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2005年8月31日 (水)

モーターサイクル・ダイアリーズ

030712_02_q2004年 塀・仏・独・英・アルゼンチン・チリ・ペルー
監督:ヴァルテル・サレス
製作総指揮:ロバート・レッドフォード
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
ミア・マエストロ、メルセデス・モラーン、ジャン・ピエール・ノエル

 チェ・ゲバラ自身が記した『モーターサイクル南米旅行日記』と旅のパートナーだったアルベルト・グラナードの旅行記を基にしている。監督は「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス。「セントラル・ステーション」の時はヴァルテル・サレスと表記されていたが、いつのまにか英語発音表記になっている。製作にアメリカとイギリスが加わっているせいだろう。ロバート・レッドフォード製作総指揮。若きゲバラを演じるのはガエル・ガルシア・ベルナル。「アモーレス・ペロス」「天国の口、終わりの楽園」「ドット・ジ・アイ」に続いて、彼を見るのは4作目だ。「ドット」の時ほどではないが、笑った時などに口元が変な感じに歪むのが気になる(どうでもいいことだが)。7歳年上の友人アルベルトを演じるのはロドリゴ・デ・ラ・セルナ。知らない俳優だが存在感があっていい俳優だ。

  いわゆるロード・ムービーだが、南米大陸を縦断しようという壮大な計画に基づく旅という点が普通のロード・ムービーと違う。9ヶ月1万2千キロの旅だ。さらに重大な相違点は、若いうちに南米大陸を見ておこうという計画から始まった旅が、ゲバラの社会認識を深めて社会主義者・革命家へと成長してゆくきっかけとなる旅になってゆくところだ。単に旅の途中で様々な人に出会って人生経験を深めるというだけではなく、南米の人々の悲惨な現実を見、そこから革命が必要だという認識にまで到達するのである。現実がゲバラという革命家を生んだのだ。そこがきちんと描かれていることを評価したい。

 ゲバラはどうやらアルゼンチンのブエノスアイレス出身らしい。あだ名はフーセル(激しい心)。若かりし頃の彼の性格がよく表れている。ある程度裕福な生まれのようだ。しかも彼は医学生で喘息持ちだった。そんな基本的なことも知らなかったとは!友人の医学生アルベルト(自称「放浪化学者」)とともに、二人でおんぼろバイク「ノートン500」にまたがってゲバラたちは旅に出る。本でしか知らない南米大陸を自分の目で見たいという、好奇心からの冒険旅行だった。おんぼろバイクは途中で使い物にならなくなり鉄くずに変わってしまう。後はひたすら歩きだ。砂漠も歩いて超えた。そこで銅山労働者の悲惨な現実を垣間見る。思いおもいに岩の上に座って指名を待つ日雇い労働者の姿が実に印象的だ。

 ブエノスアイレスから出発し、アルゼンチンからチリに入る。夏でも冬の様なアンデスを越えてマチュピチュに行く。この古代文明の廃墟を見て、ゲバラは自分たちの先住民の文化の高さを思い、またそれを滅ぼした文明の残虐さを思う。この前にはインディオたちと出会い、土地を追われ生活に苦しむ様子を見聞きする。このマチュピチュの地で革命家ゲバラが生まれたのだ。

 医学生であるゲバラたちは途中ハンセン病の病棟でしばらく働く。ゴム手袋をはめることが規則になっている病棟で、ゲバラたちは、ハンセン病は伝染病ではないのだからと素手で患者に握手をする。今から50年ほど前にこのような認識を持った人たちがいたのだ!ついこの間までハンセン病患者を隔離して非人道的な扱いをしてきた日本の扱いを考えると、これは実に大胆であり後の革命家としての彼の資質を象徴的に描き出している印象的なシーンである。

 アルベルトはカラカスの病院で働くことになった。二人は療養所を離れる。その頃までには二人とも療養所の職員とも患者たちとも親しくなっていた。別れの場面はいい場面だ。療養所からお礼にもらった筏で川を下る。カラカスに着き、ゲバラはアルベルトと分かれる。別れ際にアルベルトはゲバラに病院で一緒に働かないかと持ちかける。ゲバラはそれを断る。「この長い旅の間に何かが変わった。その答えを見つけたいんだ。人々のために」。この言葉が作品全体を要約している。

 最後に南米の人々がセピア調の色合で映し出される。まるで「アド街写真館」の総集編のように。これがいい。動画なのだがまるで古びて黄ばんだ白黒写真のように見える。白黒写真はカラー写真より記録性が増す気がする。キャパやスティーグリッツの写真はなぜあんなに見るものをひきつけるのか。街頭の風景や市井の人々を映しているだけなのに、白黒の写真におさまるととたんに「歴史」になってしまう(素人の写真ではそうは行かないだろうが)。ものを言わず、ただじっとこちらを見つめる顔、人生と生活の重さをにじませた人々の顔は実に雄弁だった。これらの名もない人々との「出会い」が革命家チェ・ゲバラを生んだのだ。

 その後に実際にゲバラたちが撮ったと思われる写真も映し出される。貴重な写真だ。そして最後にしわだらけの老人になったアルベルト本人の顔が映る。何と彼はまだ生きていたのだ。彼は8年後ゲバラと再会した。生涯彼を支持することを決意して、キューバに病院を建てたというコメントが入る。

 ゲバラを美化しすぎていないところに共感を覚える。ただ一つ気になったシーンがある。ゲバラの誕生日を祝って病院のスタッフたちがパーティを開くのだが、その時パーティを抜け出したゲバラは、患者たちと一緒に祝いたいと川を泳いで渡る。川は療養所のスタッフと患者たちを隔てている。その川を泳いで渡るというのは象徴的意味を持っている。彼が川を泳ぎきった時、川の両岸から歓声が上がる。彼の「無謀な」行為は川によって隔てられた人々を結びつけたのだ。しかし、これはいかにも映画的効果を狙って付け加えたエピソードの様な気がする。実際に「日記」の中にあったことだろうか。決して悪いエピソードではないのだが、まるでハリウッド映画のようになってしまった。

 数ヶ月前に小諸のブックオフでたまたまアルベルト・グラナード著『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』(学習研究社)を入手していた。忙しくてまだ読んでいなかったのだが、読んでみたくなった。ゲバラ自身の日記もいずれ手に入れよう。

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