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2005年9月29日 (木)

ブリジット・ジョーンズ゙の日記 きれそうなわたしの12か月 

2004年 英・仏・米・独・アイルランドSD-ca-book1-03
監督:ビーバン・キドロン
出演:レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース
    ヒュー・グラント、ジャシンダ・バレット
    ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ
       サリー・フィリップス

 等身大の独身女性を描いて評判になったヒット作の続編。主要な観客層として独身の女性を想定していると言われるが、男性が観ても面白い映画である。圧倒的に女性ファンが多い作品の場合(例えば「マディソン郡の橋」など)男が見るとどうということがない場合が多い。しかしこの作品には何の抵抗もなく入って行ける。なぜだろう。

 一つはヒロインのキャラクターが魅力的だからだろう。ブリジット(レニー・ゼルウィガー)は少々のことではへこたれない。体ばかりか神経も相当太い。びしょ濡れになろうが、入ってはいけない場所に入ってはいけないタイミングで入ってしまおうが、めげずに突き進む。その爽快感が何といっても魅力だ。ダーシーとうまく行かなくなったときはさすがにめげたりもするが、そういう時の気持ちを含めて、女性たちは彼女に共感してしまうのだろう。非常に分かりやすいシチュエーションなので彼女の気持ちは男性でも理解できる。

    ストーリーはドジで太った(太めなどという控えめな表現のレベルをはるかに超えている)独身女性の恋人獲得(あるいは再獲得)物語だが、細身・長身・美貌・エレガンスなどといったラブストーリーのヒロイン像を見事にひっくり返した設定が功を奏している。誰もが美人であるわけではない。どこにでもいる普通の女性の行動と感情だから共感できるのである。同時に、それはまたコメディ向きの設定でもある。難しい理屈抜きのラブ・コメディという作りになっている。それが性別を問わず誰にでも親しめるもう一つの理由だろう。

    ブリジットは前作以上に肥え太っている。「ぽっちゃりしていてかわいい」から、「ぶくぶく太っているのにそれでもかわいい」へ。この分では3作目が作られるときは相撲取りのようになって出てくるのか?タイトルも「ブリジット・ジョーンズの日記 恋のはっけよい 抱きしめて!手が届くなら」になってたりして(タイトルがさらに長くなるのは言うまでもない)。冗談はともかく、渋い二枚目の恋人マーク・ダーシー(コリン・ファース)との全く似合わない組み合わせも妙にはまっている。コリン・ファースは渋すぎてほとんど怒っているように見えるが(また怒って当然というタイミングで必ずブリジットが現れる)、実はブリジットを憎からず思っている、というのもほとんどシュールなレベルに達していてかえって可笑しい。あの太った姉ちゃんのどこがいいねん、と思わずなれない関西弁で突っ込みを入れたくなるが、分からなくていいんだそんなことはといわんばかりの強引な設定にいつしかのせられている。

SD-ca-daf03   ダーシーという名前はジェーン・オースティンの『高慢と偏見』でヒロインが憧れる大地主の名前と同じで、明らかにそれを意識している。ヒロインよりもヒーローの方が社会階層は上という設定も同じである。しかし全体としてはアメリカ的ドタバタ・コメディという色彩が濃い。冒頭に「サウンド・オブ・ミュージック」を真似たシーンが出てくるが、これもほとんど毒のないパロディである。イギリスらしいねじれてブラックな味付けはほとんどない。アイロニーや風刺よりもストレートな笑いに重点が置かれている。その分口当たりがよくなっている。アメリカ的コメディへの傾斜は前作より強まった気がする。男女を問わずすんなり受け入れられるのはそのためだろう。

 脇役もお約束のようにうまく配されている。元上司でとことん女たらしのダニエル・クリーバー(ヒュー・グラント)、美人ですらりとスタイルのいいレベッカ(ジャシンダ・バレット)。ドジで、早とちりで、妄想癖があり、タイミングの悪いブリジットに、この二人が絡んで無事に済むはずはない。ダニエルに騙された挙句に麻薬所持の現行犯で逮捕されてしまう。いやはや。しかしそこでも彼女はめげない。いつしか周りの女囚たちをすっかり手なずけてしまっている。誰かがまるで牢名主のようになっているといっていたが、さすがにそれは言いすぎでしょ(笑)。むしろたとえるなら「天使にラブ・ソングを・・・」、修道院に逃げ込んだウーピー・ゴールドバーグですな。「どうせやるんなら徹底的にやらなきゃ」と言って、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の振り付けを始めるあたりはまさにそのノリだ。考えてみればデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)とブリジットはキャラクターも体形も似ている!?レニー・ゼルウィガーが太らねばならないのはどうやら必然性があるんだ。あの押しの強さはあの体形でないとだせない。

 周りの女囚たちとうまくやってはいるが、少なくとも15年は豚箱に入ったままだと言われて、さすがにブリジットも落ち込む。ことここに至ってようやく渋い、というより苦々しい顔の王子様(ダーシー)が登場する。そこからハッピーエンドまでは一直線だ。ちょっとした誤解が間に挟まるが、その誤解が解けてハッピーエンドになるのは『高慢と偏見』のパターンである。

   ブリジット・ジョーンズはすっかりレニー・ゼルウィガーの当り役になってしまったが、もうこの辺で打ち切ったほうがいいのではないか。また太ったらもう元に戻れないかもしれない。あるいは逆に激痩せのキャラクターにするか。いやいや、あんまり体に無理をさせてはいかん。どうしても続編を作るなら普通の体形の普通のOL役にしなさい。

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