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2006年12月31日 (日)

ジャスミンの花開く

2004年 中国 2006年6月公開 Mado_renga_g
評価:★★★☆
原題:茉莉花開
監督:ホウ・ヨン
脚本:ホウ・ヨン、ツァン・シャン
撮影:ヤオ・シャオファン
出演:チャン・ツィイー、ジョアン・チェン、チアン・ウェン
   ルー・イー、リィウ・イェ

 長年映画を観ていると観る前から大体どんな映画か見当がついてくるものである。もちろん予想とかなり違うことも少なくないが、この映画はほぼ予想通りの映画だった。一言で言えばチャン・ツィイーの魅力をたっぷりお見せしますよという映画。チョン・ジヒョン主演の「僕の彼女を紹介します」と同じタイプ。3部構成になっているが、特に第1章ではチャン・ツィイーのかわいらしさが強調され、キャメラがなめるように彼女の体を映し出す。チャイナドレス独特のスリットからのぞく足がやけに何度も映されるのだ。確かにサービス満点。だが、かわいらしさといっても「初恋のきた道」の時の初々しさはさすがにない。かといって大人の女の色気もさほどはない。僕としてはもっと別のサービス、つまりきちんとしたドラマが見たいのだが、女優を見せるための映画だからドラマに厚みはない。チャン・ツィイーが3役、ジョアン・チェンが2役を演じてそれなりに頑張ってはいるのだが、いかんせんドラマ自体が痩せていたのでは凡庸な作品にとどまらざるを得ない。どうも全体にただ原作のストーリーを追っているだけという印象なのだ。だからドラマにあまり味わいがない。

 ドラマの設定自体は決して悪くないと思う。“ジャスミン”にあたる中国語“茉莉花”を三つに分解し、茉(モー)、莉(リー)、花(ホア)という3人の女性の名前に当てている。茉(モー)の物語は電影黄金時代だった1930年代。時代背景として日本軍の侵攻が描かれている。莉(リー)の物語は1950年代から60年代にかけて。後半は文革期に差し掛かっているようだ。花(ホア)の物語は1980年代に設定されている。監督のホウ・ヨンは「初恋の来た道」、「至福のとき」の撮影監督だった人なので、かなり色彩を意識している。茉(モー)の物語は緑、莉(リー)の物語は赤、花(ホア)の物語は青で統一している。一番視覚的に分かるのは服の色。それぞれのヒロインが着る服の色がはっきり色分けされている。ややこしい構成なので最初に分かりやすく各章の登場人物をまとめておこう。

第1章 1930年代
  母(ジョアン・チェン)、茉(チャン・ツィイー)、茉の愛人(チアン・ウェン)
第2章 1950年代から60年代
 茉(ジョアン・チェン)、莉(チャン・ツィイー)、莉の夫(ルー・イー)
第3章 1980年代
 茉(ジョアン・チェン)、花(チャン・ツィイー)、花の夫(リィウ・イェ)

 ほぼ50年にわたる女系家族の物語だが、ユダヤ人一族を3世代にわたって描いたイシュトヴァン・サボー監督「太陽の雫」のような雄大さは感じない。なぜなら歴史的背景が文字通り「背景」にとどまっており、物語の展開にほとんど絡んでいないからである。第1章の茉(モー)の物語に出てくる日本軍の侵攻は、茉のパトロンである映画会社社長(チアン・ウェン)が会社を放り出して香港に脱出するきっかけに使われているに過ぎない。第2章では莉(リー)の夫が共産党員だったために、莉やかつて映画スターになり損ねた母茉(モー)の「ブルジョア意識」が強調される程度。むしろ子供が埋めない莉の苦悩と姑の嫁いびりが強調されている。第3章では上海の現代的な生活が強調されているが、展開されるのはやはり夫との関係である。つまり歴史は背景に退き、女3代の結婚をめぐるドラマが展開されている。第1章も第2章もその間に何年か時間が経過しているはずだが、さっぱり時間の流れが感じられない。

