞美津子もいい(森崎東監督の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」〔未見〕でも原田芳雄とコンビを組んでいた)。石橋蓮司、余貴美子、岸辺一徳、柄本明、笑福亭松之助(暴力団組長役がはまること)などのベテランたちもしっかり脇を支えている。だが、出色だったのは直子先生を演じた肘井美佳。この作品がデビューであるが、いきなり出だしから養護学校の生徒たちに囲まれてコサック・ダンスを披露して一気に観客をひきつけてしまう。張り切りすぎて何度もひっくり返ったりするところがまたご愛嬌。田中美佐子そっくりの顔で、目が印象的。まじないと称して寄り目にしたり、くるくると回してみたり、大粒の涙を浮かべてみたり、とにかく目が雄弁だ。そして何といっても、その目に宿るひたむきさがいい。この映画の後さほど活躍していないのは残念だ。

  サムを演じた浜上竜也は曲者ぞろいの大人たちに囲まれてどうしても印象は薄いが、唸りを上げて相手をにらみつけるときの噛み付かんばかりの目つきがすごい。なかなか自然に演じていて好感が持てる。妹のチャルこと千春役の守山玲愛もまたなんともかわいい。サムは障害を持っているという設定だが、記憶力が抜群なのを除けば一見普通の子供に見える。それはあまりリアルに演じすぎるとかえって差別感が助長されるとの判断が森崎監督にあったからだ。彼は「アイ・アム・サム」を観て始まって10分で嫌になってしまったとインタビューで語っている。だからサムを演じる浜上竜也に森﨑監督は「素でいい」と言ったそうである。障害者の描き方を考える上で実に興味深いエピソ-ドだ(名前が同じサムであることに何か含意があるのだろうか?)。

  「ニワトリはハダシだ」というタイトルは、監督によれば、東北に古くから伝わる民謡「おこさ節」の一節にある言葉だそうである。「当たり前のことが当たり前でなくなってきていることへの違和感」をこめてタイトルにしたとのこと。しかしいろいろな意味をこめているようだ。最初に出てきたときは、初めて潜水をするサムの不安を吹き飛ばす意味で、舟をこぐ時に掛け声に使っていた。冬でもハダシでいるニワトリを思えばこんなことはどうってことないという意味だろう。妻のチンジャに言ったときも「わかりきったことを聞くな。お前が朝鮮人だろうと俺はそんなことどうでもいい」という意味で使っている。京都府の舞鶴は終戦直後の大陸からの引き揚げ者を迎えた港として有名だが、かつての軍港だから今でも在日コリアンや外国人労働者が多く住んでいるそうだ。舞台設定としてはぴったりである。そういえば、汚職事件の鍵を握るベンツを盗んで、外国に売り飛ばそうとしていた外国人窃盗団なども出てきた。

  「レインマン」、「アイ・アム・サム」あるいは韓国映画「オアシス」など知的障害者を扱った外国映画は結構あるが、日本ではかなり微妙な問題だ。森崎監督はある知的障害児の母親が言った「この子を隠そうとは思わない。むしろ、うちの子は面白いんだって見せて回りたいぐらい」っていう言葉に突き動かされたとインタビューで語っている。そこから構想が膨らみ、サムが警察に犯人扱いされるストーリーを考え出したそうである。実際、知的障害者が警察の思い込み捜査で冤罪になった実例は少なくないのである。森崎監督は自らの作品を悲劇でも喜劇でもない「怒劇」と呼んでいるが、確かにこの映画にはヒューマンな要素やコミカルな要素に怒りが混じっている。しかし社会批判としては成功しているとはいえない。また、権力を笑い飛ばすにも汚職事件ではありきたりすぎる。結局社会的に弱い立場の人間の喜びや悲しみをヒューマンに描いたところが一番印象に残る。そんな映画である。

2006年5月14日 (日)

