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2020年8月 3日 (月)

先月観た映画 採点表(2020年6~7月)

「炎/628」(1985、エレム・クリモフ監督、ソ連)★★★★★
「喜びも悲しみも幾歳月」(1957、木下恵介監督、日本)★★★★★
「また逢う日まで」(1950、今井正監督、日本)★★★★☆
「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」(2018、ニルス・タヴェルニエ監督、フランス)★★★★☆
「パラサイト 半地下の家族」(2019、ポン・ジュノ監督、韓国)★★★★☆
「キューポラのある街」(1962、浦山桐郎監督、日本)★★★★☆
「天気の子」(2019、新海誠監督、日本)★★★★▽
「田園の守り人たち」(2017、グザヴィエ・ボーヴォワ監督、フランス・スイス)★★★★▽
「ザ・レイド」(2011、ギャレス・エヴァンス監督、インドネシア)★★★★▽
「スノーピアサー」(2013、ポン・ジュノ監督、韓国・アメリカ・フランス)★★☆
「クラバート」(1977、カレル・ゼマン監督、チェコスロヴァキア)★★☆

主演男優
 5 佐田啓二「喜びも悲しみも幾歳月」
   ジャック・ガンブラン「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」
   アリョーシャ・クラフチェンコ「炎/628」
   ソン・ガンホ「パラサイト 半地下の家族」

主演女優
 5 高峰秀子「喜びも悲しみも幾歳月」
 4 久我美子「また逢う日まで」
   吉永小百合「キューポラのある街」

助演男優
 5 東野英治郎「キューポラのある街」
   市川好郎「キューポラのある街」
 4 森坂秀樹「キューポラのある街」
   加藤武「キューポラのある街」

助演女優
 4 杉山徳子「キューポラのある街」

 

 

2020年7月31日 (金)

これから観たい&おすすめ映画・BD(20年8月)

【新作映画】公開日
7月10日
 「透明人間」(リー・ワネル監督、米・オーストラリア)
7月17日
 「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」(ツヴァ・ノヴォトニー監督、スウェーデン)
7月18日
 「ぶあいそうな手紙」(アナ・ルイーザ・アゼヴェード監督、ブラジル)
7月24日
 「プラド美術館 驚異のコレクション」(ヴァレリア・パリージ監督、イタリア・スペイン)
 「17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン 」(ニコラウス・ライトナー監督、オーストリア )
 「LETO -レト- 」(キリル・セレブレンニコフ監督、ロシア・フランス)
 「ジェイド・ダイナスティ 破壊王、降臨。」(チン・シウトン監督、中国)
7月25日
 「日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人」(小原浩靖監督、日本)
7月31日
 「カラー・アウト・オブ・スペース――遭遇――」(リチャード・スタンリー監督、ポルトガル、他)
 「剣の舞 我が心の旋律」(ユスプ・ラジコフ監督、ロシア・アルメニア)
 「♯ハンド全力」(松居大悟監督、日本)
8月7日
 「ディック・ロングはなぜ死んだのか」(ダニエル・シャイナート監督、アメリカ)
 「ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち」(キャサリン・ベインブリッジ監督、カナダ)
 「ジョーンの秘密」(トレヴァー・ナン監督、イギリス)
 「ハニーボーイ」(アルマ・ハレル監督、アメリカ)
8月14日
 「ディヴァイン・フューリー/使者」(キム・ジュファン監督、韓国)
 「ジェクシー!スマホを変えただけなのに」(ジョン・ルーカス、他、監督、アメリカ)
 「ファヒム パリが見た奇跡」(ピエール・フランソワ・マルタン・ラヴァル監督、フランス)
 「思い、思われ、ふり・ふられ」(三木孝浩監督、日本)
 「弱虫ペダル」(三木康一郎監督、日本)
9月4日
 「ムーラン」(ニキ・カーロ監督、アメリカ)

【新作DVD・BD】レンタル開始日
7月22日
 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(ライアン・ジョンソン監督、アメリカ)
 「ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を」(ファイト・ヘルマー監督、独・アゼルバイジャン)
8月5日
 「1917 命をかけた伝令」(サム・メンデス監督、イギリス・アメリカ)
 「ザ・ピーナツバター・ファルコン」(タイラー・ニルソン、他、監督、アメリカ)
 「スキャンダル」(ジェイ・ローチ監督、アメリカ)
 「ダンサー そして私たちは踊った」(レヴァン・アキン監督、スウェーデン・仏・他)
 「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」(クラウス・ハロ監督、フィンランド)
 「影裏」(大友啓史監督、日本)
 「静かな雨」(中川龍太郎監督、日本)
 「his」(今泉力哉監督、日本)
 「ダブル・サスペクツ」(アルノー・デブレシャン監督、フランス)
 「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」(クリス・フォギン監督、英)
8月7日
 「冬時間のパリ」(オリヴィエ・アサイヤス監督、フランス)
8月19日
 「ヲタクに恋は難しい」(福田雄一監督、日本)
 「囚われた国家」(ルパート・ワイアット監督、アメリカ)
 「ナイチンゲール」(ジェニファー・ケント監督、豪・加・米)
9月2日
 「恐竜が教えてくれたこと」(ステフェン・ワウテルロウト監督、オランダ)
 「グレタ」(ニール・ジョーダン監督、アイルランド・アメリカ)
 「ジュディ 虹の彼方に」(ルパート・グールド監督、イギリス)
 「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」(エミール・クストリッツァ監督)
 「サヨナラまでの30分」(萩原健太郎監督、日本)
 「ずぶぬれて犬ころ」(本田孝義監督、日本)
9月9日
 「ミッドサマー」(アリ・アスター監督、アメリカ)
 「弥生、三月 -君を愛した30年-」(遊川和彦監督、日本)

【旧作DVD・BD】発売日
8月7日
 「青春デンデケデケデケ」(1992、大林宜彦監督、日本)
8月19日
 「軍旗はためく下に」(1972、深作欣二監督、日本)
8月21日
 「海の上のピアニスト」(1998、ジュゼッペ・トルナトーレ監督、イタリア・アメリカ)
 「真夏の夜のジャズ 4K」(1959、バート・スターン、他、監督、アメリカ)
9月9日
 「ふたり」(1991、大林亘彦監督、日本)

*色がついているのは特に注目している作品です。

 

 

2020年7月21日 (火)

ゴブリンのこれがおすすめ50 世界中の映画を観てみよう

 「ゴブリンのこれがおすすめ」シリーズの記念すべき50回目は、ゴブリンがモットーとする「世界中の映画を観てみよう」です。ただしアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ソ連・ロシア、日本、韓国、中国の映画は除外してあります。ソ連・ロシア映画、韓国映画、中国映画はすでにこのシリーズで取り上げています。またイギリス映画は「ゴブリンのおすすめイギリス映画 マイ・ベスト150+α」という記事を書いています。アメリカ、フランス、イタリア、ドイツ、そして日本映画はいずれこのシリーズで別途紹介します。

【アイスランド】
「春にして君を想う」(1991)フリドリック・トール・フリドリクソン監督
「馬々と人間たち」(2013)ベネディクト・エルリングソン監督
「ひつじ村の兄弟」(2015)グリームル・ハゥコーナルソン監督

【アイルランド】
「ザ・コミットメンツ」(1991) アラン・パーカー監督
「マグダレンの祈り」(2002) ピータ・ミュラン監督
「イン・アメリカ三つの小さな願いごと」(2002) ジム・シェリダン監督、アイルランド・イギリス
「ヴェロニカ・ゲリン」(2003) ジョエル・シュマッカー監督
「ONCE ダブリンの街角で」(2006) ジョン・カーニー監督
「ブレンダンとケルズの秘密」(2009)トム・ムーア監督、仏・ベルギー・アイルランド
「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(2014)トム・ムーア監督、アイルランド、他
「ブルックリン」(2015)ジョン・クローリー監督、アイルランド・イギリス・カナダ

【アフガニスタン】
「アフガン零年」(2003) セディク・バルマク監督、アフガニスタン・日本・アイルランド

【アルゼンチン】
「オフィシャル・ストーリー」(1985) ルイス・プエンソ監督
「タンゴ―ガルデルの亡命」(1985) フェルナンド・E・ソラナス監督
「ナイト・オブ・ペンシルズ」(1986) エクトル・オリベラ監督
「スール その先は・・・愛」(1988) フェルナンド・E・ソラナス監督
「ラテンアメリカ光と影の詩」(1992) フェルナンド・E・ソラナス監督
「オリンダのリストランテ」(2001) パウラ・エルナンデス監督
「僕と未来とブエノスアイレス」(2003) ダニエル・プルマン監督
「娼婦と鯨」」(2004)  ルイス・プエンソ監督、アルゼンチン・スペイン
「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2004) ヴァルテル・サレス監督
「瞳の奥の秘密」(2009) フアン・ホセ・カンパネラ監督
「ル・コルビュジエの家」(2009) ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン監督
「アカシアの通る道」(2011)パブロ・ジョルジェッリ監督、アルゼンチン・スペイン
「白夜のタンゴ」(2013)ヴィヴィアーネ・ブルーメンシャイン監督、アルゼンチン・他
「人生スイッチ」(2014) ダミアン・ジフロン監督
「エル・クラン」(2015) パブロ・トラペロ監督

【イスラエル】
「シリアの花嫁」(2004)エラン・リクリス監督、イスラエル・仏・独
「迷子の警察音楽隊」(2007)エラン・コリリン監督、イスラエル・フランス
「戦場でワルツを」(2008)アリ・フォルマン監督、イスラエル・仏・独・米
「レバノン」(2009)サミュエル・マオズ監督、イスラエル・仏・英

【イラク】
「バビロンの陽光」(2010)モハメド・アルダラジー監督、イラク・英・仏・他

【イラン】
「駆ける少年」(1985)アミール・ナデリ監督
「友だちのうちはどこ」(1987) アッバス・キアロスタミ監督
「サイクリスト」(1989) モフセン・マフマルバフ監督
「クローズ・アップ」(1990)  アッバス・キアロスタミ監督
「そして人生はつづく」(1992) アッバス・キアロスタミ監督
「パンと植木鉢」(1996)  モフセン・マフマルバフ監督
「桜桃の味」(1997)  アッバス・キアロスタミ監督
「運動靴と赤い金魚」(1997)  マジッド・マジディ監督
「風が吹くまま」(1999)  アッバス・キアロスタミ監督
「太陽は、ぼくの瞳」(1999)  マジッド・マジディ監督
「酔っ払った馬の時間」(2000) バフマン・ゴバディ監督
「チャドルと生きる」(2000) ジャファル・パナヒ監督
「1票のラブレター」(2001) ババク・パヤミ監督
「カンダハール」(2001)  モフセン・マフマルバフ監督
「少女の髪どめ」(2001) マジッド・マジディ監督
「少年と砂漠のカフェ」(2001)  アボルファズル・ジャリリ監督
「亀も空を飛ぶ」(2004)バフマン・ゴバディ監督
「オフサイド・ガールズ」(2006)  ジャファル・パナヒ監督
「彼女が消えた浜辺」(2009)アスガー・ファルハディ監督
「別離」(2011)アスガー・ファルハディ監督
「人生タクシー」(2015)ジャファル・パナヒ監督
「セールスマン」(2016)アスガー・ファルハディ監督、イラン・フランス

【インド】
「大地のうた」(1955) サタジット・レイ監督
「大河のうた」(1956) サタジット・レイ監督
「大樹のうた」(1959) サタジット・レイ監督
「遠い雷鳴」(1973) サタジット・レイ監督
「チェスをする人」(1977) サタジット・レイ監督
「遠い道」(1981) サタジット・レイ監督
「家と世界」(1984) サタジット・レイ監督
「きっと、うまくいく」(2009)ラージクマール・ヒラニ監督
「マダム・イン・ニューヨーク」(2012)ガウリ・シンデー監督
「女神は二度微笑む」(2012)スジョイ・ゴーシュ監督
「めぐり逢わせのお弁当」(2013)リテーシュ・バトラ監督、インド・フランス・ドイツ

【オーストラリア】
「ピクニック・アット・ハンギングロック」(1975) ピーター・ウィアー監督
「マッドマックス」(1979) ジョージ・ミラー監督
「誓い」(1981) ピーター・ウィアー監督
「エンジェル・アット・マイ・テーブル」(1990) ジェーン・カンピオン監督
「ピアノ・レッスン」(1993)  ジェーン・カンピオン監督
「シャイン」(1995) スコット・ヒックス監督
「ミュリエルの結婚」(1995)  P.J.ホーガン監督
「裸足の1500マイル」(2002) フィリップ・ノイス監督
「メアリー&マックス」(2008)アダム・エリオット監督
「小さな村の小さなダンサー」(2009)ブルース・ペレスフォード監督
「落としもの」(2010)ショーン・タン&アンドリュー・ラーマン監督、豪・英(短編アニメ)
「ソウルガールズ」(2012)ウェイン・ブレア監督

【オーストリア】
「ブルグ劇場」(1936) ヴィリ・フォルスト監督

【オランダ】
「さまよえる人々」(1995) ヨス・ステリング監督
「アントニアの食卓」(1995) マルレーン・ゴリス監督、オランダ、ベルギー、イギリス
「マゴニア」(2001)イネケ・スミツ監督
「ブラックブック」(2006)ポール・バーホーベン監督、オランダ・他

【カザフスタン】
「コーカサスの虜」(1996) セルゲイ・ボドロフ監督、カザフスタン・ロシア

【カナダ】
「サイレント・パートナー」(1978)ダリル・デューク監督、カナダ・米
「木を植えた男」(1987)フレデリック・バック監督
「森の中の淑女たち」(1990) グロリア・デマーズ監督
「大いなる河の流れ」(1993)フレデリック・バック監督
「氷海の伝説」(2001) ザカリアス・クヌク監督
「大いなる休暇」(2003)  ジャン・フランソワ・プリオ監督
「みなさん、さようなら。」(2003) ドゥニ・アルカン監督、カナダ・フランス
「狩人と犬、最後の旅」(2004)  ニコラス・ヴァニエ監督、フランス、カナダ、ドイツ
「灼熱の魂」(2010)ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、カナダ・フランス
「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(2011)フィリップ・ファラルドー監督
「手紙は憶えている」(2015)アトム・エゴヤン監督、カナダ・ドイツ

【ギリシャ】
「日曜はダメよ」(1960) ジュールス・ダッシン監督
「その男ゾルバ」(1964) マイケル・カコヤニス監督
「トロイアの女」(1971) マイケル・カコヤニス監督
「旅芸人の記録」(1975) テオ・アンゲロプロス監督
「イフゲニア」(1978) マイケル・カコヤニス監督
「女の叫び」(1978) ジュールス・ダッシン監督
「アレクサンダー大王」(1980) テオ・アンゲロプロス監督
「シテール島への船出」(1984) テオ・アンゲロプロス監督
「霧の中の風景」(1988) テオ・アンゲロプロス監督
「ユリシーズの瞳」(1995)  テオ・アンゲロプロス監督、伊・仏・ギリシャ
「永遠と一日」(1998)  テオ・アンゲロプロス監督
「タッチ・オブ・スパイス」(2003)タソス・ブルメティス監督、ギリシャ・トルコ

【キルギス】
「あの娘と自転車に乗って」(1998) アクタン・アリム・クバト監督、キルギス・フランス
「明りを灯す人」(2010)アクタン・アリム・クバト監督、キルギス・仏・独・伊・オランダ
「馬を放つ」(2017)アクタン・アリム・クバト監督、キルギス・仏・独・オランダ・日本

【サウジアラビア】
「少女は自転車にのって」(2012)ハイファ・アル=マンスール監督、サウジアラビア・独

【ジョージア(グルジア)】
「ピロスマニ」(1969) ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督
「懺悔」(1984)  テンギズ・アブラゼ、グルジア・ソ連
「独裁者と小さな孫」(2014)モフセン・マフマルバフ監督、ジョージア・他

【スイス】
「サラマンドル」(1970) アラン・タネール監督
「光年のかなた」(1980) アラン・タネール監督
「ジャーニー・オブ・ホープ」(1990) クサヴァー・コラー監督
「マルタのやさしい刺繍」(2006)  ベティナ・オベルリ監督
「僕のピアノコンチェルト」(2007) フレディ・M・ムーラー監督

【スウェーデン】
「第七の封印」(1956) イングマル・ベルイマン監督
「野いちご」(1957) イングマル・ベルイマン監督
「処女の泉」(1960) イングマル・ベルイマン監督
「沈黙」(1963) イングマル・ベルイマン監督
「叫びとささやき」(1972) イングマル・ベルイマン監督
「ファニーとアレクサンデル」(1982) イングマル・ベルイマン監督
「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985) ラッセ・ハレストレム監督
「ロッタちゃんと赤いじてんしゃ」(1992) ヨハンナ・ハルド監督
「ロッタちゃん はじめてのおつかい」(1993) ヨハンナ・ハルド監督
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)ニールス・アルデン・オプレヴ監督、スウェーデン・他
「ミレニアム2」(2009)ダニエル・アルフレッドソン監督、スウェーデン・他
「ヒプノティスト-催眠-」(2012)ラッセ・ハルストレム監督
「ストックホルムでワルツを」(2013)  ペール・フリー監督
「幸せなひとりぼっち」(2015)ハンネス・ホルム監督
「サーミの血」(2016)アマンダ・シェーネル監督、スウェーデン・ノルウェー・他
「ボーダー 二つの世界」(2018)アリ・アッバシ監督、スウェーデン・デンマーク

【スペイン】
「オーソン・ウェルズのオセロ」(1966) オーソン・ウェルズ監督、スペイン・スイス
「ミツバチのささやき」(1973) ヴィクトル・エリセ監督
「クエンカ事件」(1979) ピラール・ミロー監督
「血の婚礼」(1981) カルロス・サウラ監督
「黄昏の恋」(1982) ホセ・ルイス・ガルシ監督
「エル・スール」(1983)  ヴィクトル・エリセ監督
「カルメン」(1983) カルロス・サウラ監督
「バレンチナ物語」(1983) アントニオ・ホセ・ベタンコール監督
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」(1987) ペドロ・アルモドバル監督
「ベルナルダ・アルバの家」(1987) マリオ・カムス監督
「戒厳令下チリ潜入記」(1988) ミゲル・リティン監督
「蝶の舌」(1999) ホセ・ルイス・クエルダ監督
「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999) ペドロ・アルモドバル監督
「キャロルの初恋」(2002)  イマノル・ウリベ監督
「靴に恋して」(2002) ラモン・サラザール監督
「死ぬまでにしたい10のこと」(2002) イザベル・コイシェ監督
「トーク・トゥ・ハー」(2002) ペドロ・アルモドバル監督
「海を飛ぶ夢」(2004) アレハンドロ・アメナーバル監督、スペイン・仏・伊
「パンズ・ラビリンス」(2006) ギレルモ・デル・トロ監督、メキシコ・スペイン・他
「ボルベール<帰郷>」(2006) ペドロ・アルモドバル監督
「永遠のこどもたち」(2007) J・A・バヨナ監督、スペイン・メキシコ
「シルビアのいる街で」(2007) ホセ・ルイス・ゲリン監督、スペイン・フランス
「瞳の奥の秘密」(2009)  フアン・ホセ・カンパネラ監督、スペイン・アルゼンチン
「ペーパーバード 幸せは翼にのって」(2010)エミリオ・アラゴン監督
「BIUTIFUL」(2010)アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、スペイン・他
「星の旅人たち」(2010)エミリオ・エステヴェス監督、アメリカ・スペイン
「悪人に平穏なし」(2011)エンリケ・ウルビス監督
「しわ」(2011)イグナシオ・フェレーラス監督
「ブランカニエベス」(2012)パブロ・ベルヘル監督、スペイン・フランス
「マーシュランド」(2014)アルベルト・ロドリゲス監督
「ロープ/戦場の生命線」(2015)フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督
「マイ・ブックショップ」(2018)イサベル・コイシェ監督、スペイン・英・独

