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2006年8月15日 (火)

帰省中に読んだ本

 12日から郷里の日立に帰省していた。帰省の前日に63年の日本映画「拝啓天皇陛下様」を観ていたが、レビューを書く時間がなかった。この記事はとりあえずのつなぎです。「拝啓天皇陛下様」のレビューは明日かあさってには書き上げる予定。

 行き帰りの電車と実家で2冊本を読んだ(12日に高校の同窓会に出席したほかは、家でゴロゴロして高校野球を見ている毎日だった)。1冊目はピーター・マースの『海底からのTecho_w2 生還』(光文社文庫)。なぜこれを選んだかは説明不要だろう。ドイツ映画「Uボート」を直前に観ていたからだ。あわてて出発したのでじっくり本を選んでいる時間がなく、文庫本の山の中からたまたま目に付いたのを選んだのがこの本だったというしだい。こちらは「Uボート」より数年前(第二次世界大戦勃発直前)のアメリカ海軍の話。アメリカ東海岸の海軍基地ポーツマスから出航したアメリカの新造潜水艦が潜航試験をした際に浸水して海底に沈んでしまった。深度243フィート(74メートル)の海底から生存者33名を全員救出した実話に基づくノンフィクションである。

 映画「Uボート」の場合は自力で何とか浮上できたが、こちらは潜航中になんとエンジンのメイン吸気バルブが開いていたという信じられない原因で沈んだので、船の後ろ半分が水浸しだから浮上は不可能。海上からの救出作戦が展開されることになる。これが想像以上の難作業だった。何しろ沈没した潜水艦から生存者を救助したというのは後にも先にもこのとき以外ない。ほとんど奇跡の救出劇だったのである。

 この本は大きく3つの部分から構成されている。潜水艦内の描写と海上からの救出作業、そして潜水艦の引き上げと原因の究明。この本がユニークなのは、これらメインのストーリーを構成する救出作業に絡めてスウェード・モンセンという非凡な才能を持った男の生涯を描いていることである。海軍中将まで上り詰めた男だが、軍人と言うよりは科学者あるいは発明家といったほうがいい人物だ。ジュール・ヴェルヌの『海底2万哩』にあこがれて海軍に入ったという変わった男。潜水艦乗組員の救助方法に人生のかなりの部分をかけた男。「モンセンの肺」という潜水の時に用いる酸素とヘリウムの混合気体を考え出した男で、これがなければ今日のスキューバ・ダイビングは実用化されなかっただろうといわれる画期的な発明だった。また、「レスキュー・チェンバー」とよばれる釣鐘型の救出装置を考え出した男でもある(ある理由で別の人物の名前が冠せられているが)。このモンセンの肺とレスキュー・チェンバーが実際の救出劇で大活躍する。このレスキュー・チェンバーを海上の船から吊り下ろし潜水艦のハッチに取り付け、潜水艦の乗組員を乗り移らせて海上に運び上げるという方法である。

 後はとにかく実際に読んでいただきたい。救出部分は息をもつがせぬ緊張感でぐいぐい引き付けられる。但し全体としてみれば、ノンフィクションものとしての出来は平均程度である。ジョン・クラカワーの『空へ』、ジョー・シンプソン著『死のクレバス』、アルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』などの傑作と比べるとやはり見劣りすると言わざるをえない。全体に報告書的な記述がめだち、幾分退屈する部分があるからだ。それでも一気に読めるので一読に値すると思う。

 著者のピーター・マースは映画化された「バラキ」や「セルピコ」の原作者であるノンフィクション作家。これを読むまで知らなかった。翻訳者はなんと江畑謙介。あの独特の髪型でおなじみの軍事評論家。翻訳もやってたんですね。

 もう1冊は和田はつ子著『口中医桂助事件帖 花びら葵』(小学館文庫)。これは読もうと思って持っていったものではなく、実家で母親から読んでみてくれと渡されたもの。実は作者が僕の従兄弟の嫁さんなのである。実家に送られてきたそうだ。彼女のことは前にも聞いた事があったが、知らない名前だったのであまり気に留めていなかった。その時にはホラー小説のようなものを書いていると聞いたのだが、どうもこれは時代小説である。どうやら少し手を広げているらしい。読んでみたらこれも一気に読めた。それなりに面白い。

 タイプとしては山本一力の『損料屋喜八郎始末控え』に近い。最近このタイプの時代小説が増えている気がする。共通する特徴は特殊な職業の素人探偵を主役にしていることとミステリー仕立てだということ。山本一力の「損料屋」とは長屋住まいの庶民相手に鍋釜や小銭を貸す職業である。和田はつ子の主人公は江戸時代の歯医者「口中医」。テレビドラマでも家政婦やタクシー・ドライバーなどが探偵役で活躍している。今の流行なのだろう。もう1つ共通する特徴がある。どちらの主人公も表向きとは違う別の姿を持っているということ。しかしそれが何であるかは伏せておこう。『口中医桂助事件帖』はシリーズもので、これが3作目。他にも『藩医 宮坂涼庵』という時代小説がある。

 時代小説は今はやりで、書店にはたくさん並んでいる。かつては戦国武将もの、幕末ものが時代小説の主流だったが、最近は江戸の庶民を主人公にしたものが増えている。藤沢周平などは武家ものと庶民ものを描き分けている。僕の弟なども時代小説にはまっている。これからも当分流行は続くだろうから、その中で注目されるには他にない特徴を持つことが必要だろう。かといって、それまでなかった突飛な職業に就いている主人公を考え出せばいいという単純なものではない。飛びぬけた筆力も必要だし、江戸時代に関する深い知識も必要だ。『口中医桂助事件帖 花びら葵』では紋切り型のせりふがところどころ目だった。もっと書き込むことが必用なのかもしれない。

 帰りの電車では徳田秋声の『あらくれ』(講談社文芸文庫)を少し読んだ。イギリス文学のヒロインの系譜を自分なりに追っているので視野に入ってきた小説である。まだごく最初の部分しか読んでいないので感想は書かない。ただ、先日「浮雲」のレビューを書いたが、その成瀬巳喜男がなんと『あらくれ』を映画化していた。彼のフィルモグラフィーを見ていてわかったのだが、実に興味深い。原作を読み終えたら映画のほうも観てみよう。

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