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2006年1月31日 (火)

彼女を信じないでください

dan01bw 2004年 韓国
脚本:チェ・ヒデ
監督:ペ・ヒョンジュン
撮影:ユン・ホンシク
出演:キム・ハヌル、カン・ドンウォン、ソン・ジェホ
    キム・ジヨン、ナム・スジョン イム・ハリョン
    キム・ウニョン、リュ・テホ、ク・ヘリョン、イ・ヨンウン

  この1、2年の韓国映画の日本流入量はすさまじい限りだ。もう何でもいい、手に入る限り持ってこいといった感じである。韓国映画のレベルは相変わらず高いのだが、これだけ大量に入ってきたのでは選ぶのに苦労する。当然ハズレも覚悟しなければならない。「彼女を信じないでください」はもともとそれほど期待もしていなかったが、出来はまあ標準といったところか。

 「下妻物語」「茶の味」「東京原発」「笑の大学」「約三十の嘘」「運命じゃない人」「ALWAYS三丁目の夕日」「THE有頂天ホテル」とこのところの日本映画には良質のコメディが目白押しだが、好調な韓国映画でも不思議とこの分野には洗練された作品があまりない。韓国のコメディ映画はそれほど多くは観ていないので偏った見方になっているかもしれないが、美男美女を並べて下手な芝居をさせているだけの安易な作品が多い気がする。ほとんどテレビ・ドラマのレベルにとどまっているのではないか。中国では「キープ・クール」「ハッピー・フューネラル」のようなとことん話を広げてゆく大げさな笑いが主流のようで、これまた日本人にはエグすぎて逆に笑えないようだが、それでも韓国物より数段良い。「至福のとき」のような優れた人情喜劇もある。台湾の「熱帯魚」「ヤンヤン夏の思い出」等もレベルの高いコメディだと言える。

  僕の知っている限りでは、傑作と呼べる韓国のコメディは「猟奇的な彼女」「反則王」くらいである。様々なジャンルで数多くの傑作を生み出している韓国で、なぜこれほどコメディのレベルが低いのか。一番の理由は、なんと言っても若い世代を相手に作っているとしか思えない安手の作りにある。美男美女さえそろえておけばそれで満足してくれるさ、という安直な安物。志が低すぎる。「僕の彼女を紹介します」はその典型。チョン・ジヒョンを観るためだけの映画で、それ以上ではない(もっともこの映画の彼女はちっとも美女には見えなかったが)。志の低い安易な映画だから、作りもお決まりのパターン通り。「彼女を信じないでください」は「猟奇的な彼女」のパターンをそっくり頂いている。気の強い女性と気が優しくドジな男、コメディに涙を誘う味付けを加えるという展開。女性が「暴力的」なところまで一緒だ。

  作品のテーマよりも美男美女を見せることにそもそもの狙いがあるのだから、いいものが出来ようはずもない。韓国得意のラブコメもかなりこれに近い状態で、「八月のクリスマス」、「イルマーレ」、「美術館の隣の動物園」「永遠の片想い」等の傑作も生んではいるが、美男美女の組み合わせをとっかえひっかえしただけの安易で安手の作品を大量に垂れ流している。恐らく韓国では映画もドラマもこれらの安手のコメディとラブコメが庶民に一番受けるのではないか。傑作も生まれはするがそれはあくまで例外で、多くは大衆に迎合して、パターン通りの作品を量産してお茶を濁しているのだろう。安易なつくりでも日本では結構受けるのだから、これまた情けない。日本のドラマが同じ程度のレベルだから、むしろすんなり入ってくるのだろうか。

