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2005年10月28日 (金)

ズール戦争

deep-blue01-51963年 アメリカ・イギリス
原題:Zulu
原作:ジョン・プレブル
製作:スタンリー・ベイカー、サイ・エンドフィールド
脚本:ジョン・プレビル、 サイ・エンドフィールド
監督:サイ・エンドフィールド
音楽:ジョン・バリー
撮影:スティーブン・デード
出演:スタンリー・ベイカー、マイケル・ケイン
ジャック・ホーキンス、ウーラ・ヤコブソン ナイジェル・ グリーン

   水曜日は風邪でダウンしてしまった。木曜日に何とか復帰。病み上がりには重たい映画は禁物、ということで自前のライブラリーから選んで夜観たのがこの「ズール戦争」。「BFI選定イギリス映画ベスト100」で31位に選ばれた名作。主演はなつかしやスタンリー・ベイカー。この渋いイギリスの名優を見るのは「エヴァの匂い」(1962年)以来だ。

 1879年、4000人のズール王国軍を相手に、砦に立てこもったウェールズ部隊将校8人と兵97人が最後まで砦を守りぬいた史実を描いている。恐らく英国人にはよく知られた史実であろう。かつての大英帝国の栄光が消え去って久しい。英国人にとっては愛国心をくすぐる主題である。ベスト100に選ばれるのは当然かもしれない。もっとも、映画のできもすこぶるいい。

  冒頭、ズール軍の襲撃によって英国軍が壊滅したとの報が届く。1700名の英国軍のうち戦死者は1200人にものぼった。惨敗である。画面には累々と横たわる英国兵の死体が映し出される。

  続く場面でズール族の儀式が映し出される。戦いの踊りだと思っていたが、解説を読むとどうやら集団結婚の踊りらしい。数百人もいるかと思われるズール族の中になぜか白人の男と若い女性が混じっている。すぐにその男が宣教師ウィット(ジャック・ホーキンス)であり、女性はその娘マルガレタ(ウーラ・ヤコブソン)だということが分かる。儀式の途中ズール族が英国軍を襲撃した知らせが入り大混乱になる。牧師は次に彼の教会が襲われると聞き(そこにはイギリス軍が駐留していた)あわててその場を抜け出す。

  彼の教会ではブロムヘッド中尉(マイケル・ケイン)率いるウェールズの部隊が駐留していた。そこにたまたまチャード工兵中尉(スタンリー・ベイカー)率いる工兵隊が橋を築くために合流していた。やがてそこにもズール軍によって1200名もの英国軍将兵が殺されたという知らせが届く。しかし司令部からはそこを死守せよとの命令が下された。ズール軍4000名が駐屯地に向かっていることも分かり、英国軍は教会の周りにバリケードを築く。

  このあたりの描写はゆったりとしたもので、一切戦闘場面は描かれない。今のアメリカ映画になれた人には物足りないと感じるかもしれないが、むしろ戦闘が始まるまでをじっくりと描きこんだことがこの映画を成功させているといえる。ブロムヘッド中尉とチャード中尉のどちらが指揮権を取るかの駆け引き(結局チャード中尉が指揮官になる)、将校と兵士の間に立って命令を的確に伝え、兵士の動向をしっかりと掴んでいる有能な軍曹ボーン(ナイジェル・グリーン)、傷病兵もいるのだから(教会は病院も兼ねていた)戦闘はやめて撤退しろと迫るウィット牧師とその言葉に動揺する兵士たち、食事係の男や仮病使いの兵士フックなど、個々のキャラクターがじっくりと描き出されている。ゲームのようにただめまぐるしくアクションが展開するだけのアメリカ映画にはない味わいがある。

  敵の戦術を予想して的確にバリケードを築かせ教会を砦に変えてゆくチャード中尉の有能さが発揮される。くたくたになりながら砦構築に汗を流す兵士の疲労と不安も的確に描かれている。面白いのは、たまたま合流していた一人のボーア人が参謀の様な役割を果たしていることである。彼はズール人の戦術に通じていたからである。彼の的確な指摘にチャード中尉とブロムヘッド中尉はどれだけ助けられたことか。後に、1899年から1902年にかけてイギリス人とボーア人(オランダ系南アフリカ移民)との間でボーア戦争が起こることを考えるとなんとも皮肉だ。

ten3  ズール軍の登場場面も見事である。最初は不気味な足音だけが聞こえてくる。姿が見えないだけに一層不気味だ。やがて丘の上にズール軍が姿を現す。ものすごい数だ。見渡す限り丘の上にはズール軍がいる。西部劇にも似た場面がよく出てくるが、こちらのほうがはるかにすごい。

