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« 映画レビュー一覧 た~わ行 | トップページ | 寄せ集め映画短評集 その11 »

2005年11月 5日 (土)

アビエイター

airplane002_s2004年 米・日・独
原題:The Aviator
美術:ダンテ・フェレッティ
脚本:ジョン・ローガン
監督:マーティン・スコセッシ
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット
    ケイト・ベッキンセール、 ジュード・ロウ
     アレック・ボールドウィン、グウェン・ステファニー
    イアン・ホルム アラン・アルダ、ジョン・C・ライリー

 いかにもアメリカ映画という作りだ。題材がまずアメリカ的である。大金持ちで、プレイボーイで、映画制作や航空産業にも手を出したハワード・ヒューズの20代から40代はじめまでを描いている。ハワード・ヒューズといえば古い映画ファンならなじみの名前だろう。有名な映画をいくつも製作したプロデューサーであり、あのRKOを買いとった大富豪である。僕もある程度の知識は持っていたが、伝記を読んだことがあるわけではないので、彼自身優れたパイロットの腕を持ち、航空会社TWA を買収したことなどはこの映画で知った。晩年は潔癖症と強迫神経症が高じて部屋に閉じこもったままの生活をした人だが、映画はそうなりかかるまでの、才能を十分に発揮していた時期を描いている。まあ、確かに才能にあふれた人ではあったが、庶民から見れば金持ちならではの奇人変人の類である。荒木飛呂彦の『変人偏屈列伝』に採り上げられていても何の違和感もない人ですな。ついでに言えば、生まれつきの金持ちだから、立志伝中の人物とか、アメリカン・ドリームの体現者などの言い方は当たらない。

 それはともかく、贅を凝らした建物や衣装、有名女優との浮名、潔癖症と強迫神経症からくる奇行。いかにもアメリカ的だし、アメリカ映画的だ。自分か開発した飛行機の初飛行の場面など、映画的効果が発揮できるシーンにも事欠かない。アカデミー賞5部門受賞など、話題満載の映画である。

 ハリウッドのスター、有名女優がたくさん出てくるのも話題になった。ジーン・ハーロー(グウェン・ステファニー)、キャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)、エヴァ・ガードナー(ケイト・ベッキンセール)の競演は、演技力でケイト・ブランシェットの勝ち。何しろアメリカでもっとも尊敬されている、アメリカ最高の女優に扮するのだ、力がはいって当然である。大分キャサリン・ヘップバーンを研究したのだろう、あのゴルフのシーンが典型的だが、ヘップバーンの話し方や身振りが実によく似ていた。歯に衣着せずにはっきりとものを言うあの話し方といい、手の振り方や背の反らせ方といい、ホントそっくりだ。顔がとがっているところが似ているので起用されたのかと思ったが、当然演技力も買われたのだろう。何せキャサリン・ヘップバーンを演じるのだからね。一方、ジュード・ロウふんするエロール・フリンはいかにも軽薄な感じで、刺身のツマ程度の扱い(確かに見るからに助平そうだったもんなあエロール・フリンって)。

 どうも不思議なのは、ハワード・ヒューズを知っている事を前提に作られているので、説明不足なところが多くてのめり込めないという感想が多いことだ。特に説明不足とも思えなかったが、恐らく彼の伝記的事実よりもパンナムとの駆け引きとか、当時の映画制作の事情とか、軍との関係とかそういうところがわかりにくいという意味だろうか。ただ、のめり込めないというのは理解できる。彼の様々な面を総花的にスクリーンに描き出そうとしたために、全体としてエピソードの積み重ねのようになって、時々山場はあるが全体に平板なつくりになっているからだろう。主人公を始め、誰にも感情移入が出来ないことにも原因があると思われる。何より、ハワード・ヒューズが変人過ぎて常人には共感できないのだ。

 ハワード・ヒューズを演じた主演のレオナルド・ディカプリオはずいぶん若く見えた。いまだsuzu4に童顔とは!最後の頃も40代には見えない。彼としては力演なのだが、どうも人物像の掘り下げが浅いので名演とまでは行かず。愛人は次々と代わるので掘り下げようもないが、飛行士あるいは航空機の設計士としての情熱と信念を描いている部分はよく出来ていた。タイトルを「アビエイター」としたのは、そこにこそ彼の情熱の原点があることを示したかったのだろう。

 それにもかかわらず、全体として見れば、「アビエイター」はハワード・ヒューズという稀代の「偉人」の複雑な人間性を丸ごと描き出すことにこだわっている。確かに観客を飽きさせることなく3時間近いドラマを描ききったのは監督としてかなりの手腕である。しかし手堅くまとめただけという不満もある。飽きはしないが、深く感動もしない。豪華な作りではあるが、いかんせん人間関係の掘り下げが浅いので映画全体の出来としては今ひとつである。飛行場面(墜落場面も含めて)や公聴会でハワードが反論する場面など見せ場もそれなりにあるが、映画全体としては平板で深みに欠ける。派手な金の使いっぷり、豪華なインテリア、有名女優との恋愛、最新鋭機の飛行実験など、庶民には縁遠い手の届かない世界を3時間近く覗かせてもらうという、いわば見世物の世界だ。

