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2006年7月20日 (木)

シン・シティ

2005年 アメリカ 2005年10月公開
原題:Sin City
監督・脚本:ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー
特別監督:クエンティン・タランティーノ
原作コミック:フランク・ミラー
撮影・編集:ロバート・ロドリゲス
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン
製作:エリザベス・アベラン&ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー
音楽:エリザベス・アベラン&ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー
美術:ジャネット・スコット
特殊効果メイク:K.N.B.エフェクツ・グループ
出演:ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ジェシカ・アルバ
   ベニチオ・デル・トロ、イライジャ・ウッド、ジョシュ・ハートネット
   ブリタニー・マーフィ、デヴォン青木、ロザリオ・ドーソン、ニック・スタール
   マイケル・クラーク・ダンカン、ルトガー・ハウアー、マイケル・マドセン
   ジェイミー・キング、アレクシス・ブレデル、カーラ・グギノ、パワーズ・ブース

  「プライドと偏見」、「ミリオンズ」とイギリス映画を続けて観た後、「ロード・オブ・ウォー」、「シリアナ」、「シン・シティ」と今度はアメリカ映画を続けざまに3本観た。順番としては「シリアナ」のレビューが「シン・シティ」の先に来るのだが、あまりに期待はずれでがっかりしたのでレビューを書く気にもなれない。あんな細切れにしてつなぎ合わせたのではさっぱり状況が理解できない。観客は置いてきぼりだ。ということで、今回取り上げるのは「シン・シティ」。

  最初にロバート・ロドリゲス監督のマイ・ベスト5を挙げておこう。037550
1位「シン・シティ」(2005)
2位「フォー・ルームス」(1995)
3位「デスペラード」(1995)
4位「パラサイト」(1998)
5位「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(1996)

  なぜこの5本かというと、理由は簡単。これだけしか観ていないから。1位は文句なしでしょう。群を抜いている。2位の「フォー・ルームス」はオムニバス。ロドリゲスのパートだけで判断すべきだろうが、パートごとの出来・不出来までは覚えていないので、作品全体で判断した。傑作の一歩手前という出来だったと思う。「デスペラード」はアントニオ・バンデラスが魅力的だった。結構楽しめたので3位。「パラサイト」はエイリアンものとしては平均のでき。観たことすら忘れていて、ネットでDVDのジャケット写真を見て思い出した。イライジャ・ウッドが出ていたが、この頃はまだ無名だった。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」は滅茶苦茶な映画だった。前半はまずまずのサスペンス映画だったが、後半いきなり「スターシップ・トゥルーパーズ」になってしまう。映画館で観たのだが、併映は「12モンキーズ」。2本とも見事にはずれ。お金をドブに捨てたようなものだ。

  「シン・シティ」はロバート・ロドリゲスが放った唯一の傑作。まるで突然変異のように出来がいい。その魅力は何といっても独特のスタイルにある。これだけユニークなスタイルを持ったアメリカ映画を観るのは「メメント」以来だ。いや、スタイルという言葉では弱い。独特の「美学」を感じる。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のレビューで「アニメの動きや味わいを生かしつつ最初から実写として」撮られた映画だと書いた。そういう意味でユニークな成功を収めた映画だった。一方「シン・シティ」はフランク・ミラーの原作(アメリカン・コミックス、要するに漫画)を映像に置き換えたものである。「置き換えた」と書いたのは原作漫画のタッチをそのまま活かしコマ割りまでもかなり忠実に再現しているらしいからだ。フランク・ミラーはこの映画を観るまで名前も知らなかった。絵のタッチからして明らかに劇画調である。「パイレーツ・オブ・カリビアン」がアニメ調実写版なら、こちらは劇画調実写版。アニメ調の前者が当然ファンタジーに向かうように、劇画調の後者はこれまた当然のごとくハード・ボイルド路線に傾く。

  ハード・ボイルドといえばフィルム・ノワール。フィルム・ノワールといえばモノクロのイメージ。さらに一連のイメージがついてくる。怪しい美女と危険な香り。酒とタバコの匂い。怪しい男たちで込み合うけだるい雰囲気のバー。主人公の男はコートを着ていなければならない(もちろん「刑事コロンボ」ではなくハンフリー・ボガートのイメージ)。効果的にさしはさまれるモノローグ。売春婦とアウトロー。犯罪と暴力。血の色と血の香り。男はみな男っぽく、女はみな女っぽい。主人公はドライで苦みばしった渋い男。「女を守る」男の美学。