ゴブリンのこれがおすすめ 11

女性ヴォーカルを楽しむ 2

 こちらは好きなジャンルが多いのですが、何せあまり中古市場に出回るものが少ないので、ジャンル毎の数は多くありません。特にジャズが少ないのは残念。点数をつける前のものが多くて・・・。何しろ買ってまだ聞いていないCDがそれだけで50枚以上あるという有様です。永遠にこれが続いたら、同じCDを2回以上聞くのは滅多にないことになります。買いすぎるのも考え物ですね。特にブログを始めてからは、本を読む時間とともに音楽を聴く時間がめっきり減りました。

ブリティッシュ・トラッド&フォーク系
サンディ・デニー「サンディ・デニー&ストローブス」
    〃     「ザ・ベスト・オブ・サンディ・デニー」

アイリッシュ&ケルト系  
エリン・オドネル「ア・スクラップブック・オブ・ソーツ」
エレノア・マックヴォイ「ホワッツ・フォロイング・ミー?」
ケイト・セント・ジョン「夜のいたずら」
ケルティック・ウーマン「ケルティック・ウーマン」
ザ・コアーズ「トーク・オン・コーナーズ」
    〃  「遥かなる想い」  Angel1l
シイラ・ウォルシュ「ホープ」  
シニード・オコナー「生きる力」
メアリー・ブラック 「ルッキング・バック」
     〃    「サーカス」
     〃    「メアリー・ブラック・コレクティッド」
     〃    「スピーキング・ウィズ・ジ・エンジェル」  
     〃    「ノー・フロンティアーズ」
モイア・ブレナン「ミスティ・アイド・アドベンチャーズ」
    〃    「モイア」  
モーラ・オコンネル「ワンダリング・ホーム」  
ロリーナ・マッケニット「パラレル・ドリームス」
      〃      「マスク・アンド・ミラー」
VA「ケルティック・ウーマン」  
VA「ケルティック・シスターズ」

ゴスペル系
マヘリア・ジャクソン「サンデー・モーニング・プレイヤー・ミーティング」

北欧系
アバ「アバ・ゴールド」
アンヌ・ドゥールト・ミキルセン「アンヌ・ドゥールト・ミキルセン」  
Annette Lindwall 「Silent Voices」
ヴァルティナ「コッコ」
   〃   「イキ」
ジェニファー・ブラウン「ギヴィング・ユー・ザ・ベスト」
シセル・シェルシェブー「アメイジング・グレース」
      〃       「ギフト・オブ・ラヴ」
      〃       「心のままに」
      〃       「ザ・ベスト・オブ」  
      〃      「オール・グッド・シングズ」
ジャスミン「イエス」  
ジュエル「心のかけら」
シリエ「ブレベット」  
セリア「カウ・オン・ザ・ハイウェイ」  
ソフィー・セルマーニ「ソフィー・セルマーニ」  
     〃      「プレシャス・バーデン」
dido「ライフ・フォー・レント」  
ネイミー・コールマン「ネイミー・コールマン」
バーシア「スウィーテスト・イリュージョン」  
マリア・モンテール「ディ・ダ・ディ」  
メイア 「セブン・シスターズ」
 〃 「メイア」  
リサ・エクダール「緑の妖精」
ルトリシア・マクニール「ワッチャ・ビーン・ドゥーイング」
      〃      「マイ・サイド・オブ・タウン」
      〃      「メトロプレックス」

アジア系  
アイ・ジン「わたしの1997」  
ヴィヴィアン・チョウ「純愛伝説」  
フェイ・ウォン「十万回のなぜ」

ヨーロッパ系  
ENZO ENZO「ル・ポワゾン」
カーラ・ブルーニ「ケルカン・マ・ディ」  
スザンヌ・ヴェガ「孤独」  
ドゥルス・ポンテス「ラグリマス」
パトリシア・カース「ランデ・ヴー」
     〃    「ダン・マ・シェール」  Greenearth1
     〃    「永遠に愛する人へ」
ハリス・アレクシーウ「ネフェリス通りにて」  
プリンセッサ「プリンセッサ」
マドレデウス「アンソロジー」
   〃   「海と旋律」
   〃   「ライブ・イン・リスボン」

