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2005年8月29日 (月)

裸足の1500マイル

paris382002年 オーストラリア映画
監督:フィリップ・ノイス
出演:エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン
        ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー

 白人によって母親から引き離され、収容所に入れられた3人の女の子が、脱走して追っ手をかわしながら1500マイルもの距離を歩き通し、母親の元に帰るという映画である。隔離されたのは白人との混血児だ。その責任者のネヴィル(アボリジニたちはデヴィルと呼んでいる)を演じるのがケネス・ブラナーだ。実にいやな男を演じている。当時の、今も残っているだろうが、白人の偏見が実に如実に描かれている。

 ネヴィルが協力者の白人女性たちにスライドを見せる場面があるが、その中でクァドルーン、オクトルーンというなつかしい言葉を聞いた。白人と非白人との混血児をミュラートといい、そのミュラートと白人の間に出来た子供、つまり非白人の血が4分の1入っている混血児をクァドルーンという。そのクァドルーンと白人の間の子供、つまり非白人の血が8分の1入っている混血児をオクトルーンと呼ぶ。オクトルーンになればアボリジニの特徴はなくなると彼は力説する。混血児の問題を解決する方法はこれだというのである。彼は収容所に送られて来た子供を検分する。色が白いものだけを学校に入れるためだ。白ければ白いほど知能が高いと考えているのである。あるいは、脱走したモリーたちがフェンス(映画の原題は「ウサギよけフェンス」)沿いに逃げている(フェンスは彼女たちの村まで続いている)と聞いて漏らす、「石器時代の生活をしているくせに頭がいい」という言葉にも偏見が滲み出ている。

 子供たちの逃避行は容易なものではなかった。距離があるだけではない。通過する土地は荒れ果てており、砂漠も越えなければならない。何人か出会った人達に食べ物をもらったりしながら、少女たちは旅を続ける。彼女たちの逃避行をさらに困難にしているのは、追っ手の存在である。中でも手ごわいのは同じアボリジニの男である。足跡を読むなどの、白人にはまねの出来ない方法で脱走者を追ってくる。アボリジニにアボリジニを捕まえさせようという手段の卑劣さに怒りを覚える(追跡者の娘も収容所に入れられているのだ)。

 3人の少女たちがいい。特に長女のモリーの存在感は圧倒的だ。大きな眼が実に印象的で、疑わしそうに相手をにらみ、油断なく当たりを見渡すときの眼が実に雄弁だ。モリーたちは無事母親の元に帰り着くが、母親との再会の場面よりも逃走中の場面の方が素晴らしい。彼女たちの知恵と生命力に感心させられるからだ。ブッシュが延々と続く広大な土地で、水と食べ物を見つけるすべを13歳ぐらいにして既に身につけていたのである。土に生きる人たちの強さに驚嘆する。しかも、モリーは大人になってからも収容所に入れられ、また脱走したのである。しかし彼女の3歳の娘はつれ去られたままついに会うことはなかった。

 ネヴィルや女性看護人のクイーンズ・イングリッシュに、この隔離政策がイギリス帝国主義の延長線上にあることがうかがえる。オーストラリア代表としてオリンピックで活躍したアボリジニの女性陸上選手がいたが、この映画はその「裸足のランナー」よりも世界中の人々に感動を与えるだろう。

 先進国以外の国から次々と注目作が発表されるようになってきた。これまで世界映画市場に無縁だった国や地域や民族の人たちが今、自分たちの言葉と様式で語り始めているのである。

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