  「シン・シティ」はこれらの要素をほとんど全部兼ね備えている。全編モノクロで渋い男とセクシーな美女のオンパレード。男のコートが風にひらめくシーンがやけに目立つ。酒とタバコと血と暴力。男はみな女のために命を投げ出す。

  「スーパーマン」、「バットマン」、「スパイダーマン」、「超人ハルク」、「X-MEN」、「メン・イン・ブラック」、「ファンタスティック・フォー」等々。アメコミの映画化作品というとお子様向けのしょうもない作品ばかり連想されるが、「シン・シティ」がこれらの映画と比べてひときわ際立っているのはダークで渋い大人の世界を描いているからである。そしてその大人の世界を表現するのにあえて用いたモノクロの映像がまた効果的なのだ。全体に暗いトーンなのだが、明暗のコントラストが鮮明である。陰影の施し方が実にうまい。映像がスタイリッシュなので視覚的に先鋭である。そしてモノクロを基本にしながら女性の輝くブロンドの髪や真っ赤なドレスや口紅、真っ赤なハート型のベッド、青い瞳の色、イエロー・バスタードの不気味な黄色い肌などを部分的に色付けした色使いが独特である。モノクロの色合い自体も昔の白黒フィルムとは鮮やかさが違う。カラーで撮った映像をモノクロに加工した感じの色合いである。黒がコールタールで塗ったようなべっとりとした黒色なのである。その分白が引き立つ。実にうまい。映像感覚に美学を感じる。

Moon1   白黒画面にパートカラーを挿入すること自体は珍しくない。「シンドラーのリスト」の赤い服、「天国と地獄」のピンク色の煙、白黒の世界からカラーの世界に変わってゆく過程が面白い「カラー・オブ・ハート」、イギリス映画の名作「天国への階段」では天国は白黒、地上はカラーに色分けされている。「ランブル・フィッシュ」や「5時から7時までのクレオ」にもワンポイントでパートカラーが出てくる。様々な試みがなされてきたが、「シン・シティ」は色使いという点では文字通り出色である。かなりの残酷描写も出てくるが、生々しい血の色ではないのでスプラッターのようになってしまうのを抑える効果もある。

  キャラクターがまたよくできている。モノクロの映像とキャラクターの設定の妙、この映画の成功を支えているのはこの二つだと言ってよい。主人公の中年3人組、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ブルース・ウィリスがそれぞれ違う味を出している。この3人をそれぞれ主人公にした3つの話からなるオムニバス構成だが、観ていて混乱することはない。構成もよく練られている。

  3人の中で一番インパクトがあったのはミッキー・ローク。特殊メイクを施して超人ハルクを思わせる「不死身」の大男に変身。顔はどちらかというとフランケンシュタインに近い。銃で撃たれても車に轢かれても平気。ブルース・ウィリスは強靭さよりも中年の渋さ、衰え行く中年の悲哀(心臓に爆弾を抱えている)が強調されている。クライヴ・オーウェンはこの中では一番地味。最初に登場したときの間男のような間の抜けた印象がしばらく尾を引くが、オールド・タウンに場所を移してからはどんどん頼もしくなってゆく。もっともオールド・タウンでは女が主役。銃を持って男どもに立ち向かう勇姿がまぶしい。二刀流でスパスパ人を切り倒すデボン青木が中でも目を引く。このあたりの立ち回りはまるっきり「キル・ビル」の世界。タランティーノのノリだ。「旅するジーンズと16歳の夏」のアレクシス・ブレーデルが出ているのには驚いた。今一つ彼女らしさが出ていない役柄が残念。

  一方の悪党どもも個性派ぞろい。有力者を親に持つ殺人鬼ニック・スタール、最初と最後に出てくる殺人鬼ジョシュ・ハートネット、メガネだけが不気味に光るイライジャ・ウッド。殺人鬼3人組はみな若い(ニック・スタールは後半醜い太鼓腹のイエロー・バスタードに変身してしまうが)。もちろん悪党にだって中年はいる。特殊メイクで一回り顔がでかくなった感じのベニチオ・デル・トロ、悪の枢機卿を演じた凄みのあるルトガー・ハウアー、片目が金色のマイケル・クラーク・ダンカン、ブルース・ウィリスを裏切る相棒マイケル・マドセン。いやはや皆個性的だ。

  これらの男たちに比べると女性陣はデボン青木を除いて若干個性に欠ける。それでもジェシカ・アルバ、ジェイミー・キング、ブリタニー・マーフィ、アレクシス・ブレデルと、これだけ豪華に美女をそろえれば壮観だ。ジェシカ・アルバは「ダーク・エンジェル」の頃とは少し顔が変わった気がする。なんだか個性のない顔になってしまった。相変わらず美人ではあるが。

