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2005年10月13日 (木)

Mr.インクレディブル

train002_s2004年 アメリカ
製作:ジョン・ウォーカー
脚本:ブラッド・バード
監督:ブラッド・バード
撮影:アンドリュー・ヒメネズ
声優:クレイグ・T.ネルソン ホリー・ハンター サミュエル・L.・ジャクソン

  「バグズ・ライフ」「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファイディング・ニモ」などの大ヒット作を生み出してきたピクサー&ディズニー共同による長編フルCGアニメの第6弾。監督は「アイアン・ジャイアント」のブラッド・バード。もはやピクサーはスタジオ・ジブリと並ぶ安心印。まず外れはない。本作も水準の高い、大人も楽しめる作品に仕上がっている。  CGの精度についてはあえて触れない。CGの技術は「アンツ」あたりで既にほぼ十分なレベルに達している。問題はむしろコンテンツ、つまりアイデアとストーリーである。

  「Mr.インクレディブル」は基本的には従来のディズニー・アニメの枠内に収まっている。スーパー・ヒーローが活躍し、家族そろって観られるようストーリーの中心には家族愛がすえられている。しかし、様々な工夫も見られる。世のため人のためと思ってしたことが逆に助けたはずの人たちから訴えられることになる。ついにスーパー・ヒーローたちはその活躍を禁じられてしまう。この設定がなかなか新鮮でいい。このあたりは時代を反映しているのだろう。「スパイダーマン」のシリーズは1本も観ていないが、2作目はスパイダーマンが学費のためにバイトをしたり、悪党扱いされたり、父の仇と憎まれたりで悩める日々を描いているようだ。共通する傾向が現れている。スーパー・ヒーローには生きにくい時代になったのである。

  何とか一般人になろうとMr.インクレディブルは涙ぐましい努力をしている。活躍する機会がないからすっかり太ってしまい、自分の体より小さいのではないかと思える小型車に縮こまるようにして乗り込んで通勤している。今やしがない保険会社の社員である。しかし正義感抑えがたく、依頼人に同情して裏技を教えたりして、上司から怒鳴られる毎日。そのたまった鬱憤を晴らすために、時々警察無線を傍受しては、仲間のフローズンマンと協力して隠れて人助けをしている。このあたりの描き方は実にいい。このまま最後まで押し通したら実にユニークな傑作に仕上がっただろうに。しかしそこはディズニー。結局はスーパー・ヒーローが活躍して悪党をやっつけるというお決まりのパターンに戻ってしまう。

  まあ、どうしても枠そのものは取り払えないのだが、その範囲内で他にも色々工夫をしている。例えばマントの話。「ベルヴィル・ランデブー」のレビューでなぜスーパーマンはマントをつけているかということを書いたが(ただしこれは高橋裕子著『世紀末の赤毛連盟』からの受け売り)、下手にマントをつけていると飛行機のプロペラに引き込まれたり、何かに引っ掛けたりして危ないから必要ないとカリスマ・デザイナーのエドナ・モードが力説するところはなんとも可笑しい。スーパーマンのシンボルも今や時代遅れなのである。airplane002_s

  スーパー・ヒーローの条件もただ強いだけではなくなっている。Mr.インクレディブル自身はただ力が強いだけの従来型ヒーローだ。下半身が細く、上半身が筋肉もりもり。ただし今やかなり贅肉も加わっているが。必死でシェイプアップするところが笑える。力ずくで及ばないところを奥さんのヘレンや子供たちが補う。ヘレンはスーパー・ヒーロー時代はイラスティガールと呼ばれていた。文字通り「しなやかで、変幻自在に対応できる」能力を持っている。これにものすごい速さで走れるダッシュ、バリアーが張れる娘のヴァイオレットが加わって、要するにファミリー・パワーで難敵をやっつけるという展開になっている。ファミリーを強調するところはいかにもアメリカ的だが、もはや強いお父さんが家族を守るという図式ではなくなっている。むしろ奥さんのほうが活躍しているとさえいえる。ヘレンはキャラクターとしても魅力的だ。美人ではないが、なんともチャーミングである。女性が活躍したり、黒人のスーパー・ヒーローがいたりするところはPC(ポリティカル・コレクトネス)の影響もあるだろうが、アニメにも時代が反映していることは注目すべきことだ。

  色々工夫はしているが、結局のところヒーローたちの大活躍が売りというところは変わらない。ドリームワークスの「シュレック」「シュレック2」と比べても従来の枠に収まっていることは明瞭に分かる。「14歳までに見ておくべき映画トップ50」に「ET」「ファインディング・ニモ」「白雪姫」「スター・ウォーズ」「トイ・ストーリー」「オズの魔法使い」などの他に、「キリクと魔女」「裸足の1500マイル」「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」「ミツバチのささやき」「クジラの島の少女」「友だちのうちはどこ?」「白い風船」など、さらには「自転車泥棒」「狩人の夜」「大地のうた」「アラバマ物語」などまでが選ばれるヨーロッパと比べると、「Mr.インクレディブル」がいかにアメリカ的であるかよく分かる。日本人の感覚もアメリカ人に近いだろう。日本では「自転車泥棒」「狩人の夜」「大地のうた」「アラバマ物語」などはまず絶対挙がってこないし、思いつきもしないだろう。ヨーロッパ人の感覚のほうが正しいというつもりはないが、少なくとも子供には子供らしい楽しいお話を読ませておけばいいと考えるのではなく、様々な風俗文化に触れさせ、社会のかかえる問題についても考えさせることが必要だという考え方には学ぶべきものがある。その考え方が大事であって、どの作品を選ぶかは国によって違っていいのである。

  とまあ、色々理屈をこねてみたが、「Mr.インクレディブル」がよく出来た作品である事は確かだ。十分楽しめばいい。ただその後に他の様々な映画と比べてみることも必要だろう。

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» ■〔映画評Vol.15〕『Mr.インクレディブル』(2004/ブラッド・バード) [太陽がくれた季節]
こんばんは~ この8月最後の日も残すところ後10分ほど、 おそらくは...8月最後のエントリーとなりそうです!((^^) *** さて、映画好きとしての自分自身を顧みて、 つい数年前までは特に好んで鑑賞することもなかった、しかし、現在では劇場鑑賞映画を選ぶ際、また、映画ソフトのレンタルや購入の際などに意識することの多くなった映画のジャンルが2つほどあります、 一つはドキュメンタリー映画であり、もう一つはアニメーション映画です、 後者のアニメーション映画に俄然僕の... [続きを読む]

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