【セネガル】
「エミタイ」(1971) ウスマン・センベーヌ監督
「チェド」(1976) ウスマン・センベーヌ監督
「母たちの村」」(2004) ウスマン・センベーヌ監督

【セルビア=モンテネグロ】
「ライフ・イズ・ミラクル」(2004) エミール・クストリッツァ監督、仏・セルビア

【タイ】
「風の前奏曲」(2004) イッティスーントーン・ウィチャイラック監督
「すれ違いのダイアリーズ」(2014)  ニティワット・タラトーン監督

【台湾】
「冬冬の夏休み」(1984) ホウ・シャオシェン監督
「童年往事/時の流れ」(1985) ホウ・シャオシェン監督
「恐怖分子」(1986) エドワード・ヤン監督、香港・台湾
「恋恋風塵」(1987) ホウ・シャオシェン監督
「非情城市」(1989) ホウ・シャオシェン監督
「推手」」(1991) アン・リー監督
「嶺街少年殺人事件」(1991)  エドワード・ヤン監督
「ウェディング・バンケット」(1993) アン・リー監督
「戯夢人生」(1993) ホウ・シャオシェン監督
「川の流れに草は青々」(1994)  ホウ・シャオシェン監督
「恋人たちの食卓」(1994) アン・リー監督
「熱帯魚」(1995) チェン・ユーシュン監督
「ラスト、コーション」(2007)  アン・リー監督、アメリカ・中国・台湾・香港
「海角七号/君想う、国境の南」(2008)ウェイ・ダーション監督
「父の初七日」(2009) ワン・ユーリン、エッセイ・リウ監督
「ヤンヤン/夏の思い出」(2000) エドワード・ヤン監督
「セデック・バレ 第一部、第二部」(2011) ウェイ・ダーション監督
「星空」(2011) トム・リン監督、中国・台湾
「光にふれる」(2012) チャン・ロンジー監督、台湾・香港・中国
「天空からの招待状」(2013)チー・ポーリン監督
「目撃者 闇の中の瞳」(2017) チェン・ウェイハオ監督

【チェコ】
「悪魔の発明」(1957)  カレル・ゼマン監督
「真夏の夜の夢」(1959) イジー・トルンカ監督
「盗まれた飛行船」(1966) カレル・ゼマン監督
「スイート・スイート・ビレッジ」(1985) イジー・メンツェル監督
「コーリャ愛のプラハ」(1996) ヤン・スビエラーク監督
「この素晴らしき世界」(2000) ヤン・フジェベイク監督

【チリ】
「100人の子供たちが列車を待っている」(1988) イグナシオ・アグエロ監督
「光のノスタルジア」(2010) パトリシオ・グスマン監督、フランス・ドイツ・チリ
「真珠のボタン」(2014)パトリシオ・グスマン監督、フランス・チリ・スペイン

【デンマーク】
「奇跡」(1955) カール・ドライエル監督
「バベットの晩餐会」(1987) ガブリエル・アクセル監督
「ペレ」(1987) ビレ・アウグスト監督
「愛と精霊の家」(1993)  ビレ・アウグスト監督、独・デンマーク・ポルトガル
「マイ・リトル・ガーデン」(1997) ソーレン・クラウ・ヤコブセン監督、デンマーク・独・英
「幸せになるためのイタリア語講座」(2000) ロネ・シェルフィグ監督、デンマーク・スウェーデン
「アフター・ウェディング」(2006) スサンネ・ビア監督
「愛さえあれば」(2012)スサンネ・ビア監督
「特捜部Q 檻の中の女」(2013)ミケル・ノルガード監督

【トルコ】
「希望」(1970) ユルマズ・ギュネイ監督
「エレジー」(1971) ユルマズ・ギュネイ監督
「群れ」(1978) ユルマズ・ギュネイ監督
「獄中のギュネイ」(1979) H.シュテンペル、M.リプケンス監督、ドイツ
「敵」(1979) ユルマズ・ギュネイ監督
「路」(1982) ユルマズ・ギュネイ監督
「ハッカリの季節」(1983) エルデン・キラル監督
「遥かなるクルディスタン」(1999) イエスィム・ウスタオウル監督、トルコ・ドイツ・オランダ
「少女ヘジャル」(2001) ハンダン・イペクチ監督、トルコ・ギリシャ・ハンガリー
「おじいちゃんの里帰り」(2011)ヤセミン・サムデレリ監督、ドイツ・トルコ
「雪の轍」(2014)ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、トルコ・フランス・ドイツ

【ニカラグア】
「アルシノとコンドル」(1982) ミゲル・リティン監督

【ニュージーランド】
「エンジェル・アット・マイ・テーブル」(1990)  ジェーン・カンピオン監督
「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)  ピーター・ジャクソン監督
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」(2002)  ピーター・ジャクソン監督
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(2003) ピーター・ジャクソン監督
「クジラの島の少女」(2003) ニキ・カーロ監督
「世界最速のインディアン」(2005) ロジャー・ドナルドソン監督、ニュージーランド・アメリカ
「ホビット 思いがけない冒険」(2012)ピーター・ジャクソン監督、米・ニュージーランド
「ホビット 竜に奪われた王国」(2013)ピーター・ジャクソン監督、米・ニュージーランド

【ネパール】
「キャラバン」(1999) エリック・ヴァリ監督、英・仏・ネパール・スイス

【ノルウェー】
「歌え!フィッシャーマン」(2001) クヌート・エーリク・イエンセン監督、スウェーデン・ノルウェー
「キッチン・ストーリー」(2003) ベント・ハーメル監督、ノルウェー・スウェーデン
「ホルテンさんのはじめての冒険」(2007) ベント・ハーメル監督
「クリスマスのその夜に」(2010)ベント・ハーメル監督、ノルウェー・ドイツ・スウェーデン
「誰でもない女」(2012)ゲオルク・マース監督、ドイツ・ノルウェー
「ハロルドが笑う その日まで」(2014)グンナル・ヴィケネ監督

【パレスチナ】
「ガザの美容室」(2015)タルザン・ナーセル&アラブ・ナーセル監督

【ハンガリー】
「だれのものでもないチェレ」(1976) ラースロー・ラノーディー監督
「ハンガリアン」(1977) ゾルタン・ファーブリ監督
「ハンガリアン狂詩曲」(1978) ヤンチョー・ミクローシュ監督
「メフィスト」(1981) イシュトヴァン・サボー監督
「アンダーグラウンド」(1995) エミール・クストリッツァ監督、仏・独・ハンガリー
「太陽の雫」(1999) イシュトヴァン・サボー監督、カナダ・ハンガリー
「人生に乾杯!」(2007)ガーボル・ロホニ監督
「悪童日記」(2013)ヤーノシュ・サース監督、ドイツ・ハンガリー
「サウルの息子」(2015)ネメシュ・ラースロー監督

【フィリピン】
「ダイ・ビューティフル」(2016) ジュン・ロブレス・ラナ監督

【フィンランド】
「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」(1989)アキ・カウリスマキ監督
「ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦」(1990)ペッカ・パリッカ監督
「浮き雲」(1996)アキ・カウリスマキ監督
「過去のない男」(2002) アキ・カウリスマキ監督
「ヘイフラワーとキルトシュー」(2002)  カイサ・ラスティモ監督
「街のあかり」(2006)  アキ・カウリスマキ監督、フィンランド・ドイツ・フランス
「ル・アーヴルの靴みがき」(2011)アキ・カウリスマキ監督、フィンランド・仏・独
「オンネリとアンネリのおうち」(2014)サーラ・カンテル監督
「希望のかなた」(2017)アキ・カウリスマキ監督
「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」(2017)アク・ロウヒミエス監督

【ブータン】
「ザ・カップ/夢のアンテナ」(1999) ケンツェ・ノルブ監督

【ブラジル】
「黒いオルフェ」(1959)  マルセル・カミュ監督、フランス・ブラジル
「アントニオ・ダス・モルテス」(1969) グラウベル・ローシャ監督
「蜘蛛女のキス」(1985) ヘクトール・バベンコ監督、アメリカ・ブラジル
「クアトル・ディアス」(1997) ブルーノ・バレット監督
「セントラル・ステーション」(1998) ヴァルテル・サレス監督
「シティ・オブ・ゴッド」(2002) フェルナンド・メイレレス監督、ブラジル・仏・米
「フランシスコの2人の息子」(2005) ブレノ・シウヴェイラ監督
「父を探して」(2013)アレ・アブレウ監督

【ブルガリア】
「略奪の大地」(1988) リュドミル・スタイコフ監督
「さあ帰ろう、ペダルをこいで」(2008)ステファン・コマンダレフ監督、ブルガリア・他

【ベトナム】
「無人の野」(1980) グエン・ホン・セン監督

【ベネズエラ】
「追憶のオリアナ」(1984) フィナ・トレス監督、フランス、ベネズエラ

【ベルギー】
「トト・ザ・ヒーロー」(1991) ジャコ・ヴァン・ドルマン監督
「ロゼッタ」(1999) エミリー・ドゥケンヌ監督、ベルギー・フランス
「ポーリーヌ」(2001) リーフェン・デブローワー監督、ベルギー・仏・オランダ
「サンドラの週末」(2014)ジャン・ピエール・ダルデンヌ、他、監督、ベルギー・他

【ボスニア】
「パーフェクト・サークル」(1998) アデミル・ケノビッチ監督
「サラエボの花」(2006) ヤスミラ・ジュバニッチ監督
「鉄くず拾いの物語」(2013)ダニス・タノヴィッチ監督、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・他

【ポーランド】
「世代」(1954) アンジェイ・ワイダ監督
「影」(1956) イエジー・カワレロウィッチ監督
「地下水道」(1956) アンジェイ・ワイダ監督
「灰とダイヤモンド」(1957)アンジェイ・ワイダ監督
「夜行列車」(1959) イエジー・カワレロウィッチ監督
「尼僧ヨアンナ」(1961) イエジー・カワレロウィッチ監督
「水の中のナイフ」(1962) ロマン・ポランスキー監督
「パサジェルカ」(1964) アンジェイ・ムンク監督
「約束の土地」(1975) アンジェイ・ワイダ監督
「大理石の男」(1977) アンジェイ・ワイダ監督
「鉄の男」(1981) アンジェイ・ワイダ監督
「太陽の年」(1984) クシシュトフ・ザヌーシ監督
「デカローグ」(1988) クシシュトフ・キェシロフスキ監督
「コルチャック先生」(1991) アンジェイ・ワイダ監督、ポーランド・西独
「ふたりのベロニカ」」(1991) クシシュトフ・キェシロフスキ監督
「戦場のピアニスト」(2002) ロマン・ポランスキー監督、ポーランド・仏・独・英
「カティンの森」(2007)アンジェイ・ワイダ監督
「木洩れ日の家で」(2007)ドロタ・ケンジェジャフスカ監督
「ソハの地下水道」(2011)アグニェシュカ・ホランド監督、独・ポーランド
「パプーシャの黒い瞳」(2013)ヨアンナ・コス&クシシュトフ・クラウゼ監督
「イレブン・ミニッツ」(2015)イエジー・スコリモフスキ監督、ポーランド・アイルランド

【マケドニア】
「ビフォア・ザ・レイン」(1994) ミルチョ・マンチェフスキー監督、英・仏・マケドニア

【南アフリカ】
「アマンドラ!希望の歌」(2002) リー・ハーシュ監督、南アフリカ・アメリカ

【メキシコ】
「忘れられた人々」(1950) ルイス・ブニュエル監督
「皆殺しの天使」(1962)ルイス・ブニュエル監督
「エル・トポ」(1967) アレハンドロ・ホドロフスキー監督
「アモーレス・ペロス」(1999) アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督
「フリーダ」(2002) ジュリー・テイモア監督、米・加・メキシコ
「パンズ・ラビリンス」(2006) ギレルモ・デル・トロ監督、メキシコ・スペイン・他
「闇の列車、光の旅」(2009)  ケイリー・ジョージ・フクナガ監督

【ユーゴスラビア】
「抵抗の詩」(1969) トーリ・ヤンコヴィッチ監督
「歌っているのはだれ?」(1980) スロボダン・シャン監督
「パパは出張中!」(1985) エミール・クストリッツァ監督
「ブコバルに手紙は届かない」(1994) ボーロ・ドラシュコヴィッチ監督、米・伊・ユーゴスラビア
「黒猫・白猫」(1998) エミール・クストリッツァ監督

【ルーマニア】
「ガッジョ・ディーロ」(1997) トニー・ガトリフ監督、フランス、ルーマニア
「4ヶ月、3週と2日」(2007) クリスティアン・ムンジウ監督

【多国籍製作】
「アモク!」(1981) スウヘイル・ベン・バルカ監督、モロッコ、ギニア、セネガル
「ノー・マンズ・ランド」(2001) ダニス・タノヴィッチ監督、仏・伊・英・ベルギー・スロヴェニア
「リスボンに誘われて」(2013)ビレ・アウグスト監督、独・スイス・ポルトガル

(注)
 近年いくつもの国が共同制作する映画が増えてきていますが、そのような場合便宜上一番ふさわしいと思われる国に分類しています。それでもどうしても一つの国に絞り切れない場合は、「多国籍制作」として最後に付けてあります。

 

2020年7月19日 (日)

2000年代 (2000-2009) 外国映画 マイ・ベスト200

 「何だこれは!これでいいのか?」これが『キネマ旬報 2020年7月上旬特別号』の「2000年代外国映画ベスト・テン」特集に掲載されているリストを見て心の底から沸き上がった正直な言葉だ。こんな作品を、こんな順位で選ぶとは一体どういうことか?まあ、日頃から『キネマ旬報』は2月5日のベスト・テン発表号しか買わないし、それも手っ取り早いチェック・リスト代わりに使っているだけだ。順位などそもそも信じちゃいない。だから今更驚きはしないが、それにしてもこれはないだろう。
 選者の人選にも問題はあるかもしれないが、一番の原因は一人10本ずつしか投票させなかったことにある。著しく個人のバイアスがかかった作品ばかりが挙がってくるから、票はいたずらにばらつく。1年間のベスト・テンでもかなりのばらつきがあるのだから、10年分ともなればばらつきはなおさら甚だしくなる。20票以上獲得した作品はたったの1本、10票以上でも13本しかない。無意味な投票・集計だったと言わざるを得ない。一人50本ずつ、いやせめて30本ずつ投票出来たら上位の100本は全く違う作品が並んでいたに違いない。
 あまりに腹が立ったので、マイ・ベスト200を作ってみた。あえて順位はつけていない。個人が選んだものだから、当然僕個人の好みや価値観が反映している。見逃がしている作品も少なくはない。それでも当然入れるべき作品をできる限り多くランクインさせたつもりだ。200本選んでも、泣く泣く外した作品がいくつもある。つまり、良い映画だったと思える作品が年間平均で20本を超えると言うことである。

 

