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2005年9月 6日 (火)

五線譜のラブレター

2004年 アメリカ・イギリスm001134bg
原題:De-Lovely
配給:20世紀フォックス映画
監督:アーウィン・ウィンクラー
脚本:ジェイ・コックス
撮影:トニー・ピアース=ロバーツ
出演:ケヴィン・クライン、アシュレイ・ジャッド
        ジョナサン・プライス、ケヴィン・マクナリー
        サンドラ・ネルソン、アラン・コーデュナー
    ピータ・ポリカープー、キース・アレン
       ジェームズ・ウィルビー、ケヴィン・マクキッド
特別出演
   ナタリー・コール、エルヴィス・コステロ
       シェリル・クロウ、アラニス・モリセット、ロビー・ウィリアムス、ララ・ファビアン
   ダイアナ・クラール、ヴィヴィアン・グリーン、マリオ・フラングーリス、レマー
   ミック・ハックネル

 期待を上回る傑作だった。最近アメリカ映画に元気がないと思っていたが、そんな心配を少し和らげてくれる良質の作品である。「スター・ウォーズ エピソード3」と「宇宙戦争」でルーカス対スピルバーグの競演も話題になった。やっとアメリカ映画らしくなってきた。こうでないといけない。山の様にある凡作と質はともかく話題の超大作と少数の優れた作品、これがアメリカ映画の本来の姿である。やっとその本来の姿に近づいてきた。もう少し様子を見ないと安心できないが、どうも最近のアメリカ映画界はおかしいぞという心配が杞憂であればいいのだが。

 老齢のコール・ポーターが舞台で演じられる自分の半生を客席で見る設定になっている。数々の名曲を交えたミュージカル仕立ての演出、ナタリー・コールやエルビス・コステロ等の有名ミュージシャンの特別出演、そして何といっても古きよき時代のアメリカ映画の香りを優雅に漂わせるムード。ここにはアメリカ映画の優れた伝統を凝縮した世界がある。「シカゴ」を上回る出来だ。

 出演しているミュージシャンがすごい。ナタリー・コール、エルヴィス・コステロ、シェリル・クロウ、アラニス・モリセット、ロビー・ウィリアムス、ララ・ファビアン、ダイアナ・クラール等々。この豪華さこそアメリカ映画の醍醐味だ。他の国では到底まねが出来ない。

 しかし一番素晴らしいと思ったのは主演の二人だ。ケヴィン・クラインとアシュレイ・ジャッド。二人とも実際に吹き替えなしで歌っている。この二人の歌が素晴らしい。特にケヴィン・クラインの歌は説得力があり、ぐんぐん胸に迫ってくる。並みの才能ではやっていけないハリウッドの凄みを感じる。さらに素晴らしいのはいうまでもなく演技力だ。二人とclip-eng3も若いときから老齢までを演じ分けている。少しずつ髪の毛に白いものが混じり、動きも鈍くなり、ほほがたるみ、顔にしわが増えてくる。声も変わってくる。特に感動したのは死の床に伏せるリンダ(アシュレイ・ジャッド)のメークだ。つるつるしていた顔に残酷なしわが走り、顔にたるみが出来ている。目の周りは黒く落ち窪んでいる。これはまあ老人のメイクとして当たり前だ。驚くべきは喉のしわだ。老人は喉の辺りにもしわが出来ているが、そんなところまで手を抜かずに丁寧に作り上げている。いや、メーキャップだけの効果ではない。俳優の動き、身振り、話し方、そして何よりも年齢を重ねるごとに身にまとってゆく人生の重み、それらが伴わなければ、ただの着ぐるみを着ているのと同じだ。二人はそれを見事にやってのけた。そこが素晴らしい。

 もちろん老け役ばかりがいいわけではない。若いときの二人は輝かんばかりだ。さっそうとしたケヴィン・クライン。美しさとしとやかさを兼ね備えたアシュレイ・ジャッド。彼女は「サイモン・バーチ」以来のファンだが、この映画が一番彼女の魅力を引き出している。二人にとってこの作品は代表作になるだろう。衣装や宝石類には何の関心もないのでどうでもいいが、建物や室内装飾は時代を感じさせる豪華なものだ。コスチューム・プレイというが、衣装だけでは時代を表現できない。舞台装置も重要な要素である。こういうところに金をかけられるからこそ夢を描けるのだ。そういう点でアメリカは有利である。最もこの点では古い豪壮な建物が多く残っているヨーロッパも負けてはいないが。

 この種の伝記映画はどうしても主人公を美化して描きがちである。コール・ポーターがホモ・セクシャルだったことを隠さずに描いたのはその辺を意識してのことだったかもしれない。もっとも、全体としてそれも含めて彼の生き方を肯定しているので美化している感じは拭い去れない。特にリンダとの愛にかんしては完全に美化している。しかしそれがこの映画の一番の魅力でもある。「僕の歌は全て君の歌だった。」いかにもという感じのせりふだが、これがすっと自然に入ってくるのは演出がうまいのだろう。五線譜に書き込まれたラブレター。あまりに甘美すぎるこのテーマを、老人になり死を間近にした主人公が振り返るという設定にすることによって多少なりとも抑えようとしている。しかも本人ではなく別の演出家が演出することによって本人が触れたがらないことにも触れている。甘い思い出として振り返るだけではなく、自分で自分を客観視させられる面もある。この演出が秀逸だ。

 この映画の魅力はこれで尽きるわけではない。コール・ポーターの曲そのものの魅力がどれだけこの映画を支えているか。ジョージ・ガーシュイン、デューク・エリントン、アーヴィング・バーリンなどと並ぶアメリカの大作曲家。いかにもミュージカルという明るくテンポの速い曲から、じわりと胸にしみこむバラード調の曲まで。場面に合わせ巧みに織り込まれている。今まで特にいい曲だと思っていたものはほとんどなかったが、この映画で大分考えを改めさせられた。早くDVDを手に入れて、それぞれの曲をもう一度じっくりチェックしてみたい、サウンドトラックのCDも欲しい、そんな気持ちに駆られた。

 監督のアーウィン・ウィンクラーは長い間プロデューサーとして活躍し、数々の名作を製作してきた。監督としては91年の「真実の瞬間」が第1作である。その処女作が今までの代表作だったが、「五線譜のラブレター」はさらにその上を行く出来だ。この作品は彼の代名詞になるだろう。

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コメント

 ほんやら堂さん 丁寧なコメントをありがとうございます。
 こういう映画を作らせたらやはりアメリカが一番ですね。僕も最近はうるさい曲は聞けなくなりました。バラード調の、ゆったりとした曲を聴くことが多くなりました。また、若い頃は特に良いと思わなかったものが突然ぐっと胸に迫ることもあります。「靴に恋して」や「モディリアーニ 真実の愛」で流れてきたピアフの「バラ色の人生」は胸にしみましたね。思わずCD買っちゃいましたよ。

ゴブリン様,TBありがとうございました.
この映画にふさわしい重厚な映画評を拝見して,感銘を受けました.
老けメークには小生もびっくりしました.日本の老けメークは,これに比べれば学芸会並みですよね.
若い頃はロック一辺倒でしたが,最近はコール・ポーターの甘いメロディが身にしみます.またこういう映画を見たいものです.

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日記:2005年11月某日 映画「五線譜のラブレター」を見る. 2004年.監督 [続きを読む]

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