最近のトラックバック

お気に入りホームページ

お気に入りブログ

お気に入りブログ 2

  • とんとん亭
    いい映画をたくさん観ているとんちゃんさんのブログ。映画の魅力を丁寧に語っています。
  • 新・豆酢館
    カテゴリーが実にユニーク。関心の広さと深さとユニークさが魅力です。
  • 虎猫の気まぐれシネマ日記
    猫が大好きなななさんのブログ。とても丁寧に、詳しく映画を紹介しています。
  • 犬儒学派的牧歌
    一見近寄りがたいタイトルですが、とても読みやすくまた内容の濃いレビューに出会えます。
  • TRUTH?ブログエリア
    GMNさんの充実したブログ。アメコミに強い方ですが、映画の記事もすごい。読ませます。
  • It's a Wonderful Life
    kazuponさんのブログ。観ている映画がかなり重なっているのでとても参考になります。
  • no movie no life
    洋画、邦画を問わず幅広くご覧になっています。しかも取り上げている映画は良質なものばかり!
  • 日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々
    おいしい物といい映画が大好きな方。味わいのある映画を選ぶ確かな目をお持ちです。
  • 再出発日記
    邦画を洋画と同じくらい観ておられます。社会的視点をしっかりとお持ちで、大いに勉強になります。
  • 藍空放浪記
    アジア映画を中心に幅広く映画をご覧になっています。レビューも長文で深い考察に満ちています。

« ハリー・ポッターの新作が面白い | トップページ | 山田洋次監督「家族」 »

2005年9月11日 (日)

サイドウェイ

gurasu2004年 アメリカ
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
撮影:フェドン・パパマイケル
出演:ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ
                      ヴァージニア・マドセン、サンドラ・オー

 久々に見たアメリカ映画。とにかく久しぶりに何かアメリカ映画を観てみようと意識して探していたから目に付いたのである。監督は「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン。彼の作品だということが選んだ決め手だった。ちょっと見にはこれといった魅力のない映画だ。中年の男二人のロード・ムービー。ワイナリーめぐりの旅といっても大して興味はそそられない。アカデミー賞の脚色賞を取った映画だが、地味な部門なのでさほど話題にはならなかったと思う。しかしこれが意外な収穫だった。

 アメリカ人は移動を好む国民なのでロード・ムービーはたくさん作られてきたが、この作品は数あるロード・ムービーの中でも傑作の部類に入るだろう。主人公は小説家志望でワイン好きの高校教師マイルス(ポール・ジアマッティ)とTV俳優のジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)。マイルスは頭も禿げかけたさえない小太りの男。2年前に離婚を経験し、以来女性が苦手である。やっと小説を書き上げ、出版社に送って結果を待っているところだ。一方のジャックは対照的なプレイボーイ。結婚を1週間後に控えて、独身最後の自由な時間を過ごそうとマイルスを誘って二人でワイナリーをめぐる旅に出る。

 二人は大学の寮で同室となって以来の友人同士である。どこでももてもてのプレイボーイとさえないまじめ男というでこぼこコンビだ。この取り合わせがいい。監督自身も大好きだというワインの薀蓄をたれながらの珍道中。しかしまったくのドタバタ喜劇ではない。映画の視点はどちらかといえばマイルスに向けられている。彼はまじめな男だからあまりはめをはずさない。女性には臆病になっているので、マヤ(行きつけのレストランのウェイトレス/ヴァージニア・マドセン)という好きな女性がいるが、積極的には近づこうとはしない。問題はいつもジャックが起こす。無節操なジャック(彼の本当の目的は女とやりまくることだと本人がマイルスに打ち明けている)の行動に顔をしかめながら、結局彼がジャックの尻拭いをする。その典型が財布事件。ジャックは例によって初対面の女にちょっかいを出し、まんまと彼女の家にしけこむ。しかし明け方素っ裸で逃げ戻ってくる。彼女の夫が予想外に早く家に戻ってきたからだ。素っ裸で5キロ歩いてきたという。ところが彼女の部屋に大事な財布を忘れてきたので戻って取りにゆくといってきかない。結局マイルスがその家に忍び込んで、ベッドで取り込み中の二人の横の棚にある財布を取って逃げてくる。今度はその家のだんなが素っ裸で二人を追ってくるという展開。このあたりはドタバタ調だ。

