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2005年10月21日 (金)

「ウォレスとグルミット 危機一髪!」とファンタジーの伝統

car1   シリーズ3作目にして最長!といっても31分だが。相変わらずどこかとぼけたユーモアと「サンダーバード」並みのメカキチぶりがほほえましい。今回はかなりスピードアップした演出が新味だ。不思議な魅力を持つキャラクターが今回も活躍する。何でも食べてしまう子ヒツジ(イギリスでよく見かけるブラック・フェイスという種類だ)、おかっぱ状モップ頭のマドンナ(およそマドンナ的ではないがウォレスは一目ぼれ)、鉄人28号ばりの強そうな犬。先ずこの独特の味を持つキャラクターがこのシリーズの魅力だ。ストーリーは、ウォレスが毛糸屋の女主人に一目ぼれし、グルミットはその女主人の飼い犬の策略でヒツジ連続誘拐事件の犯人にされ・・・。今回はドタバタ調の展開だ。

  それにしてもこのシリーズの魅力はなんだろう。キャラクターの魅力は確かに大きな要素を占める。CGではないクレイ・アニメーテョンという質感のある画面も魅力だ。動きはぎこちないが、それが却ってゆったりとしたリズムとどことなくユーモラスな雰囲気を生み出している。ミニチュアの建物やバイクなどがCGにはないリアルさを感じさせ、同時にどこか御伽噺の様な非現実的な雰囲気も漂わせる。メカへの細かいこだわりと遊び心は、どこか子どもの頃のおもちゃ遊びの楽しさに通じる。基本的にファンタジー・タッチであるが、そこは英国人のこと、独特のユーモアとひねりが練りこまれている。日本のアニメにないのはこの部分だ。あえて日本のアニメで一番近いものを探せば「おじゃる丸」だろうか。あの独特のゆったりとしたテンポと主人公のどこか飄々とした佇まいはかなり近い。と思うがどうだろうか。

 イギリスは世界に冠たるファンタジー大国である。『不思議の国のアリス』を始めとして、世に知られたファンタジーの大部分はイギリス製である。『ピータ・パン』『宝島』『ピーター・ラビット』『メアリー・ポピンズ』『指輪物語』『ハリー・ポッター・シリーズ』等々。有名な作家も多く、メアリー・ノートン、フィリッパ・ピアス、アーサー・ランサム、ルーシー・ボストン、C.S.ルイスと挙げればきりがない。『ハウルの動く城』の原作者ダイアナ・ウィン・ジョーンズもイギリスの作家だ。

 イギリスがファンタジー大国になるには様々な前提があったに違いない。ロビン・フッドやアーサー王伝説などの昔話、マザー・グースに代表されるナーサリー・ライム(童謡)、そして何といってもフェアリー・テイル(妖精物語)の伝統。イギリスにはケルトの伝統が息づいている。トールキンも言っているように、妖精の国は「すぐ身近にある世界」だった。ドワーフ、エルフ、トロル(ムーミンはカバではなくトロルである、もともと北欧系の妖精)、haguruma_w1巨人、ゴブリンそしてドラゴン。『指輪物語』、あるいはその映画化作品「ロード・オブ・ザ・リング」のおなじみのキャラクターの多くは、いずれも昔からなじみのある妖精たちである。スコットランド、ウェールズ、イングランドのコーンウォール地方と並ぶケルトの伝統が残る国アイルランド、そのアイルランドのナショナル・シンボルのうち二つが妖精(バンシー、レプラコーン)である。驚くべきことだ。日本で言えば、富士山や桜と並んで座敷童子や砂かけばばあが挙げられているようなものである。あるいは河童や天狗と言い換えてみれば多少はその感覚が理解できるかもしれない。イギリスの妖精は日本の妖怪に近い。水木しげるの世界だ。天使の様な存在とイコールだと思ってはいけない。『指輪物語』のエルフは人間より美しい存在だが、『ハリー・ポッター・シリーズ』に出てくるハウス・エルフのトビーは妖怪に近い。

 ニック・パークは妖精をより現代的なもの、つまり機械やロボットに置き換えたのかもしれない。あるいはまた別の伝統が彼の中にあるのかもしれない。風刺誌『パンチ』の伝統である。人物の戯画化はこの伝統につながっているような気がする。あるいは空想的な世界の創造は『ガリヴァー旅行記』以来の伝統ともつながっているだろう。世界で最初に小説を生み出したのもイギリスであるが、小説の源流とも言われる『ロビンソン・クルーソー』と『ガリヴァー旅行記』は刊行後すぐに子供の本として書き直され、人気を博した。その意味でイギリスは最初の子供向け創作童話を生み出した国でもある。子供の本に書き換えられたとき『ガリヴァー旅行記』の風刺的な面が大幅に削られたが、風刺はイギリス文学の伝統のひとつである。『ガリヴァー旅行記』と言えば巨人の国と小人の国の話が有名だが、宮崎駿の「天空の城ラピュタ」のラピュタと検索エンジン「ヤフー」のヤフーは『ガリヴァー旅行記』に出てくるものである。『ガリヴァー旅行記』は4話からなり、ガリヴァーは巨人の国、小人の国、ラピュタ、ヤフーの国を訪れるのである。ヤフーはほとんど猿にまで退化した人間で馬に支配されている。まるで「猿の惑星」の世界だ。ラピュタは空飛ぶ島だが、実はこれはイギリスrabbitを暗に示している。アイルランドは長い間イギリスの植民地だった。ラピュタは空中から下界を支配し、ひとたび反乱があれば地上に落下して「暴徒たち」を押しつぶすのである。

 いや、勢いにまかせて少し書きすぎた。もちろんニック・パークにここまでの風刺精神はない。しかし、このCGの時代にあえて非効率的なクレイメーションを作り続けるのには、彼なりのこだわりと反骨精神があるのだろう。一方、とんでもない世界を想像・創造する能力という点では、風刺よりももっとつながるものがあるかもしれない。独特のキャラクターの創造や不可思議なストーリー展開という点では『不思議の国のアリス』やナンセンス文学の伝統との関係の方が深いかもしれない。もちろん彼の世界は独特の世界であって、「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」の世界ともまた違う。あまり伝統ばかり言い立てるより彼のユニークな才能を探ることも大事だろう。しかし、チェコのイジー・トルンカと比較してみると、ニック・パークには明らかにイギリスの香りがする。様々なイギリスの伝統があって彼の様な才能が生まれたのもまた事実だと思えてならない。

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