   特筆すべきは、決してズール軍は野蛮人として描かれていないということだ。その戦術は見事で、単に数を頼んでむやみに攻撃を繰り返すというのではない。基本は槍と盾だが、先の戦闘で英軍から奪った銃も持っており、丘の上から砦めがけて撃ってくる。銃撃の後は「猛牛の角」と呼ばれる戦闘陣形を取り、おとりなどを使いながら巧みに攻めてくる。1回目の戦闘がまた見事だった。戦闘の踊りの後、ズール軍の一隊が攻めてくる。槍と粗末な盾しか持っていない。英軍の一斉射撃にもよけようとはしない。しかもすぐ引き上げてしまう。例のボーア人の指摘でやっと分かるのだが、ズール軍はいわばおとりの一隊を繰り出して、英軍の銃の数を調べていたのである。

  やがて本格的な戦闘が始まる。ここからは息もつがせぬ展開である。最近のアメリカのアクション映画を見慣れた目から観ても圧倒的な迫力である。このあたりからは数的に圧倒的に不利な状況にある英国軍の臨機応変の戦いぶりに焦点が当てられる。外囲いが破られれば内囲いに撤退し、中に引き入れた敵にえりすぐった精鋭が応戦する。「七人の侍」で使われた戦法だ。日本の戦国時代の戦闘場面でよく見かけるような、2列になった鉄砲隊が交互に発砲する戦術。最後の戦闘では3列になり絶え間なく銃火を浴びせる。

  いちいち優れた場面を挙げてゆけば切がない。二つだけ挙げておこう。ズール軍はバリケードを突き破り砦の中にまで攻め込み、教会に火をつける。中には傷病兵がいたが、壁に穴を開け必死で脱出する。それまでいい加減な態度をとっていた仮病兵士フックがここで大活躍する。後に勲章をもらったほどだ。もっとも、付録映像によると、映画を見て彼の子孫から抗議されたらしいが(うちのご先祖様はあんないい加減な男ではなかったと)。もう一つはとりでを取り囲み脅すような戦闘の歌を歌うズール軍に対抗して英軍も歌を歌って士気を奮い起こす場面だ。それまで青ざめていた兵士たちも声を合わせて歌いだす。恐らく英国人ならここで涙を流したことだろう。

  数度にわたる攻撃に英軍は耐え抜いた。巧みな戦術と近代兵器があったからこそできたことだ。憔悴しきったブロムヘッド中尉にチャード中尉が初めての実践だったのかと声をかける。しかし実はチャード中尉も初めてだったのである。それを悟って「じゃあ君も」と驚くブロムヘッドに、チャードがあっさりと「俺は橋をかけに来たんだ」答えるところがいい。敵が引き上げた後、英軍は点呼を取る。何人かが返事をしない。その途中でズール軍の大群がまた丘の上に姿を現す。英軍は気が抜けて戦う気力も残っていない。しかしズール軍は戦闘を仕掛けてこなかった。彼らは敗北を認め、勇敢に戦った英軍を称えに来たのだ。このラストは何となく予想できてしまったが、いい場面だ。

  この映画の中でズール軍に対する差別的な発言は一切なかった。帝国主義と人種差別意識が表裏一体だった時代のこと、実際には散々毒づいていたに違いない。ズール人に対する敬意を持った描き方は明らかに映画が製作された時点での製作者たちの意識が反映されている。実際、付録映像に納められたインタビューには、アメリカの西部劇がインディアンを描くような描き方はしないとはっきり意識して描いていたという発言があった。監督のサイ・エンドフィールドは南アフリカ生まれ。アメリカに渡り「群狼の街」で高い評価を得た。しかしハリウッドの赤狩りにあい、イギリスに渡った人である。「SF巨大生物の島」で知られる人だが、このような経歴の持ち主とは知らなかった。「ズール戦争」の監督としては最適だったかもしれない。

  しかし、以上のことを認めた上でなおかつ指摘しておかなければならないことがある。「ズール戦争」はとにかくズール軍が攻めてくるところから始まる。なぜ彼らが英国軍を襲撃するのかについては全く説明がない。言うまでもなく、ズール人の戦いは反植民地闘争である。その大状況を一切画面の外に追いやり、単にズール軍と英国軍の局地戦のみを描くことは、結果的に英国軍の勇敢な戦いぶりのみを賞賛することになる。確かに、ロケを行った当時の南アフリカは悪名高いアパルトヘイト政策を進めており、様々な制限が加えられていただろう。そのことはインタビューの中でも触れられている。あるいは英国人の反応も考慮に入れたのかもしれない。いずれにしても、帝国主義への言及を極力避けたことは、この闘いが持つ歴史的意味を狭めてしまっている。ズール軍がなぜ、何のために戦っているのかをきちんと描かなければ、どんなに彼らを公平に描いたとしても、彼らはただ突然襲撃してきた暴徒に過ぎないことになる。理由もなくいきなり殴りつけてきた暴漢と同じだ。優れた演出とズール人に対する公平な扱いについては称賛を惜しまないが、この点に関してはやはり疑問が残る。

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