「あの子を探して」(2000) チャン・イーモウ監督、中国
「アメリカン・ビューティ」(2000) サム・メンデス監督、アメリカ
「イルマーレ」(2000) イ・ビョンスン監督、韓国
「鬼が来た!」(2000) チアン・ウェン監督、中国
「この素晴らしき世界」(2000) ヤン・フジェベイク監督、チェコ
「幸せになるためのイタリア語講座」(2000) ロネ・シェルフィグ監督、デンマーク・スウェーデン
「JSA」(2000) パク・チャヌク監督、韓国
「シーズン・チケット」(2000) マーク・ハーマン監督、イギリス
「ショコラ」(2000) クレール・ドゥニ監督、アメリカ
「初恋の来た道」(2000) チャン・イーモウ監督、中国
「ブレッド&ローズ」(2000) ケン・ローチ監督、イギリス・ドイツ・スペイン
「ほえる犬は噛まない」(2000) ポン・ジュノ監督、韓国
「メメント」(2000) クリストファー・ノーラン監督、アメリカ
「酔っ払った馬の時間」(2000) バフマン・ゴバディ監督、イラン
「リトル・ダンサー」(2000) スティーヴン・ダルドリー監督、イギリス
「アメリ」(2001) ジャン・ピエール・ジュネ監督、フランス
「1票のラブレター」(2001) ババク・パヤミ監督、イラン
「歌え!フィッシャーマン」(2001) クヌート・エーリク・イェンセン監督、スウェーデン・ノルウェー
「女はみんな生きている」(2001) コリーヌ・セロー監督、フランス
「カンダハール」(2001) モフセン・マフマルバフ監督、イラン
「ゴスフォード・パーク」(2001) ロバート・アルトマン監督、伊・英・米・独
「子猫をお願い」(2001) チョン・ジェウン監督、韓国
「シッピング・ニュース」(2001) ラッセ・ハルストレム監督、アメリカ
「シュレック」(2001) アンドリュー・アダムソン監督、他、アメリカ
「少女の髪どめ」(2001) マジッド・マジディ監督、イラン
「ディナー・ラッシュ」(2001) ボブ・ジラルディ監督、アメリカ
「友へ チング」(2001) クァク・キョンテク監督、韓国
「ノーマンズ・ランド」(2001) ダニス・タノヴィッチ監督、仏・伊・ベルギー・他
「氷海の伝説」(2001) ザカリアス・クヌク監督、カナダ
「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001) シャロン・マグワイア監督、英・米
「マーサの幸せレシピ」(2001) サンドラ・ネットルベック監督、ドイツ
「モンスターズ・インク」(2001) ピート・ドクター監督、アメリカ
「猟奇的な彼女」(2001) クァク・ジェヨン監督、韓国
「アバウト・シュミット」(2002) アレクサンダー・ペイン監督、アメリカ
「アマンドラ!希望の歌」(2002) リー・ハーシュ監督、南アフリカ・アメリカ
「永遠のマリア・カラス」(2002) フランコ・ゼフィレッリ監督、伊・仏・西・英・ルーマニア
「おばあちゃんの家」(2002) イ・ジョンヒャン監督、監督
「過去のない男」(2002) アキ・カウリスマキ監督、フィンランド
「キャロルの初恋」(2002) イマノル・ウリベ監督、スペイン
「ククーシュカ ラップランドの妖精」(2002) アレクサンドル・ロゴシュキン監督、ロシア
「靴に恋して」(2002) ラモン・サラザール監督、スペイン
「シティ・オブ・ゴッド」(2002) フェルナンド・メイレレス監督、ブラジル・仏・米
「至福のとき」(2002) チャン・イーモウ監督、中国
「死ぬまでにしたい10のこと」(2002) イザベル・コヘット監督、スペイン・カナダ
「ションヤンの酒家」(2002) フォ・ジェンチイ監督、中国
「酔画仙」(2002) イム・グォンテク監督、韓国
「SWEET SIXTEEN」(2002) ケン・ローチ監督、イギリス・ドイツ・スペイン
「スティーヴィー」(2002) スティーヴ・ジェイムズ監督、アメリカ
「戦場のピアニスト」(2002) ロマン・ポランスキー監督、仏・独・ポーランド・英
「小さな中国のお針子」(2002) ダイ・シージェ監督、フランス
「トーク・トゥ・ハー」(2002) ペドロ・アルモドヴァル監督、スペイン
「涙女」(2002) リュウ・ビンジェン監督、中国・韓国・カナダ・フランス
「裸足の1500マイル」(2002) フィリップ・ノイス監督、オーストラリア
「HERO」(2002) チャン・イーモウ監督、中国
「フリーダ」(2002) ジュリー・テイモア監督、米・加・メキシコ
「ベッカムに恋して」(2002) グリンダ・チャーダ監督、イギリス・アメリカ・ドイツ
「ベルヴィル・ランデブー」(2002) シルヴァン・ショメ監督、仏・カナダ、ベルギー
「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002) マイケル・ムーア監督、米・加・独
「僕のスウィング」(2002) トニー・ガトリフ監督、日・仏
「ロード・オブ・ザ・リング二つの塔」(2002) ピーター・ジャクソン監督、アメリカ
「ヴェロニカ・ゲリン」(2003) ジョエル・シュマッカー監督、米・アイルランド・英
「エイプリルの七面鳥」(2003) ピーター・ヘッジス監督、アメリカ
「カレンダー・ガールズ」(2003) ナイジェル・コール監督、イギリス・アメリカ
「キッチン・ストーリー」(2003) ベント・ハーメル監督、ノルウェー・スウェーデン
「クジラの島の少女」(2003) ニキ・カーロ監督、ニュージーランド
「殺人の追憶」(2003) ポン・ジュノ監督、韓国
「シルミド」(2003) カン・ウソク監督、韓国
「タッチ・オブ・スパイス」(2003) タソス・ブルメティス監督、ギリシャ・トルコ
「ディープ・ブルー」(2003) アラステア・フォザーギル・他、監督、イギリス
「ピエロの赤い鼻」(2003) ジャン・ベッケル監督、フランス
「ビッグ・フィッシュ」(2003) ティム・バートン監督、アメリカ
「みなさん、さようなら。」(2003) ドゥニ・アルカン監督、カナダ・フランス
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(2003) ピーター・ジャクソン監督、米・ニュージーランド
「ヴェラ・ドレイク」(2004) マイク・リー監督、英・仏・ニュージーランド
「海を飛ぶ夢」(2004) アレハンドロ・アメナーバル監督、スペイン・仏・伊
「華氏911」(2004) マイケル・ムーア監督、アメリカ
「風の前奏曲」(2004) イッティスーントーン・ウィチャイラック監督、タイ
「亀も空を飛ぶ」(2004) バフマン・ゴバディ監督、イラン・イラク
「クラッシュ」(2004) ポール・ハギス監督、アメリカ
「ココシリ」(2004) ルー・チュ-アン監督、中国
「サイドウェイ」(2004) アレクサンダー・ペイン監督、アメリカ
「シュレック2」(2004) アンドリュー・アダムソン監督、アメリカ
「シリアの花嫁」(2004) エラン・リクリス監督、イスラエル・仏・独
「スパングリッシュ」(2004) ジェームズ・L・ブルックス監督、アメリカ
「大統領の理髪師」(2004) イム・チャンサン監督、韓国
「Dearフランキー」(2004) ショーナ・オーバック監督、イギリス
「母たちの村」(2004) ウスマン・センベーヌ監督、フランス・セネガル
「ヒトラー 最期の12日間」(2004) オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督、ドイツ
「ブラザーフッド」(2004) カン・ジェギュ監督、韓国
「ホテル・ルワンダ」(2004) テリー・ジョージ監督、南アフリカ・イギリス・イタリア
「未来を写した子どもたち」(2004) ロス・カウフマン、ザナ・ブリスキ監督、アメリカ
「ミリオンズ」(2004) ダニー・ボイル監督、イギリス
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004) クリント・イーストウッド監督、アメリカ
「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2004) ヴァルテル・サレス監督、イギリス
「やさしくキスをして」(2004) ケン・ローチ監督、イギリス
「ライフ・イズ・ミラクル」(2004) エミール・クストリッツァ監督、仏・セルビア=モンテネグロ
「ランド・オブ・プレンティ」(2004) ヴィム・ヴェンダース監督、アメリカ・ドイツ
「隠された記憶」(2005) ミヒャエル・ハネケ監督、フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア
「キムチを売る女」(2005) チャン・リュル監督、韓国・中国
「キンキー・ブーツ」(2005) ジュリアン・ジャロルド監督、アメリカ・イギリス
「孔雀 我が家の風景」(2005) リー・チャンウェイ監督、中国
「グッドナイト&グッドラック」(2005) ジョージ・クルーニー監督、アメリカ
「クレアモントホテル」(2005) ダン・アイアランド監督、英・米
「五線譜のラブレター」(2004) アーウィン・ウィンクラー監督、アメリカ
「コープス・ブライド」(2005) ティム・バートン監督、英・米
「サン・ジャックへの道」(2005)コリーヌ・セロー監督、フランス
「シン・シティ」(2005) ロバート・ロドリゲス監督、アメリカ
「シンデレラマン」(2005) ロン・ハワード監督、アメリカ
「スタンドアップ」(2005) ニキ・カーロ監督、アメリカ
「世界最速のインディアン」(2005) ロジャー・ドナルドソン監督、ニュージーランド・アメリカ
「天空の草原のナンサ」(2005) ビャンバスレン・ダバー監督、ドイツ
「トランスアメリカ」(2005) ダンカン・タッカー監督、アメリカ
「ドリームガールズ」(2005) ビル・コンドン監督、アメリカ
「トンマッコルへようこそ」(2005) パク・クァンヒョン監督、韓国
「ノー・ディレクション・ホーム」(2005) マーティン・スコセッシ監督、アメリカ
「胡同のひまわり」(2005) チャン・ヤン監督、中国
「フランシスコの2人の息子」(2005) ブレノ・シウヴェイラ監督、ブラジル
「ヘンダーソン夫人の贈り物」(2005) スティーヴン・フリアーズ監督、イギリス
「約束の旅路」(2005) ラデュ・ミヘイレアニュ監督、フランス
「ロード・オブ・ウォー」(2005) アンドリュー・ニコル監督、アメリカ
「アズールとアスマール」(2006) ミッシェル・オスロ監督、フランス
「アフター・ウェディング」(2006) スサンネ・ビア監督、デンマーク
「王の男」(2006) イ・ジュンイク監督、韓国
「オフサイド・ガールズ」(2006) ジャファル・パナヒ監督、イラン
「クィーン」(2006) スティーヴン・フリアーズ監督、イギリス、フランス、イタリア
「グエムル 漢江の怪物」(2006)  ポン・ジュノ監督、韓国
「今宵フィッツジェラルド劇場で」(2006) ロバート・アルトマン監督、アメリカ
「ジプシー・キャラバン」(2006) ジャスミン・デラル監督、米
「父親たちの星条旗」(2006) クリント・イーストウッド監督、アメリカ
「長江哀歌」(2006) ジャ・ジャンクー監督、中国
「トゥヤーの結婚」(2006) ワン・チュアンアン監督、中国
「トランシルヴァニア」(2006) トニー・ガトリフ監督、フランス
「パンズ・ラビリンス」(2006) ギレルモ・デル・トロ監督、メキシコ・スペイン・アメリカ
「胡同の理髪師」(2006) ハスチョロー監督、中国
「ボビー」(2006) エミリオ・エステヴェス監督、アメリカ
「ボルベール<帰郷>」(2006) ペドロ・アルモドヴァル監督、スペイン
「ミリキタニの猫」(2006) リンダ・ハッテンドーフ監督、米
「麦の穂をゆらす風」(2006) ケン・ローチ監督、イギリス、アイルランド、他
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(2006) トミー・リー・ジョーンズ監督、米・仏
「やわらかい手」(2006) サム・ガルバルスキ監督、イギリス・フランス・ベルギー・ドイツ
「善き人のためのソナタ」(2006) フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督、ドイツ
「ONCE ダブリンの街角で」(2006) ジョン・カーニー監督、アイルランド
「アメリカン・ギャングスター」(2007) リドリー・スコット監督、アメリカ
「イースタン・プロミス」(2007) デビッド・クローネンバーグ監督、英・米・加
「イントゥ・ザ・ワイルド」(2007) ショーン・ペン監督、アメリカ
「エディット・ピアフ 愛の讃歌」(2007) オリヴィエ・ダアン監督、フランス・チェコ・イギリス
「カティンの森」(2007) アンジェイ・ワイダ監督、ポーランド
「この自由な世界で」(2007) ケン・ローチ監督、イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン
「木洩れ日の家で」(2007)ドロタ・ケンジェジャフスカ監督、ポーランド
「3時10分、決断のとき」(2007) ジェームズ・マンゴールド監督、米
「シークレット・サンシャイン」(2007) イ・チャンドン監督、韓国
「12人の怒れる男」(2007) ニキータ・ミハルコフ監督、ロシア
「戦場のレクイエム」(2007) フォン・シャオガン監督、中国
「その土曜日、7時58分」(2007) シドニー・ルメット監督、イギリス・アメリカ
「ダージリン急行」(2007) ウェス・アンダーソン監督、米
「扉をたたく人」(2007) トム・マッカーシー監督、アメリカ
「ノー・カントリー」(2007) ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督、アメリカ
「ヒロシマナガサキ」(2007) スティーブン・オカザキ監督、アメリカ
「ホルテンさんのはじめての冒険」(2007) ベント・ハーメル監督、ノルウェー
「ボーン・アルティメイタム」(2007) ポール・グリーングラス監督、アメリカ
「迷子の警察音楽隊」(2007) エラン・コリリン監督、イスラエル・フランス
「ヤング@ハート」(2007) スティーヴン・ウォーカー監督、イギリス
「アイガー北壁」(2008) フィリップ・シュテルツェル監督、独・オーストリア・スイス
「息もできない」(2008) ヤン・イクチュン監督、韓国
「ウォーリー」(2008) アンドリュー・スタントン監督、アメリカ
「牛の鈴音」(2008) イ・チュンニョル監督、韓国
「カールじいさんの空飛ぶ家」(2008) ピート・ドクター監督、米
「グラン・トリノ」(2008) クリント・イーストウッド監督、アメリカ
「告発のとき」(2008) ポール・ハギス監督、アメリカ
「セラフィーヌの庭」(2008) マルタン・プロヴォスト監督、仏・ベルギー・独
「戦場でワルツを」(2008) アリ・フォルマン監督、イスラエル・仏・独・米
「セントアンナの奇跡」(2008) スパイク・リー監督、米・伊
「ダウト」(2008) ジョン・パトリック・シャンリー監督・アメリカ
「ダークナイト」(2008) クリストファー・ノーラン監督、アメリカ
「小さな村の小さなダンサー」(2008) ブルース・ペレスフォード監督、豪)
「チェンジリング」(2008) クリント・イーストウッド監督、アメリカ
「チェイサー」(2008) ナ・ホンジン監督、韓国
「ハート・ロッカー」(2008) キャスリン・ビグロー監督、米
「花の生涯~梅蘭芳」(2008) チェン・カイコー監督、中国
「パリ20区、僕たちのクラス」(2008) ローラン・カンテ監督、フランス
「フロスト×ニクソン」(2008) ロン・ハワード監督、アメリカ
「フローズン・リバー」(2008) コートニー・ハント監督、米
「メアリー&マックス」(2008) アダム・エリオット監督、オーストラリア
「ワルキューレ」(2008) ブライアン・シンガー監督、アメリカ・ドイツ
「愛について、ある土曜日の面会室」(2009、レア・フェネール監督、フランス)
「イングロリアス・バスターズ」(2009) クェンティン・タランティーノ監督、米
「彼女が消えた浜辺」(2009) アスガー・ファルハディ監督、イラン
「キャピタリズム マネーは踊る」(2009) マイケル・ムーア監督、米
「幸せはシャンソニア劇場から」(2009) クリストフ・バラティエ監督、仏・独・チェコ
「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」(2009) ウェイン・クラマー監督、米
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(2009) ジョニー・トー監督、フランス・香港
「パイレーツ・ロック」(2009) リチャード・カーティス監督、イギリス・ドイツ
「母なる証明」(2009) ポン・ジュノ監督、韓国
「冬の小鳥」(2009) ウニー・ルコント監督、韓国・フランス
「プレシャス」(2009) リー・ダニエルズ監督、米
「ミレニアム2」(2009) ダニエル・アルフレッドソン監督、スウェーデン・他
「闇の列車、光の旅」(2009) ケイリー・ジョージ・フクナガ監督、メキシコ・米
「ル・コルビュジエの家」(2009) ガストン・ドゥプラット、他、監督、アルゼンチン
「レバノン」(2009) サミュエル・マオズ監督、イスラエル・仏・英
「ロンドン・リバー」(2009) ラシッド・ブシャール監督、英・仏・アルジェリア

 

 

2020年7月13日 (月)

コレクター人生

前書き
 「ゴブリンのこれがおすすめ 48 漫画」という記事の中で「漫画は、本、映画、音楽とともに、もはや僕の生活の一部だ」と書いた。これに写真を加えるとほぼ僕の趣味のすべてと重なる。これまで自分の趣味についてはいくつかのエッセイで書いてきた。映画については「あの頃名画座があった(改訂版)①~⑧」、音楽については「音楽との長い付き合い」、漫画については「漫画との付き合い」、本については「文学の面白さ」で取り上げてきた。「あの頃名画座があった(改訂版)①~⑧」はこのブログに収録してあるが、それ以外の3つのエッセイは本館ホームページ「緑の杜のゴブリン」に掲載していた。しかし何年か前に大本の業者がホームページのサポートをやめてしまったために、ある日突然「緑の杜のゴブリン」が消滅してしまった。前もって知っていれば大事な記事はバックアップしておいたのだが、何せ突然だったので予防措置がとれなかった。まあ、ほとんどの記事は当ブログと重なっているのだが、エッセイや映画などの各種作品リストは本館ホームページにだけ載せておいたものが多い。元原稿はパソコンに残っているが、追加分はホームページにだけ書き足したので、追加分はホームページと共に宙に消えてしまった。もう一つのブログ、「ゴブリンのつれづれ写真日記」もまだ閲覧はできるものの、何年も新しい記事を書いていなかったためにブログ管理者権が消滅していて、これもいつまでネット上に残っているのか分からない。

 まあ、ボヤキはこれくらいにしておこう。「漫画との付き合い」というエッセイは冒頭に挙げた「ゴブリンのこれがおすすめ 48 漫画」という記事の中に入れ込んである。しかし「音楽との長い付き合い」は「ゴブリンのこれがおすすめ 47 シンガー・ソングライター(外国編)」でほんのわずか触れただけ。「文学の面白さ」は全くどこにも触れられていない。ということなので、この記事では音楽について本格的に触れたい。文学はちょっと触れるだけにとどめる。

 かなり長い記事になってしまいましたが、興味があるようでしたらお付き合いください。

僕はコレクターであってマニアではない
 正確な数は自分でもわからないが、CDは7,8千枚(レコードはだいぶ処分したがまだ1千枚以上はあるはず)、DVDとBDは2千枚くらいか(これまで観た映画が4千数百本ですから多分これくらいでしょう)、本に至っては万単位だろう。とにかく小学生のころから集めるのが好きだった。小学生の頃の本棚は「少年サンデー」や「少年マガジン」がぎっしり詰まっていた(「少年ジャンプ」の創刊は1968年で、もう中学生になっていたので当時はたぶん買っていない)。小説(物語)との出会いは小学校の5年生ごろだと思う。まったく勉強をしない僕を心配して、母親が小学館の『少年少女世界の名作文学』(当時480円:毎月1冊ずつ配本される)の定期購読を始めたのである。厚さ5センチほどもある大部なシリーズ本で、世界文学全集の子供版である。内容も子供用にやさしく書きなおされており、子供にも楽しめる部分だけを収録していたと思われる。

 最初のうちは本なんて女が読むものと馬鹿にして読まなかったが、たまたま「みつばちマーヤの冒険」を読んでその面白さにはまってしまった。巣を襲撃してきたクマバチと巣を守ろうとするミツバチとのすさまじい戦いの場面に一気に引きこまれた。それ以来、ほかにも面白い物語があるかと次々に読み漁るようになり、いつの間にか次の号が配本されるのを楽しみに待つようになっていた。

 『少年少女世界の名作文学』以外の本も読むようになった。小学生のころ好きだったのはモーリス・ルブランの“怪盗ルパン”シリーズ、コナン・ドイルの“シャーロック・ホームズ”シリーズ、江戸川乱歩の“少年探偵団”シリーズ、そしてジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』や『地底旅行』など。とにかく推理ものや冒険ものをわくわくしながら読みふけったものだ(『赤毛のアン』など女の子が主人公の物語も好きだった)。

 『十五少年漂流記』や『地底旅行』など何度読み返したかわからない。しばらくするとまた読みたくなり、読んでまた時間がたつとまた読みたくなる。夢中になって読みふけっていて、ふと気がつくといつの間にか夕方になって暗くなっており、顔を本にくっつけるようにして読んでいる自分に気がつくこともしばしばだった。

 中学生になるとSF小説をむさぼるように読みだした。創元文庫などを片っ端から買ってきては読み漁った。大好きなジュール・ヴェルヌも当時出ていた傑作集を全巻まとめて買ってきて読んだ。中三ごろにSF小説から推理小説に移行し、高校生になると推理小説から純文学に移っていった。当時何種類も出ていた世界文学全集をこれまた片っ端から読み漁った。トルストイの『戦争と平和』やメルヴィルの『白鯨』などの大長編を数カ月かけて読んだものだ。冬の寒い時は今のような暖房施設がなかったので布団に入って本を読んだ。片手で本を持ち、もう一方の手を布団に入れて温める。そうやって持つ手を交代しながら読んだものである。そうそう、高校生の時は外国文学一辺倒だったが、大学生になってからは日本文学も読み始めた。大学院生時代には児童文学にまで関心を広めた。