ラテン系  
エスピリトゥ「オールウェイズ」
ガブリエラ・アンダース「ウォンティング」
サンディ・カンドゥ「ナイス・トゥ・ミート・ヤ!」  
ナラ・レオン「あこがれ」
ベレーザ「セブン・デイズ」

コンピレーション  
「リリス・フェア」  
「リリス・フェア2」
「WOMAN6」

ジャズ系
エラ・フィッツジェラルド「エラ・イン・ベルリン」
ケイコ・リー「ローマからの手紙」
サラ・ヴォーン「アフター・アワーズ」
ステイシー・ケント「ドリームズヴィル」
セシリア・ノービー「マイ・コーナー・オブ・ザ・スカイ」
ダイアナ・クラール「ラヴ・シーンズ」
ダイアン・シューア「ベスト・オブ」
ディー・ディー・ブリッジウォーター「シングズ・デューク・エリントン」
ニーナ・シモン「ニーナとピアノ」
ニーナ・フリーロン「リッスン」
    〃     「テイルズ・オブ・ワンダー」
パティ・ラベル「ベスト・オブ」
ラシェル・フェレル「デビュー!」

日本  
稲葉喜美子「倖せの隣」  
今井美樹「アイヴォリーⅡ」
   〃  「PRIDE」
   〃  「ブルーミング・アイヴォリー」
   〃  「太陽とヘミングウェイ」  
上田知華「I Will」  
大貫妙子「ピュア・アコースティック」  
小谷美沙子「i」
   〃   「PROFILE」  
鬼束ちひろ「インソムニア」
   〃   「This Armor」
神谷千尋「ティンジャーラ」  
キロロ 「長い間~キロロの森」
  〃  「キロロのうた」  
木村カエラ「KAELA」  
  〃   「circle」
クラムボン「ドラマティック」
Cocco「サングローズ」
 〃  「クムイウタ」
SAKURA「シシラ」
   〃   「ラバー・ライト」  
沢田知可子「マチュア・ヴォイス」  
白鳥英美子「グレース」
   〃    「彩り」
   〃    「アメイジング・グレイス」  Fuwa_heart1
竹内まりや「スーベニール」
   〃  「ヴァラエティ」
   〃  「クワイエット・ライフ」
   〃  「リコレクション」  
橘いずみ「どんなに打ちのめされても」  
ドリームズ・カム・トゥルー「ラブ・ゴーズ・オン」
        〃      「ザ・モンスター」
        〃      「モンキー・ガール・オデッセイ」
        〃      「ベスト」  
        〃      「THE LOVE ROCKS」
中島みゆき「ベスト・セレクション 16」  
夏川りみ「ファムレウタ」  
  〃  「てぃだ~太陽」
ネーネーズ「オキナワ」  
元ちとせ「ハイヌミカゼ」
   〃 「ノマド・ソウル」  
   〃 「ハナダイロ」
橋本一子「ターンド・パースペクティヴ」  
畠山美由紀「Diving into your mind」
林明日香「咲」
一青窈「月点心」
  〃 「&」  
平原綾香「From To」
   〃  「ODYSSEY」
ボニー・ピンク「ヘブンズ・キッチン」  
   〃    「REMINISCENCE」
松任谷由実「悲しいほどお天気」
   〃    「ひこうき雲」   
   〃   「ノイエ・ムジーク」
松本英子「Seasons」
MISIA「ラブ・イズ・ザ・メッセージ」  
美雪「フォトランダム」  
森山良子「カルヴァドスの風」
   〃 「ベスト・コレクション」  
矢井田瞳「キャンドライズ」
   〃  「シングル・コレクション」
   〃  「ダイヤモンド」  
   〃  「ヒア・トゥデイ、ゴーン・トゥマロウ」
山根麻衣「ベスト」  
又紀仁美「キス・イン・ザ・レイン」  
吉田美奈子「ステイブル」
吉野千代乃「モンタージュ」
   〃   「レイン・バラード」  
ラブ・サイケデリコ「ラブ・サイケデリック・オーケストラ」
     〃     「ザ・グレイテスト・ヒッツ」

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