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2005年10月19日 (水)

アラバマ物語

building003_s1962年 アメリカ
監督:ロバート・マリガン
出演:グレゴリー・ペック、メリー・バーダム
   フィリップ・アルフォード、ロバート・デュバル

 映画ノートによると、最初にテレビで見たのは72年11月26日。実に32年ぶりに見たことになる。ハーパー・リーの原作『ものまね鳥を殺すには』はピュリッツァー賞を受賞した作品である。舞台は1930年代のアラバマ州の田舎町。主人公はグレゴリー・ペックだが、彼の2人の子供ジェムとスカウトの視点から描かれている。前半は子供たちの世界。夏だけ近所に遊びに来る男の子と小さな冒険を楽しんでいる。近所にブーと呼ばれる精神障害者がおり、大人たちから恐ろしい怪物のように聞かされている。3人はブーを一目見ようと夜忍び込んだりするが、失敗する。ブーは最後になるまで姿を現さない。しかし常に影のようにその存在が感じられる。忍び込んで逃げたときに、ジェムは柵にズボンを引っ掛けてあわててズボンを脱ぎ捨てて逃げる。後で取りに行ったとき、そのズボンはきちんとたたんで置いてあったと、後にジェムはスカウトに打ち明ける。そこにブーは本当は優しい人物なのではないかという伏線がしかれている。

 そのうち黒人の男による白人女性暴行事件が起こり、グレゴリー・ペックが弁護を引き受けることになる。彼は進歩派の弁護士という設定だ。白人たちによる嫌がらせがあるが、これはそれほど描かれていない。被告が拘置されている所に白人たちが押しかける場面などがあるが、毅然と跳ね除けるグレゴリー・ペックの態度が強調された描き方になっている。その場は子供たちが一緒にいたので男たちは引き上げるという形で収まる。「ミシシッピー・バーニング」の様な、気がめいる、息詰るような雰囲気はそれほど強調されていない。

 裁判を通じて冤罪の可能性が高まる。被害者は右目を殴られているが、容疑者は右利きで左腕は麻痺している。被害者の父親が娘を暴行した可能性が浮かび上がってくる。しかし陪審員の判決は有罪だった。容疑者のトムは護送中に逃げ出して、警官に撃たれて死ぬ。しばらく後、ハロウィンのときに、ジェムとスカウトが帰宅途中林の中で何者かに襲われる。そこにもう一人男が現れ、子供たちは助け出される。子供たちを救った人物こそブーだった。ブーの顔は記憶とまったく違っていた(何と演じていたのは若き日のロバート・デュバルだ!)。大男でイースター島の巨人の様な額がせり出した顔だったとぼんやり記憶していたが、実際は目の周りが少し黒くなっているほかは普通の、ごくおとなしそうな男だった。moon45どこで記憶が違ってしまったのか分からない。ただ前半で姿の見えないブーの不気味な影が強調されていたので、その部分が印象に残って作られたイメージだったのだろう。

 それはともかく、子供が襲われた現場にはナイフで刺された男(裁判の被害者の父親)の死体があったと保安官がペックに告げる。保安官は、男を刺したのはブーだと分かっているが、あえて被害者は倒れたときに自分で誤って刺したことにするとペックに告げ、立ち去る。

 全体としていかにも進歩派の知識人が書いたストーリーだという感じが強い。黒人に対する白人の偏見はしっかり描かれて入るが、見ているのがつらくなるほどリアルにしつこく描いているわけではない。グレゴリー・ペックを初め、ブーや最後の保安官の言葉など、善人の立場が強調されている。しかし底が浅いというほどではない。判決は有罪だし、被害者は無実の罪をかぶせられた上に、逃げようとして撃たれて死ぬ。全体の明るい雰囲気は、子供たちを前面に出していることもあるが、人間の良心に信頼を寄せ、その可能性を前向きにとらえようとする作者の姿勢から来ている。甘いという批判もあるだろうが、感動的な作品であることは確かだ。

 子供たちが父親をアティカスと名前で呼んでいるのが印象的だ。このあたりにも父親の進歩的な姿勢が示されている。子供たちの質問に嫌がらずきちんと答えていることにも共感を覚える。娘のスカウトの顔は記憶に残っていた。とても印象的な子役だ。

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映画」カテゴリの記事

コメント

真紅さん コメントありがとうございます。

コメントとても興味深く読ませていただきました。あの男の子のモデルがカポーティとはね!僕も映画「カポーティ」は是非観たいと思っています。ただDVDで観ることになりそうなので、だいぶお待たせすることになりそうです。

映画の公開にあわせたのか、彼の作品も文庫で一気に出ていますね。今年はカポーティの当たり年。映画が楽しみです。

ゴブリンさま、初めてお邪魔いたします。
名作の森の「あ」行で「アラバマ物語」を見つけ、TBさせていただきましたが届かなかったようです。
(URLに記事のアドレスを貼り付けました)
現在公開中の『カポーティ』にも、この作品と原作者のハーパー・リーが主要人物として登場していました。
ジェムとスカウトの幼馴染の小さな男の子はカポーティがモデルらしく、カポーティのこの作品に対する複雑な思いなども見て取れ、興味深かったです。
『カポーティ』もご覧になりましたら是非感想を読ませて下さいませ。
ではでは、失礼いたします。

 のっぽさん コメントありがとうございます。
 若い頃に観たときは「他人の靴を履いて歩き回って見なければ、他人の気持ちは分からない」という意味のせりふにとても感動したものです。この映画の基本的姿勢はこの言葉に要約されているといっていいでしょう。
 60年代も後半になってくると公民権運動が盛り上がりより過激な主張が表れてきますが、この映画の静かな訴えも心に響きます。白人の立場から描かれていますので限界はありますが、当時としてはこれでもかなり踏み込んだ方だと思います。
 アラバマ州はディープ・サウスにありますので人種差別が特に強かったところです。先日なくなったローザ・パークスさんの勇気ある行動がきっかけになった有名なバス・ボイコット運動で知られるモンゴメリーはアラバマ州の州都です。アラバマを舞台にしたこと自体大胆なことだったのではないでしょうか。

はじめまして のっぽです。
「大脱走」で聞いたような曲がながれているなと思ったら、音楽は同じくエルマー・バーンステイン。
ジェムとスカウトが襲われるシーンで流れる曲はそっくりです。

原作「To kill a mockingbird」は全米の高校課題図書に指定されており、愛読書にあげるアメリカ人がおおいです。

日本人的感覚ならば、トムが無罪になってハーピーエンドになるけど、アメリカには陪審員制度、人種問題があり、思わぬ結末になりました。
外見や肌の色だけで判断せずまずは相手の立場にたって考える事が大切。
これがテーマでしょうか?

淡々と声高にならず訴える古きよくアメリカ映画です。

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1932年、アメリカ南部アラバマ州。幼い子供2人を抱えた弁護士アティカスは、強姦事件 [続きを読む]

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アラバマ物語 To Kill A Mockinbird [続きを読む]

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