 映画を本格的に観始めたのは高校2年生の時から。ヒッチコックの「白い恐怖」を観たのがきっかけだ。以来、高校2年生から3年生にかけてはほぼ毎日映画を観ていた。これまで4千本以上の映画を観てきたが、年間でいちばん多く見たのが高校3年生の時。1年で3百数十本を観た。つまらない受験勉強など目もくれず、本を読んでいなければ映画を観ている、映画を観ていなければ本を読んでいるという生活をしていた。

 音楽はどうだったか。初めてレコードを買ったのは恐らく中三くらいの時だ。父親が商店会の付き合いで歌を覚えるためと称して、ステレオを買ったのがきっかけだった。ナショナルのテクニクスというどでかいステレオだった。高さが70~80センチもあったろうか。幅も本体と両脇のスピーカーを合わせて1メートル数十センチほどあっただろう。後のミニコンポと比べるとまことにバカでかい家具調のステレオだった。とにかくスピーカーが大きくて、音を鳴らすとガラス窓(今のようなサッシではない)がカタカタ振動したのを覚えている。実家のある日立市は電気の日立の発祥地で、いわゆる企業城下町である。しかしなぜか父は日立の製品が嫌いで、家の電気製品は全部ナショナルの製品だった。テクニクスは当時の最新機で、テレビでも宣伝をしていた。今でも「テクニークスー」というメロディを覚えている。

 父は何枚かレコードを買ってきてしばらく聞いていたが、すぐに飽きて使わなくなってしまった。もっぱらステレオを使っていたのは僕だった。最初に買ったレコードは二枚のシングル盤、藤圭子の「圭子の夢は夜開く」と森山香代子の「白い蝶のサンバ」だった。当時たまたま流行っていたのである。GS全盛のころだと思うが、特に音楽に興味があったわけではないので、流行っているものなら何でもよかったのだろう。それから少ない小遣いをはたいてシングル盤を少しずつ買い込んでいった。アルバムは高くてとても初めのうちは手が出なかった。値段はシングル盤が5~600円、LP盤が2000円、EP盤(33回転だがシングル盤のサイズで4曲くらい入っていた)が700円だった。その当時買ったレコードは今では貴重なものもあるが、今思うと顔が赤らむようなものも多かった。森山香代子と布施明が大好きで、シングル盤をそれぞれ5~6枚もっていたと思う。他に、ゼーガーとエバンスの「西暦2525年」、カフ・リンクスの「恋の炎」、クリスティーの「イエロー・リバー」、CCRの「プラウド・メアリー」、ドーンの「ノックは三回」、ルー・クリスティーの「魔法」、フィフス・ディメンションの「輝く星座」など。最初に買ったアルバムはどれだったか覚えてないが、当時もっていたのはアンディ・ウイリアムズ、グレン・ミラー、映画音楽集、PPM(ピータ、ポール&マリー)のライブ盤、シャルル・アズナブール、シャンソン名曲集、カンツォーネ名曲集、それとビートルズの「ヘイ・ジュード」(アメリカ編集版)などだった。他にEP盤で「サウンド・オブ・ミュージック」のサントラ盤、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」、ブラザーズ・フォーなどがあった。何で高校生がこんなのを聞いていたのかと自分でも驚くようなものも入っているが、それはおそらく映画の影響だろう。

 高校に入学して入ったクラブは音楽部だった。これは合唱部なのだが、「涙を越えて」のような合唱向きの歌のほかに、「輝く星座~レット・ザ・サンシャイン・イン」、「ノックは三回」、「悲惨な戦争」、「サウンド・オブ・サイレンス」、「明日にかける橋」、「レット・イット・ビー」、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」などの洋楽もよく歌った。まだフォーク・ブームが続いていたころで、当時はPPMやブラザーズ・フォーが大好きだった(今でも好きだが)。

 しかし僕が本格的なコレクターになったのは東京の大学に入学してからだ。暇さえあれば古本屋を巡り、当時300円で入れた安い名画座を回り、中古レコード屋にも入り浸っていた。集めていたのは本やレコードばかりではない。マッチ箱や電車の切符なども集めていた。当時は喫煙率が高く、大学生も例外ではない。喫茶店やレストランにはその店独自の絵柄が入ったマッチ箱が置いてあった。もちろん無料。見事なデザインの物も少なからずあり、新しい店に入ると必ずマッチ箱をもらってきたものだ。あるときにあまりに多くなったので棄ててしまったが、お気に入りの物だけでも残しておくべきだったと今は悔やむ。他にも映画のチラシやパンフレットなどを集めていた。パンフレットはもう買わなくなったが、チラシは今でも集めている。

 これだけ集めていればマニアと呼びたくなるかもしれないが、僕は自分を一度もマニアだと思ったことはない。大量に買い集めるからコレクターではあるが、その集め方は決してマニアックではない。音楽はできるだけ多様なジャンルを聞くようにしているし、映画は「世界中の映画を観てやろう」というのがモットーだ。性格的にもおよそオタクとは程遠いし、特定のジャンルや人物関連の物をすべて集めようなどと思ったことはない。映画でも音楽でも役者やミュージシャン個人のプライベートなことには一切関心はない。あくまで僕の関心は作品それ自体にあり(個人の問題はあくまで作品評価と関わる事柄にだけ関心を向けている)、買うに値すると思ったものだけ買っている。ただその数が普通の人より多いだけだ。

 東京にいたころから古本屋と中古レコード屋をよく回った。映画もロードショーではなく、名画座にばかり通っていた。時代の流れで仕方なくレコードからCDに乗り換えてからも中古が中心だ。中古に出るまで2年でも3年でも辛抱強く待つ。たとえ中古屋で見かけてもCDなら1400円以上ならば、もっと安いのを見つけるまで待つ。アマゾンで探すようになってからでも同じ。どうしてもほしいものは多少基準額を上回っても買うことはある。しかしたいていは我慢する。もう何十年も中古買いを続けてきて身についた習慣だ。知り合いのコレクターは「そういう買い方が出来るからうらやましい」というが、もうこれで何十年もやってきたのだ。シリーズものだって安いものから買う。当然最初は歯抜けの様な状態だ。それでいい。安く手に入れることが至上命令なのだから。いつかはそろうだろう、そういう気持ちで集めている。これが僕のやり方である。初版本に何万円も出す、ジャズのオリジナル版に数千円を投げ出すなどという趣味は全く無い。ただただ安いから中古品を買うのである。出久根達郎のエッセイが好きでよく読むが、彼の本に出てくる貴重本を血眼になって捜し回る人種とは僕は本質的に異人種である。実際、学部生・大学院生時代には、年間百本以上の映画を観、数百冊の本を買い、数百枚のレコードを買う(ひと月に70枚以上のレコードを買ったこともある)にはそうする以外になかったのだ。そういえば、車も中古車以外買ったことがない。

 

コレクター人生(学部生・大学院生時代)
  僕が古本屋めぐりを始めたのは大学に入学した1973年以降、東京中の中古レコード店めぐりを始めたのは80年代初め。以来今日まで本、CD、DVDは基本的に中古で買ってきた。古本屋や中古店に入ったら端から端まで、CDならAからZまでなめるように見て行く。欲しいCDはメモ用紙に数千枚分びっしりリストアップしてあった。棚の前でめぼしいのを見つけたら、すでに持っているかどうかメモを見て確かめる。これを怠ると同じものを買って泣くことになる(買ったものは線を引いて消すのだが、これも忘れるとやばいことになる)。

 中古店ばかり回っていたのには安く買えるからという以外にもう一つ理由があった。僕は流行というものにほとんど関心がなかった、例えば映画でいうと、大学1年だった1973年に観た新作はわずか7、8本程度だ。テレビで観たものが古いのは当然だが、映画館で観たのもほとんどが昔の名作である。この時期で既に徹底した名作主義になっている。評判の新作にはほとんど目もくれず、過去の名作を観られるところならどこにでも行っている。新作の時に観ることはめったになく、名画座に回ってきたときに観る。東京から上田に移ってきて映画をほとんどレンタルで観るようになってからも基本的姿勢は同じだ。1週間レンタルになってから観る。とにかく、人より早く観ることに意味があるとは全く考えない。今評判の映画でも10年後には忘れ去られているかもしれない。それより作られて30年たった今でも名作として語り継がれている映画を観る方が確実だ。確かにあの頃既にそう考えていた。ただ80年代は新作もかなり観ていた。欧米映画先進国以外の映画がどっと日本に入ってくるようになったからだ。岩波ホールにもしきりに通っている。東欧、南欧、南米、アフリカ、中国、北欧などの映画が入って来るようになって、僕の意識が大きく転換する。旧作(名作)主義から「世界中の映画を観てやろう」という姿勢に変わる。この転換が今の僕の原点である。上田に来てからは映画観が数館しかないのでどうしてもレンタル中心になってしまったが、大ヒット作品ではなく世界中の映画を観てやろうという姿勢は変わっていない。もっとも今は動画配信で映画やドラマを観ているので、レンタル店通いすらしなくなったが。

 中古主義がより徹底していたのは音楽だ。しかしこちらも最初から中古主義だったわけではない。順を追って大学に入学した当初から話を始めよう。きっかけや理由は覚えていないが、大学に入学してから好みが一変し、突然クラシック一辺倒になったのだ。とにかく『レコード芸術』を毎月買ってレコードをチェックしては、大学生協で買ってきた。大学1年の時家庭教師をしていたのだが、週2回教えて月1万円もらっていた。それを全部レコードにつぎ込んだのである。大学生協でレコードは2割引。当時LPレコードは2500円だったので、生協で買えば2000円。1万円で5枚買える。クラシックの在庫は自分の大学よりも明大の生協の方が豊富だったので、そこにもよく買いに行ったものだ。そのころ中古レコードは買わなかったが、代わりに廉価版が発売されるようになった。フルトヴェングラーやトスカニーニの廉価版が発売された時はうれしかった。確か当時千円くらいだったか。

 クラシック熱は大学院に入るころまで続いた。80年代の初め頃、念願のラジカセを買った。まだステレオは高嶺の花だった。では、ステレオがなかったのに買ったLPレコードはどうしていたのか。お盆と正月に帰省するとき紙袋に詰めて実家に持ち帰り、そこで聞いていたのである。両手に持った紙袋がずっしりと重かったことを覚えている。つまりそれまでは手元にあっても聴けなかったのだ。話をラジカセに戻そう。ラジカセを買ってから80年代の半ば頃まではよくFM放送を聞いた。僕がラジオを聞いたのはこの時期だけだ。高校生のころ時々夜中に「ユア・ヒット・パレード」を聞いたりしたことはあったが、それほどしょっちゅうというわけではなかった。FM雑誌を買い出したのもこの頃、80年代に入ってからである。その頃は『FM fan』を愛読していた。当初はFM番組のチェックが主たる目的だった。FM雑誌で1~2週間先の番組をチェックして、ラジカセで片っ端からカセットテープに録音していた。一体何本くらい取ったのか自分でも分からない。数百本はあっただろう。

 ラジカセを買ったころから音楽の好みが大きく変わった。面白いもので、好きなジャンルは少しずつ変わるのである。クラシック一辺倒だった時でも、最初は交響曲が好きで、次にバイオリン曲、それからピアノ曲、室内楽と好みが移り、最後はバロックに行き着いた。今でもバロックとモーツァルトが好きだ。歌ものや管弦楽曲はなぜかあまり好きになれなかった。ラジオ番組を聞くことでしだいにクラシック以外のジャンルにも関心が広がっていった。FMを通じてロックや日本のニュー・ミュージック、そしてジャズにも耳を傾けるようになったのだ。

 変化はそれだけではなかった。当初はFM番組のチェックのために音楽雑誌を買っていたが、次第にラジオを聞かなくなり、その結果レコードの新譜案内しか見なくなったのである。映画の情報をもっぱら『ぴあ』から得ていたように、レコードやその後のCDの新譜情報はもっぱら音楽雑誌に頼っている。当時定期購読していた雑誌は『FM fan』と『レコード・コレクターズ』だった。『レコ芸』はクラシックをあまり聴かなくなった時から買わなくなり、代わりに『スイング・ジャーナル』を買うようになった。ラジオを聞いていた頃から当時のベストテンなど流行りの音楽にはさして関心がなかった。むしろ過去の名盤に関心が向き、名盤特集を見つけると無条件で買っていた。そういう資料を基に買いたいものを選んでいた。だからものすごい勢いでレコードやCDを中古で買っていたが、そのほとんどすべては買ってきて初めて聴くのである。たまに聞き覚えのある曲が入っていて、ああこの曲はこのグループが歌っていたのかと思ったりすることがあった。

 最初から流行り廃りに関心がないのだからこれで何も問題ない。もちろん新譜案内や名盤案内を読んでこれが良さそうだと選んで買うわけだから、当たりはずれがあるのは当然である。所詮は他人の推薦である。でもまあ買ってがっかりするのは1割程度だろう。年季が入ってくると自分の好みも分かって来るし、紹介文を読んでどんな内容かも検討が付くようになる。ヒット曲は自然に耳に入って来るので意識しなくても覚えてしまうが、それで買ってみようとは別に思わないのだからこれで良いのである。考えてみれば本や映画だって同じことである。どちらも様々なメディアで情報を得て買ったり観たりするわけだ。読んでみて、観てみて初めてどういう作品か分かるのである。音楽もこれと同じことをしているだけだ。

 ただ、音楽の場合レコードやCDを聞くばかりではなく、コンサートにも行っていた。東京にいた頃はクラシックも何度か聴きに行ったが、もっぱら通ったのは規模の小さなライブハウスだった。新宿の「ルイード」、「ロフト」、「ピット・イン」、渋谷の「テイク・オフ7」、「エッグマン」、「ジャンジャン」。だめだ、他にもあったが名前を忘れてしまった。六本木や下北沢、銀座にも行ったなあ。悲しいことに名前が出てこない。

 ジャズを別にすると、もっぱら女性歌手ばかり聴きに行っていた。せっかく間近で見られるのだから、聴くだけでなく見る楽しみもないとね。エポ、上田知華とカリョービン、中原めいこ、高橋真梨子、谷山浩子、それにあの頃西島三重子が好きで何度も聴きに行ったな。そうそう「ロフト」では山崎ハコを聴いたっけ。彼女にふさわしい暗い場所だった。こうやって名前を挙げてみると顔が赤くなる。ミ-ハーだったのね。

 話を音楽のジャンルに戻そう。ジャズに出会ったのは80年代初め、大学院生のころだった。ジャズとの出会いが僕の音楽の嗜好を根本的に変えてしまったと言ってもよい。決してジャズ一辺倒にはならなかったが、この時からずっと一番好きなジャンルはジャズなのである。クラシックばかり聞いていた頃からジャズには関心があったのだが、周りにジャズが好きな友達がいなかったために、ずっと未知のジャンルだったのである。FM放送が僕をぐっとジャズに近づけたのだ。最初はヴォーカルをもっぱら聞いた。なんとなくその方が取っ付きやすかったのである。知識もなかったので、何から聞いたらよいのか分からなかったということもある。ところが、ある時たまたま古本屋でジャズの名盤を特集した雑誌を買った。「スイング・ジャーナル」誌の別冊である。むさぼるようにその雑誌から知識を吸収し、忘れないように手帳を作ってメモした。ジャケット写真も切り抜いて手帳に張り付けていた。その手帳を持ってレコード店へ行ったのである。初めて買ったジャズのレコードは、忘れもしないコルトレーンの「至上の愛」と「バラード」だった。銀座の輸入レコード店で見つけた。棚から取り出した時手がふるえたのを覚えている。「至上の愛」はよく理解できなかったが、「バラード」は気に入った。この時から本格的にジャズにのめり込んで行ったのである。とにかく一気にジャズの知識を詰め込んだので、買いたいレコードが山ほどあったわけだ。

 その後ジャズを始めソウルやブルース、そしてロックのレコードを次々に買いまくった。買うのはもちろん中古レコードだ。渋谷の「レコファン」、「セコハン」、「ディスク・ユニオン」、「ハンター」、新宿の「えとせとら」(入り口が「OS劇場」というストリップ劇場の隣だった)、「ディスク・ユニオン」、「八月社」、「レコファン」、下北沢の「セコハン」、その他お茶の水、高田馬場、池袋、吉祥寺等、都内をくまなく捜し回った。今では名前を思い出せない店も何軒かある。渋谷の宮益坂沿いのビルの2階にあった店、高田馬場の神田川沿いにあったジャズ専門店とブルース専門店、新宿の「えとせとら」と同じ一角にあったラーメン屋の2階の店。これらの中古店のうちどれくらいが今でも残っているのだろうか。

 80年代の後半頃の中古レコードはだいたい千円くらいで買えた。定価より高いものは買うつもりはなかったので、だいたい1600円あたりが買うレコードの上限だった。中古で安いのが買えるのに、定価で買うのはばかばかしい。中古に出るまで2年でも3年でも辛抱強く待つ。たとえ中古屋でほしいものを見かけても、上限を超えていればもっと安いのを見つけるまで待つ。80年代半ばごろからCDを買い始めたが、こちらは確か上限が1500円くらいだったか。

 CDと言えば、最初に手に入れたCDはパチンコの景品だった。確かマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」だったと思う。その後も何枚も景品でもらったが、長いこと聴けなかった。CDプレーヤーを持っていなかったからである。初めて買ったCDプレーヤーはソニーのウォークマン。小さくてかさばらないからだ。ミニコンポにつないで聴いていた。

 

コレクター人生(上田時代)
 中古品は安いのでどんどん買ってしまうが、コレクションの枚数が多くなるもう一つの理由は様々なジャンルを聞くからである。クラシック、ジャズ、フォーク、カントリー、ロック、R&B、ソウル、ブルース、レゲエ、ラテン、ワールド・ミュージック。日本のものも当然聞くし、90年代後半ごろからはアイルランドを中心としたケルト系ミュージック、スエーデンを中心とした北欧のポップス、中国のポップスにも関心を向け始めた。40台に入るとハード・ロックやヘビメタ系の騒々しいのは聴かなくなった。どれを聞いても同じラップ系は結局好きになれなかった。アフリカのものも持ってはいるが、今一つなじめない。逆に欲しいのになかなか手に入らないのはアイリッシュ・ミュージックやフォルクローレである。新星堂のレーベル、オ-マガトキは実に良心的でここでしか手に入らない貴重なアーチストのものをたくさん出しているが、悲しいかな、なかなか中古店では見かけない。

 ジャズ、ソウル、ブルース、レゲエとブラック・ミュージック系が好きなのは変らないが、最近聞いて良いと思うのは、アイルランド系、ブリティッシュ・モダン・トラッド系、フォーク系、カントリー系、シンガー・ソングライター系などの落ち着いた感じの音楽である。ジャズも昔からサックスが好きだが、最近はピアノを中心にしたものが心地よい。