 「彼女を信じないでください」やこの手のコメディに共通する一番の問題は、役者のわざとらしい演技と、あえてそれをやらせた演出にある。ひどいと言えばあまりにひどい。学芸会や大道芸並みの田舎芝居。あまりのバカバカしいわざとらしさに終始冷めて観ていた。キム・ハヌルを一流のコメディエンヌであるとまで褒め上げる人がいるのは信じられない。ただ、さすがに話題になっただけあってストーリーや仕掛けは悪くない。役者も、主役の二人032561 はともかく、周りの脇役(ソン・ジェホとキム・ジヨンが出色)は皆大げさな演技をしていないのでなかなか良い。ストーリー展開は決して悪くはないのだから、うまく演出すればかなりの傑作になったかもしれない。主役二人のわざとらしくて大げさな演技を取り除けば、それだけでもかなり映画全体の水準は上がるはずだ。キム・ハヌルがしてやったりとほくそえむショットがやたらと出てくる。これなど日本のドラマによく出てくる、聞き込みに来た刑事が帰った後、愛想笑いを浮かべていた悪役がにたりと笑う場面と全く同じだ。下手な演出の見本である。キム・ハヌルが本当に騙されて捨てられた女のように振舞ってこそ、そして周りの人たちがそれを本気にして同情してこそ、自然な笑いが起きてくるのである。やたらと目をむきおたおたするカン・ドンウォンの演技も日本のお笑いのショート・コント並だが、キム・ハヌルがまともに捨てられた女を演じていれば彼の大げさな演技も生きてくる。周りはみんな真剣に怒っているのに、彼だけが訳が分からずおたおたする。ボケと突っ込みの呼吸。これでこそコメディだ。キム・ハヌルがしょっちゅうにんまりしてわざとらしく演じていたのでは全部ぶち壊しなのである。一流の詐欺師という設定なのだから。名脇役ソン・ジェホとキム・ジヨンは一切大げさでわざとらしい演技をしていない。だから笑えるのである。あけすけな話をものすごい勢いで喋りまくる田舎のおばちゃんたちだって、滑稽に振舞おうとしてはいない。いつもどおりに喋り捲っているから面白いのである。彼女たちの話し振りから田舎の普段の生活が自然にあぶりだされてくるからである。ここをきちんと押さえなければ一流のコメディにはならない。キム・ハヌルやカン・ドンウォンにソン・ガンホ並の演技を期待することはそもそも無理なのだが、滑稽な身振りをしなくてもコメディを作ることは出来るのだ。

  演出も工夫が必要である。無理やり作っている場面が多い。その典型はヨンジュ(キム・ハヌル)とヒチョル(カン・ドンウォン)の出会いの場面。ヒチョルはヨンジュの座席の下に落とした指輪を拾いたいだけだから、彼女に声をかけてちょっとどいてもらい、指輪を拾えばすむことである。それをわざわざ彼女の足元にひざまずいて座席の下を覗かせるのは、痴漢と間違えさせてぼこぼこに殴られる「猟奇的な彼女」的展開にもって行きたかったからである。だったらもっと無理なくそうなる展開を考えるべきだ。せっかくの面白い場面なのに、このわざとらしい演出がその効果を半減させている。

  それに比べると、しつこいタクシー運転手にヨンジュが思わず「新しい嫁です」とつい口からでまかせを言ってしまったために、話がとんでもない方向にねじれてゆくあたりの展開はよく出来ている。素朴でお人よしの田舎の人たちを騙し続けるためにまた嘘をつき、こうして嘘はどんどん膨れ上がってゆく。とんでもない嘘のシナリオが作り上げられてゆく。何もしらないヒチョルが帰ってくると、電車でたまたま会っただけの女が自分の婚約者になりすましてちゃっかり家に入り込んでいて、自分はいつの間にか彼女を妊娠させて見捨てた血も涙もない極悪人に仕立てられていた。コメディの状況設定としてはよく出来ている。このあたりはドタバタ調になる。さらに見せ場の一つである「Mr.唐辛子コンテスト」を経て、やがて映画の色調は互いに毛嫌いしていた二人がどんどん惹かれ合ってゆくラブロマンスへと転じてゆく。このあたりの展開も悪くはない。やはりキム・ハヌルは「猟奇的な彼女」路線よりも「リメンバー・ミー」路線(作品としては今一だったが)の方が似合う。少なくとも無理して演じているという違和感はない。ヨンジュを変えていったのは温かいヒチョルの家族たちだったという展開も共感できる。

  監督のペ・ヒョンジュンはこれが処女作である。第1作としてはまずまずの出来か。スター中心の映画作りという以前から心配していた状況がかなり進行してきた韓国映画界だが、優れた新人監督の育成という点ではまだ相当な成果を上げている。ペ・ヒョンジュン監督も作品を作り続けてゆく間にいずれ優れた作品を物するだろう。粗製濫造体制に近づいてきたとはいえ、韓国映画界はまだまだそんな期待をさせるだけの勢いを持っている。

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» 彼女を信じないでください:カン・ドンウォンのコメディはいい感じ VTC六本木ヒルズ [気ままに映画日記☆]
Happy Together、リメンバーミーでは苦難にたえる薄幸の美女といった風情だったキム・ハヌルが今回はコメディに挑戦。相手はオオカミの誘惑のカン・ドンウォンこれは期待して見て来ました。 出だしは刑務所、女詐欺師のヨンジュ(キム・ハヌル)は得意の芝居で仮釈放をと..... [続きを読む]

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