  とにかくこれだけの豪華キャストがモノクロ画面で絡み合うのだから何とも贅沢な映画だ。しかし不満もある。いくつかのレビューを読んでいてびっくりする事実に気づいた。マーヴとハーティガンが最後に死んでしまうとある。えっ、そうだったっけ?そんなことはまったく忘れていた。二人が死ぬ場面はどうしても思い出せない。観て2、3日で忘れてしまうとは!つまり、ストーリーが弱いのだ。凝った映像とあくの強いキャラクターを描くことに主眼があって、ストーリー展開は観て数日で忘れてしまう程度のものなのである。テクニック的には斬新だが、ストーリーにはあまり新しい工夫や新鮮味を感じられない。映像には美学を感じたが、描かれた「男の美学」は古風といえば古風だ。原作者がかつてのクライム・ノヴェルやフィルム・ノワールに強いこだわりを持っているのだろう。今観ると逆に新鮮に感じる人もいるかも知れないが。オールド・タウンの鉄火肌姉ちゃんたちが出ては来るが、女に男のような戦闘性を持たせただけという感じは否めない。その辺がやや物足りない。まあ、エンターテインメントだからあまりうるさいことを言うこともないか。

  最後にタイトルについて一言。「シン・シティ」というのはもちろん正式な名前ではない。正式にはベイシン・シティ(Basin City)。実際ベイシン・シティという呼び方が何度も使われていた(ベイシンとは「洗面器、たらい」という意味)。しかし、おそらく「シン・シティ」こそ犯罪者があふれた退廃的なこの街に似つかわしい名前だと考えたいたずら者がいたのだろう。ベイシン・シティと書かれた標識のベイが消されて「シン・シティ」になっていた。確かにこの街の名前としては「罪深き町」の方がお似合いだ。

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コメント

 カゴメさん TB&コメントありがとうございます。
 いつもながらしっかりと記事を読んでいただいて感謝です。本格的なフィルム・ノワールが絶えて久しいのですが、時々思い出したように見事なノワール・タッチを持った作品が現れます。これもそんな1本でした。
 フィルム・ノワールはアメリカものよりもフランスもののほうが好きですね。人物描写の厚みが違う気がします。「シン・シティ」はキャラクターをかなり濃厚に描いていますがやはりタッチはアメリカ的です。2作目はどんな作風になるのか楽しみです。

返礼TBが遅くなり、済みませんでした♪

>併映は「12モンキーズ」。2本とも見事にはずれ。お金をドブに捨てたようなものだ。

カゴメも「12モンキーズ」にはいささかガッカリしたですよ。

>「パイレーツ・オブ・カリビアン」がアニメ調実写版なら、こちらは劇画調実写版。

「こんなショボイ作品になるなら、原作のコマ割りそのままで実写化して欲しいわい…」
と、思ってしまう事が度々ありましたが、
よーやっとやってくれた作品が出て来て嬉しいですね。
(ただし、この原作は全然読んだことがないけど。涙)

>黒がコールタールで塗ったようなべっとりとした黒色なのである。その分白が引き立つ。実にうまい。映像感覚に美学を感じる。

あんなビビッドな光沢が出るなんて、初めて知りましたよ。
何とも惹き付けられる艶やかさでした。

>「旅するジーンズと16歳の夏」のアレクシス・ブレーデルが出ているのには驚いた。今一つ彼女らしさが出ていない役柄が残念。

噂には聞いてましたが、まさかあんな邪な役所とは(苦笑)。
多分、若い内に芸の幅を広げて、という事なんでしょうけど…。

>観て2、3日で忘れてしまうとは!つまり、ストーリーが弱いのだ。凝った映像とあくの強いキャラクターを描くことに主眼があって、ストーリー展開は観て数日で忘れてしまう程度のものなのである。

その代り、物凄~く脳裏に焼き付くカットが幾つか残りますね。
ま、それだけを専一に企んだ作品なのかも知れません。

kimion20002000さん コメントありがとうございます。
 いまから次回作が楽しみです。でも期待する一方で、次はどんな映像になるのか心配もあります。同じ手では飽きてくるだろうし、かといってそうそうあっと驚く新手法というのも編み出せないでしょう。どういう手で来るのでしょうか。

こんにちは。
僕も、ニタニタしながら、DVDですけど、観ていました。なんか、8倍速で、グリーンのバック(つまり特撮抜き)のシーン集がスペシャルBOXにはあるらしいんですけど、全編CGとは畏れ入りました。
これ、3部作になるらしいけど、はやく、またニタニタしたいです(笑)

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