 好みが変わったのには東京から上田に移ってきたことも遠因になっていると思われる。東京と違って、長野にはあまり中古レコード店がない。90年代から2000年代初めにかけてよく通ったのは上田の「ブック・オフ」、「メロディ・グリーン」、「サザン・スター」、「トム」、そして長野の「グッドタイムス」あたりである。この中古店めぐりはラウンドと称して、上田に来てからも20年近く続けていた。ただし、置いてあるものも東京に比べると貧弱で、日本のものが中心。ジャズに至ってはほとんど中古では手に入らない。したがって欲しいものと買えるものとが一致しない。長年そんな状態が続くと好みまで変わってくるのだろう。

 買う雑誌も変わってきた。『ぴあ』は地方都市では意味がないので、上田に来てから(88年以降)は買わなくなった。別の映画情報誌に替えた(最初に乗り換えた雑誌は憶えていないが、2000年代に『DVDでーた』を買い始め、現在は『DVD&動画配信でーた』というタイトルになっている)。『キネマ旬報』は毎年2月5日発売のベストテン号だけ買う(これはもう20年近く続いている)。音楽雑誌などは、何誌もあったFM雑誌は90年代末ごろに全滅。そのたびに別の雑誌に乗り換えてきた。定期的に買っていたのは『レコード・コレクターズ』、『ミュージック・マガジン』、『CDジャーナル』だが、今は『レコード・コレクターズ』と『ミュージック・マガジン』は特集号しか買わない。『CDジャーナル』は経営が苦しいのだろう、毎月出ていたのが今は季刊になってしまった。したがって現在毎月買っている音楽雑誌はない。昔買って積読だったものを今少しずつ読んでいるのが現状だ。しかしこれが却って具合が良い。10年前、15年前の新譜が今なら安く手に入るからだ。インターネット時代になった今でも、映画や音楽の情報はもっぱら雑誌で得ているが(もはや惰性だ)、買うのは今や地元の中古店ではなくアマゾンである。地元で手に入れば送料がかからないのだが、地元ではろくなものがない。送料を払ってでもアマゾンで買うしかないわけだ。時々狂ったように大量注文し(1回で50点を超えることもまれではない)、送料だけで万単位になるのには自分でもびっくりする。

 いくら地元の中古店を駆けずり回っても見つからないのが、インターネットなら簡単に見つかる。家から注文できるので移動の時間もかからない。便利な世の中になったものだ。もちろん、いくらインターネットだからといって検索してすぐに条件(つまり値段)に合うものが見つかるわけではない。値段が高ければ、安いのが見つかるまで何十回でも検索し続ける。ほしいものを見つけるにはじっくり時間と手間を書ける、脚で探そうがネットで探そうが、この基本はいまだに変わらない。

 

2020年6月28日 (日)

これから観たい&おすすめ映画・BD(20年7月)

【新作映画】公開日
6月5日
 「燕 Yan」(今村圭佑監督、日本)
 「ルース・エドガー」(ジュリアス・オナー監督、アメリカ)
6月12日
 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(グレタ・ガーウィグ監督、アメリカ)
6月20日
 「ドヴラートフ レニングラードの作家たち」(アレクセイ・ゲルマンJr監督、ロシア)
 「はちどり」(キム・ボラ家督、韓国・アメリカ)
6月26日
 「ワイルド・ローズ」(トム・ハーパー監督、イギリス)
7月3日
 「レイニデイ・イン・ニューヨーク」(ウディ・アレン監督、アメリカ)
 「MOTHER マザー」(大森立嗣監督、日本)
 「のぼる小寺さん」(古厨智之監督、日本)
 「カセットテープ・ダイアリーズ」(グリンダ・チャーダ監督、イギリス)
 「一度も撃ってません」(阪本順治監督、日本)
7月10日
 「グッド・ワイフ」(アレハンドラ・マルケス・アベヤ監督、メキシコ)
 「バルーン 奇跡の脱出飛行」(ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ監督、ドイツ)
 「マルモイ ことばあつめ」(オム・ユナ監督、韓国)
 「ラ・ヨローナ ~彷徨う女~」(ハイロ・ブスタマンテ監督、グアテマラ)
 「WAVES/ウェイブス」(トレイ・エドワード・シュルツ監督、アメリカ)
7月11日
 「プラネティスト」(豊田利晃監督、日本)
7月17日
 「悪人伝」(イ・ウォンテ監督、韓国)
 「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(フランソワ・オゾン監督、フランス)
 「リトル・ジョー」(ジェシカ・ハウスナー監督、オーストリア・英・独)
 「パブリック 図書館の奇跡」(エミリオ・エステヴェス監督、アメリカ)
7月18日
 「誰がハマーショルドを殺したか」(マッツ・ブリュガー監督、デンマーク・ノルウェー、他)
 「ぶあいそうな手紙」(アナ・ルイーザ・アゼヴェード監督、ブラジル)
7月23日
 「グランド・ジャーニー」(ニコラ・ヴァニエ監督、フランス・ノルウェー)
7月24日
 「追龍」(バリー・ウォン監督、中国・香港)

【新作DVD・BD】レンタル開始日
6月24日
 「ひとよ」(白石和彌監督、日本)
6月26日
 「読まれなかった小説」(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、トルコ・仏・独・ブルガリア・他)
7月3日
 「エクストリーム・ジョブ」(イ・ビョンホン監督、韓国)
 「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(レジス・ロワンサル監督、仏・ベルギー)
 「グリンゴ/最強の悪運男」(ナッシュ・エドガートン監督、米・メキシコ・豪)
 「荒野の誓い」(スコット・クーパー監督、アメリカ)
 「だれもが愛しいチャンピオン」(ハビエル・フェセル監督、スペイン)
 「トスカーナの幸せレシピ」(フランチェスコ・フラスキ監督、イタリア)
 「ハスラーズ」(ローリーン・スカファリア監督、アメリカ)
 「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督、韓国)
 「野生の呼び声」(クリス・サンダース監督、アメリカ)
 「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」(クリス・フォギン監督、英)
 「マイ・フーリッシュ・ハート」(ロルフ・ヴァン・アイク監督、オランダ)
 「幼い依頼人」(チャン・ギュソン監督、韓国)
 「幸福路のチー」(ソン・シンイン監督、台湾)
7月8日
 「キャッツ」(トム・フーバー監督、英・米)
 「私の知らないわたしの素顔」(サフィー・ネブー監督、フランス)
 「男はつらいよ お帰り 寅さん」(山田洋次監督、日本)
 「mellow メロウ」(今泉力哉監督、日本)
7月10日
 「ブレッドウィナー」(ノラ・トゥーミー監督、アイルランド・カナダ・ルクセンブルク)
7月15日
 「iー新聞記者ドキュメント」(森達也監督、日本)
 「ラストレター」(岩井俊二監督、日本)
7月22日
 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(ライアン・ジョンソン監督、アメリカ)
8月5日
 「1917 命をかけた伝令」(サム・メンデス監督、イギリス・アメリカ)
 「ザ・ピーナツバター・ファルコン」(タイラー・ニルソン、他、監督、アメリカ)
 「スキャンダル」(ジェイ・ローチ監督、アメリカ)
 「ダンサー そして私たちは踊った」(レヴァン・アキン監督、スウェーデン・仏・他)
 「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」(クラウス・ハロ監督、フィンランド)
 「影裏」(大友啓史監督、日本)
 「静かな雨」(中川龍太郎監督、日本)
 「his」(今泉力哉監督、日本)
8月19日
 「ヲタクに恋は難しい」(福田雄一監督、日本)

【旧作DVD・BD】発売日
6月26日
 「オリヴィエ・アサイヤス監督 Blu-ray セット」(94,96, 98、フランス)
  収録作品:「冷たい水」「イルマ・ヴェップ」「8月の終わり、9月の初め」
 「忘れられた人々」(1950、ルイス・ブニュエル監督、メキシコ)
7月3日
 「グエムル 漢江の怪物」(2006、ポン・ジュノ監督、韓国)
7月22日
 「ブルース・ブラザーズ」(1980、ジョン・ランディス監督、アメリカ)
 「ポン・ジュノ傑作選 Blu-ray BOX」(00-09、ポン・ジュノ監督、韓国)
  収録作品:「ほえる犬は噛まない」「殺人の記憶」「母なる証明」
7月31日
 「アニエス・ヴァルダ作品集―映画の自画像」(54, 75, 19、アニエス・ヴァルダ監督、仏)
  収録作品:「ラ・ポワント・クールト」「ダゲール街の人々」「アニエスによるヴァルダ」、他

*色がついているのは特に注目している作品です。

 

 

2020年6月 2日 (火)

ゴブリンのこれがおすすめ49 写真集

【ゴブリンのお気に入り写真集】

アフロ『世界の天空の城』(青幻舎、2016年)
岩下哲典、塚越俊志『レンズが撮らえた幕末の日本』(山川出版社、2011年)
内山りゅう『水の名前』(平凡社、2007年)
及川さえ子編『ここだけは行ってみたい 秘境を巡る景色』(東京印書館、2007年)
木村聡『赤線跡を歩く』(ちくま文庫、2002年)
木村ゆり『Saudade』(幻冬舎、2019年)
栗田貞多男『信州百水』(信濃毎日新聞社、2001年)
小荒井実『しぶき氷の世界』(歴史春秋出版、1999年)
佐藤健寿『奇界遺産』(エクスナレッジ、2010年)
佐藤秀明『川物語』(本の雑誌社、2003年)
佐藤秀明『路地の記憶』(小学館、2008年)
世界の絶景調査委員会『地球とは思えない世界の絶景』(宝島社、2015年)
竹下育男『月の夜に』(小学館文庫、1999年)
武田雄二『英国木造建築の美』(グラフィック社、1994年)
千房雅美『世界の路地裏100』(ピエ・ブックス、2005年)
辻丸純一『ビアトリクス・ポターが残した風景』(メディアファクトリー、2010年)
土門拳『腕白小僧がいた』(小学館文庫、2002年)
野村哲也『パタゴニアを行く』(中公新書、2011年)
野村哲也『パタゴニア』(風媒社、2010年)
野村哲也『悠久のとき』(中日新聞社、2002年)
野呂希一『文字の風景』(青青社、1999年)
野呂希一、荒井和生『心の風景』(青青社、2001年)
野呂希一、荒井和生『続 言葉の風景』(青青社、2002年)
藤田治彦『ナショナル・トラストの国 イギリスの自然と文化』(淡交社、平成6年)
平野 暉雄『日本の名景 橋』(光村推古書院、2000年)
平野 暉雄『橋を見に行こう』(自由国民社、2007年)
星野道夫『アークティック・オデッセイ』(新潮社、1994年)
星野道夫『新装版 Alaska 風のような物語』(小学館、2010年)
星野道夫『長い旅の途上』(文芸春秋、2003年)
星野道夫『森と氷河と鯨』(世界文化社、2006年)
星野道夫『悠久の時を旅する』(クレヴィス、2012年)
藤田洋三『世間遺産放浪記』(石風社、2007年)
藤田洋三『世間遺産放浪記 俗世間編、』(石風社、2011年)
前沢淑子『前沢淑子写真集 イタリア・くらしのうた』(本の泉社、2018年)
前田真三・前田晃『二人の丘』(講談社、2007年)
増田正『英国のカントリーサイド』(集英社、1997年)
水谷章人『信濃路』(日本写真企画、2016年)
水野克比古『京都雪景色』(光村推古書院、平成25年)
八木沢高明『フクシマ2011、沈黙の春』(新日本出版社、2011年)
山田哲司『天空の軌跡(光村推古書院、平成24年)
吉村和敏『MAGIC HOUR』(小学館、2010年)
WANDERLUST編『世界のさんぽ道』(光文社、2019年)
『いつかは行きたい美しい場所100』(日経ナショナル・ジオグラフィック社、2013年)
『かさねいろ 風景にみる日本人の心』(求龍堂、2009年)
『世界でいちばん素敵な夜空の教室』(三才ブックス、2016年)
『地球一周 空の旅』(パイ インターナショナル、2011年)
『地球 不思議の旅』(パイ インターナショナル、2012年)
『地平線』(パイ インターナショナル、2011年)
『日本の美しい秘境』パイ インターナショナル、2018年)
『日本の自然風景 50人の写真家たち』(日本カメラ社、平成23年)
『別冊太陽 土門拳 鬼が撮った日本』(平凡社、2009年)
『別冊太陽 木村伊兵衛 人間を写しとった写真家』(平凡社、2011年)
『別冊歴史読本 異国人の見た幕末明治JAPAN』(新人物往来社、平成15年)
クレマン・シェルー『アンリ・カルティエ=ブレッソン20世紀最大の写真家』(創元社、2009年)
スーザン・ヒル『シェイクスピア・カントリー』(南雲堂、2001年)
ソール・ライター『ソール・ライターのすべて』(青幻社、2018年)
ベルンハルト・M. シュミッド『道のむこう』(ピエ・ブックス、2002年)
ベルンハルト・M. シュミッド『道のかなた』(ピエ・ブックス、2006年)
ベルンハルト・M. シュミッド『世界の橋』(ピエ・ブックス、2006年)
ユージン・スミス『ユージン・スミス写真集』(クレヴィス、2017年)
ロバート・キャパ『ロバート・キャパ スペイン内戦』(岩波書店、2000年)
ロバート・キャパ『ロバート・キャパ 決定版』(ファイドン、2004年)
ロバート・キャパ『ロバート・キャパ 時代の目撃者』(岩波書店、1997年)
ロバート・キャパ『ロバート・キャパ写真集 訳・解説沢木耕太郎』(文芸春秋、1992年)
ロバート・キャパ『ロバート・キャパ写真集 [戦争・平和・子どもたち] 』(JICC出版局、1991年)
サンニ・セッポ、他『フィンランド・森の精霊と旅をする』(プロダクション・エイシア、2010年)
Alfred Stieglitz, Camera Work (TASCHEN, 2018)
Shaen Adey, Jane Burton Taylo, OUTBACK Australia (New Holland, 1998)
Sigrugeir Sigrujönsson, LOST IN ICELAND (FORLAGID, 2002)

■ベルンハルト・M. シュミッド『道のむこう』(ピエ・ブックス、2002年)
1冊目に取り上げるにふさわしい写真集を選びました。風景の見方に関して目を開いてくれた写真集です。タイトルは『道のむこう』。ベルンハルト・M・シュミッドという写真家が撮った道の写真集です。この人は道ばかりを撮った写真集を何冊も出しています。この『道の向こう』という写真集は非常に啓発的で、これに刺激を受けて「道の向こうに何があるか」というエッセイを書いてしまったほどです。もう1冊同じ出版社から出ている『道のかなた』も持っています。この人は橋フェチでもあるようで、下で紹介するように橋の写真集も出しています。
 彼の写真集に刺激を受けて自分でも時々道の写真を撮ってみるのですが、納得のゆく写真はまだ1枚も撮れていません。理由は簡単。日本では北海道にでも行かなければ遠くまで続く道の写真など撮れないからです。山に囲まれた信州ではまず見晴らしのいい道など望めませんし、電線や看板などが写らない道の写真を撮るなどほとんど不可能だからです。

■『地球一周 空の旅』(パイ インターナショナル、2011年)
 世の中にはいろんな写真集がありますが、この写真集がとりわけユニークなのは何とすべて空撮で撮った写真だということ。この写真集を発見した時は、ガツンと殴られたような衝撃を受けました。そういう発想は全く思いつきもしなかった。
 世の写真家は戦場であれ、人跡まれな秘境であれ、まずは自分の足で踏み入れて、その場に立って写真を撮る。そうするものだと思い込んでいた。なるほど空から撮るのか。写真の重要な要素の一つはアングルだと思いますが、空から見降ろして撮れば人間の目の高さから撮るのとは全く違う映像が撮れるはずです。目からうろこの写真集です。ドローンという言葉が耳になじむようになったのは2016年ごろからだと思いますが、それ以降空撮映像は良く観るようになりましたが、写真集となると今でもさすがに珍しい。
 表紙は有名なモン・サン=ミシェルの写真です。見慣れた景観ですが、なかなか上から見た写真にはお目にかからない。いつもと違う角度から見るといろんなことが分かります。なるほど、こんな風になっていたのかと感心することしきり。
 そのほか同じような建物が視界いっぱい立ち並ぶ都市空間や色違いの花が幾何学状に植えられたオランダの花畑など、空からでないとその全容が分からないようなものがこれでもかと載っています。中国の羅平にある光景はそのページを開けた時しばし目を疑いました。こんな風景が本当にあるのか?一面の菜の花畑が広がる黄色い大地のあちこちにコーンのような円錐形の山が点在している。何とここはカルスト地形なのだそうです。そうか、それであんな形の山が、と頭では納得しても、まるでおとぎの国のような感覚は消えません。もう20年以上前になるだろうか、中国のある地域に初めてNHKのテレビキャメラが入って、山水画に出てくるようなあのとがったごつごつした山々が映像で映し出された時には驚嘆したものです。水墨画の世界は実在したのか!しかしまあ中国は奥深い。まだまだアッと驚くような地域があるに違いない。この写真集を見てそう思いました。

■スーザン・ヒル著『シェイクスピア・カントリー』(南雲堂、2001年)
 これは純粋な写真集というよりは写真と文章がコラボレーションしている本です。シェイクスピア・カントリーを紹介しているのはイギリスの有名な女性作家スーザン・ヒル。彼女の本は数冊持っていますが、今のところ読んだのはこの1冊だけです。
 この本の魅力は数々のすばらしい写真が見られるだけではなく、シェイクスピア・カントリーの近くで育ったスーザン・ヒルのその地域に対する思いが込められた文章が読める事です。大判の本で文章の量も相当ありますが、面倒なら写真を眺めるだけでも十分楽しめます。
 ストラットフォード・アポン・エイヴォン、チッピング・キャムデン、ケニルワース、ウォリックなどシェイクスピアゆかりの様々な地域、その地域の自然やお城やお屋敷、そして街並みなどが取り上げられています。日本でも有名になった「世界で一番美しい村」コツウォルズもシェイクスピア・カントリーの一部ですから当然言及されています。
 この地方の紀行文はたくさん出ていますが、これほど豊富な写真が付けられているものはありません。しかも大判の本ですから写真の迫力が違う。イギリスやシェイクスピアに関心のある方は、いやない方でも、ぜひご覧になってください。