  映画としてはもっと焦点を絞った方がよかったのではないか。せっかくタイトルを「アビエイター」にしたのだから、その面にもっと思い切って重点を置くべきだった。飛行機に対する彼の情熱は並大抵ではない。パンナムの幹部の言い分はこの戦争中に金(それも軍用資金だ)を無駄に使いやがってというものだが(まるで戦争中の日本と同じだ)、ハワードにはそんなことはどうでもいい(才覚のある商売人でもあるから軍用機の開発と売込みには神経を使うが)。むしろハワードは純粋に世界一早く飛ぶ飛行機を作りたい、飛行機による世界一周の最短記録を塗り替えたい、世界一でかい飛行機を作りたいという夢そのものを追い続けていた男なのだ。そして金だけではなく、その夢を実現するだけの才能も持っていた。単なる金持ちの馬鹿息子ではない。映画を見ていて彼の一番の魅力はそこにあると思った。ある意味ではリンドバーグにも匹敵する魅力的な一面である。ならばその面を中心に描けばよかったと思うのだ。

 映画関係も女優との絡みはせいぜいキャサリン・ヘップバーン程度に絞って、映画関係も「地獄の天使」製作だけに絞る(航空機関連で)くらいでよかった。「地獄の天使」製作の場面はよく出来ている。何十台ものキャメラを飛行機にのせて撮るという手法は驚くほど斬新である。自らパイロットとしてスタント飛行もこなす技術と意欲もすごい。そして何と言っても例の雲の一件。背景が何もない空だけでは飛行機のスピード感が出ないというのは卓見である。それだけでも映画監督として非凡な才能を持っていたことがうかがえる(ただ、雲の位置が知りたいというだけで気象学者を雇ってしまうのはいかにも金持ちらしい発想だと思うが)。果てはこれからはトーキーの時代だと、せっかく撮った映画をまたトーキーで撮り直すことまでやる。ほとんど病的といってもいいほどの完璧主義。この「地獄の天使」製作の過程だけでも1本の映画を作れるくらいの内容がある。やはりもっと焦点を絞り込むべきだった。最近不振のアメリカ映画の中では優れた作品の部類に入るだけに、この点が惜しまれる。

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コメント

 カゴメさん 久しぶりです。コメントありがとうございました。
 たまたまTBを先に見たので、コメントまで頂いていたのを見落としておりました。先にカゴメさんのブログにコメントを書いたのですが、TBのお礼しかしてませんでした。申し訳ありません。

 題材としてはもってこいだと思うのですが、何せ人物のスケールが大きすぎて、というか破天荒過ぎてもてあまし気味ということでしょうか。
 それでも最近のアメリカ映画としては出色の、いかにもアメリカ映画らしい映画だったと思います。「ミリオンダラー・ベイビー」も近いうちに観ようと思っています。

ゴブリンさん、こんにちは!

>ジュード・ロウふんするエロール・フリンはいかにも軽薄な感じで、刺身のツマ程度の扱い。

ほんとに一瞬でしたね、登場したのは(笑)。

おっしゃるとおり、ちょっと盛り上がりに欠けたというか、
思い優先で、映画製作についての客観性に欠けていたようなきらいがありますね。
「あれも出したい、これも出したい」になっちゃってるような…。
私の記事、トラバさせてくらさいね。

 プチネコさん コメントありがとうございます。
 ディカプリオは「ギルバート・グレイプ」(93)で初めて見ました。知的障害を持った少年を演じたのですが、あまりに真に迫った演技なので衝撃を受けた覚えがあります。その後は大スターになり、大ヒット作品に数多く出演していますが、彼の役者としての優れた才能を十分に発揮する作品にはまだめぐり合っていない気がするのです。彼が役者として大成するのはこれからでしょう。

TBありがとうございました。
私もTBさせて頂きます。

確かに、ディカプリオは童顔ですね。
年齢を重ねていけば、あの顔が味になっていくのではないでしょうか。
難解な映画、人物に、取り組んだ情熱は、買いたいと思います。
これから、どんな俳優になっていくんでしょう。

たましょくさん コメントありがとうございます。

 病気が高じて引きこもりになってしまった後はドラマにしにくいということでしょうね。
 確かに金に飽かせて好きなことをやっていたのですが、才能があっただけに単なる金持ちの道楽を超えているわけですね。映画の題材にはもってこいだと思いますが、描ききるのは大変ですね。

 TBありがとうございますm(_ _)m

 今年の上半期の映画では、かなり注目された
作品でしたよね。たましょくは、ハワード・
ヒューズに関して、まったく知識がなかったの
で「へ~こんな情熱的な道楽家もいるんだ」と
思ってしまいました。

 物語が彼の人生の途中で終わってしまってい
たのが非常に残念でした。

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