 マイルスは小説が不採用になったときなど時々切れて暴れることもあるが、普段は憂鬱な情けない顔をしている。ジャックの無節操な行動にさんざん振り回され、小説が認められないと落ち込み、マヤには惹かれているがどうせ俺なんか相手にされないとまた落ち込む。前の妻との離婚の傷が癒えずなかなか一歩が踏み出せないのだ。そこにまたジャックからことあるごとに早くマヤをものにしろとせっつかれるので、イライラがつのる。それでもなんとかマヤとうまく行きかけるが、またまたジャックのせいで大きな亀裂が入ってしまう。ジャックはステファニー(サンドラ・オー)と深い仲になっていたが、彼は自分が近く結婚することを隠していた。マイルスがうっかり口を滑らせてマヤにそのことを教えてしまったためステファニーは激怒し、マイルスもマヤから同じ穴のムジナだとばかりにはねつけられてしまう。

 まあ、こんな調子で話が進んでゆく。ジャックが前面に出るとドタバタ調になり、マイルスが前面に出ると、悩める中年男のちょっと滑稽な愛の彷徨話となる。このあたりの切り替えや織り込み方が絶妙だ。最後はマヤの誤解も解け、マイルスがマヤの家を訪ねてゆくところで終わる。その時マイルスの小説が重要な役割を果たす。マイルスはマヤと小説への自信を同時に取り戻すのだ。

 山田洋次の「家族」の感想を書いた時に「われわれはピカロ(ピカレスク小説の主人公)の旅を通して社会を観察するのである。」と書いたが、「サイドウェイ」の場合、観察眼はむしろ主人公たち、特にマイルスに向けられている。その意味で同じロード・ムービーでも「サイドウェイ」は「家族」や「モーターサイクル・ダイアリーズ」などとやや性質を異にする。視点が主人公の他に向けられたとしても、それは社会というよりも他の人間(特にマヤ)、つまり人間関係(とりわけ恋愛関係)に向けられているのである。ロード・ムービーといっても主人公二人があまりあちこちの土地を旅しないのは、個人的な人間関係(マヤとステファニーとの関係)に縛られているからである。

 主演の二人の男優がともに好演。マヤ役のヴァージニア・マドセンも色気たっぷりで実に魅力的だ。ステファニーを演じた韓国系女優のサンドラ・オーはアレクサンダー・ペイン監督の奥さんだそうである。

« ハリー・ポッターの新作が面白い | トップページ | 山田洋次監督「家族」 »

映画」カテゴリの記事

コメント

真紅さん いつもながらTB&コメントありがとうございます。
なるほど「リトル・ミス・サンシャイン」に共通する面はありますね。この手の映画はアメリカ映画の得意とするところ。主演の2人が実にうまい上に、脚本と演出が実にうまく練られていて上質のロード・ムービーに仕上がっています。
最近はなかなか時間の余裕がなくてレビューが書けません。「リトル・ミス・サンシャイン」も時間がたつうちに記憶が薄れてきてしまいました。早く書かねば。

ゴブリンさま、こんにちは。TBさせていただきました。
この映画、『リトル・ミス・サンシャイン』との共通点を指摘されている方がいらして、観てみました。
本当に、思わぬ収穫でしたね。
漂流するアメリカの家族のエントリも、興味深く拝読しました。
『リトル・ミス~』『トランスアメリカ』のレビューも楽しみにしておりますね!
しかしくれぐれも、ゆっくり、マイペースでどうぞ。ではでは。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133483/5880470

この記事へのトラックバック一覧です: サイドウェイ:

» ★「サイドウェイ」、これで泣けないの?★ [★☆カゴメのシネマ洞☆★]
http://blog.livedoor.jp/matusan/tb.cgi/21228150 http://blog.livedoor.jp/pfwfp/tb.cgi/16548858 [続きを読む]

» 「サイドウェイ」は懐かしの風景 [万歳!映画パラダイス〜京都ほろ酔い日記]
 先日「シンデレラマン」を観た時、トレーナー役のポール・ジアマッティがいい味を出していた。それで思い出したのが彼が主演している「サイドウェイ」。初春に公開された時、観ようとして、チャンスを逃していた。興行成績が不振だったのだろう、アッという間に上映が終わ....... [続きを読む]

» 寄り道、挫折、それもまたよし〜『サイドウェイ』 [真紅のthinkingdays]
 小説家を志すバツイチの英語教師マイルス(ポール・ジアマッティ)とTV俳優の ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)は、大学時代からの親友。一週間後に アルメニア人の令嬢と結婚し、年貢を納めるジャックのために、マ... [続きを読む]

« ハリー・ポッターの新作が面白い | トップページ | 山田洋次監督「家族」 »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ゴブリンのHPと別館ブログ

フォト
無料ブログはココログ