■武田雄二『英国木造建築の美』(グラフィック社、1994年)
■辻丸純一『ビアトリクス・ポターが残した風景』(メディアファクトリー、2010年)
■藤田治彦『ナショナル・トラストの国 イギリスの自然と文化』(淡交社、平成6年)
■増田正『英国のカントリーサイド』(集英社、1997年)
 僕はイギリスを紹介する月刊誌『mr partner』(株式会社ミスターパートナー発行)を定期購読しています。なかなか時間がなくてじっくり眺める機会がないのですが、いつか仕事を辞めたらたまりたまった本や雑誌をのんびり読みふけってみたいと思っています。その点文章が少ないのでさっと見られるのが写真集である。スーザン・ヒルの『シェイクスピア・カントリー』を紹介したついでに、イギリス関連の写真集をまとめて紹介しておきましょう。
 国土の7割が森林におおわれている日本と違って、同じ島国でもイギリスは森林が国土の1割程度しかありません。高い山もなくイギリス最高峰のベン・ネビスの標高は1,334mにすぎないのです。テムズ川は全長346キロもあり、日本なら信濃川についで2番目に長い川にあたります。しかし水源の標高は驚くなかれわずか110メートルしかない!オックスフォード高地をゆったりと流れるこの川を見れば、いかにイギリスがなだらかな地形の国かわかる。
 したがってイギリスの田園風景とはほとんど森林のない小高い草原がうねうねと続いている風景なのです。そこにはパブリック・フットパスと呼ばれる遊歩道が何本も張り巡らされ、大地主が所有する他人の土地ながら歴史的に獲得した「通行権」によって誰でも散歩ができるのです。高い山も木もなく、なだらかな草原が続くイギリスの田園地帯は見晴らしがよく、実に美しい。イギリスはまた水路が発達した国です。産業革命がおこり世界最初の工業国家となったイギリスは、製品を運ぶために水路を張り巡らした。なだらかな丘ばかりだから舟で物を運ぶのは陸路より楽なのです。そしてこれまたイギリスで発達したナショナル・トラストにより、歴史的な建物や景観を買い取り開発から守ることも連綿と続けられてきました。
 イギリスの田舎はまた建物が美しい。『英国木造建築の美』や『英国のカントリーサイド』にたくさん写し出されているハーフ・ティンバーという建築様式が独特の美しさを醸し出している。建物の壁を白一色に塗りつぶしてしまうのではなく、わざと木材(ティンバー)を壁から浮き出させ、それが独特の模様を形作るのである。壁に半分しか埋め込まないのでハーフ・ティンバーと言うわけです。日本の古民家でも時々見かけます。茅葺の屋根が残っている建物も結構あります。80年代に首相を務めたイギリス最初の女性首相サッチャー首相の、「サッチャー」という名は屋根ふき職人のことです。茅のことをthatchというのです。茅葺屋根は冬暖かく夏涼しい屋根です。
 ナショナル・トラストが守ってきた景観遺産がいかに美しいものであるかは『ビアトリクス・ポターが残した風景』を見ればわかります。ビアトリクス・ポターゆかりの湖水地方が取り上げられていますが、ビアトリクス・ポター自身がナショナル・トラストの創立者の一人なのです。

■内山りゅう『水の名前』(平凡社、2007年)
 『水の名前』。写真集にしては変わったタイトルですが、内容もなかなかユニークです。池、川、湖、海、田んぼ、湧水、水滴、金魚鉢など水に関わる様々な題材を取り上げている写真集です。水中写真も多用されています。
 しかし真にユニークなのはそれぞれのページに付けられた小見出しです。「雨水」、「川遊び」、「秋の川」といった一般的なものだけではなく、「小濁り」、「花筏」、「水桜見」、「水中林」、「水影」、「水烟る」、「花の雨」、「水毬」などといった素晴らしい響きの言葉を次々に生み出す感覚がすごい。それぞれのページに付けられたエッセイのような文も良い。写真の美しさだけではなく、言葉の響きの美しさにも魅了される写真集です。

■星野道夫『新装版 Alaska 風のような物語』(小学館、2010年)
 一時期星野道夫の本を夢中になって読み漁った時期がありました。何冊も読んでいると、結構同じ話を何度も語り直していることに気付きますが、それでも飽きる事はありませんでした。
 それまでアラスカの紀行文というと野田知佑の『ユーコン漂流』、『ゆらゆらとユーコン』、『北極海へ』などしか読んだことはありませんでした。そういえば、野田知佑と椎名誠も一時期読みふけったものです。ただ野田知佑の場合はカヌーによる川下りの話ですので、ユーコン川やマッケンジー川の話に限られていました。また川が凍結していない時期の話に限られていたわけです。
 それに対して星野道夫はアラスカに住みつき、誰もいない厳冬の原野に一人で数カ月も過ごして写真を撮るなどということもしていたわけです。彼の文章は時に詩的な響きを帯びます。感性の鋭さが彼の文章の魅力です。しかしなんといっても彼の本の魅力はその写真の素晴らしさです。およそ日本の日常生活とは程遠い世界が放つ光、その壮大さと躍動感、野生動物の素顔、等々。原野に分け入らなければ決して撮れない写真。その魅力は圧倒的でした。時に詩的な響きを帯びる文章と圧倒的な迫力の写真、星野道夫の本の魅力はこの二つが結び付いた魅力です。
 文章に限って言えば、『長い旅の途上』が一番好きです。最初に読んだ星野道夫の本だからということもあるでしょう。彼の本の中で一番多く線を引いた本です。他の本を読んでいると繰り返しが多いので、前に読んだことがあるエピソードは当然線を引きません。『長い旅の途上』は遺稿集として編集されたもので、単行本未収録の文章を可能な限り収録したものであるから、結果的に網羅的になったのかもしれない。星野道夫という人物の関心のあり方や考え方が一番良く分かる本だと思います。そうそう、タイトルもまたいいのです。アラスカという土地とそこに住む人々と動物の生活を文章に刻み、写真に記録することをライフワークと考えていたであろう彼の本にふさわしいタイトルだと思うからです。
 ただ残念なことは、僕が持っている星野道夫の本は文庫本が多いため、どうしても写真が小さくなってしまうことです。「ブックオフ」で大量に買い込んだのがたまたま文庫本だったのです。単行本は『長い旅の途上』など2、3冊しかありません。写真集にふさわしい大型本は1冊もありませんでした。写真集『星野道夫の宇宙』(朝日新聞社)を手に入れたいのですが、アマゾンでも見つかりません。
 それが先日、文庫で持っていた『アラスカ 風のような物語』の新装版が出ていることに気付きました。さっそくアマゾンで入手しました。ぱらぱらとめくってみると、掲載されている写真が文庫版とだいぶ違うことに気付きます。一部同じ写真もありますが、ほとんどは文庫版と違う写真です。どのような事情で写真を入れ替えたのかは分かりません。単行本から文庫本になる時小さいサイズの写真を多めに入れたのを、新装版にする時に元の単行本の写真に戻したということなのか。ただ大型本になった新装版には、文庫本には収めにくいスケールの 大きい写真が増えていることは確かです。いずれにしても、星野道夫が撮った写真は膨大な数だったということはできるでしょう。これだけ入れ替えが可能なのですから。

■星野道夫『アークティック・オデッセイ』(新潮社、1994年)
 『新装版 Alaska 風のような物語』を手に入れた直後に、『アークティック・オデッセイ』も入手しました。こちらは本格的な写真集で、文章はあまり付いていません。ホッキョクグマ、カリブー、クジラ、オオカミ、オーロラや氷河など、素晴らしい写真がぎっしり詰め込まれています。一家に一冊置いておきたい大型写真集です。

■ロバート・キャパ『ロバート・キャパ スペイン内戦』(岩波書店、2000年)
 あのあまりにも有名な写真、頭部を撃ち抜かれ倒れる瞬間の人民戦線兵士を撮った「崩れ落ちる兵士」が収録されていますが、それは収録されたたくさんの写真の中の1枚にすぎない。それほどキャパが取材したスペイン内戦の初集大成版には素晴らしい写真があふれています。
 戦場の緊迫した様子が収められた写真もいいのですが、何と言っても僕は人物を撮った写真に心を引かれる。写真集の扉におさめられた10歳前後と思われる銃を背負った少年、おどけた表情で笑いかけている若い兵士、何かを食い入る様に見つめている兵士たち、固い決意でじっと前を見つめる兵士、茫然とした顔で瓦礫の中にたたずむ女性、子供を抱きかかえ不安そうに前を見つめる若い母親、銃を背負い頭にスカーフを巻きつけたひげ面の兵士、満面に笑みをたたえたベレー帽の兵士、荷物を両手いっぱいに抱え疲れた表情で道を行く初老の女性、顔に深いしわを刻んだゴマ塩ひげの老兵、道端に座り込み暗い表情でじっと前を見つめる初老の女性、チェロ(?)と弓を両手に持ってまるで泣き出しそうな、深い悲しみをたたえた顔でこちらを見つける男性、等々。
 どれも忘れ難い顔です。これらに匹敵する写真を僕は生涯に1枚でも撮れるのだろうか。スナップ写真を除けば、ほとんど人物写真など撮ったことがない僕としてはそう思わざるを得ない。これらの写真はそれぞれの人物の肖像写真であると同時に、また時代の肖像でもあった。その時代のその場所に生きた人々。どれだけの人が内戦を生き延びたのだろうか。たとえ内戦時代を生き延びても、その後長く続いたフランコの独裁時代を生き延びられたのか。そんなことを想像せずにこれらの写真を見る事は出来ない。個々の人物を映しながら、その時代と時代の雰囲気(緊張感、強い決意と意思、不安、哀しみ、希望、怒り、喪失感などが入り混じった時代の空気)をも写し取る。天才的カメラマンの目はかくも鋭い。

■野村哲也『パタゴニアを行く―世界でもっとも美しい大地』(中公新書、2011年)
 パタゴニアというとまず思い出すのは岩波新書で出ていた『パタゴニア探検記』という本。日本・チリ合同パタゴニア探検隊が処女峰アレナーレスに登頂した時の記録です。高校生か大学生の頃(70年代の前半)読んだものなので、もう50年近く前のことになります。
 実に面白い本でした。著者の高木正孝は元南極越冬隊の隊長だった人だという記憶があります。それまで人が入ったことがない土地に分け入ると、どんなに寒くても決して風邪を引かないということをこの本を読んで初めて知りました。ウイルスがいないからです。
 日本人隊員とチリ人隊員の習慣などの違いによる行き違いや反感なども面白かった。ある時とうとう我慢が出来なくなって、すぐ近くの見える所で大便をするのはやめてくれと日本人隊員が言うと、チリ人隊員がそれじゃあお前達も人前で鼻くそをほじるのはやめてほしいと言ったというエピソード。失礼にあたること、不愉快に感じる事が国によって違うことが良く分かった。
 閑話休題、『パタゴニアを行く』は写真をふんだんに載せた紀行文としては珍しい新書版です。この本を買ったきっかけは、タイトルにパタゴニアが入っていたからです。この本を読んで感じたことは、著者の野村哲也という人は第二の星野道夫になる素質があるということです。野村哲也も時々パタゴニアを訪れて写真を撮るというのではなく、変化に富んだ自然に魅せられてそこに住みこんでしまった。アラスカ、アンデス、南極などの辺境の地に惹かれていること、自然と人々の中に飛び込んで行こうとする情熱などに共通点を感じました。
 僕は本を読んで線を引いた部分をパソコンに書き写して、必要な時に引用するのに利用しています。この本から書き写した文章を一部以下に載せておきましょう。この著者が星野道夫と同様、時に文学的な表現を使うということ、人々の言葉を聞きとる耳を持っていることが分かると思います。

 「異国から来た友よ、耳を澄まし、よく聞いておくれ。私たちの足元に広がる大地は、祖先たちの“生命の灰”で作られている。大地は、常に仲間たちの魂で満ちている。大地が人間に属しているのではなく、人間が大地に属しているのだよ。土地の所有権を賭けて人々は争いを起こす。でも最後に人を所有するのは誰だい、大地ではないのかい?誰もがいつかはその下に埋められるのだから」
  マプーチェ族のセルマ婆ちゃんの言葉

 日が完全に落ちると、照り返しが起こり、多様な雲が変幻自在に宙を駆けていく。パタゴニアに長く滞在すると、「雲」は「風」の一部だと実感せずにはいられない。風に吹かれて雲ができ、風がまた雲を消していく。

 インディアンの言い伝えなどがよく人生の指南書のような形で売られています。そういう利用の仕方には疑問を感じますが、土に生きる、あるいは自然に生きる人たちの素朴な言葉には耳を傾けたくなる素晴らしい言葉が多いのは確かです。
 しかしそういう言葉を引き出せるところまで人間関係を作ることはなかなか容易なことではありません。星野道夫にしろ、野村哲也にしろ、そういうことが自然にできているところがすごいと思います。写真にしても、自然はそこまで行けばだれにでも撮れますが、人間を撮るには信頼関係がなければ撮らせてもらえません。撮ったとしても構えた姿しか撮れません。
 自然の中だけではなく自然の中で暮らす人々の中にまで飛び込んで行けるところ、この二人が、そして彼らのみならず一流の写真家と呼ばれる人たちがすごいのはその点だと思います。

■野村哲也『悠久のとき』(中日新聞社、2002年)
 野村哲也の写真集『悠久のとき』も手に入れました。その中に「星の道を継ぐ者」という章があります。そこで野村氏は星野道夫を「師匠」と呼んでいます。師匠と一緒に幾夜も過ごしたとも書いています。上に「野村哲也という人は第二の星野道夫になる素質がある」と書きましたが、この二人は実際に師匠と弟子の 関係だったのですね。
『悠久のとき』は野村哲也の本格的写真集です。写真集として『アークティック・オデッセイ』と比べても全く見劣りしない極めて優れたものです。上で紹介した『パタゴニアを行く』とほとんど写真は重なっていません。しかも大型本ですので、写真の迫力は新書サイズの『パタゴニアを行く』より遥に勝ります。
 とにかく写真がすごい。『アークティック・オデッセイ』がカナダを中心とした北極圏を撮ったのに対し、『パタゴニアを行く』は南極に近いパタゴニアを撮ったものです。同じ極地に近い地域でも、どこか違いがあります。パタゴニアはとにかく山が美しい。パタゴニアには富士山そっくりの山もありますが、荒々しい山容の山が多い。とがった奇岩が山頂にそそり立つ奇っ怪な山。これらの山々の写真を見るだけでも買う価値があります。
 他にも氷河の美しさに魅せられたり、動物の可愛らしさにひかれたり、さまざまな楽しみができる写真集です。日本とは全く違う荒々しい自然が残るパタゴニア。一家に一冊の必需品です。野村哲也には大判写真集『パタゴニア』もあります。こちらも大迫力の写真がびっしりと並ぶ本格的写真集。これも凄いです。

■ベルンハルト M.シュミッド『世界の橋』(ピエ・ブックス、2006年)
■平野 暉雄『日本の名景 橋』(光村推古書院、2000年)
■平野 暉雄『橋を見に行こう』(自由国民社、2007年)
 ゴブリンが写真日記を書き始めたのは浦野川とその川に架かる橋に魅せられたのがきっかけでした。その後しばらくは川と橋の写真を中心に撮っていました。その頃にアマゾンでまとめて買ったのがタイトルの3冊の写真集。日本中、世界中の様々な橋の写真が載っています。
 いやあ素晴らしい。これまで自分が撮った橋の写真などとても及ばない素敵な橋ばかり。やはり遠くまで足を運ばなければいい橋とは出会えません。
 何といっても撮ってみたいのは石橋です。信州にはいい石橋があまりありません。なぜか九州など西の方に多いようです。
 小さな川にかかる風情のある小さな木橋もいい。夕暮れ時に橋と橋を渡る人影をシルエットで撮ってみたい。いろんな橋の写真を見ながら、心は旅先へと飛んでゆきます。

■藤田洋三『世間遺産放浪記』(石風社、2007年)
 これもゴブリンが多大な影響を受けた写真集です。「世界遺産」ではなく「世間遺産」という考え方には大いに共感しました。観光地でもないごく普通の地域にある風景や建物、遺物、石碑などを意識的に撮って来た自分の姿勢に重なるものを感じたからです。
 この写真集にはどこかあか抜けない奇妙奇天烈なものから「う~ん」と感心するものまで、地元の人でもうっかり見落としそうなものがこれでもかと並んでいます。以下にこの本からの引用を二つ紹介しましょう。

 民の手による遺産をめぐるこの放浪記は、無名の人々の営みを寿ぐ(ことほぐ)、パッションとミッションとセッションのレクイエム。誰も気にとめない。誰も語らない。けれども知っている。無名で風土的でプリミティブな「働く建築」たちは、一切の無駄を省いた、機能美のモダニズム。

 「世界遺産」や「近代化遺産」が脚光を浴びる中、社会からはなかなか見向きもされない、これら「世間遺産」たちとの出会いは、筆者自身に強い印象を与えるものばかりでした。長く人の生業(なりわい)やくらしとともにあった、「用の結果の美」としての建築や道具。または庶民の饒舌、世間アートとでも呼びたくなるような不思議な造形の数々…。

 「無名の人々の営み」、「無名で風土的でプリミティブな『働く建築』」、「機能美」、「用の結果の美」、「庶民の饒舌、世間アートとでも呼びたくなるような不思議な造形」、等々。キーワードを拾ってゆくと、著者の視点や姿勢が読み取れてきます。
 「近代化で捨ててきたモノを懐古するのではなく、置き忘れられたモノにひそむ物語を知ることで未来を探るのが、世間遺産の方程式」という言い方もしています。そこにあるのはレトロさを味わいノスタルジーに浸る姿勢ではなく、時代と地域の要請に応じて生まれたもの、ザラザラごわごわした手触りが伝わってくる 「今の時代に生まれないもの」への敬意です。

■佐藤健寿、『奇界遺産』(エクスナレッジ、2010年)
 『世間遺産』の次は『奇界遺産』です。こちらは摩訶不思議で奇妙奇天烈な建造物、人、習慣などを集めた奇怪な写真集です。度肝を抜く奇想、一体何のためにこんなものをと呆れる逸脱ぶり、執念の塊のようなこだわりぶり、ほとんどゲテモノのような偏執ぶり。笑ったり、呆れたり、仰天したり。次はどんなものが、とページをめくるのが楽しみになる。楽しめますよ。

■『地平線』(パイ インターナショナル、2011年)
 信州は山国で、360度どこを見渡しても常に山で視界が遮られている。信州にいる限りまっ平らな地平線を眺めることなど望むべくもない。たまに東京へ行ったりして関東平野に出ると、はるか遠くまで見通せて開放感がある。僕は海岸近くで育ったので、海が見えたりするとホッとする。信州で育った人たちは逆に周りに山がないと不安になるそうだ。
 関東平野に育ちながら信州に住んでいるせいか、『地平線』という写真集を手にとってぱらぱらとめくった瞬間欲しいと思った。最初に紹介したベルンハルト・M.・シュミッドの『道』シリーズ同様、はるか遠くまで見通せる壮大な光景に引き込まれてしまう。
 しかしこの写真集を眺めていると、日本という国がいかにごちゃごちゃと家の建てこんだ狭苦しい国かということを痛感せざるを得ない。また逆に、世界には見渡す限り家一軒なく、人っ子一人見かけない土地がこれほどあるのかと驚く。地平線の遠さ、空の大きさ、日本では北海道でもなければ体験できない開放感をたっぷり味わえる本です。