  歴史が退いた代わりに「運」が強調される。娘が母親似だと言われて茉(モー)が言った「私に似てる?だったら運なんていいもんですか」という言葉が象徴的に使われている。生まれたての莉の額にあるあざを見て茉の母(ジョアン・チェン)は「縁起がいい印だ」と言うが、結局莉は不妊症を苦にして自殺してしまう。では何が「運」を左右しているか。男とのめぐり合わせである。第1章で茉はパトロンの社長に逃げられ捨てられた形になる。彼女の母は愛人を作るが、その愛人が茉に手を出したので、母親は自殺してしまう。第2章では不妊のせいで精神に異常をきたした莉に追い詰められ夫が自殺、莉もあとを追うように自殺(?)する。第3章では離れて暮らす花の夫が浮気して、結局離婚。花は雨の中道端で子供を出産する。

  3人の女(茉の母も含めると4人)は皆男とうまくいかない。人が簡単に死んでゆく。それなのにさっぱり葛藤は描かれない。莉の母で花の祖母(花は養子だが)にあたる茉が娘と孫に「男はね、よく選ばないとダメなのよ。安売りしちゃダメよ」とか「子供は軽々しく産むものじゃないわ。私はそのために一生を誤ったんだから」などと意見をするが、彼女自身スターの卵だった若い頃をいつまでも忘れられない女性である。死ぬ時まで自分の写真が表紙を飾った映画雑誌や映画会社の社長にもらったジャスミンの香水瓶を離さない。娘や孫が家に連れてくる恋人をかつて自分があこがれていた映画スターの名前で呼ぶ。どこか現実離れしている。だから娘にも孫にも彼女の言葉は説得力を持たない。常に母と娘(孫)だけの片親家族、言い換えれば常に父親不在である。娘はいつも浅はかで軽はずみな結婚をしてしまう。莉の夫は真面目な人物だから、必ずしも男運が悪いというわけではない。女の方にも原因があり、様々な要因に流されて不幸な道をたどる。不幸が堂々巡りしている。なんだか誰が振っても同じ目しか出ないいんちきサイコロを振っているようで、説得力に欠ける。ドラマとして緊張感がなく、苦悩も通り一遍である。

 ただ、最後まで悲惨なわけではない。第3部の花も離婚や祖母の死を経験するが、自力で子供を出産した彼女は実家の写真館を出て新しい時代を象徴する高層マンションに移る。土砂降りの中で生まれた娘(また娘だ!)も元気に育っている。ここにわずかな希望が描かれている。ホウ・ヨン監督も「幼かった女性がだんだんと成熟していくという過程を〔原題の〕“開”に込めています」とかたっている。確かに映画スターを夢見た世間知らずの茉や、気が強くて後先のことを考えずに行動する莉に比べると、花は落ち着いた聡明そうな感じの娘である(その象徴としてメガネをかけている)。しかし、彼女の幸福を保証するものは何もない。時代が変わって女性が生きてゆく条件はよくなっただろうが、だからといって高層マンションに引っ越せば幸せになれるわけでもないだろう。あるのは漠然とした希望だけである。何が女性の、あるいは家族の幸福を支えるのかをもっと描かなければ、また「運」に流されるだけである。

 母・祖母役のジョアン・チェンはさすがにうまい。ただドラマそのものに厚みがないので彼女を充分活かしきれてはいない。実家の写真館は建物としても重厚感があって、映画の中でひときわ「存在」を主張していた。時代の変化によって装いを変えている(一時1階を葬儀屋に貸していた)。文革の時代から名前を「紅旗写真館」に変えているところは芸が細かい。その時々に映される家族写真も味わい深い。ラストで花が見る家族の幻想よりもこの歴代の写真を次々に映し出す方が効果的だったのではないかと思った。

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» mini review 07020「ジャスミンの花開く」★★★★★★★☆☆☆ [サーカスな日々]
カテゴリ : ラブ・ストーリー 製作年 : 2004年 製作国 : 中国 時間 : 129分 公開日 : 2006-06-17〜 監督 : ホウ・ヨン 出演 : チャン・ツィイー ジョアン・チェン 姜文 リィウ・イエ ルー・イー 1930年代の上海。写真館の娘、茉は、スカウトされて華やかな女優の世界へ飛び込むが、これからという時に妊娠。父親である孟社長は、日本軍の侵攻とともに香港へ逃げてし... [続きを読む]

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