■Alfred Stieglitz, Camera Work (TASCHEN, 2018)
 スティーグリッツは1980年代に渋谷の松涛美術館で個展が開かれ見に行ったことがあります。渋谷駅から道玄坂をてくてく上っていったのを良く覚えている。今となっては懐かしい思い出です。スティーグリッツに関心を持ったのは、セオドア・ドライサー著『シスター・キャリー』(ウィリアム・ワイラー監督「黄昏」、1951年、の原作)の英語版の表紙写真にスティーグリッツの写真が使われていたから。その写真のすばらしさに魅了され、彼について調べていたら、たまたま松涛美術館で展示会が開かれるのを知ったのです。
 彼の写真集は高くてなかなか手に入らなかったのですが、英語版ならひょっとして安いのもあるかも知れないと思って探したら手ごろな値段で見つかったのがこの写真集。5センチもあろうかと思う分厚い本です。『シスター・キャリー』の表紙に使われた写真も130ページに載っていました。この本に収録されている写真のほとんどはセピア色ですが、『シスター・キャリー』の表紙は白黒で、正直この写真に限っては白黒版の方が良いと思った。写真というより絵画に近いポーズを取っている人物写真が意外に多い。人物写真はほとんどすべてポーズを取っています。写真集の表紙に使われている写真も、まるでルノワールの絵のようでだ。顔だけ大写しにした写真はまさに肖像画。現場に出向いてそこに生きる人々を時代とともに切り取って来たロバート・キャパの写真とはそこが違う。
 スティーグリッツはむしろ絵画のような写真を意識していたようです。戸外で撮った写真もありますが、それもやはり風景画を思わせる写真です。しかしそれでいて印象的な写真も少なくない。その多くは何気ない風景を写し取った写真ですが(『シスター・キャリー』の表紙写真もただ道を走る馬車を撮っただけの写真)、絵画的写真にも忘れがたい写真がいくつもあるのです。写真が絵画の影響下から離れて独自の世界を切り開く前の時代の遺物だと切り捨てられない何かがある。英文の解説もたっぷり付いているので、時間があるときにじっくり味わいたい。

■Shaen Adey, Jane Burton Taylo, OUTBACK Australia (New Holland, 1998)
■Sigrugeir Sigrujönsson, LOST IN ICELAND (FORLAGID, 2002)
 最後に輸入版写真集を紹介したい。まずアイスランド。アイスランドと聞いてまず思い浮かべるのはフリドリック・トール・フリドリクソン監督の映画「春にして君を想う」(1991)。老人二人が老人ホームを脱出して故郷を目指すというロード・ムービーですが、その旅の途中で映し出される景色の寒々とした美しさに目を奪われました。この名作に2000年代に入って2本の傑作が加わりました。一つはベネディクト・エルリングソン監督の「馬々と人間たち」(2013)。何とものんびりした人間と馬たちの生活がほほえましく描かれる。もう1本はグリームル・ハゥコーナルソン監督の「ひつじ村の兄弟」(2015)。こちらは冬のアイスランドの過酷さがリアルに描かれる。
 美しさと過酷さを併せ持つアイスランドの景観。それを余すところなく写し取ったのがLOST IN ICELANDである。これは見かけたらぜひ買うべきだ。横長サイズの版型が一面に広がる荒涼とした、かつ幽玄でもある凄味のある景観にマッチしている。
 一方オーストラリアの内陸部を写したOUTBACK Australiaはひたすら荒涼として過酷な環境を映し出す。延々と続く荒れ地や砂漠地帯。フィリップ・ノイス監督の映画「裸足の1500マイル」(2002) で収容所を脱走したアボリジニの子供たちが故郷まで延々歩いて行ったのはまさにこのアウトバックと呼ばれる荒れ地帯です。しかしアボリジニの子供たちに食料を分け与えたりして親切にしてくれたのはアウトバックに住む、あるいはそこを旅する人たちであった。オーストラリアは有名な白豪主義(White Australia policy)を掲げていましたが、これはオーストラリア版アパルトヘイトである。しかしイギリス帝国主義の流れを汲む優生思想に染まる都市部の偏見に満ちた白人たちと違って、アウトバックに住む人々は先住民のアボリジニとも接する機会が多く、また厳しい自然の中で寄り添って生活してきただけに、同じ白人でも逃亡中のアボリジニの子供たちに対する接し方が違う。写真集の多くは世にも美しい、あるいは奇怪な景観を写そうとしますが、旅行者などほとんど足を踏み入れることのない荒涼としたアウトバックにあえて焦点を当てた写真集を企画した人々に惜しみない称賛を送りたい。

 

2020年6月 1日 (月)

先月観た映画 採点表(2020年4~5月)

「残菊物語」(1939、溝口健二監督、日本)★★★★★
「八月の鯨」(1987、リンゼイ・アンダーソン監督、アメリカ)★★★★★
「アマデウス」(1984、ミロス・フォアマン監督、アメリカ)★★★★★
「ブラック・クランズマン」(2018、スパイク・リー監督、アメリカ)★★★★☆
「人生タクシー」(2015、ジャファル・パナヒ監督、イラン)★★★★☆
「雨に唄えば」(1952、タンリー・ドーネン、ジーン・ケリー監督、アメリカ)★★★★△
「マイ・ブックショップ」(2018、イサベル・コイシェ監督、スペイン・英・独)★★★★△
「半世界」(2018、坂本順治監督、日本)★★★★△
「ガーンジー島の読書会の秘密」(2018、マイク・ニューウェル監督、仏・英)★★★★△
「アカシアの通る道」(2011、パブロ・ジョルジェッリ監督、アルゼンチン・スペイン)★★★★△
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019、クエンティン・タランティーノ監督、米)★★★★
「The Crossing -ザ・クロッシング- Part II」(2015、ジョン・ウー監督、中国)★★★★
「遠い雲」(1955、木下恵介監督、日本)★★★★
「国家が破産する日」(2018、チェ・グクヒ監督、韓国)★★★★
「ポーラー・エクスプレス」(2004、ロバート・ゼメキス監督、アメリカ)★★★★
「ボーダー 二つの世界」(2018、アリ・アッバシ監督、スウェーデン・デンマーク)★★★★
「オンネリとアンネリのおうち」(2014、サーラ・カンテル監督、フィンランド)★★★★▽
「銀座化粧」(1951、成瀬巳喜男監督、日本)★★★★▽
「外人部隊 フォスター少佐の栄光」(1977、ディック・リチャーズ監督、イギリス)★★★☆

主演男優
 5 花柳章太郎「残菊物語」
   F.マーリー・エイブラハム「アマデウス」
   トム・ハルス「アマデウス」
   ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
   レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
   ジョン・デヴィッド・ワシントン「ブラック・クランズマン」
   ジーン・ケリー「雨に唄えば」
   稲垣吾郎「半世界」
 4 ジーン・ハックマン「外人部隊 フォスター少佐の栄光」
   ヘルマン・デ・シルバ「アカシアの通る道」

主演女優
 5 ベティ・デイヴィス「八月の鯨」
   リリアン・ギッシュ「八月の鯨」
   エミリー・モーティマー「マイ・ブックショップ」
   高峰秀子「遠い雲」
   リリー・ジェームズ「ガーンジー島の読書会の秘密」
 4 キム・ヘス「国家が破産する日」

助演男優
 5 ビル・ナイ「マイ・ブックショップ」
   ドナルド・オコナー「雨に唄えば」
 4 金城武「The Crossing -ザ・クロッシング- Part II」
   ヴィンセント・プライス「八月の鯨」
   長谷川博己「半世界」

助演女優
 4 パトリシア・クラークソン「マイ・ブックショップ」
   森赫子「残菊物語」
   デビー・レイノルズ「雨に唄えば」
   ジーン・ヘイゲン「雨に唄えば」

2020年5月27日 (水)

これから観たい&おすすめ映画・BD(20年6月)

【新作映画】公開日
6月5日
 「未成年」(キム・ユンソク監督、韓国)
6月6日
 「お名前はアドルフ?」(セーンケ・ヴォルトマン監督、ドイツ)
6月12日
 「15年後のラブソング」(ジェシー・ベレッツ監督、米・英)
 「今宵、212号室で」(クリストフ・オノレ監督、仏・ベルギー・ルクセンブルク)
 「コリーニ事件」(マルコ・クロイツパイントナー監督、ドイツ)
6月13日
 「アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい」(デニス・ペリー監督、フランス)
6月19日
 「ペイン・アンド・グローリー」(ペドロ・アルモドバル監督、スペイン)
 「サンダーロード」(ジム・カミングス監督、アメリカ)
近日公開
 「鵞鳥湖の夜」(ディアオ・イーナン監督、中国・フランス)
 「君の誕生日」(イ・ジョンオン監督、韓国)
 「その手に触れるまで」(ダルデンヌ兄弟監督、ベルギー・フランス)

【新作DVD・BD】レンタル開始日
5月29日
 「帰れない二人」(ジャ・ジャンクー監督、中国・フランス)
6月3日
 「永遠の門 ゴッホの見た未来」(ジュリアン・シュナーベル監督、英・仏・米)
 「ダウントン・アビー」(マイケル・エングラー監督、英・米)
 「スケアリーストーリーズ怖い本」(アンドレ・ヴレダル監督、アメリカ)
 「ジョジョ・ラビット」(タイカ・ワイティティ監督、アメリカ)
 「グッドライアー 偽りのゲーム」(ビル・コンドン監督、アメリカ)
 「男と女 人生最良の日々」(クロド・ルルーシュ監督、フランス)
 「テルアビブ・オン・ファイア」(サメフ・ソアビ監督、仏・ベルギー・イスラエル・他)
 「残された者-北の極致-」(ジョー・ベナ監督、アイスランド)
 「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」(セバスティアン・レリオ監督、イギリス)
 「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」(ジョナサン・レヴィン監督、米)
 「シライサン」(安達寛高監督、日本)
 「夕陽のあと」(越川道夫監督、日本)
 「わたしは光をにぎっている」(中川龍太郎監督、日本)
 「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」(ディーン・デュボア監督、アメリカ)
 「ROMA / ローマ」(アルフォンソ・キュアロン監督、メキシコ)
 「永遠の門 ゴッホの見た未来」(ジュリアン・シュナーベル監督、英・仏・米)
6月5日
 「ティーンスピリット」(マックス・ミンゲラ監督、英・米)
 「LORO 欲望のイタリア」(パオロ・ソレンティーノ監督、イタリア)
6月10日
 「第三夫人と髪飾り」(アッシュ・メイフェア監督、ベトナム)
 「プロジェクト・グーテンベルク 偽札王」(フェリックス・チョン監督、香港・中国)
 「カツベン」(周防正行監督、日本)
 「ハーレ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」(キャシー・ヤン監督、アメリカ)
 「屍人荘の殺人」(木村ひさし監督、日本)
6月17日
 「家族を想うとき」(ケン・ローチ監督、英・仏・ベルギー映画)
 「黒い司法 0%からの奇跡」(デスティン・ダニエル・クレットン監督、アメリカ)
 「屍人荘の殺人」(木村ひさし監督、日本)
 「デニス・ホッパー/狂気の旅路」(ニック・エベリング監督、アメリカ)
 「プロジェクト・グーテンベルク 偽札王」(フェリックス・チョン監督、香港・中国)
6月24日
 「幸福路のチー」(ソン・シンイン監督、台湾)
7月3日
 「エクストリーム・ジョブ」(イ・ビョンホン監督、韓国)
 「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(レジス・ロワンサル監督、仏・ベルギー)
 「グリンゴ/最強の悪運男」(ナッシュ・エドガートン監督、米・メキシコ・豪)
 「荒野の誓い」(スコット・クーパー監督、アメリカ)
 「だれもが愛しいチャンピオン」(ハビエル・フェセル監督、スペイン)
 「トスカーナの幸せレシピ」(フランチェスコ・フラスキ監督、イタリア)
 「ハスラーズ」(ローリーン・スカファリア監督、アメリカ)
7月8日
 「キャッツ」(トム・フーバー監督、英・米)
 「私の知らないわたしの素顔」(サフィー・ネブー監督、フランス)
 「男はつらいよ お帰り 寅さん」(山田洋次監督、日本)
 「mellow メロウ」(今泉力哉監督、日本)
7月10日
 「ブレッドウィナー」(ノラ・トゥーミー監督、アイルランド・カナダ・ルクセンブルク)
7月15日
 「iー新聞記者ドキュメント」(森達也監督、日本)
 「ラストレター」(岩井俊二監督、日本)

【旧作DVD・BD】発売日
5月29日
 「カール・Th・ドライヤー~聖なる映画作家~」(43、54、64、デンマーク)
  収録作品:「怒りの日」「奇蹟」「ゲアトルーズ」
 「暗黒街の弾痕」(37、フリツッツ・ラング監督、アメリカ)
 「ケス」(69、ケン・ローチ監督、イギリス)
 「ストレイト・ストーリー」(99、デヴィッド・リンチ監督、アメリカ)
6月5日
 「地獄の黙示録 ファイナル・カット」(1979、フランシス・フォード・コッポラ監督)
6月17日
 「驟雨」(56、成瀬巳喜男監督)

 

*色がついているのは特に注目している作品です。

 

2020年5月17日 (日)

ゴブリンのこれがおすすめ 48 漫画

【お気に入り漫画家ベスト10】

浦沢直樹「HAPPY」「MONSTER」「20世紀少年」「PLUTO」

谷口ジロー「『坊っちゃん』の時代」「神々の山嶺」「遥かな町へ」「犬を飼う」「先生の鞄」「シートン」
  「晴れ行く空」「神の犬」「ブランカ」「K」「父の暦」「事件屋稼業」「神々の山嶺」「歩く人」「森へ」
  「青の戦士」「孤独のグルメ」「捜索者」「凍土の旅人」「ENEMIGO」「遥かなる町へ」「東京幻視行」その他全作品

つげ義春「つげ義春全集」「つげ義春初期傑作長編集」「つげ義春とぼく」「つげ義春の温泉」(写真エッセイ)
  「新版 貧乏旅行記」(エッセイ)、その他ほとんどの作品

手塚治虫「アドルフに告ぐ」「火の鳥」「三つ目がとおる」「ブラック・ジャック」「陽だまりの樹」
  「どろろ」、その他ほとんどの作品

花輪和一「刑務所の中」「天水」「朱雀門」「風水ペット」「水精」「護法童子」「みずほ草子」
  「風童」「刑務所の前」「不成仏霊童女」「ニッポン昔話」「鵺」、その他全ての作品

星野之宣「宗像教授伝奇考」「2001夜物語」「メガクロス」「ムーン・ロスト」「巨人たちの伝説」
  「ベムハンター・ソード」「はるかなる朝」「コクド・エクスペリメント」「ブルー・ホール」
  「ブルー・ワールド」「BLUE CITY」「ヤマトの火」「鎖の国」「ヤマタイカ」「宗像教授異考録」
  「星を継ぐもの」「スターダスト・メモリーズ」、その他全作品

ますむらひろし「アタゴオル」「アタゴオル玉手箱」「宮沢賢治童話集」「夢降るラビットタウン」
  「コスモス楽園記」、その他全作品

水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」「コミック昭和史」、「総員玉砕せよ!」「白い旗」「敗走記」「方丈記」
  「河童千一夜」「現代妖怪譚」「今昔物語」「東海道四谷怪談・耳なし芳一」「墓場鬼太郎」「姑娘」
  「悪魔くん千年王国」「不思議旅行」(エッセイ)、「寝ぼけ人生」(エッセイ)、「鬼太郎夜話」
  「幻想世界への旅」「のんのんばあとオレ」(エッセイ)、「ねずみ男の冒険」「妖怪大統領」
  「妖怪画談」「続妖怪画談」「ホンマにオレはアホやろか」(エッセイ)、「ラバウル戦記」
  「火星年代記」「遠野物語」「妖猫夜話」「鬼太郎のベトナム戦記」、その他全作品

諸星大二郎「西遊妖猿伝」、「妖怪ハンター」シリーズ、「栞と紙魚子」シリーズ、「不安の立像」
  「失楽園」「諸怪志異」シリーズ、「子供の情景」「遠い世界」「ぼくとフリオで校庭で」「六福神」
  「海神記」「私家版鳥類図譜」「私家版魚類図譜」、その他全作品

矢口高雄「釣りキチ三平」「蛍雪時代」「ふるさと」「マタギ」「激濤」「ボクの学校は山と川」
  「平成版釣りキチ三平」「又鬼の命」「ニッポン博物誌」、その他ほとんどの作品

 

【お気に入り漫画家 モア20】

青木雄二「ナニワ金融道」

秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」

吾妻ひでお「失踪日記」「アル中病棟」

安倍夜郎「深夜食堂」シリーズ

荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」「死刑執行中 脱獄進行中」「変人偏屈列伝」

石川サブロウ「本日も休診」「母の曠野」「ひょぼくれ文左」「天(そら)より高く」

井上雄彦「バガボンド」

大友克洋「AKIRA」「童夢」、「彼女の思いで・・・」「ショート・ピース」「さよならにっぽん」
  「気分はもう戦争」「SOS大東京探検隊」、その他ほとんどの作品

こうの史代「夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に」「さんさん録」「長い道」、その他

東風孝広「カバチタレ」「特上カバチ!!」

白戸三平「忍者武芸帳 影丸伝」「サスケ」「カムイ伝」

滝田ゆう「寺島町奇譚」「滝田ゆう名作劇場」「僕の裏街ぶらぶら日記」(エッセイ)「銃後の花ちゃん」「下駄の向くまま」(エッセイ)

ちばてつや「あしたのジョー」「あした天気になあれ」「紫電改のタカ」「ひねもすのたり日記」
  「おれは鉄平」

寺沢武一「コブラ」

中沢啓治「はだしのゲン」

花咲アキラ「美味しんぼ」

宮崎駿「風の谷のナウシカ」

ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」、「プリニウス」

山田参助「あれよ星屑」

ネイト・パウエル「MARCH」(1非暴力の闘い、2ワシントン大行進 3セルマ勝利をわれらに)

 

【こちらもおすすめ】

入江喜和「昭和の男」
いしかわじゅん「僕たちのサヨナラ・感電タウン」「東京物語」
一ノ関圭「鼻紙写楽」
魚戸おさむ「イリヤッド」
魚之目三太「戦争めし」
漆原友紀「蟲師」
大塚英志+森美夏「八雲百怪」
小川幸辰「みくまりの谷深」
QBB(久住昌之、久住卓也)「古本屋台」
小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」(原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)
小池一夫「春が来た」
西岸良平「三丁目の夕日」
さいとうたかお「ゴルゴ13」「サバイバル」「ブレイクダウン」
しまたけひと「アルキヘンロズカン」
曽我篤士「緑の王」
高井研一郎「すずなり横丁道楽商店街」
高寺彰彦「臥竜解封録 ナムチ」
永島慎二「永島慎二の世界」
ながやす巧、大友克洋(原作)「沙流羅」
成田英敏「アコロコタン」
蛭田達也「コータローまかりとおる」
本庄敬「SEED」
藤子不二雄A「愛・・・しりそめし頃に・・・」
前田千明「オールド・ウエスト」
三好銀「三好さんとこの日曜日」「私の好きな終末」「海辺へ行く道 夏」「海辺へ行く道 冬」
山下和美「ランド」
山田英生編「温泉まんが」
山本おさむ「どんぐりの家」
石ノ森章太郎、他「小松左京原作コミック集」
水木しげる、滝田ゆう、他「ビッグコミック名作短編集」
ショーン・タン「アライバル」
マルジャン・サトラビ「ペルセポリス」


【雑誌特集・漫画家論等】

赤塚不二夫『赤塚不二夫120% 死んでる場合じゃないのだ』(アートン、1999年)

石上三登志『手塚治虫の奇妙な世界』(学陽文庫、1998年)

高野慎三『つげ義春1968』(ちくま文庫、2002年)

手塚治虫+小林準治『手塚治虫昆虫図鑑』(講談社+α文庫、1997年)

手塚悦子『手塚治虫の知られざる天才人生』(講談社+α文庫、1999年)

夏目房之介『手塚治虫の冒険』(小学館文庫、1998年)

深谷考『滝田ゆう奇譚』(青弓社、2006年)

校條剛『ぬけられますか 私漫画家 滝田ゆう』(河出書房新社、2006年)

山田英生編『温泉まんが』(ちくま文庫、2019年)

『AERA COMIC ニッポンのマンガ 手塚治虫文化賞10周年記念』(朝日新聞社、2006年)

『文芸別冊 総特集 諸星大二郎』(河出書房新社、2018年)

『文芸別冊 総特集 星野之宣』(河出書房新社、2020年)

 

【漫画との付き合い】

 漫画を読み始めたのは小学生の低学年頃からだろう。創刊されて間もない少年漫画誌『少年サンデー』と『少年マガジン』(共に1959年創刊)を毎週買って読んでいた。確か当時40円で、発売日になると親から40円もらって本屋に飛んでいったものだ。おそらく読み始めたのは1960年前後で、まだまだ戦争漫画が多かったころだ。「サブマリン707」(小沢さとる)、「加藤隼戦闘隊」(小林たけし)、「紫電改のタカ」(ちばてつや)などは毎週楽しみにして読んでいた。表紙や巻頭のグラビアなども戦艦、戦闘機、戦車などの絵がよく載っていた。その他に好きだったのは「伊賀の影丸」(横山光輝)、「おそ松くん」(赤塚不二夫)、「8マン」(桑田二郎)、「サイボーグ009」(石ノ森章太郎)、「巨人の星」(川崎のぼる)など。手塚治虫はほとんど読まなかった。嫌いだったわけではなく、たまたま出会わなかったということだ。手塚のテレビアニメはずいぶん見たが。テレビアニメでは「スーパージェッター」、「ハリスの旋風」(ちばてつや)、「鉄人28号」(横山光輝)「鉄腕アトム」(手塚治虫)、「ゲゲゲの鬼太郎」(水木しげる)、「ゼロ戦はやと」(辻なおき)、「タイガーマスク」(辻なおき)、「ジャングル大帝」(手塚治虫)など。

 中学生ぐらいになってから、次第に漫画から遠のいていった。漫画は子供が読むものだという意識を持ち始めていたからだ。それでもまったく読まなかったわけではなく、「あしたのジョー」(ちばてつや)、「釣りキチ三平」(矢口高雄)、などの話題作は読んでいた。ただ毎週買うことはしなかったと思うので、通しで全部読んだかははっきり記憶がない。その後しばらく漫画をほとんど読まない時期が続いたが、大学生になったころからいつの間にかまた漫画を読み出していた。おそらく喫茶店に入り浸っていたので、暇に任せて漫画を読んでいたわけだ。食事も外食専門だったので、食事が来る前から食事の後までずっと漫画を読んでいた。ただ、今になって悔やまれるのは、当時もっぱら少年誌ばかりを読んでいたことである。大人のコミックや『ガロ』などの通の読む漫画雑誌などにはまったく手を出していなかった。この頃もっと早くそれらを読んでいたら、後に好きになる作家をずっと後になって「発見する」必要もなかったのにと今更ながら思う。

学生・院生当時よく読んでいたもの
「嗚呼!!花の応援団」(どおくまん)
「1・2の三四郎」(小林まこと)
「うしろの百太郎」(つのだじろう)
「うる星やつら」(高橋留美子)
「Dr.スランプ」(鳥山明)
「がきデカ」(山上たつひこ)
「翔んだカップル」(柳沢きみお)
「サスケ」(白戸三平)
「おれは鉄平」(ちばてつや)
「キャッツ♡アイ」(北条司)
「ストップ!!ひばりくん!」(江口寿史)
「タッチ」(あだち充)
「ドカベン」(水島新司)
「キン肉マン」(ゆでたまご)
「はだしのゲン」(中沢啓治)
「東大一直線」(小林よしのり)
「まことちゃん」(楳図かずお)

 「キャプテン翼」(高橋陽一)と「じゃりン子チエ」(はるき悦巳)は何度か挑戦したが、どうしても好きになれなかった。しかし、何といっても本格的に漫画を読み始めたのは、手塚治虫を再発見してからだ。手塚は前から気になってはいたが、やはり子供の漫画を書いている人だと思い込んでいた。というよりも、漫画そのものをあまり大したものだとは思っていなかった。その認識が決定的に変わったのは、手塚の「アドルフに告ぐ」を読んでからだ。たぶん80年代半ばごろで、ハードカバーの単行本として漫画が出版されるのは当時まだ珍しかった。話題にもなっていたので読んでみたのだが、その面白さ、漫画とは思えない内容の濃さに驚嘆した。僕の漫画観はこの一作で一変したといってよい。それ以来漫画は大人が読むことにも耐えうるのだ(少なくともそれに値する作品がある)という認識を持つようになった。「火の鳥」を読んでそれは確信に変わった。それ以来手塚作品を手当たりしだい集めだした。ちょうど80年代の終わりごろから手塚のハードカバー愛蔵版が出回り始めていたので絶好のタイミングだった。初期から中期のものはさすがに絵も子供向けでそれほど好きではないが、おそらく大人の読者を想定して書かれたと思える後期のものはどれもいい。「陽だまりの樹」などは夢中になり、その後司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読み、一時期時代小説を読みふけるきっかけにもなった。手塚の汲めども尽きぬ想像力の豊かさにはただただ感心するばかりだ。

 手塚再発見後、他にもまだ優れた漫画家がいるはずだと書店の漫画コーナーをしきりに物色する日々が続いた。そして先ず発見したのが″つげ義春″だった。90年代半ばごろである。その頃漫画の文庫化が進み、小学館の漫画文庫の中に「ねじ式」と「紅い花」を見つけたのである。なんとも不思議なタッチに魅せられた。すぐに筑摩書房から出ている全集(全8巻+別巻)を買った。古い温泉場などの絵がどこか文学的な香りを感じさせるところが良い。次に見つけたのが″ますむらひろし″だった。『銀河鉄道の夜』のアニメ版を観てはいたが、同じ人だとはすぐには気づかなかった。これも文庫版の「アタゴオル」シリーズをたまたま見かけて買ったのがきっかけだった。彼独特のファンタスティックな世界とヒデヨシのキャラクターにすっかりはまり込んだ。偶然だが、僕は大学1年から3年まで流山の叔母の家に寄留していた。最寄り駅は東武野田線の江戸川台駅である。もっともその当時はますむらひろしのことなど全く知らなかったが、すぐ近くに住んでいたのかと思うと一層親近感がわいたものだ。

 そのうち上田市内にも漫画専門の古書店(「漫画専科」)があることを発見した。現在は東御市本海野の方に移ったが、見つけたときは別所線の赤坂上駅近くにあった。そこに頻繁に通ううちに主人と話をするようになり、そこで紹介されたのが星野之宣だった。「2001夜物語」と「ヤマタイカ」を買ったが、いっぺんに気に入った。こんな本格的なSF漫画を書いている漫画家がいたとはそれまで知らなかった。もう一人その少し前に発見したのは谷口ジローだった。「『坊ちゃん』の時代」が第2回手塚治虫文化賞を受賞したことでその存在を知った。「『坊ちゃん』の時代」はおそらくはその古本屋を見つける前に買っていたのだと思うが、大量に谷口ジローの作品を買い込んだのはその店だった。足繁く通って一通り買ってしまうとあまりその店には行かなくなったが、あの店は今でもまだ営業しているのだろうか。

 その後、大友克洋、諸星大二郎、石川サブロウ、滝田ゆう、青木雄二、井上雄彦などと出会った。以前から好きだった「美味しんぼ」の花咲アキラ、「コブラ」の寺沢武一、「MONSTER」「20世紀少年」などの浦沢直樹など、あるいは、以前から知ってはいたがそのすばらしさを新たに再発見した矢口高雄(きっかけは講談社文庫に入っている「蛍雪時代」を読んだことだ)、水木しげる(同じく講談社文庫の「コミック昭和史」を発見したのがきっかけ)、さいとうたかお(「サバイバル」の文庫版を読んで、彼も「ゴルゴ13」ばかりではないと知った)などを加えて、僕の漫画家チェックリストも随分増えた。

 それにしても自分の収集癖には自分でも驚く。「発見」して間もないのに、めったに書店の本棚に並ぶことのない漫画を、絶えず新刊に目を通し、過去のものは古本屋を駆けずり回ってあらかた集めてしまう。東京に行ったときは必ず上野駅前のビルの地下にあった漫画専門店に寄る(この店もまだあるのだろうか)。それでも手に入らないのもはインターネットで買う。こうやって集めてしまうのだ。まだ持っていなかった本を見つけたときのうれしさについ探す苦労も忘れてしまう。しかし、ほとんど手に入れてしまうと、次はなかなか出会うことがなくなり、寂しい日々が続く。勢い、新しいお気に入り作家を探すことになる。まあ、これは良いことでもある。「発見」は続く。2000年代に入ってまず発見したのは花輪和一である。独特の細密画とおなじみのへんちくりんな女の子が気に入った。その後、こうの史代、ヤマザキマリ、吾妻ひでお、安倍夜郎などを発見したが、最近の一番の発見は山田参助の「あれよ星屑」。戦争漫画あるいは終戦直後を描いた漫画というと一連の水木しげるの作品か闇市時代の戦災孤児たちを描いた石川サブロウの傑作「天より高く」くらいしか思い浮かばなかったが、今の時代に当時をこれほどリアルに描ける漫画家が出て来るとは心底驚嘆した。しかし全体的に見れば、同じような漫画ばかり増えて、その後はなかなかいい作家に出会えない。巨匠たちが引退した後はどうなるのだろうか。

上田に来てからよく読んでいたもの 
「ドラゴンクエスト」(藤原カムイ)
「DRAGON BALL」(鳥山明)
「将太の寿司」(寺沢大介)
「金田一少年の事件簿」(さとうふみや)
「IWAMARU」(玉井雪雄)
「SEED」(本庄敬)
「愛、知りそめし頃に」(藤子不二雄A)
「ちびまる子ちゃん」(さくらももこ)
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治)
「北斗の拳」(原哲夫)
「クレヨンしんちゃん」(白井儀人)
「ジョジョの奇妙な冒険」(荒木飛呂彦)
「釣りバカ日誌」(北見けんいち)
「コータローまかりとおる」(蛭田達也)
「カバチタレ」(東風孝広)

 このように、中学、高校の一時期を除いて、僕は漫画とともに育ってきたと言っても良い。漫画は、本、映画、音楽とともに、もはや僕の生活の一部だ。実際、これまでに何回か引越しをしたが、引越しをしてまず最初に探すのは、漫画をおいてある食堂と喫茶店だった。漫画雑誌は自分では買わない。買うとすればコミックス版になってからである。だから食堂や喫茶店で読むのである。東京の調布市にいたころ、京王線国領駅の近くにあった食堂で「はだしのゲン」を始めて読んだ。それまで名前は知っていたが、あまりにも人物の絵がどぎついので敬遠していた。しかし、たまたま手にとって読み始めたら、面白くてやめられなくなった。とうとう全巻その店で読み切ってしまったが、最後は飯を食いに行っていたのか、「ゲン」を読みに行っていたのか分からないくらいだった。しかしある頃から喫茶店やレストランで漫画を読むことはしなくなった。おそらく面白いと思う作品がなくなってきたからだろう。今では店に入ると必ず自前の文庫本を読んでいる。漫画はもっぱらコミックス版で買って、家で読むものになってしまった。

 最後に外国の漫画について簡単に言及しておこう。基本的に子供向けに書かれているアメコミには全く関心がない。その映画化作品にも全く心を惹かれない。しかし、数は少ないが優れた外国漫画やあるいは外国の原作を漫画化した作品が手に入るようになってきた。ネイト・パウエル「MARCH」(1非暴力の闘い、2ワシントン大行進 3セルマ勝利をわれらに)はキング牧師たちと共に公民権運動に貢献してきたジョン・ルイス(注)とその広報責任者アンドリュー・アイディンが原作をかいている。僕の大学での専攻はイギリス文学だったが、当然アメリカ文学にも関心があり、とりわけ黒人文学や人種問題関係の本はかなり読んだ。しかしワシントン大行進を漫画で描く作品が出現しようとは考えてもいなかった。スパイク・リー監督の映画「ゲット・オン・ザ・バス」という作品もあるが、これは95年10月14日に首都ワシントンで行われるミリオン・マン・マーチ(百万人の行進)に向かう人々を映画いたものだ。63年のワシントン大行進へのオマージュがその根底にあるが、ワシントン大行進そのものを描いたわけではない。むしろ「MARCH」の一部と重なるのはリチャード・ピアース監督の「ロング・ウォーク・ホーム」だろう。有名なアラバマ州モンゴメリーのバスボイコット運動が描かれている。

 それにしてもキング牧師の有名な演説は録音が残っていて何度も聞いたが、その大集会そのものの映像を観たことがない。これがいまだに謎だ。唯一見たのはDVD「ピーター・ポール&マリー キャリー・イット・オン~PPMの軌跡」に収録された「風に吹かれて」を歌っている映像だ。何と大集会の舞台で歌っている映像だったのである。若いころのマリー・トラヴァースの美しさに息をのむ映像だが(後年化け物のようになってしまうだけに)、それ以上にこんな映像が残っていたこと自体に驚いた。と言うことはキング牧師の演説自体はもちろん、他のアーティストが歌っている映像もあるはずだ。なぜこの大集会の一部始終を映した映像が世に出ないのか、まったくもって不思議だ。

 小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」の原作はスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが大祖国戦争に従軍した女性たちにインタビューしたものである。著者がノーベル文学賞を取ったから言うのではないが、この原作は非常に優れたもので、漫画よりも原作を推薦したいというのが正直なところだ。とはいえ、まずは漫画から入って、気に入ったら原作を読むというのも良いと思う。どさくさ紛れにもう一作優れたインタビュー集を紹介したい。、アンジェラ・ホールズワース著『人形の家を出た女たち』(新宿書房)という名著だ。イプセンの有名な戯曲『人形の家』(1879)のヒロインであるノラが「人形の家」を出た後どうなったか、20世紀に生きる実際の女性たちにインタビューを重ね、20世紀のノラたちは本当に「開放され」「自由に」なったのかを丹念に描き出した労作である。話がそれたので戻そう。漫画版「戦争は女の顔をしていない」はいかにも女性漫画家が書いた絵柄だが(特にあの目が大きい顔の描き方に僕なんかは違和感がある)、実体験をもとにしているだけになかなかのリアリティだ。この原作はかなりの反響を呼んだのだろう、珍しいロシアのTVドラマ「ナイト・スワローズ 空爆戦線:ユニット46」(2012)というのを観たことがあるが、これはドイツ軍を恐れさせたといわれるソ連軍の女性だけの爆撃隊“ナイトウィッチ”の活躍を描いたドラマである。漫画版「戦争は女の顔をしていない」の第6話は女性飛行士(こちらは戦闘機のパイロット)である。原作本の出版が1984年だから、この本の存在が女性だけの爆撃隊ドラマ化の背景にあったことはまず間違いないだろう。

 ショーン・タンの「アライバル」はたまたま行きつけの書店で大きく取り上げられていたので買ったのだが、これは正解だった。日本の漫画にはない全く独特のタッチの漫画だ(台詞が一切ないので、絵本に近い感じだが)。しかし見てゆくうちに何となくストーリーの流れのようなものが感じられてくる。この人の短編アニメ「落としもの」も観たが、これも傑作だ。ショーン・タンが監督の一人だとは観始めた時知らなかったが、絵のタッチと不思議な生き物を考え出すイマジネーションが同じだとすぐに気づいた。この人は今後もフォローし続けたい。

 マルジャン・サトラビの「ペルセポリス」は最初アニメとして知ったが、近所のレンタル店に置いてないのでずっと幻のアニメだった。そこで「アマゾン」で原作の漫画を手に入れた次第。これまた日本とは全く違う独特のスタイルの漫画だ。絵のスタイルも独特だが、本人の生き方がまたユニークだ。当時祖国イランはイラン・イラク戦争(8年も続いたので日本では「イライラ戦争」と当時言われた)の最中だったのでマルジャンは外国に留学していた。上巻では子供時代、下巻では海外での留学時代が描かれる。イラン映画「オフサイド・ガールズ」のレビューで次の様に書いた。「79年のホメイニ革命(何て懐かしい言葉だ!)によってイスラム原理主義者がイランの親米政権を打倒して以来、イランは厳格なイスラム原理主義によって統制される窮屈な国になってしまった。ホメイニ師が登場した直後にはイラン・イラク戦争が勃発する(中略)。宗教の戒律に戦時統制が加わる。ホメイニ革命前のイランは西欧化が進んだ国でミニスカートの女性さえ見られるほどだったのに、79年を期に一変してしまったわけだ。」まさにそのホメイニ前と後がこの漫画で描かれている。イスラム原理主義社会は相当窮屈だったに違いない。マルジャンはその反動でアナーキズムにあこがれている。バクーニンを尊敬していたと誇らしげに書いているのには驚かされた。バクーニンなんてずいぶん久しぶりに聞く名前で、その時代錯誤にしばし戸惑った。しかし政治的話題は随所に出て来るが、決して堅苦しい漫画ではない。厳格な宗教的戒律に縛られた国から来た女性と自由奔放な西洋の人々とのギャップが面白おかしく描かれている。

 手元にはもう一つアラン・ムーアの「フロム・ヘル」(上・下巻)もあるが、これはあまりに台詞が多すぎるので途中で嫌になって読むのをやめてしまった。しかし作者はイギリス人で、題材は切り裂きジャック事件なのだから、このまま放っておくのは惜しい。いつかまた読み直してみたい。

(注)2020年7月19日付「朝日新聞」にジョン・ルイスさんが17日に死去したとの記事が掲載された。5月に白人警官が黒人男性ジョージ・フロイドさんの首を圧迫して死なせた事件に対して、「あと何人、若い黒人が殺されるのか」と語っていたという。ご冥福を祈ります。

 

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